【戦・低速】その海の深さ
鳳・橙 2021年11月12日
今更といえば今更、ようやくといえばようやくなタイミング
そう、蒼海番長との腕試し
なんやかんやで他にやることがあったから先延ばしにしていたが
ここらでそろそろ体感しておきたいと思ったのさ
俺たちの頭の実力ってやつを、さ!
◆場所
グラウンド上
種で作った決闘場
◆書き込み可能
竜城・陸
鳳・橙
1
鳳・橙 2021年11月12日
おいっちにー!さんしっ!
(グラウンド上に作られた決闘場。その中で元気よく、勢いよく、活力を漲らせて準備運動をしているジャージ姿の鬼少年。)
へっへ、いよいよかぁ……ウズウズすんなぁ!
(その視線の見据える先には一人の竜人、我らが青のクラスの番長……蒼海番長その人だ。)
竜城・陸 2021年11月12日
元気だね、橙。
(他方、目の前に立つ竜人は、特に気負うでもなく、ただそこに立っていた)
(武器もない、構えもないままに彼の方を見遣って)……準備はできた?
鳳・橙 2021年11月13日
(最後に一度ぐいーっと、組んだ手を、体を伸ばし脱力。吸い込んでいた息をブハーッっと吐き出して)
……おうっ!十分だ!
鳳・橙 2021年11月13日
(言葉と共に地面に置いていた得物、鉄で出来た六角杖を蹴り上げる)
(くるくるくると回転しながら宙を舞う杖を難なく手に取り、回転そのままに指先で数度回して両足をゆるりと前後に開き……びしっ!と構えを取った)
そういう陸は……はっ。聞くまでもねえかな?
竜城・陸 2021年11月13日
ああ、いつでも――君の好きなタイミングでどうぞ。
(勿論、とばかりに頷いて)
(構えも、何もないままに、彼を見据えたまま)
(当然のような、“先手は譲る”という、姿勢)
鳳・橙 2021年11月15日
そうかい?
それじゃあありがたく――
(重心を僅かに下げ、杖の先を微かに持ち上げ、陸の胴へと向けピタリと止まる。それが合図と言う様に。)
鳳・橙 2021年11月15日
(――無防備といえば無防備、隙だらけといえば隙だらけ。武者としてならばそう見立てるしかない、その立ち姿。しかし彼は術師であって、その見立てが何の意味も為さない。)
(構えることも、身構えることもしない、ただ今から起こること全てに対応できるという自負すら見える余裕の表情……なるほど番長という名を戴くだけのことはある、と感心すらする。)
(だからこそ一刻も早く確かめたい、交えたい――最短で、最速で!)
鳳・橙 2021年11月15日
――胸を
(瞬間、ドン!と全身の力を足一点に集中させた踏み込み。
地面に足形が残るほどの勢いを伴って一息に己の間合いにまで詰め寄る。)
借りるぜ!!
(同時に繰り出す渾身の突き。空気摩擦で赤熱した鉄が、細い胴体をめがけて迫る)
竜城・陸 2021年11月16日
(――成程、迷いのないいい動きだな)
(などと、一足で踏み切ったその動きを眺めやりながら、思う)
(……という程度には、平静で)
竜城・陸 2021年11月16日
(これまでならば、打つがままにさせておいたろう。)
(それが自分の身を傷つけることなどないと理解しているからだ――己が纏う魔力障壁は、凡その物理的攻撃手段を通さない――。)
(しかし、今日はそうはしない)
竜城・陸 2021年11月16日
(とん、と軽く、後方へ下がるように地を蹴った)
(それだけで、その姿は軽々と、人の数歩分の距離を優に稼ぐ)
(距離を離されたことに気付いて攻撃の手を止めるか。或いは、そのまま突っ込んでくるか、わからないが――)
(進むにせよ、止まるにせよ、彼の行く手を阻むのは)
(――差し向けられた無数の、氷の槍だ)
(ひとつひとつが優に、彼の背丈を超すほどの大きさ。けれど、形状はと言えば、一般的な“槍”とほとんど変わらぬそれが)
(研ぎ澄まされた切っ先を一斉に彼へ向け、殺到する)
鳳・橙 2021年11月18日
(まず胸中をよぎった感情は、驚嘆)
距離取るのか――!
(近づくこと自体はそれほど難しくないと考えていたが、見事に当てが外れた)
(踏み込みを終えた足が地に着く。次の瞬間には襲い来る槍の群れを前に、それでも頭は冷静だ)
(先んじて飛び込んでくる槍の一本を、その横腹を軽く薙ぐように弾き軌道を逸らす)
(次ぐ二本目、間髪入れず三本目、四本五本……数えるのもめんどくさい!)
(それらを最小限の杖の動きで、蹴り足で、体捌きで、凌ぐ――凌ぐ!)
鳳・橙 2021年11月18日
どうしたどうしたぁ!
先に来いと言ったわりにはずいぶん遠回しな小手調べじゃあねえか!
俺の攻撃は暑苦しかったかぁ!?
(槍の雨を凌ぎながら、吠える。)
(その最中、ぶるんと振動する鉄杖。同時にそれは燃えるような熱気を纏い)
――ならもっと熱くしてやるよ!
(突き出されたのは灼熱。杖から放たれた熱が降り注ぐ槍を瞬く間に溶かし、さらには蒸発までさせて)
鳳・橙 2021年11月18日
(大量の氷はそのまま大量の水蒸気となり、であれば当然目くらましへと変じる)
(その機を逃さず、再び回り込むように間合いを詰め、「さあこれならどうだ」と渾身の横薙ぎ――!)
竜城・陸 2021年11月18日
異なことを言うね。
棒立ちで打つに任せるような温い対応をお好みではないだろう?
(撃ち放たれる氷槍、その数は優に数十を超え、百にも届く)
(戦い慣れしているな、)
(などと、それに対処する様を見遣って感心めいた思いが浮く。さして魔力を込めていないとはいえ、あの物量をしっかり凌いでいるのだから)
(とはいえ――)
竜城・陸 2021年11月18日
.
・・・・・
(水蒸気は、目晦ましにはなり得ない)
(何故か? それはつまるところ、「水」の変じた姿であるがためだ)
(それが「水」である以上、)
・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・
(その中に居るということは、この竜の掌中にあると同じ)
竜城・陸 2021年11月18日
(その一撃が男の身体に届くことはなく、)
(何かに弾かれたかのように、中途で止まる)
(横薙ぎに振るった杖が、硬い何かに弾かれるような感触を、彼はもしかしたら覚えるかもしれない)
(返礼は、)
竜城・陸 2021年11月18日
(周囲の温度が一気に下がったような感覚)
(立ち込める水蒸気は瞬く間に急冷し、否、それは自然の速度ではもはやありえない)
(濛々と周囲を埋める蒸気から、ということはまさに四方八方、上下左右前後のべつまくなし、突き出た氷の棘)
(生み出されたそれが、彼の身体を穿とうと牙を剥く)
鳳・橙 2021年11月22日
―――っ!!
(確かに杖を通して伝わる「攻撃を弾かれた」という感覚)
(そこに驚きは無い。あの陸が攻撃を易々食らうとは思わないし、身を守るならこうなるであろうとは思っていた……だからこその「当てが外れた」だ。)
(この間合いに於いて、さあここから如何にして攻めを通すか……そう思った矢先に走った悪寒こそが、この肝を冷やしたモノの正体)
鳳・橙 2021年11月22日
(咄嗟に取った不格好な防御の体勢は、最低限ながらもその役割を果たした)
(鉄の杖と硬化した腕にて致命的な支障をきたす部位のみを守る――逆に言えばそれ以外は容赦なく、氷の棘の餌食だ)
グぁっ――!!
(マジかよ、蒸気まで思いのままかよッ!)
(さすがに甘く見過ぎていた。想像力不足だった。水の粒子まで操るとかデタラメか)
(このままじゃマズイ……すぐにこの水蒸気の中から脱出しなければ――)
鳳・橙 2021年11月22日
(――ダメだ、それじゃあ!)
(ここで距離を取れば、次にまた自分の間合いにまで来られるか分からない。さっき出した熱量だってそう何度も軽く出せるものではない。それこそジリ貧で勝ちの目が無くなる)
(それにこの氷の棘はさっきの槍に比べれば、投射された勢いが分だけまだ小技だ)
(だから勝つためには!)
鳳・橙 2021年11月22日
オオオオオォォォォッッ!!!!
(雄叫びと共に震脚のごとく大地を踏み鳴らす)
(穿たれた体から噴き出す血にも構わずに、踏み留まる)
(自身に触れた大気が大きく震え、周囲の水蒸気ごと弾け飛んで、見据える涼し気な男の姿が露わとなる)
(そこに確かに存在する、彼我を隔てる不可視の障害を破るために――)
鳳・橙 2021年11月22日
(後先など考えない。この手に、今出せる最大最高の威力を!!)
(手を突き出し、掌から発した超振動が起こす一点に集中された極大の空震――通らば、通れ!!)
竜城・陸 2021年12月4日
(おや、と)(僅かに片眉を上げた)
(先のそれより威力は低い、というのは当然のことではあるが――しかしそうにしても、咄嗟に防御姿勢を取れるとは)
(ただこれは、そこまでできると思っていなかった、という侮りではない)
(迷わず蒸気の中に飛び込んできたことからもわかるように、彼は恐らくこうなることを想定していなかったはずだ。それでも、咄嗟に致命傷を避けてみせた。その状況判断力には素直に、感心の思いばかりが浮く)
竜城・陸 2021年12月4日
(そして、ここに至っての、“退かない”という選択肢)
(人間ならば当たり前に持っているはずの恐怖感。本能的に生じるはずの忌避感。それらを捻じ伏せてそこに踏み止まる意思の強さは)
そうでなくては。
(――それこそ、“人間”らしいというものだ)
竜城・陸 2021年12月4日
(――そう、侮ってなどはいない)
(けれど、晴れた蒸気の向こう。こちらへ向かって突き出された掌から感じる圧力――振動、それを理解してもなお)
(こちらもまた、一歩も引かず)(動揺を顔に出すこともなく)
(ただ、何処までも静かに凪いだような表情で、それを見遣っていた)
竜城・陸 2021年12月4日
(――“竜”もまた、退きはしなかった)
(けれど、予想通りか或いは予想外か、彼の起こした空震は“視えない壁に遮られた”のではなく)
(翼の羽搏きひとつ、それによって生み出された氷雪の嵐と拮抗し合い。食い合うようにして、縺れ、絡まって、)
(――そうして、消えていくだろう)
竜城・陸 2021年12月4日
お、っと。
(否、)
(はらりと、青い髪が数本千切れて、)(煽られて、風に舞う)
うん、相殺しきれていないか。
(押し返すつもりのほうがよかったかな、などと呟きつつ、)(目の前の彼を見遣って)
……魔術とは少し違うようだね、君のそれ。
鳳・橙 2021年12月16日
ハッ……割と、とっておきだったんだけどなぁ……
(悔しげなその言葉には、どこか晴れ晴れしさのようなものが混じっていて)
鳳・橙 2021年12月16日
(いやはや、今出せる最高の技を出したつもりだったが……)
(その結果がまさかまさか、髪をほんの少しばかり千切った程度とは)
(太刀打ちなどというどころの話ではない、まさに赤子の手を捻るが如しだ)
鳳・橙 2021年12月16日
んあ?
それっつーのは、今の空弾(仮)のことか……それとも熱の方か?まあどっちにしろ魔術ってのとは違わぁな。
刻逆が起こってから得た超能力……てぇとこか。
(手を突き出したままその場から動かずに)
つーか、なんだ。
魔術ってぇのはどれもあんなに無茶苦茶なもんなのかい?
(わっはっは、と笑って)
鳳・橙 2021年12月16日
……はぁ
まあともかくだ――
(息をつくと、体がぐらりと傾いで)
(口元には笑みを浮かべたまま)
悪ぃ――俺の、負けだァ!!
(天高く「宣言」を響かせて)
(バタァン!と、仰向けで大の字になるように豪快に倒れた)
鳳・橙 2021年12月16日
あー、もっとやれると思ったんだがなぁ……
(これ以上は、うん、ムリだ)
(諦めるとか諦めないとかの話じゃない、単にもう取れる手段がない)
(近寄っての打撃は通じない、熱波や空震のような間接的な攻撃も通らない)
(対してこちらは全身出血と結構な疲労、その対価に得た成果は御覧の通り)
(――もちろんそれでもなお挑むことは可能だ、が……これ以上はきっと、お互いに得るものが無いのだ)
竜城・陸 2021年12月25日
む。
(倒れたその様子を見遣って、僅か目を瞠り)(少しの後に、ゆっくりと歩み寄った)
(周囲に満ちた冷気はなりをひそめて、むしろ仄かに暖かいような空気が漂うだろう)
魔術が無茶苦茶、というと少々暴論かな。
俺のやりかたが滅茶苦茶、というのならまあ正しい。
魔術と呼べる代物ではないんだよ。
自分の魔力をただ、思ったままに振るっているだけの――“術”とは到底呼べないものだ。
振り回されてる、といってもいいね。
竜城・陸 2021年12月25日
まあ、その調子だとどうにもならないから、俺もまだまだ鍛えている最中――というところかな。
ああ、でも。最後のはよかったと思うよ。
更に明確な“形”を与えてやると、より一層いいかもしれない。
……一種の超能力だ、というのなら。
まあ、まずはその力と向き合って、原理を理解するところから……になるかもしれないけれど。
竜城・陸 2021年12月25日
(なんて言うと、小言みたいになってしまうな)(そんな風に頭の片隅で思って、苦笑して)
立てなさそうだね。
肩を貸そうか? 保健室まで連れていくよ。
鳳・橙 2022年1月4日
うーん……つまりあれか、俺たちで言やぁただ腕をぶんぶん振り回してるのと変わらねえってことかぁ……。
……やっぱ、無茶苦茶だな!(わははっ!と笑った後、傷口に響いたのか「あたたっ」と手足をばたつかせ)
鳳・橙 2022年1月4日
力と向き合う、か……確かにその通りかもな。
実を言うと、俺のこの力ってのも使えるようになったばっかでまだまだよく分かっちゃいねえんだ。
なんとなく「こうできるかも」って思ったことをそのままやってるだけの…………ああ、陸と同じだな。
(自分の手のひらを見つめて)……俺もまだまだ、振り回されたってわけだ。
アドバイス、さんきゅーな。
今の言葉でこれから先やらなきゃならねえことがちょっと見えてきた気がするぜ。
鳳・橙 2022年1月4日
……お?
おー……(改めて体を起こそうとしてみるが、力がうまく入らず上体を起こすので精一杯で)
……そうだなぁ、ちょっとばかし無茶しすぎた……!
わりいけど、よろしく頼むわ…!(ぐぐっと手をのばして)
竜城・陸 2022年1月19日
どちらかというと呼吸をしているだけ……かなあ。
(まあ、さして違いはないか。吐息と共にそう零して)……ああ、ほら、あまり騒ぐと傷口に響くよ。
使えるようになったばかり、ということは刻逆の影響かな。
ふふ、……気付きを得られたのなら、きっとすぐに強くなれるよ。
竜城・陸 2022年1月19日
(やっぱり少しやりすぎたな、と胸中で嘆息して)
……ん、それじゃあ。
(息を吐いて、吸って、奥歯を噛んで)(それから、手を伸ばして)
(彼の精悍な腕を掴んだ手は、指も手首も細く、捻れば簡単に折れてしまいそうな華奢な見目であったけれど)(それに比して、彼の腕を引く力は存外に強く、簡単に立ち上がれてしまうだろう)
(そのまま、身体の片側を支えるように傍に寄って)……遠慮なく寄りかかって大丈夫だから。
(行こうか、と)
鳳・橙 2022年1月20日
いやいや、そこはかなり違うだろ……!
つまりはまだまだその程度、ってことかぁ(目標は遥か高みだ、と笑って、また少し痛がって)
おうさ。
この角も腕も、最近ようやく馴染み始めたばかりさ。
強くなったら……またお礼参りしねえとな!
鳳・橙 2022年1月20日
(掴んだ手は、細い。改めて、まったく華奢な手だと思った)
(魔法はともかく力に寄ったとこで頼るのは違ったかな、と一瞬考えたが、しかし)
鳳・橙 2022年1月20日
……おう。
頼りにさせてもらうぜ。
(力を入れる姿を見て、思ったよりも強い引く力を感じて、そして貸してもらった肩の「大きさ」を知って、安心して身を任せた)
竜城・陸 2022年1月27日
そうかな。……そうか。
まあ、どちらでも良いのだけれどね――(なんて言いつつ、)(肩に負った重みに小さく笑った)
(――自分が、律することを忘れさえしなければ)(こうして人と触れ合うことも、できて)
(それは、なんて恵まれたことなのだろう)
竜城・陸 2022年1月27日
……ああ。
お礼参りなら、いつでもおいで。待っているからね。
まあ、でもまずは保健室からだけれど――
(ゆっくりと、歩き出す)(緩い、けれどしっかりした足取りで)
鳳・橙 2022年2月2日
わははっ、まあさすがに今からリベンジってわけにゃあいかねえなあ!……っててて!
ひー……こりゃあ消毒液がしみそうだぜぇ……
(笑って、また痛がって、しかし急くこともなく)
(どこか晴れやかで穏やかな心もちだったのは、全力を出してなお届かない目標が出来たから……かもしれない)
鳳・橙 2022年2月2日
(保健室へと向かう緩やかな足取りは、どこか凪いだ海にも似て)
(それが少し、心地良いなんて思ったりもした)