『 中華飯店 爛々 』
剥がれかけの赤いネオンが主張するその店は、お世辞にも綺麗とはいえず広くもない。
建付けの悪い戸を滑らせるとカウンター席が4つ。
厨房には若い娘がひとり、物騒にもみえる中華包丁を手にしている。
奥にはぐつぐつと音を立てる寸胴鍋。
「飯喰うのにナマエ気になるか?変人だナ、オマエ」
「一・寂爛。苗字無い、だから線引いたら、イチ間違われたネ。マ、なんでもいいヨ」
メニューらしきものはない。その日の仕入れ次第といったやつだ。
縁が欠けた危ういグラスに水を注ぎ、娘はぶっきらぼうにそれを目の前に置いた。
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