【個】あまりに無様なゴースト・ハント
一恋・花束 2021年10月6日
男は、その拳一つでここまでのし上がってきた。
自分の手足、自分の体こそが唯一信じられる武器であり、よりどころであり、それ以外に価値はないと信望していた。
…………あの日までは。
心が折れた。
体が認めた。
敗北だ、完膚なきまでの敗北だ。
あの日、命おしさに媚びた己が居る限り、永遠にこの敗北からは抜け出せない。
連合には戻っていない。そんなものはもうどうでもいい。
相手が何であれ、相手がどうであれ。
どんな手段を使ってでも。
殺して、踏みにじって、唾を吐き捨ててやらなければ、生きていられる理由がない。
地下X階。
長く細い通路の先にある発電機の前に男はいた。
そこに辿り着く前に。
必ずアイツを殺すのだ。
私立MM学園 vs NEO新宿連合
#囗囗囗・囗
vs
#悪辣ヶ淵・鋼鉄(#一恋・花束)
0
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(――かき集めた情報やらで、俺たちのマストが「発電機の破壊」だってのは知ってる。)
(この先に一つある、つぅのも。ただ……)
場所が悪いったらねぇな。
(頭を掻いて、目の前の人物を見る。)
(前にチョロまかして情報搾り取ったコワモテの兄ちゃんだ)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(通路はあまりに狭い。)
(出し抜けない事も……なくはないが)
(あんなに発電機に密接されると少し困る。)
はぁ……しゃーねぇ。
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(「布」を手繰り寄せ)
(「■■□■■■□」を発動させて)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
("知覚されない状態"から、"知覚されうる姿"へ)
『会わん方がええ言うたんに』
『そんな所で待ち伏せとかワイのファンになってもうたん?』
(――存在がじわり、滲むように、布を巻いた姿で。目の前の男の視界に現れる。)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「あァ、大ファンだね……お前に会いたくて仕方なかった」
「テメェに負けた日から俺ぁ俺じゃなくなっちまった」
「拳がよ、握れねぇんだ」
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「俺の目の前の、どーでもいいモン全部壊してくれる拳がよ……クソが」
「…………あぁ、だからよ。死んでくれよ」
「殺すぞ」
(そう告げて、あろうことか)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(背を向けて)
(通路の奥、発電機向けて走り出した)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『いやぁそんなゴリゴリのコワモテにファンになられても地味に困るっていうか……』
『美少女に転生してもろて』
(なんて言ってたあとの)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『――んん!?』
(予期せぬ行動だった。)(フィジカル全振りみたいなゴリラが前にいくでは無く引くって)
(……なんかある、よな)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『――Fine.』(上等。)
(――策ごと乗り越えちまえばなんの問題もねぇ。)
『お手並み拝見といきましょう』
(罠と分かった上で)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(敢えて、そのままつっこむ!!)
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(逃げるのも背を向けるのも、趣味じゃないしやり方じゃない)
(だけどプライドよりも実益だ、こいつを殺すという目的を優先するのだ)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(走りざま、手にしたナイフで――こんなもの、持ったこともなかった――壁を切り刻む。張り詰めてあったワイヤーが、プチンと切れる)
(瞬間。上から)
(――――粘着性のある液体が、自分より後ろに降り注ぐ。油ではない、その程度じゃ燃えない。ガソリンでもない、そんなものに火をつけたら爆発する)
(…………可燃剤だ。キャンプファイヤーなどで、炭に火をつけるための、ドロドロの、ゲル状の)
(燃やすための液体)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(間髪入れず、脚を思い切り床に叩きつける。小さな火花、それで十分)
(火種を燃え上がらせるのは、この程度で)
一恋・花束 2021年10月6日
。。
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(ワイヤーか何かを切断した音。)
(降り注ぐのは……油?ガソリン?ともかくネバついた何かで)(おっさんの足踏みで火花が散ったのと共に、)
(端から火が燃え広がり、襲い掛かる。)
『――ッッ!!!』
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『――』『可燃剤!!!』
(声一つした後、)
(轟々、燃え盛る炎が布人間を遍く飲み尽くす。)
(……人型は、めらめらと燃え盛りつつも)
(しかし、速度は落ちはすれ尚も目の前へと動いている。)
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(予想通り、布だもんなぁ、よく燃えるよなぁ)
(それで死なねえんだから、釣り合いが取れてねえよなぁ)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「熱いだろォからよぉ――――――」
(再び、ナイフを走らせる。スプリンクラーが作動する)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「冷やしてやるよ」
(シャワーのように降り注ぎ、白い煙を生み出すのは――――大量の液体窒素)
(いいながら、小型の酸素ボンベを口に咥える)
(凍らせるのは勿論、液体窒素が気化する事で、空気中の酸素の濃度が薄くなるためだ)
(ただでさえ炎で消費されたそれは、さらに密度を減らしていく)
(生物が生きてられない空間になるからだ)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(液体窒素が、燃え盛る人型に襲いかかる。)
(炎すら飲むように降りかかるそれは、人間ならば到底活きてなど居られない空間と化したろう。)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(……白い煙が濛々と立ち込める。)
(人型が動く気配は、ぱたりと途絶えている。)
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(シュコー、シュコー、と音がする)
(酸素ボンベ越しに、倒れた布切れを見て)
「…………さすがのバケモンも、ここまでされちゃお終いかよ」
(ゆっくり戻ってきて、その布切れに触れようとする)
「もう一個、隠し玉があったんだけどなァ」
(抵抗がなければ、邪魔なそれを剥ぎ取って、中身を拝もうとするだろう、デスマスクを)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(べり、と剥がれる、ボロボロになった布の奥には)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(当然のように)
、、、、、、、
(何もいなかった。)
(そしてその、遥か後方から)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『いや酸素減らしてくるんは普通に焦ったわ』
、、、
(炎の塊が、龍の形を為して)
(布を剥いで確認した折、デカイアンタが屈まなきゃいけなかったせいで出来た空間を縫うように泳いで)
(その奥にある、発電機へと食らい付き、焼き焦がし果てた。)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(……通り過ぎる際、"可燃剤"の香りが微かにしたろうか。)
『……けど』
『"可燃剤"は良くなかったですね』
(無傷の布人間が、入口の方から再び歩いてくる。)
(布は、細く細く、今し方アンタが引き剥がした布の塊に繋がって『囮』を作り)(そして布人間の遥か後方で、一本筋を残しつつ――酸素を布伝に供給している。)
(その傍ら、)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(炎の塊が、火の玉の如く空を飛んで形を作っていた。)
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「はぁ!? てめ――――な――――」
(ふざけるな。これで死なねえのか)
(化け物は)
(化け物ってことか)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(今更発電機なんてどうでもいい、知ったことじゃない、だが、だが)
(生き方まで曲げてやった、こんなブサイクなやり方が)
(それでも通じないってことだけは――――――)
「――――――あああああああああああ!!!!」
(殴りかかる。信じてきた、そして信じられなくなった拳を握りしめて、布ではなく、炎の塊に向けて)
一恋・花束 2021年10月6日
。。
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『――――』
『別にあんさんがどーなろーとしったこっちゃないし』
『任務は済んだし』
『情報なんて他からでも取れるからどないなってもええねんけど』
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(その面構えが)(戦い方が)
(自分の尊厳をかけて戦ってる奴の顔だったから)
『アンタのいう化け物なりの矜持見せて』
『今日は勝負したる』
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『■■□■■■□: "可燃剤"』
『"Salamander"』
(何かを爪弾くような所作に似て、布人間の指先がバチリと弾け)
(火の玉が龍の形を帯びつつ、豪速球のように飛んでいく。)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(――殺しはしない。が、)
(拳を弾くように飛んでいった火球は、アンタの身体に接触した所で)(炸薬めいて弾けて、その勢いでアンタを吹っ飛ばしていくだろう。)
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「オァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
(考えてみたら、炎を殴ったことはなかった)
(どうなるんだ? 答えはすぐに来た)
(――――弾けるのだ。爆ぜるのだ、すなわち)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(言い逃れできねえ――――敗北だ)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(弾かれた、燃えた、ぶっ倒れた。ボンベも外れて、もう何も残っちゃいなかった)
(誇りもねえ、勝利もねえ。なんにもねえ。つまんねえ)
「クソが………………」
(倒れたまま、指一本動かねえ身体)
「バケモンがよ…………!」
(やっとわかった)
(俺は)
(悔しいのだ)
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『…………』
(まぁ勝者の権利って事で)
(つかつか近づいて)
『――おう、バケモノだよ、ご明察』
『まぁアンタの生身でそのスペックも大概バケモノだけどな』
(うんこ座りで見下ろしつつ言う。)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『バケモノで良かった事なんて』
『さしてございませんけども。』
(無効票)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「………………強いだろ」
「強ェのは、いいことだろ」
「何でも出来るだろ」
「媚びなくていいだろ」
「ビビらなくていいだろ」
「頭下げなくていいだろ」
「テメェみたいに…………」
「………………いや、でも」
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「…………そォだな」
「…………テメェみてえにはなりたくねェわ」
(少しだけ起こそうとした身体から、不意に力が抜けて)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「…………行けよ、もうここに用はねェだろ」
「この抗争はもう、テメェらの勝ちだ、俺らの誰も、お前らに勝てねェ」
「わかってたんだ、ンな事」
「わかってねェのは、旦那だけだ」
「…………ケッ」
「つまんねェー………………」
(無効票)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『――ええ』
『悪魔になど』
『堕ちるものではございません』
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『例えそれが力を齎そうと』
『独りでは、出来ないことがあまりに多い』
『なにも出来なくても』
『媚びても』
『ビビリでも』
『誰かに頭を下げてでも』
『私は、"普通"の方が、はるかに良かった』
『――から、貴方の言うことは間違っていませんよ』
(俺みてえになるもんじゃねぇや)
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『……どうせつまらないと嘆くなら』
『生き方、少し変えてみたらええんとちゃう?』
『どーせ35万人しかおらん世界、態々悪どいことせんとも生きてけるやろ』
『……トラップ作ったんも普段のアンタのやり方とちゃうんやろ?その延長線みたいなもんや』
『案外、その方が嵌るかもしれへんで』
囗囗囗・囗 2021年10月6日
『……つー、お節介もこのくらいにしといて』
『今度こそ』
「こんな形でアンタに合わない事を願ってるぜ」
囗囗囗・囗 2021年10月6日
(そう言って、布の塊が消えていく。)
…………はぁーーーっくっそ
ちょっとチリチリになったじゃねぇか■■■□がよ……
(、)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
(化け物がいなくなって)
(どれぐらいそうしていただろう)
(少なくとも、何時間かたった後)
一恋・花束 2021年10月6日
【悪辣ヶ淵・鋼鉄】
「――――化け物が人間らしい説教してんじゃねえや」
(、)