【戦】一勝負しようぜ
恋南川・姫兎 2021年10月2日
幾度となく戦いが行われたMM学園のグラウンドで、対峙する影が今日も二つ。
切っ掛けが何だったかは、よく覚えていない。
いや、理由なんて無かったのかもしれない。
少なくとも、今対峙している二人は、特に理由なくとも戦える二人だった。
#葛宮・誠一郎
#恋南川・姫兎
1
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
……おっ?
(小さな拳が空振りし、代わりに虚空を叩きつけて弾けた空気が轟音を響かせる)
(この距離、この体格差で潜り込んでの一撃を躱されたことに少しの驚きの声をこぼし)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(――――目の前に火花が散る)
(衝撃に顔が上を向く。自分から見れば丸太のように太い腕が、こちらの懐に潜り込み、かち上げているのが微かに見えた)
(器用な腕捌きと、勢いが最小限であっても威力を出すアッパーに関心を覚え――――)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
――――!!
(アッパーに合わせて跳躍。姫兎の力を利用して空中へと押し上げられ――デカイ図体の上を取る。そして――)
おらぁあああ!!!
(そのドレッドヘアに向けて全霊の踵落とし!!)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
(浅ぇ……!!)
(振りぬいた拳から伝わる違和感が、まだ勝負が決まっていないことを教える)
(と、同時に身体を影が覆う)
(それがアッパーに合わせて宙へと飛んだ相手の影だと気づくまでに数瞬)
(時間にして僅か。だが、踵が自身に届くには十分な時間)
(無効票)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
ちっ……!!
(首を傾け頭を揺らす)
(できたのは、頭部への打撃だけは避けることのみ)
(代償に、右肩に深々と踵がめり込む)
お返し……っだぁ!!
(右腕はすぐには上がらない。だが、左腕は動く)
(宙に舞ったおかげで、胴が丁度目の前に来た)(相手を突き放すように、胴体に向けて左ストレートを放つ)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
やっと当たっ……
(手応えに内心ガッツポーズをし、更に足をめり込ませて体をひねり、逆足の蹴り――)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
ぐ、ぇ……っ!?
(何かぶつかったのか?と思ってしまうほどの衝撃と痛み、胴体へ深々と刺さる拳を見下ろし……放たれたパチンコのように後ろへと突き飛ばされる)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(尻尾一発。空で地面を叩いて速度を減らす)
(一度、両足で着地し、後ろへと進む勢いに逆らわずバク転。もう一度着地し、完全に衝撃を殺した)
(痛む腹を押さえながら、顔を上げ)
……デカイのにめっっちゃ動くのな!?ちょっとキモいぞ!!
恋南川・姫兎 2021年10月2日
誰がキモいだ、誰が。デカいから動きが遅ぇってのが、大きな勘違いなんだよ!!
(苦し紛れとはいえ、いい一撃が入った。できれば、このまま追撃と行きたい)
(だが、踵が刺さった肩へのダメージも決して小さくなく、すぐには右腕は上がらない)
(両拳しか武器が無い以上、片方しか使えないのは文字通り片手落ちだ。少しでも回復させようと会話を続け)
つーか、もうちょいガードしろって。攻めっ毛は良いけど、そのうち倒れちまうぞ!!
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
でかいやつはスピードが遅くてパワーが高いのは世界の常識だろうがよお!!
(テレビゲームの話)
ガードしたらその分、余計に動くだろ。ガンガン行ってガンガン攻めたほうが絶対強い……んだけど、こんだけぶっ飛ばされるとなあ!
(突き飛ばされ、空いてしまった姫兎との物理的距離を見ながら)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
まぁ、いい!次だ次!ここまでは良い感じだぜ姫兎ぉ!
誇っていいぞ、いい動きしてやがるぜえ!!
じゃあ、こんなのはどうだあ?
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(――――バチッ。電気の弾ける音)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(その瞬間、誠一郎の姿はかき消える)
(いや、ごく僅かの瞬きの時間、目に自信のある者なら瞳に焼き付いた光が見えたかもしれない。誠一郎が居た場所から姫兎の前まで走る一筋の光、そしてそれは横へと動き、外を回り――)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
…………背後貰ったあああ!!!
(パチパチと体に微かな帯電を残しながら、奇襲!大声で!!)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
なんでそんなに上から目線なんだよ……
(言いながら右腕をぐるりと回す。まだ痛みはあるが問題なく動く)
(休憩は終わり。またこちらから攻める、と足を一歩前に出そうとして)
(無効票)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
――――っ
(姿を見失った)
(いや、目では追えている。自分の背後へと伸びていく光ははっきりと見えていた)
(だが、見えているからと言って、身体が着いていけるかと言えばまたそれは別の話で)
(無効票)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
……大声出したら、意味ねぇってのっ!!
(身体を回転させて、振り返りながらの右フック)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
なんだとぉ……!!?
(完全にこれは決まったと思っていたが、まさか即座に対応してくるとは!?)
(飛んでくるぶっといフックは、ライアットが来たかのような威圧感だった)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
言われたことを実行!!!
(鈍く重い音を立ててフックを止める)
(止めたのは、拳と自分の体の間に壁のように挟まってきた……翼。黒岩のような鱗に覆われた頑丈な翼が、受け止めたのだ)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
ちっ、鋼くらいならぶっ壊すんだけどな。
(目の前の翼は鋼以上ということか)
素直に人の言う事聞く奴は好きだぜ。
だが、これはどうよ!!
(頭を、胴体を揺らしながら、左右から拳を連続で出す)
(打ち下ろしのストレート、フック、ジャブ。あらゆる軌跡を辿りながらの連打。狙うは、誠一郎の顎一つ)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
やっぱタイムラグが出ると思うけどなあ、俺ぁ!!
(翼を振り払うように動かして、打ち込まれた拳を弾き、そのまま仕掛けるように足を前へ――)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
……っと!
(迫りくる連撃に、再び体が帯電を始める)
(脳の中でパチパチと弾ける感覚と共に視界がクリアに。見えているかのようにストレートを半身で躱し、フックを手で捌き、ジャブはあえて受ける。一つ一つの判断を素早く、処理し)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
――――狙いはここかあ?
(姫兎の拳に合わせ、重ねた両手を顎の前へ。向けられた手のひらには体以上に電流がバチバチと弾け、得物を待ち構えていた)
恋南川・姫兎 2021年10月2日
(放つ拳が悉く捌かれる。技で捌かれているというよりこれは――)
――見えてんのか?
(拳の前に両手が突き出される。経験が罠だと告げている。だが構うものか)
そう簡単に受け止められると思うなよ!!
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
――――――っ!!!
(空中で受けたものとは違う、腰を入れ打ち放たれた本物の一撃。その衝撃に、受け止めた体より先に意識が後ろへふっ飛ばされてかのような感覚に陥る)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
…………あぁ、ホントにいいもん持ってるなあ?
(小さな体が、飛ばされない)
(背後にはドッシリと地を這う巨大な尻尾。硬質な翼はその先を突き立て体を支えている。人とは違う存在が、一撃を止める)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(――――バチッ。二度、三度、弾ける)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
(受け止めた拳から姫兎の体へと走っていく電流、動きを鈍らせ蝕む雷)
(片手で拳を捉えたまま顎から剥がし――少し、ふらついた。ガードを越えた痛みに目を細め刃を食いしばり、空いた手の中に、雷が集まっていく。
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月2日
――――――俺より先に居るかどうか、見せてみなあ!!
(形成された拳大の輝く雷玉。それを――姫兎の胴体へと押し付ける)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
(直感するまでもない。見ればわかる。あの雷の球は、異能なんて持ちえない自分にとって必殺になり得ると)
(かと言って、スタンガンを浴びたように痺れた身体では、この距離で避けるのは難しい)
(となれば、できるのはこの一撃を耐えて反撃するのみ)
――――なんてなぁ、そこまで言われてそんな不格好な勝負できねぇよなぁ!!
(無効票)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
(身体は痺れ、左拳は受け止められたが、まだ右拳が残っている)
(身体に雷玉が触れる。来ているシャツが雷を浴びて破れていく)
(その雷が身体を駆け巡るよりも早く)(誠一郎の意識を刈り取ろうと右フックを繰り出す)
(無効票)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
(ここまで顎ばかり狙っていたのは布石)(狙いは顎より上方。相手の側頭部)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
(体の中を駆け巡る雷、自分の力、理屈も理由もわからないが変わったときから自分は「そう」であった)
(力が漲る体は思い通りに、瞳に映る世界はスローモーションになったかのようにハッキリとわかる)
(だから今も、わかる)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
(左拳を掴む手、一撃を放つ手、翼も尾も使っている。自分をすべて使っている。隙とは言えない、行動の途中)
(動き出した姫兎を、放たれた拳をスローモーションに見える世界で目が行っていき――)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
………………?
(膝が崩れ落ちる)
(なぜ?)
(頭の横を殴られた)
(痛みと衝撃、それだけ。まだ体は無事だ)
(背を丸めるように伏せている)
(目の前で雷ではない火花が散っている)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
(…………なぜ?)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
…………届いたか
(雷玉は消え、拳を振りぬいた態勢のまま誠一郎を見下ろす)
(結果的にではあるが、踵落としを浴びた後に回復まで時間を稼いだのが効いたか)
って、熱っ!? 服焦げてるじゃねぇか!!
(雷で焦げて破れたシャツを脱いで。冷えた風が火照った身体には心地よい)
(、)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
ったく、勝つには勝ったがギリギリだったな。あんだけ大口叩いておいて我ながらだらしないぜ。
……それか、誠一郎がよっぽど大物なのか。
……おい、起きれるか誠一郎(しゃがみ込んで、誠一郎に声をかける)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
……………………んぁ?
(呼びかけに反応するように目が動き、姫兎を捉える)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
ん?む?むむ?あれ?ん?
(ゆっくりと頭が持ち上がり、右を見て、左を見て、不思議そうに姫兎へ首を傾げる)
(無効票)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
俺の勝ちか?
(いつの間にか半裸を晒している姫兎を見上げる。あれ、クリーンヒットしたはずなのに思ったより傷ないな?)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
このままもう一戦やってやろうか?
……ったく、ほんと大物になるぜお前。
(呆れたように顔を見て)
頭を思いっきりぶん殴ったから、あんま無理すんなよ。
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
んぁ?何言ってんだ、俺の一撃決まって……んん?頭ぁ?
(パンチを食らった腹と受け止めた両手に痛みはあるが、まだ体は元気いっぱいだ。しかしなぜか立てない)
あれ?俺、食らって……食らって?そう、食らったわ。
食らってそのままいった?そんなハイパーメガトン超絶パンチだった?
恋南川・姫兎 2021年10月3日
そんなハイパーメガトン超絶パンチだったぜ
(ぐっと拳を握ってみせる)
ま、決めきれなかったら、俺の方が危なかったけどな。
……まだ立て無さそうだな。
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
マジかよ……HPじゃなく気力を削られて撤退みたいな攻撃だったのか?
(なぜ自分が負けたことになっているのかサッパリわからず頭の中がハテナでいっぱい)
(、)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
まっ!!でも俺なんかわかんねーけど動けんし!!
姫兎がやったってんならそうなんだろうよ、やるじゃねえか!
俺が理解できないもんなら、まだお前のほうが背を見せる側ってことかあ。すぐに追い越すが!!
ん?あぁ…………え?マジでなんか動かんってかフラってんだけどなんで???
恋南川・姫兎 2021年10月3日
そう簡単には抜かせねぇって言ったろ?
だいぶ脳揺らしたからな。しばらくふらつくかもな。
……このまま放っておくわけにはいかねぇか。おい、暴れんなよ。
(そう言うと腕を誠一郎の胴に回す。そのまま米俵のように担ぎ上げて)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
脳?脳揺れたの?揺れるのか脳って!?マジかあ……。
おー、なんだなんだ……ぐぇっ。
(お米様抱っこをされて、パンチが刺さったお腹への圧迫でカエルのような声を上げる)
恋南川・姫兎 2021年10月3日
(意外と重かった)
ちょっと我慢しろよー。保健室連れて行くからなー。
ベッド借りてちょっと寝てろ。
(ふと目を向けてみれば、グラウンドの隅にいる同級生の姿を見つけて)
(ジェスチャーを目で、保健室に行って来ると伝える)
んで、帰ったら飯食おうぜ。腹減ったし、晴先輩にまた奢ってもらってさ。
(そんな事を言いながら保健室に向かって歩を進めた)
葛宮・誠一郎 2021年10月3日
(だらりと垂れ下がった尻尾と、広げるわけにもいかない翼が余計にバランスを難しくさせている)
おー、いけいけー!姫兎レインー!
ふははは、これは楽ち……ぐへー、静かに、運ん、腹が、あ、腹減ったなあーんだんだ。
(ぶらーんぶらーんと両手も垂らしてやる気のないぬいぐるみのようになりながら、運ばれていった)