【個】屋上。星空。瞳に月。
十桜・ひとめ 2021年11月10日
凍え憂う秋の夜半前。
放課後はとうに過ぎ去った。
静寂と安寧の地に、波紋が一つ。
#十桜・ひとめ
#竜城・陸
1
十桜・ひとめ 2021年11月10日
格好……?
(ぽや、とした声音で繰り返す。格好……)
(──ああ、)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
いいでしょう?ふわふわともこもこで気持ちがいいのよ。これ。
(にこりと微笑みながらひらりと舞う。細い足場だというのに微塵も感じさせない動きで、バレエのように数歩進んでから、ふと)
………どうしてこっちを見てくれないの?
(ようやく全然視線を向けてくれてないことに気が付いた)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
いやよくはないけれど……。
(どうしてと言われるとその服装が原因だし……)(とまでは言葉にはしなかったが)
竜城・陸 2021年11月10日
(とはいえ、目を合わせないで話すのもそれはそれで、である)
(一つ息を吐くと、荷物にあったフード付きの黒い外套を取り出して、差し出す)
……せめてこれを羽織って貰えると俺としては大変ありがたいかな。
(まだ視線は逸れたままである)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
いやよ。
(即答だった)
(フェンスからこれまたふわりと舞い降りる。着地音の一つすら鳴らず、まるで風に流される花びらのように陸に近づいて)
ちゃあんと我(わたし)のことを見てくれてからじゃないと、いや。
(目の前に立たんとした)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
…………。
(即答に思わず相好を崩して)
……あのね、ひとめ。
俺、女性は余り濫りに肌を晒すべきではないと思うのだけれど。
(正論が通じるとは思えなかったがそれしか言えることがなかった)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
……一目、見るだけよ?
何がそんなにいやなの?我が嫌い?
(聞いちゃいない)
(視線を背ける彼の視界に入るように、ひょこひょこと覗き込んで)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
嫌いな相手と言葉を交わす趣味はないけどね俺は……?
(参ったな、どうも退いてくれそうにない――)
竜城・陸 2021年11月10日
(仕方ない、と)
(小さく、息を吐いて)
(吸って)(奥歯を噛んだ)
竜城・陸 2021年11月10日
(――それから、顔を上げる)
(なんということない、というように平静に、彼女の双色の瞳を見返した)
……これでいいかい?
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
────やあっと、見てくれた。
(ぱちりと目が合う。散り交わる桜。乱反射する光。対するは彼の暁霞のような瞳)
(それは目と鼻の先のような錯覚を起こさせるだろう。顕わになっている首や胸周りを見てしまうのと、どちらが幸か不幸か。)
きれいね、陸。
(幼い少女のように言葉を零す。無垢な微笑みを添えて)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
――不思議な眼をしているね。
(左右異色のそれを指すのではない、もっと直接的な意味だ――花を散らしたような、光を湛えたようなその色は、どこか目を離し難いような、そんな思いを起こさせる)
(――お陰で平静で居られると考えると、まあ、少々恰好がつかないが)
……おや、そっくりそのまま君に返してもよいところかな。
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
ふふっ、褒めてくれるの?
ありがとう陸。我もこの目が大好きなの。
だから、褒めてくれたあなたが好きよ。
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
…………、それは、どうも。
(他意のない発言だろうな、と頭で理解していても)(言葉を返すまでに生じた僅かばかりの間と、僅かに逸れた視線の動きは、動揺を色濃く映していただろう)
……それで、君、こんな格好で学園に来て、何をしてたの?
(とりあえず一目見たのだし、と、あらためて外套を差し出してみた)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
………陸って、大人びてるようで初心なの?
(カメラのシャッターを切るように指を合わせて、その動揺を映しながら)
(やや怪訝そうに首を傾げて)
(約束だから。とすんなりと受け取って、ぱさりと着込んだ)
(………結構大きい気がする。)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
何を…………
(ええと、と今度はこっちが視線を逸らす)
(何をしていた、と言われても──)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
夜のお散歩、かしら。
(なんちゃって。)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
初心――いや、ええと……。
……学園に来る前は、部屋に籠ってあまり人と会わない生活をしていたからね。
ここへ来てある程度は慣れたのだけれど……。
(それでも、直截に好意を言葉にされることには未だ、慣れていない)
(すんなり受け入れてくれたのには、少しばかり安堵した。彼女の身体をしっかり覆えるくらいのサイズはあるだろう。なにせ、自分が使っているものだ)
竜城・陸 2021年11月10日
夜の……
…………散歩はもう少し暖かい格好をした方がいいよ。冷え込むからね。
(本当だか、嘘だか、というのは深く訊くことでもない。そうと言うのなら、そうなのだろう)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月10日
あらそう?表立って色々やっているから、てっきり慣れてるのかと思ってたわ。
(外套に身を包めばより白が強調されて、月明かりに祝福されているようだった)
これがいいのよ。
暖かいこれを着ながら冷える夜を味わうのが………というか、心配してくれているの?優しいのね。
十桜・ひとめ 2021年11月10日
(袖の余る外套を頬に当てて、目を閉じる)
……でも、これもいいわね。包まれてるみたいで。
(無効票)
竜城・陸 2021年11月10日
表立って色々?
……というのは、ああ、クラスの仕事のことかな。
それはまあ……そういう立場なのだから、適切にするべきことはするさ。
(要は、“立場ありきの付き合い”ならば――“番長”という肩書を前提とするならば、適切に、相応に、行えるということ)
優しいのかな? きっと、誰でも同じことを言う気がするけれど。
(特別に俺が優しいわけではないよ、)(なんて――――)
竜城・陸 2021年11月10日
(――続いた言葉が耳に入ったところで、語尾の方は立ち消えていたかもしれないが)
(いや多分これも別に他意はない発言だと思う)(……思うんだけど)
うん、まあ、お気に召したなら何より……。
(無難な言葉選びになっているかも自信がない)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
……それは真面目なのに人たらしってことかしら。
悪い男ね、陸。
我は好きだけれど、泣いちゃう子もいるんじゃないかしら。
(くすくす笑って、イタズラな冗談)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
それはもう気に入っちゃったわ。
──そうねえ。手放したくないって言ったら、あなたはどうする?
(これ、あなたのでしょ?)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月11日
む、……それは初めて言われたな。
どちらかというと、「人」と「人」の交流には疎い方だと思っているのだけれど、俺……。
(なんて、真面目に首を傾いで、考えて)
竜城・陸 2021年11月11日
ん? ……ああ。
そうだけれど……いいよ、その格好で帰られるよりはマシだからね。
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
……そう?
むしろあなたは……そういう実体のない繋がりで自分を保っているように見えるけれど。
(どちらかと言うと、同類の香りを感じるのだけれど)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
あらうれしい。
男の子からの初めてのプレゼントだわ。
(うれしくなっちゃう。)
(とん。とん。と足の指先で等間隔に跳ねては、くるり。跳ねては、くるり。まるで接したコンクリートに波紋が浮かんでいるような)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月11日
――……、そう見える?
(疑問の形を呈したけれど、)(否定はできない、と思った)
(望まれたままに“ ”に成ってしまった)
(けれど、望まれたように■として■■■としている)
(望まれたように“竜”として振る舞った)
(今また、望まれるように、長として、――)
竜城・陸 2021年11月11日
……そうだね。まあ、そうだろうな。
その一切合切を切り離して生きることは、多分、難しい。
(鏡のようなものだ)
(自分が“そうだ”と認め、相手に“そうだ”と認めて貰わなければ、同じ立ち位置まで至ることができない)
竜城・陸 2021年11月11日
そこまで大袈裟な話でも――、君ってさ。
なんだか、精霊か何かみたいだな。
(爪先だけで悠然と、跳ねて、回って、踊るような足取り。まるで、水面の上を飛び跳ねているように見えた)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
そうかしら。……ああ、でも。
わたしは悪魔じゃなくて、精霊に──妖精になりたかったのかも。
ゆらゆら光る蛍のように。優雅にぱたぱた、蝶々のように。
自由で (とぉん) 気ままで (ぽと)
けれど────
(そうは在れなかった。このひとみが開いてしまう限りは、きっと。そうは在れない。)
(スポットライトのように照らすこの三日月だけが、わたしを縛る。)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
(やがて、己の何倍も大きな。蒼き竜の隣をすり抜けて、再び向かい合う)
(視線を交わす。それは糸だ。"縁"という名の、か弱い糸)
ねえ陸。
あなたの見ている世界と、我の世界は全然違って。
きっとお互いに曖昧にしか見れていないのでしょうけれど。
十桜・ひとめ 2021年11月11日
──お友だちとして、あなたの形は覚えていてあげる。
きっとあなたが世界を見失ってしまったとき。
あなたがあなた自身を見失ってしまったとき。
あなたの輪郭が、この世界から失われてしまったとき。
十桜・ひとめ 2021年11月11日
わたしがあなたをみてあげる。
(彼の唇に触れるように、その華奢な指先を伸ばした)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月11日
なってしまえばいいじゃない――なんて言うのは無責任かな。
(そうかもしれない、とは思う)(自分にできていないことを、他人に言うなんて)
でも、受け売りだけれどね。
自分で決めて、そうあることが大事なのだって。
見目も、定めも、他人も、世界も、……多分、俺や君がこうしているために欠かせないものだけれど。
でも、その根をどうするかは自分で決めるべきことで、
竜城・陸 2021年11月11日
……俺はね。
“神”として望まれて、そう成ってしまった。
“竜”として望まれて、そのように振る舞った。
だけど、成りたかったものはもっと別の何かで。
今、そう成ってもいいのかもしれないと、思っていて。
(どうしてこんな話をする気になったのかは、理解している)
(まったくの、子供じみた考えだと思う)
きっとここではそれが許されて、だから、
竜城・陸 2021年11月11日
君だって、そう成りたいのなら、成ってしまえばいい。
世界が何て言ったって、自分だけは“そうだ”と言ってやればいい。
(「けれど」と続いて、そのまま途切れた言葉の先にあった事実を、どうしても否定してやりたかったという)
(ただそれだけだった)
(それを彼女が望むかも、まるで、考慮に入れもしなかった)
(そんな、ほんとうに、子供じみた)(我侭みたいな言葉だ)
竜城・陸 2021年11月11日
だから――君が俺の形を覚えてくれるというなら。
俺は君を、君が望むままのものとして覚えようと思う。
貰いっぱなしは、残念ながら俺の主義じゃないんだ。
……それでいいなら、有難く、君の言葉を受け取るさ。
(伸ばされた指先を迎えるように、)(細く、骨張った指先を伸ばして)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
(触れる温度は一致しない。指先も決して似ているとは言えない)
(どう足掻いても。誤魔化しても。)
(二人は二人でしかない)
…………そう。
(微笑みを携えて、受け入れて)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
でもね、陸。
"わたしは"。
(その声音は、拒絶を示す)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
────この地獄のような世界に在りたくないの。
(だから、成りたい形も、世界に宣いたいものも一切ないと)
(そう、告げた後に)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
(くあ、といつぞやぶりの欠伸を一つ)
……ねえ陸。
その翼であの星空まで飛ぶことは出来る?
(暗に、「運んでほしい」と)
(無効票)
竜城・陸 2021年11月11日
そう。
……なら仕方ないな。お互い、保留ということにしておこう。
竜城・陸 2021年11月11日
(受け取る声音は落ち着いていた)
(“地獄の様だ”と、思ったことこそないけれど。)
(“ここが自分の在るべき場所ではない”とは、ずっと、思っていたから)
(今は、そうでない“かもしれない”というだけで――)
(もしかしたら、自分も彼女と同じ様に)
(此処へ来たばかりの自分と同じ様に)
(“この世界で成したいことは、何一つない”と)
(思ってしまうの“かもしれない”から)
竜城・陸 2021年11月11日
(――それでも、“拒絶”に、“保留”と応じたのは)
(どうにも、負けず嫌いの質の所為だろうか)
……ああ、
竜城・陸 2021年11月11日
お望みなら、どこまででも。
触れるのをお許しいただけるのならば、だけれど。
(。)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
ええ。ご自由に。
あなたの望むような体ではないかもしれないけれど。
(なんてまた零して、その身を預けた)
(その体はまるで雲のようであり、一歩間違えれば消え失せてしまいそうな。不安定な感覚だろう)
(神と成った竜に抱かれて、星屑の天蓋へ)
(それはまるで夢に見た御伽噺の様で)
(少しだけ、深く眠れた気がした)
(無効票)
十桜・ひとめ 2021年11月11日
(静寂。)
(。)