【個】in the cage
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
歌舞伎町のとあるビルの上層階。
辺りからは、派手な戦闘音が響く。
電磁障壁に包まれた小さな籠の中には、小さな少女。
限界を越えた出力で周囲を走る雷光に照らされて、男がひとり、やってきた。
#カノン・ダウンワース
丹頂・安弘(
#クリスタ・コルトハード )
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クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
(こつ、こつと足音を立てて、現れたのはツーブロックにサングラスの男だ。硬く結んだ口元。グラス越しに薄っすらと見える鋭い眼光。この男こそが、NEO新宿連合の頂点である)
ったく……派手にやりやがってよォ……
(ビルが揺れ、天井からパラパラと欠片が落ちてくる。アロハシャツの肩に付いた汚れを手で払うと、檻の中の少女をじっと見る)
よォ、ガキ。この中なら本当に動けねェようだなァ
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
……あなたが、ボスさんですか…………?
(危険だから、という理由で剥がされた身ぐるみ。ボロ布だけを纏った少女が、今にも倒れそうな満身創痍の状態で声を返して)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
あァそうだ。あのクソメイドにお友達に裏切らせて連れ去ったボスさんだァ。覚えときなァ
(クック、と引いたように笑い)
アイツもひでェよなァ。手前のことを信頼していた相手でも躊躇なく売りやがったぜェ
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
クリスタちゃんは……クリスタちゃんは、そんなこと……っ
(否定するように力なく声を上げて。歯噛みしながらにらみつける。反抗の意思は消えていないぞ、という表情で)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
ハッ、九折か野壺あたりが見たら悦びそうな顔してんなァ
(俺にァそういう趣味はないが、なんて言いながら檻に近寄り、サングラスを少しずらしてカノンを睨み)
ま、趣味嗜好とは別に、てめェには言うとおりになるようにぶっ壊れて貰うが
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
っ、やだ、薬はいや……!
(じり…と檻の中を後退するも、触れれば電流が流れるものだ。途中で足が止まり)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
メイドから聞いてたかァ? コイツもあいつが調達してきたモンだから、どれほどの効果があるかわからねェが……
(手袋をハメると、薬を取り出して)
ガキ、痛い思いしたくなきゃ大人しくしてなァ
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
やだ、いや……こないでください……!
(力なく首を横に振るが――所詮は子供の抵抗でしかなく)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
すぐになーんにも考えられなくなるから気にすンな。な?
(絶縁手袋をつけた手を檻の中に入れるとカノンの顎を抑えて、強引に薬を飲ませた)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
っや、ぁ――
(無理やり流し込まれた薬品が、全身の力を奪っていく。
大きく咳き込んで、恐怖に怯えた瞳が光を失っていき――)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(ドサリ、と。その場に倒れ伏してしまう)
―――……。
(浅い呼吸の音が空気に溶けていき、死んだように動かない少女が檻の中に横たわる)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
じゃあな、もうまともにおしゃべりはできなくなってるだろうが……
(薬の効果は確かだと頷き、背を向ける)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
……あァ?
(同時に、部屋の電灯と電磁障壁の電源が落ちた。暗闇に包まれる室内。どこからか聞こえていた発電機の駆動音も、もうしない)
チッ、役立たず共が……
(無数にあった発電機が止められたことを察して)
ガキィ、連れて逃げるか……
(カノンの方を見た)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(暗闇の中。ぼんやりと光る水色の髪だけが、微かに少女を照らしていて。動く素振りは全くない)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
大人だったら面倒だったが……ガキひとりなら余裕だろう
(檻を開けて、カノンへと手を伸ばす。ボロ布を掴んで、引っ張り上げた)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
――――よぉ、随分と乱暴じゃねーか。ガキとはいえレディに向かってよ。ママに習わなかったのかよ?
(ギチ、と腕を掴んで)
(開いた瞳もまた――水色に光を灯して)
――よぉ大将、さっきぶりだな?
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
──ッ!?
(薬が効いていれば、すでにまともな思考力を失っているはずだ。にもかかわらず、目の前の少女の意識はしっかりとしている。つまりは薬の効果がなかったということで)
チィ、あのクソメイド……効いてねェじゃねーか!
(掴まれた腕を、振りほどこうと強く振るう)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(とん、と地に降り立つと)
いーや? ちゃんと効いてたさ、誰かに仕えたクリスタが適当なモン用意するわけねーだろ。
あの薬はちゃんと【カノン様の体力を削って0にした】。それは間違いない。
ただ――カノン様がテメーの想像よりうんと特別だっただけだ。残念だったな?
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
ハァ? どういう理屈だこのガキ……!
(眉間にしわを寄せて、カノンを睨みつける)
クソ、これならガキの回収も誰かにやらせるンだったなァ
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
オイオイ、そんな怒んなよ。カルシウム足りてねーぞ。
(ぺた、ぺたと歩みを進めて――全身に纏うボロ布が短ランに変わって)
理屈の外にあるのがディアボロス。それを把握した上で裏にのさばってたのがテメーらだったんだろ? 自分のあり方を忘れんなよ、だから掌の上で踊らされんだ。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
(眉間に指を当てて、深く長く、息を吐く)
…………人間じゃねェな。やっぱてめェらは
(腰の後ろへ手を回すと、警棒を取り出して)
しゃあねェ、ガキを痛めつける趣味はねェンだが……
(そう言いながらも、足は一歩後ろに。バケモン相手に、まともに戦うなんてのは馬鹿のすることだ。薬で無力化できなかったなら、あとは逃げの一手)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
はっ、さっき人の顎ひっつかんで薬飲ませたのはどこのどいつだったっけ?
(手を真っ直ぐに伸ばして、横に払う。空に奔った雷光が鉄柵を砂糖菓子のように砕き割って――)
――へぇ、面白い玩具だな。 それでどうやって痛めつけるって?
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
……バケモンが。
(手元のスイッチを押すと、警棒に電流が走り)
普通のガキの相手なら玩具で良いかと思ったンだが……
(高く振りかぶると、振り下ろす)
……な!
(とみせかけて、そのスタン警棒を投げつけた)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(警棒を掴み取ると、バチバチと激しい電撃の音が辺りに響き――)
――悪ぃな、腹減ってたんだ。
(数瞬の後に、電気が切れたように音が消えて、動かなくなって)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
はっ、あばよォ! 俺ァしばらく身を隠すぜェ
(スタン警棒が当たるかどうかを確認もせずに、背を向けて逃げ出す。まともに戦えるはずもない。暗い室内を、身軽に駆け抜ける)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
――――おいおい、知らねぇのかよ?
(明滅。周囲の物体が薙ぎ払われるように破壊されて――)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
―――大魔王からは、逃げられない!!
(部屋を丸々砕きながら、眼前までまわりこんで)
はっ――びーびー文句垂れて、切れて、最後には逃走。
それでボス名乗ってられんだからいい気なもんだよなぁ。――なぁ?
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
(後ろで、檻やビルの物品が吹き飛んでいく音が聞こえて)
クソ、クソクソ! やっぱり直接来るんじゃなかった!
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
――オメーさ、自分の部下全員の名前とか好きな食いものとか、そういうの言えるか?
言えねーよな、お前にとって部下ってのは使い捨ての出来る便利な道具でしかない。
――結局、新連とかいうのもお前の部下であって仲間じゃないからだ。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
知るわけねェだろ! 所詮は他人、俺の人生においては大した存在じゃねェ!
俺がトップ取るための道具なんだよォ!
あのメイドも、てめェもだ!
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
だろーな。
それが悪いとは言わねーよ。お前の本質は「孤独」だ。
お前は誰も信じない。だからここを離れて逃げるのも一切躊躇わない。
帰属意識がどこにもない、一匹狼がお前の生き方だ。
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
でもな、裏から新宿のトップ取るとかいうやつがそれじゃいけねえ。
たかだか30人ぽっちの命も背負わないまま座れるほど――――
――――王の玉座は軽くねぇんだよ。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
(逃げられない。そのうえ、ひとまわりも年下のメスガキに諭された。頭に、血が上っていく)
──五月蝿ェ、俺はッ、俺はァ!
(もはや冷静な判断もできず、拳を握り、少女へと振り下ろした)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(――振り下ろされた拳は、カノンへと届くことはない。張り巡らされた糸がその腕を絡め取り、腕を止めて)
―――微温ィんだよ。 お前のやってること全部、中途半端でクソつまんねぇ。気合もねぇ、覚悟もねぇ、楽ばっかして何でも叶うと思ってやがる。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
(届かない拳。引こうとしても動かない腕。音がなるほど歯を食いしばり、爪が食い込むほど拳を握る)
……このッ、クソガキィ!
(反対の手で、さらに殴りかかる)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(拳が額にぶつかる。鮮血が額から流れるままに、丹頂を睨みつけて)
――教えてやるよ、半端野郎。テメーが背負うべき、命の重さを。
Re:born
――――黄泉、違法構築。
Hack:true
WORLD SELECT:Sakura Mirage
Ubel Code:強制改心刀
鏖殺弦、起動――――紡げ、ナルカミ。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
クソクソクソッ! 何するつもりだクソバケモンがァ!
(血こそ出ているが、効いている様子はない。だがそれも正常に判断できずに、何度も何度も、拳を叩きつける)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
(――――明滅。雷の糸が紡いだ短刀を両手で握ると――まっすぐ、懐に突き刺して)
【霊力】を籠めた【退魔刀】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【邪心】のみを攻撃する――――テメーの負うべき痛みがどんなもんか、自分の心に聞いてみな。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
【丹頂・安弘】
くおッ!?
(腹に、何かが入ってくる。熱い。これは、刺された───)
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
(そう認識するも、直接的な痛覚は無く、ただ胸の奥が軋んで)
クソ、ガキ……
(息ができなくなるほど痛む胸を抑えて、膝を着いて倒れた)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
はっ、檻の中で反省しな。カノン様よりお前のほうがよく似合ってると思うぜ。
(ため息まじりに額を拭って。器用に糸を操って、動けないようにぐるぐる巻にすると)
――――よう相棒、目標は拘束した。オメーの思惑通り踊ってやったぜ。次からは掌じゃなくて、もっとマシな舞台を用意しな。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
(暗い部屋の隅から、赤い瞳が一部始終を見ていて)
…………はい、ごめんなさい、カノン様
(しおらしく頷いた)
カノン・ダウンワーズ 2021年10月11日
……ったく。オメーは一人で背負い込みすぎ。(縛った丹頂をクリスタに投げ渡し)
今度EAT MEで奢りな。
……あと眠いから、帰り背負ってけ。
クリスタ・コルトハード 2021年10月11日
(丹頂を抱えて、カノンを背負い)
───ええ、お望みのままに。
(学園へと帰っていった)