【個】騎士と龍の運び屋さん
霧雨・龍雅 2021年11月14日
もうすぐ豊饒祭、というわけで。
準備に勤しむ生徒たちで、学園内は俄かに賑わいを見せます。
楽しい楽しいお祭り……ですが、出し物が多いということはそれだけ沢山の資材を運ぶ必要があるわけで。
それに、残念ながら良いことばかりとは限りません。
ちょっぴりハメを外し過ぎた生徒、こうした賑わいの場に紛れ込む不審者……
祭りの規模が大きくなればなるほど、それらを運んだり取り締まる準備には人手が必要というもの。
というわけで。
その日、彼は豊饒祭実行委員のお手伝いをすることにしたのでした。
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霧雨・龍雅 2021年11月14日
(学園の敷地の一角。そこに積み上げられた段ボール箱や資材、その他様々な道具の山に圧倒され、彼はそれらを見上げながら息を零しました)
すっごい量だね……
これをそれぞれ、必要な場所まで運んでいけばいいの?
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
申し訳ありません……本来であれば、実行委員である私一人で片付けるべきなのでしょうが。ずっとこの場所を埋めておくわけにもいきませんので。
(感謝と共に腰を折る。自らの力だけで成しえないことに、少しばかりの後悔を乗せて)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
ううん、気にしないで。
……お祭りの準備、みんな楽しそうにやってたからさ。
俺も何か手伝えないかなって思ってたんだ。
そこでちょうど人手が必要って話だったし、むしろ感謝してるくらい。
(荷物置き場はある程度は大雑把に分類されているようで、様々なラベルが貼られた荷物はそれぞれ纏めて置かれていて。「警備用」のラベルが貼られた荷物が置いてある区画へと近付きながら、彼はそんなことを言って)
とりあえず、まずはこの辺りから運ぼっか。
(2段に重なった段ボールを持ち上げて、バランスを取りながら左肩に担ぐように持ち上げて。右腕にはその付近にあった棒状の道具を抱えます)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
流石に祭りの準備のためにパラドクスを使うのはためらわれますから。
そうなると、この細腕には困ったものでして。男性の手を借りられて、助かります。
(自ら細腕といいつつも、何重にも重ねられたポスターの束をわきに抱え。さらに両の腕で「ワレモノ危険」と書かれた段ボールをゆっくりと持ち上げた)
では、行きましょうか。皆さん、祭りの準備でテンションがあがっているようですから。周りには注意をしながら歩きましょうね。
霧雨・龍雅 2021年11月14日
確かに、荷物を宙に浮かせて運んだりとか、出来る人は出来るんだろうけど。
……でも、そうだね。こうして手で持って普通に運んで、そうしてる方が準備してるって実感が出て楽しいしね。
(持ってる荷物の量は普通ではない気がしますが、それはさておき)
ん、分かった。
ぶつかって怪我とかしないように、気を付けないとね。
(と、早速歩き出して)
……そういえば、さ。
アリシアは、実行委員の中でも警備の担当なんだっけ?
当日も警備のお仕事をするの?
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
えぇ、あくまで学生らしく。せっかくのお祭りですから、ズルをして楽をするのはもったいないでしょう?
(せっかく得た学生という身分。演じるからには、全力だ)
(コツコツと、足音を響かせながら。霧雨さんの質問へと返答し)
そうですね。祭りの熱気に当てられて、ハメを外しすぎてしまう生徒もいるでしょうし。外部からよからぬことを考えた輩がやってこないとも限りませんから。
霧雨・龍雅 2021年11月14日
うん、学生らしく。
楽をするのも悪くはないと思うけど、楽をし過ぎてこういう普通の学生っぽい体験をしないのは、ちょっと勿体ないなって、そう思うよ。
……俺、学生っぽいことはこの学園に来るまであんまりしてなかったからさ。
こういうこと出来て、嬉しいなって思う。
そっか、アリシアはみんなの安全を考えてくれてるんだね。ありがとう。
でも、実際にそういう騒ぎが起こったり危ない人がやって来たら大変だね。
……あんまり、無理はし過ぎないでね?
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
霧雨さんも、学生生活を存分に満喫しているようで。何よりです。
私も学生という身分はこの土地に来てから得たものなので。なにかと新鮮な気分で受け止められますね。
(こちらを心配する言葉に、問題ないとばかりに頷いて)
ありがとうございます。ですが、守りの術は身に付けていますから。一般人程度でしたら、何人かかってきても問題はありませんよ。
霧雨・龍雅 2021年11月14日
ん……そうなんだ。アリシアはこの学園が初めての学生生活……
それじゃあ、見るものみんな珍しいって感じなのかな?
なんだか、良いね。そういうの。
毎日がワクワクって感じかな。
そっか、自信があるなら何より。
でも、そっちの心配もだけど……お仕事に熱心になりすぎて、お祭りを楽しむ時間を減らしちゃわないようにねって事。
せっかくの学生生活なんだからさ。
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
えぇ。教室で学び、休み時間に学友と語らい。放課後はグラウンドで部活に勤しむ。なにもかもが新しい体験で、刺激に溢れています。
む……それは少し困りますね。
私も祭りを楽しみたいとは思っているので。
ですが、警備の仕事をおろそかにするわけにもいきませんし……。
(ぶつぶつと呟きながら。どうしたものかと思案し)
(視野が狭くなっているのか、目の前から駆けてくる学生に気づいていないようだ)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
(楽しそうに語るアリシアさんを見ていると、なんだかこちらまで嬉しい気持ちになってきます。思わず、ふ、と口元を綻ばせて)
クラスにお願いできる人がいるなら、交代で警備をしたらいいんじゃないかな。
一人でやる必要は無いと思うし。
(と、歩いていると対向から少々忙しそうな足音。見ればこちらへ駆けてくる生徒の姿が。アリシアさんの方へと視線を移せば、どうやら彼女は考え事をしていて生徒には気付いていない様子。危ない、と声を掛けてもこの距離では避けることが出来るかどうか)
あっ……
(そこまで思考が至ってからの彼の行動は早く。咄嗟に、自分の尻尾をアリシアさんの腰へと回し、彼女の身体をこちらへ引き寄せて、生徒とぶつからないようにしようとします)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
そう、ですね。他の実行委員の方に声をかけてみましょうか……。
(ですが、その人の予定ももう決まっているでしょうし──。)
(思考の底に沈みながらも、足は止まらず。だからこそ、近づいてくる学生との彼我の距離はぐんぐんと縮まっていき)
んっ……!?……ぁ。
(急に訪れた拘束と引き寄せられる感覚に思わず身を固くし。だが、慌てて辺りを見渡すと、驚きつつ去っていく学生と、自らを支える太い尾。その持ち主は……)
すみません、霧雨さん。いけませんね、考え事をするあまり、周りが見えていませんでした。
霧雨・龍雅 2021年11月14日
ううん、怪我が無くて良かっ……
(ほっとした様子でアリシアさんの顔を見ますが……あれ、ちょっと顔が近いぞ、と気付きます。咄嗟に自分がやってしまった行動を思い返し、そして今の状況を直視して。やにわに彼の頬が赤らんでいきます)
(無効票)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
ご、ごめん。
急に引き寄せて、びっくりしちゃったよね……
(そういえばまだ彼女の身体に尻尾を回したままだ。慌てて彼女を放して、ちょっとだけ距離を開けました)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
いえ、助かりました。私はもちろん、あのままではあの学生にも怪我をさせてしまっていたでしょうから。
(全く情けない。いくら考え事をしていたからと言って、あの程度の気配に気づけないとは)
(そんな風に自省の念に駆られていると、目の前の少年の頬がやや赤らんでいるのに気づいて)
顔が赤いようですが、もしかして私を助けるために何か無理をさせてしまいましたか?
(それはあまりにも申し訳が立たない。気遣うように開けられた距離を詰めようと)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
だ、大丈夫。ちょっとドキドキしてるけど、無理したわけじゃないから……
(一度意識してしまえば、なかなか平静には戻れないようで。距離を詰めるアリシアさんから、また一歩距離を開けようと、じり、と後ろへ下がれば。自分の翼が壁に触れたことに気付きます。つまり、袋の鼠)
…………
(ちょっとだけ申し訳なさそうに、彼は視線を逸らすのでした)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
そう、ですか?それならいいのですが……。
(生憎と両手は荷物で塞がっていて、これ以上正確な検査をすることは叶わない。今は、本人の言葉を信じるしかないだろう)
(スッと身を引くと、よしっと気合を入れ直すかのように一度息を吐いて)
思わぬアクシデントはありましたが、私たちは道半ば。残りの荷物もまだありますし、少し急ぐとしましょう。
霧雨・龍雅 2021年11月14日
(ほっとしたように息を零して、一度咳払いをして)
そ、そうだね。あの荷物で全部だとは限らないし、早めに終わらせるのに越したことは無いもんね。
(ちょっぴり慌てた様子。歩く速度も先ほどより早めて、目的地へと足を向けて)
……ええっと。
こっちの長い棒みたいなのは、さすまたっていうんだっけ。
暴れてる人を捕まえる。
こっちの段ボールには何が入ってるのかな。
(なんとなくいたたまれない気持ちになったのを払拭するため、自分が持つ荷物を見てそんなことを尋ねるのでした)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
その段ボールには、確か暴徒鎮圧用の催涙スプレーが入っていたような?
(似たような段ボールが多いので、おそらく、と付け加え)
っと、この教室みたいですね。ひとまず中に置くだけおいて、残りを獲りに行きましょうか。
(よっこいしょっと、抱えた段ボールやポスターの束を部屋の隅に置きながら)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
なるほど、目くらましの道具ってわけだね。
色んな道具があるんだなぁ……
(なんて、感心したように頷き)
ん。この調子なら、今日中に結構な量が運べそうだね。
(同じように荷物を置いて、トントンと腰を叩いて伸びをして。どこかやり遂げたような表情を口元に浮かべますが、すぐに一文字に口を結び気合を入れなおします)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
剣で斬り捨てれば簡単なのでしょうけど。さすがにそんな血なまぐさいことは学園ではできないですからね。だから、非殺傷の道具ばかりです。
(こればっかりは仕方ないですよ、と肩をすくめ)
さぁ、まだまだ運び切れていない荷物はたくさん残っていますから。行きましょうかっ。
(ん-っ、と大きく伸びをして。霧雨さんが腰を叩く様子を見て、小さく笑みを浮かべた)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
……結構過激なんだね、アリシア。
けど、うん。それはそう。なるべく捕まえて、大人しくしてもらってで終わらせたいよね。
(割と好戦的な言葉に若干驚きつつ、そんなことを言って)
うん、気合を入れていこう。
みんなの安全のためにね。
(アリシアさんの浮かべた笑みに、口元を緩めた小さな笑みを返して。ぐっと胸の前で握り拳を作って応えて、元来た道を戻ろうとします)
アリシア・グレンヴィル 2021年11月14日
ふふ、冗談ですよ、冗談。私が剣を向けるのは、あいつらだけと決めていますから。
(茶化す様に言葉を投げかけ)
えぇ、皆に霧雨さんに。そして私が全力で楽しめるように。
しっかりと準備を完了させましょう。
(しっかりと頷くと、残りを荷物を取りに向かって──)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
(あいつら。その言葉の意味は、彼にも察することが出来ます。真摯な面持ちになり、こくりと彼は頷いて)
うん。
みんなで楽しめるように。頑張ろうね。
(演出継続)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
(そうして、二人揃って荷物置き場へと戻っていきました。真面目な二人の頑張りのおかげもあって、山ほどあった荷物の多くは、その日のうちに適切な場所へと運び込まれたようで)
(きっと楽しいお祭りになるでしょうと、荷物運びの最中に出会った生徒たちの笑顔は、そう感じさせるのに充分なものでした)
霧雨・龍雅 2021年11月14日
【〆】