酔鯨堂

9

神楽の坂を上り下って
花街の風情残した一角の
地図に載らない黒板塀の細い路地。

道を聞いても分らない。
知る者は皆知らぬふり。
関わらぬが吉、そりゃあそうさ。

それでも此処へ辿り着いたら
そいつはさだめってことだ。

悪食な鯨の腹へ、ようこそ。
あまいのろい、にがいいわい。
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