【個別】秋の夜長に紡ぐこと
夢境・イドラ 2021年10月15日
初秋の黄昏は幕が下りるようにするりと夜へと変わった。
打ち寄せる波の音と鈴虫の鳴き声が、耳に心地よく響く。
そんな秋の夜長のこと。
日中に姫巫女の主導でお宮を巡った二人は、夕餉を終えて、湯に浸かって、あとは床に入るのみとなった。
けれどもまだ眠りにつくのは惜しい、と。
少年の手を引いてやってきたのは、月明かり降り注ぐ縁側。
潮風に乗って、ふわりと桜の花びらが舞い込んだ。
☀️🌸
蛍とイドラ
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朝比奈・蛍 2021年10月15日
(おじじ、と言われ、反射的にえっ、と困った様子を顔に浮かべて)
お爺ちゃんは困ったな。
でもそれならずっとここにここにいようかな。可愛い乙姫様もいることだし。ここはまだまだ沢山不思議なことがありそうだしね
(悪戯っ子のように笑うイドラの頭をぐりぐりと優しく撫でるように手を伸ばしながらそう言って)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
ネグリジェ?(そう言われてイドラの様子をじーと見ながら)
随分と可愛いけど色っぽい洋服だと思ったらそういうことか。まるで大人みたいだ。
でも……うん、イドラちゃんには不思議とやっぱり似合ってるかな
(この子は幼くて小さい。だけど、不思議な魅力がある。この場のせいなのか、姫巫女として育ったからなのか、そういう血筋なのか。それとも何に魅かれているのか)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月15日
…………ここにずっといてもいいのかえ?
(ぱちぱちと瞬いて)
くふふ。蛍兄さまがずっといてくれたら、退屈しなさそうじゃのう。
(頭を撫でる暖かな感触が心地よくて、鈴が転がるようにころころ笑っている)
夢境・イドラ 2021年10月15日
大人……!
(ぴーんっ!と尻尾が張ったかと思いきや、ぶんぶんと横に揺れ始めて)
今のわらわは大人みたいかのう? くふふ。
(月明かりに照らされた白いかんばせが、仄かに桜色を帯びていく)
(背伸びしがちな少女は、大人という言葉に弱かった)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(聞かれて、ん?、と少しだけ考えて)
……いや、やっぱり学校ぐらいにはいかなくちゃいけないかな。目的があって通ってるわけだしね。
(そう言って薄く笑みを浮かべて)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(今のイドラちゃんは子供っぽい、と思いながらも言葉にすべきじゃないくらいの配慮はあり苦笑に留めて)
……うん、とっても。本当に大人になったらどうなるのか怖いくらいだ。
(でも、月明りの下の彼女はそうとも見える。色づく表情のおかげで子供のようにも見えるけど)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月15日
むぅ……冗談じゃよ? 蛍兄さまは真面目じゃのう。
(――なんて。本当は半分本気だったのかもしれない)
(少し落ち着きなく。誤魔化すように月を見上げて)
目的、とはなんじゃ?
夢境・イドラ 2021年10月15日
わらわの母上はすらっとした美人じゃからの。わらわもきっとそのようになるのじゃよ。
(ふふん、と小さな身体で得意げに胸を張る。自分の成長を疑わない顔だ)
(――なお、同年代の平均でみると、今のところ身長はかなり低かった)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
なんだ。冗談だったのかい?もしかして一緒に住もうって言われたのかと思ったのに。
(残念だな。と本気とも冗談ともとれる笑みと共にそう言って)
ありきたりな目的だよ。
世界を元に戻したい。失ったものを取り戻したい。……なんて。きっとみんなが思ってるそんな話だよ。
(ふとイドラの視線を追って月を見て)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
……そういえば
(真面目な様子で言葉を繰り出して)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
今日の夕飯はとっても美味しかったな。
おかげで珍しいくらい満腹だ。
(月といえば団子。と、秋の風物詩といえば風物詩な連想で今晩の夕飯のことを思い出して。ニコリと笑顔でそう言った)
夢境・イドラ 2021年10月15日
む……むぅぅぅぅ!
……蛍兄さま……わらわらのことをからかっておるじゃろう?
(思わずじとーっとした視線を向けた)
それは……確かに、皆が願ってやまないことじゃろうの……。
(現に自分もそうだ。いつだって、失くしたものへの想いで胸がはちきれそうだったから)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(真面目な様子に、そろりと視線を戻して身構えていたが、)
な、なんじゃ! 思わせぶりな……夕餉の話かえ?
蛍兄さまが泊まるというから、張り切って用意させたのじゃよ。
(今宵は秋の食材をこれでもかと使った贅沢な夕食であった)
(量もそれぞれ大人一人前くらいはあったはずだが――)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(夜の静寂に、ぐうぅとお腹の音が響く)
(さっ、と少女の白いかんばせが桜よりも紅く染まった)
(実はあの量でも足りずに我慢していたようだ)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(そのまま笑顔でイドラのじとーとした視線を受け止めてながら)
からかうなんて、そんなことはないよ。
学校にいかなくちゃいけないのは本当だけど。そんな風に求められたらうれしくも思うからね。
(期待されると張り切るタイプなんだ、とご機嫌を斜めにしてしまったイドラの頭を改めて優しく撫でて。手のひらから伝わる感触が心地い。癖になりそう。と内心で少しばかりけしからないことを思ったりしつつ)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
……………
(秋の夜風では消してくれないお腹の音が聞こえて。驚いたように無言でイドラを見て)
……えっと。食べ盛りだしね?
(フォローの仕方が分からないように。珍しく困ったような様子で。でもさすがに聞こえなかったふりは出来ず)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(なんだか余裕を感じる笑顔に、ぐぬぬとなりながら)
ふむぅ……? 求められるのは嬉しい、とな?
(撫でられながらも、なにか思案しているのか俯いたまま)
夢境・イドラ 2021年10月15日
…………そうじゃ。わらわは食べ盛りじゃからの。
(なにか思いついたのだろうか)
(顔をあげて少年を見上げ、じっと見つめた)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
うん。期待を背に――なんて、そう言うと格好いいけどね。本性はそんなに格好いいものじゃないかもしれないけど。
……? イドラちゃん? どうか――
(見上げられる視線の意図を読み取れず)
(したのかい?、と視線で問いかけるようにして)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(少年を見上げていた桜色の双眸が、やんわりと細められる)
(月明かりに照らされたそれは、妖しげに煌めいていて)
蛍兄さまが手伝ってくれれば、わらわの肚を満たす方法があるのじゃが……
(甘い夢へと誘うように、紡がれた言葉)
(こてん、と首を傾げれば、キャミワンピの肩紐がずり落ちていることも気にせずに)
(すす――と隣の少年への距離を縮めた)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(急に大人びて見えたイドラ……正確にはその瞳に息をのむようにして)
ぼ……僕が?
(珍しくでた声はどこか戸惑いの色が含まれていた)
(肩ひもがずり落ちる様に視線を取られているうちに距離が縮まって)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(でも、と心の冷静な部分がいつもの自分を思い出すようにして)
……いいよ。イドラちゃんが困ってるならいつでも駆けつけて助ける。前に言った通りだ。二言はないよ
(少し言葉は違ったかもしれないけどね。と、そう言ってイドラを正面から見つめて)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(ぱあぁ、と今度は年相応の笑顔に変わって)
蛍兄さまならそう言ってくれると思ったのじゃ。
それじゃ、遠慮なくいただこうかの……
(言いながら少女はその白く小さな手で、少年の手を取る)
(手に取るとよくわかるサイズ差。自分の両手でもって、大きな少年の手を持ち直して)
(自分の手を絡ませるようにして遊んで、暫く)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(――おもむろに、少年の人差し指を手にとって)
(艶めく花唇で触れたかと思えば、口元で何かが煌く)
(それは月明かりに照らされた少女の牙で、)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(気付いたときには、指先に牙を立てられているだろう)
(かぷっ)(という擬音が似合うような、小さな甘い痛みがあなたの指にじわり滲んでいく)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(格好付けて言ったものの、イドラのやらんとしてることはまだ察せずにいて。くすぐったさを感じながらも右手をしばらく指を絡ませるように遊んでいると)
――っ
(指先に口づけをされた、と事実を視界でとらえると、予想もしていない流れに思考が止まり)
(次の瞬間には指先に、ぴりっ、とした小さな小さな痛みが走っていた)
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(指先を包む暖かな感触と、少女が自分の指に牙を立てているという背徳的な非現実てきな光景に身体は動くことを許してくれず。されるがままにただ目の前の少女を見て)
……――。
朝比奈・蛍 2021年10月15日
(やっと、目の前のことが現実だと受け入れることができた。空いた方の手で少女の絹のように滑らかな長い髪を櫛のようにときながら)
乙姫どころか、これじゃまるで吸血鬼みたいだ。
いや、でもそうだね。そっちの方がイドラちゃんらしいかな。
(綺麗なだけじゃない、と妖艶な一面を今まさに見せられたばかりでもあって)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(少年の手に両手を添えて、少しずつ血をもらっていく)
(お腹が満たされていく感覚と、髪を撫でられる心地よさに、ゆるりと目を伏せて)
夢境・イドラ 2021年10月15日
(――――やがて満足したのだろうか)
(指先に二つ開いた傷口に、熱のこもった舌をつるりと這わせて)
(少々名残惜しそうに唇を離す)
わらわは乙姫でも吸血鬼でもなく夢魔じゃからな。
くふふ。お陰様でお腹がいっぱいじゃ。
(ごちそうさま、と微笑んで)
(傷口からまた溢れた血を、もったいないとばかりに、ちろと舐めた)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
(指先を舌でなめられて、くすぐったさに、んっ、と身を僅かによじり)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
満足してくれたなら嬉しいけど……、こうなるんだったらもっと普段から健康に気を使っておけばよかったな。
(そう言いながら苦笑を浮かべて。飲んでもらうなら美味しく思ってほしい、とどこかずれた感想を抱きながら)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
……うん、実際油断してたよ。
小さい女の子だと思ってたけど、立派な夢魔だった。
もしかして僕も吸血鬼になるんじゃないかと思ったくらいだったよ
(さっきまで吸血鬼みたいって思ってたからね、と付け足すように言って)
……ちなみに。僕の血は美味しかった?
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月16日
(ようやくと少年の手を解放してやる)
(最後にしゅるりと、己の柔らかな尻尾の先で撫でてやるおまけ付きで)
そういえば吸血鬼はこうして眷属を増やすのじゃったか?
くふふ。わらわが吸血鬼でなくて命拾いしたのう。
(なんて、曖昧な知識を披露してくすくす)
(笑いながら肩紐を直し、カーディガンを羽織り直すが――大きいのですとんと肩から落ちた)
夢境・イドラ 2021年10月16日
うむ! とっっっっっても美味だったのじゃ!
これはちゃんと蛍兄さまが健康に過ごしている証拠じゃな。
(にぱあ、と無邪気な笑顔を浮かべる)
(その笑顔に先程の行為の面影はどこにもない)
(無効票)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
(尻尾、こういう感触なんだ――、と少し浮いた感想を持ちながら)
うん、ならよかった。
せっかく飲んでもらうなら美味しく飲んでもらいたかったからね
(そう言って解放された自分の指先……少し血がでてる傷口をペロリと舐めてみて)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
……んっ。……僕にはちょっと未来すぎる味かな
(苦い顔をして。人の身に過ぎない我が身では血を美味しく感じるようにはできていないことを改めて実感し。美味しさを共有できないことに少し残念な気持ちを抱き)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
命拾いは……どうかな。イドラちゃんの眷属にならなってあげてもよかったかもしれないけど。
――いや、でも眷属になってもならなくても僕としてはそんなに変わらないかな
(ぼやくように言って。でも年相応の笑みに戻ったイドラにつられるように笑って見せながら)
(無効票)
夢境・イドラ 2021年10月16日
おや、まあ……蛍兄さまは変わっているのう?
(自分から誘いに乗るし、血をいただいても、こうも呑気な感想を口にするし)
…………もしかして、大物なのかもしれぬのう。
(ふむぅ? なんて、少年を観察するように見つめつつ首を傾げた)
夢境・イドラ 2021年10月16日
くふふ。わらわは特別じゃからの。
他の夢魔は血が欲しいとはきっと思わないのじゃよ。
(本当は、)
(血よりも、もっとお腹が満たせるものがあるのだけれども)
(それはまだ口にはしない)
夢境・イドラ 2021年10月16日
…………ほんに変わり者じゃ。
そのように自分の身を差し出すようなことを口にするとは。
(自分のような幼い子どもに――などとは言わない)
(だって、現にこの少女はこのお宮で大勢の信徒を従えているのだから)
……変わらない、とは?
(どういう意味?と、きょとん)
(。)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
大物なのは嬉しいけど、父親に言わせると僕のこういうところは怖いもの知らずの方みたいだったかな
(そんなこと無いんだけどね、と苦笑しながら言って)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
変わらないっていうのは言葉の通り。
イドラちゃんが乙姫でも吸血鬼でも夢魔でも。僕との関係が先輩後輩でも友人でも眷属でもそれ以外でも。
朝比奈・蛍 2021年10月16日
……うん、長々と言ったけど言葉にするのは難しいな。
つまり――君のことが好きだってことを言いたいだけなんだけどね
(告白というほど重々しい空気でもなく。いつもの少女を可愛いと褒める時のような雰囲気でそう言って)
朝比奈・蛍 2021年10月16日
――くしゅんっ
(と、台無しにするように一拍おいてくしゃみをした。タイミング悪いな、とイドラへ苦笑を浮かべて)
(。)
夢境・イドラ 2021年10月16日
ふふっ! 確かに、怖いもの知らずというのは言い得て妙じゃ!
(思わず吹き出してしまい、余った袖で口を押さえるも、声は溢れて)
(少年の口にする言葉を、うんうんと頷きながら聴き入れていたが、)
夢境・イドラ 2021年10月16日
(――――好き)(その言葉に、ぽっと頬が染まった)
(どんな意味で口にしたのか――声音から、察することはできるけれども)
(その二文字を異性から言われるのは、それだけで幼い頭には刺激が強くて)
(呆けたように、ぽかんとしていたが、)(くしゃみの音にはっ、として)
夢境・イドラ 2021年10月16日
そ、そろそろ中に入ろうかの! 風邪を引いたら大変じゃしの!
(わっと立ち上がって、少年も立つように促して)
(なにかこの空気を払拭するように、中へと押し込んだ)
夢境・イドラ 2021年10月16日
(秋の夜長のひそやかな密事)
(それを知るのは、見下ろす月と、はらはらと舞い散る桜のみ――)
夢境・イドラ 2021年10月16日
(〆)