【戦】Permafrost
竜城・陸 2021年10月13日
――何もかも定められている。
生れ落ちた意味も、戦う理由も、その末路も。
そう思っていた。そのはずだった。
それを、心から受け入れていると思っていた。
だけど――
「――……」
零した吐息が、世界を白く染める。
薄く目を開いた竜は、静かに、眼下の景色を見下ろした。
戦場:
新宿島近海・洋上、簡易決闘場
外壁にあたる部分は最低限の高さしかなく、
ほとんどの基礎部分は足場として広く形成されている。
そこに土が生い茂り、外からの視界を遮るかのように木々が絡み合うように伸びていた。
……おそらくは、いかなる者でも、その中を窺い知ることはできないだろう。
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竜城・陸 2021年10月14日
俺ね、グスタフ。
死ぬんだ。
世界が救われて、全てが元通りになったら。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『……。』
『リターナーだったか?ドラゴニアンにもいるんだな』
『とかそういうこと言える感じじゃなさそーだなオイ』
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
勿論、そういうのじゃないよ。今は間違いなく生きてるし。
……だけど、実際もうボロボロでね。本当は。
竜城・陸 2021年10月14日
俺の魔力は人を侵すけど、これは俺自身も例外じゃない。
“人間”の身体に余る魔力を詰め込まれているから、当然、それは自分の身体に法外な負担をかける。
……そういうわけでね。
元の歴史での俺は、二十年を生きないと宣告されている。
竜城・陸 2021年10月14日
……本当はちょっと動いただけでも、心臓がもたないくらいなんだ。
今は魔力に抵抗性が高い身体だから、魔力で体を全部操作していて、だから普通と変わらなく動けるけど。
別に、既にある肉体の損傷自体が修復されているわけじゃないみたいで。
(――違う歴史を歩んだ、竜として生まれた身体も同じ)
(それは、要は、)
(“竜の力を宿した身体でさえ、この身に宿った魔力を抑え込みきれない”ということだが)
(それは今、重要ではなく)
竜城・陸 2021年10月14日
人間に戻ったら、歴史を糾したら、俺は死ぬんだよ。
(これは悲観的観測でもなく、夢想的な危惧でもなく)
(ただの、事実で)(定めだ)
竜城・陸 2021年10月14日
……だからあまり、身に余る幸せは欲しくなかったんだ。
だって、死ぬの嫌になるだろ。
よしんば数年は死なないとしても、俺が元の歴史に戻ったところで、そこにあるのは一生何処へも出られずに朽ちていくっていう現実だけだ。
……そうしたら、
世界を糾そうっていうこの自分の中の怒りも、失う気がしてた。
それがなくなれば多分、俺はディアボロスとして生きていられない。
明日にでも、死んでしまうかもしれない。
…………与えられた使命を果たすことなく。
それが、怖かったんだよ。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『あーあー、つまるところ?』
『成る程自分の血液が自分にとって致死量、みたいなことか』
『成る程成る程なんだ私の推測通りだったんじゃねぇか』
(『成る程不可逆変化の未知数さが怖いって事な。
よーくわかるぜ不変なんてないって知ってんのに今よりひどくならない環境は捨てがてぇ。
もっともそういう不幸のぬるま湯みたいなんじゃねーんだろうがよ。』)
(なんて言ったのは何日前だっけな。)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『意外とビビりなんだな。』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『まぁんな私の感想はどうでもよくてさ。』
『完璧とまでは言えねぇけど前提条件は理解した。』
『躊躇う理由も心情も、なんとなくだけど察せれた。』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『で、本音の答えは出たのかよ?』
『もちろんいいんだぜ決められないでも。』
『それだけ「重要な」ことってこったろーし』
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
君もしかして普段ぞんざいに扱われてるの根に持ってない?
竜城・陸 2021年10月14日
ああ、……答えなんてとっくに出てたよ。
(だって、望んでしまったじゃないか)
(対等であることも)
(受け入れられることも)
(友がいるということも)
(なにもかも)
(望んだくせに、)(それなのに、)
竜城・陸 2021年10月14日
(――今の自分は、望んだ何もかもに対等な想いを返せていない)
竜城・陸 2021年10月14日
変わるよ。……変わらないと。
だって、友達に好きって言えなくて、大切な相手に大切だって言えないなんて、そんなの死んだほうがマシだろ。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『そうか。』
『立派に『番』やってんじゃん。』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『後』
『私と僕を一緒にするんじゃねぇ』
『私のこれは素だ』『僕の方が文句言ってねぇならその扱いで問題ねぇってことだし』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『「君」で一括りにされるとムズムズすんだよ』
『いいか一回しか言わないからな、私の名前は――』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『――葛城(カツラギ)・巳肖(シセウ)だ。』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『今度からはこっちで呼べ』
『向こうのことはこっちで呼ぶなよ、私がガチギレしてやるからな』
『後人前で私の名前を出すなよ、僕の名前も出すのはダメだ』
『別に偽名考えてあんだから』
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
立派かな、どうだろう。
そう見えてるなら多分、俺に突っかかってきたり横に並んでくれる相手のお陰じゃないかな。
(“対等でありたい”と示してくれる人がいなければ、きっと、こんなことは思わなかったろう)
竜城・陸 2021年10月14日
いやそんなこと言われたって……というか、別々なの? 作ってるとかじゃなくて。
(その辺りの話もそういえば知らないし)(でも彼がそう言うということはそうだろうし――)
……いやそういえばこの間目の前で口論してたな君たち。そうか、それはすまない。失礼な言い方だった。
次からは――
竜城・陸 2021年10月14日
(気を付ける、の前に告げられた、それを)
(一拍遅れて耳が認識した)
(多分、とても間の抜けた顔をしていたと思う)
あー……
竜城・陸 2021年10月14日
……えーと、ちょっと待って。
君の名前がそれで、普段は今まで通り呼んだ方がよくて?
その別の偽名ってのはどれのことなのさ。急に情報量増やさないでよ――というか記憶ないんじゃなかったの?
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『元々は作りもんだよ』
『でも私はプロのクリエイターだぜ?』
『作ったものに何かが宿るぐらい楽勝なんだよ』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
(さも当然の疑問符の嵐に、してやったりと悪い笑みをクククと漏らす)
(さァ順番に答えてやろうか)
『私はそう呼べ。』
僕は今まで通り呼んでくださいね!
『偽名は必要になったら開示する』
記憶はないですよ?ですからこれは覚えてる五年の間の諸々ですから!
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
(さァさァ好きに混乱してくれ)
(人と関わるための、個人の禁止リスト)
(守ることが既に、誰かとの濃密な接点)
(少なくとも学園の200何人にこれがあるんだ)
(慣れとかねェと大変だぜ?)
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
そんなことができるの俺の常識の中じゃ魔術師だけなんだよ……。
(――まあとはいえ、魔術を体系的に学んでいる後の魔術師からすれば、魔術も学問の一部として捉えられることは多く)
(それらを地続きの分野と考えるなら、結果を出すための手法を変えただけともとれるが)
竜城・陸 2021年10月14日
偽名が必要な状況ってどういう状況だよもう……。
(なんて溜息交じりに言ってのけるさまは困惑のようにも見えるだろうが)
(言葉尻に零れた溜息が、呆れのように取れるかもしれないが)
(実際のところは、言おうと思っていたことを言うかどうか迷うような、そういうものだ)
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『そりゃあもちろん私がこれを被っていない時に「僕」の同一性がばれそうで』
でもどちらの名前を呼ぶのも憚られる相手がそこにいて
『三人称じゃ扱いに困る状況だろ』
『わかんねーか?』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『――飯でも食いに行こうぜって言ってるんだよ「私」がよ。』
『うまいもんでも食って、どうでもいいことでも話そうや。』
『あ、でも和食はなしな。うまいけどフォークとナイフの店にしてくれ』
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
(ああなるほど、と頭の中でその状況が落ちた直後にそれが聞こえてきて)
(ああもう本当に今日は振り回される日だななんて思いながら)
いいよ、そのくらいならいつでも行く。
というかお店、自分で探す選択肢は……(ないか)(いやまあ、宛はいくつでもあるのだけれど)(伊達に生産クラスの長をやってはいない)
竜城・陸 2021年10月14日
…………まったく、君たちは本当に。
(なんて、言いながら)(口元は少しだけ、綻んでいた)
……じゃあ、ってわけじゃないけど、俺からも一つ頼み事してもいい?
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『持ち帰りの店しか知らねーんだわ』
そもそも僕は外で食べることがあまりありませんし……。
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『ん?』
『まずは聞くぜ。』
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
ああ、まあそれはそうか…………。(納得した)
ん。うん。
……頼みといっても君たち両方に、なんだけど。
名前のほうで呼んでもらいたい。
本名じゃないけど――まあ、それに限りなく近い名前だからね。
(あれを“本名”と言っていいのかはやや怪しいが)(まあ、人間に照らし合わせれば、他人が自分を呼ばわる時に用いるものは名前でいいだろう)
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『竜城さんじゃなくて』
陸さんと呼べというんです?
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
(ここで珍しく、とても悩んだようなそぶりをした)
『……おいおいどーするよ』呼称規則に合致しませんね『だろ?どうするか』でもまぁ仕方ないじゃないですか『だよなぁ……』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『頼みを断るのは』「失礼」に値するってものですからね!
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
……ありがとう。すまないね。
苗字、あまり気に入ってなくてさ。
(自分でつけておいてなんだという話であるが)
(日本の言葉ではそのまま、「竜の居城」であるそれは)
(自分の帰属を、目的意識を忘れてはならないと戒めたもので)
(そこから変わるつもりがなかった自分の名残で)
(だから、今度は“変わることを決めたのを忘れないために”残しておくつもりだけど)
竜城・陸 2021年10月14日
……そっちの方が、呼ばれると気が引き締まるしね。
(受け継いだものはそのままに)
(この身に負わされたものもそのままに)
(だけれどそれを天与のものとはせず)
(それを災厄ともせず)
(切り開くための糧とし、力とすると)
(そう決めた証が、その名前だから)
……ありがとう。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『……全然理解できねぇけど、そういうもんならそういうもんか。』
(ようやく充電も回復してきた)
(といっても一割程度しかないのだが)
(掌で押し潰すように遺産に手を翳せばそれは消えて)
(首を鳴らしながらゆったりと起き上がって)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『……何の感謝だよバカクソ徘徊老人が』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
.
『……こちらこそ、ありがとう』
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
(これはただの喧嘩)
(馬鹿な子供たちの意地の張り合い)
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
苗字は帰属する家系を示すもので、名前は“こうあってほしい”と願って名付けるものなんだろ、この国では。
……だから、そういうこと。
俺も“そうなりたい”と思う名前を名乗っている。
どうせなら自分の閉じこもってた家より、そっちで呼ばれたいだろ。
竜城・陸 2021年10月14日
だから年は君と同じだってば。
ことあるごとに老人扱いするね君……傷つくよ?
(まるきり冗談と判る口調で、言って)(立ち上がるのを見上げてから、自分も立ち上がった)
……どういたしまして。
竜城・陸 2021年10月14日
(勝手に全部背負い込んで自己完結して、勝手に大人になったつもりでいた)
(意地張ってるんじゃない馬鹿、なんて、それを殴り飛ばしにきてくれた)
(多分、ただそれだけの)
(世界にとって特別じゃない)
(だけど自分たちにとっては、必要で大切な)
(きっとこれは、そういうものだ)
(無効票)
竜城・陸 2021年10月14日
……じゃ、帰ろうよ。
あ、それで、いつ食べに行く? 悪いけど俺けっこう乗り気だからね、後でなしって言ってもダメだから――
(▼)
グスタフ・カツラギ 2021年10月14日
『私ァ今からでもいいけどよ――いやダメだ、せめて着替える時間と荷物置いてくる時間くれ。後充電。っ、ああそうだ、仮面、仮面はどこ飛んでった?――』
(▼)