【個】Womanizer
ラール・ケレス 2021年9月23日
「彼」はその日、機嫌が悪かった。
どうにもこうにも空気が悪い。嫌な予感がする。
小物ながら小賢しく夜の街を生き抜いてきた男は、今の居場所に不穏な気配を感じていた。
とはいえ行動を変える踏ん切りもつかず、今日も獲物を物色する。
「あの制服」はアウトだ。化け物共に進んで近付くほど考えなしじゃない。
その上で、不用意に街をうろつく上玉は――。
#西方・玲央 （
#ラール・ケレス ）
#緋野・氷織
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ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
（歌舞伎町の外れ。MM学園の学生を含めて多くの一通りで賑わう三番街――からは少しばかり逸れた、人気の薄れてくる一帯）
（20前後に見える金髪の優男が、夕暮れ深まる街を歩き――ふと、視線を留めた）
緋野・氷織 2021年9月23日
（男の視線の先にいたのは、）
（長袖の、黒いセーラー服。やや短い、膝上丈のスカートにはサイドスリット。黒いハイソックスに、制服姿とやや不釣り合いなスニーカーシューズ）
（そんな、少なくともこの辺りでは見ないような制服の、女学生）
（何かを探すように視線を巡らせながら歩くさまは、明らかに土地にも場所にも不慣れな様子で）
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
――――……。
（上玉だ。間違いなく。どこか現実感のない、言ってしまえばコスプレじみた制服だが、風貌からして遊んでいるようには見えない）
（んん、と、軽く喉を整えて、）
――やあ！ どうしたの、君、こんなところまで。この辺は女の子一人じゃ危ないよ。
（なんて。人好きのする笑顔と共に、声をかけた）
緋野・氷織 2021年9月23日
（声をかけられて、弾かれたように振り向いた）
あ、……その。
（やや、警戒したような。あるいは不慣れな出来事に当惑したような、そんな顔で相手を見やる）
（緋野氷織は“真面目な”生徒だ。こんなところをうろついているのを他人に見とがめられたというだけで、もう既にバツが悪い）
だ、……大丈夫です。すみません。その、人を探していました。
（そして口下手だった。とりあえず見知らぬ相手にはそれしか言葉が出てこなかった）
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
ふぅん、人？ こんなところで……？
誰を探してたの？ 俺、ずっとここが地元でさ。この辺も、こうなって荒れちゃったけど……辺りを根城にしてる奴なら、大体知ってると思うよ。
（なんて。目の前で立ち止まり、首を傾げる）
（その顔色は、見た目には、純粋に少女を心配しているように見える）
緋野・氷織 2021年9月23日
あ、はい、…………学校の先輩、を。
数日前から姿が見えなくて、皆で探しているのですが……。
（緋野氷織は真面目な生徒だ。目の前にいる、友好的に話しかけてくる、親切そうな相手を見て、第一に「疑う」という反応は、出ない）
あの、このあたりで、高校生くらいの女生徒を見ませんでしたか？
（地元の者で、詳しい男性ならばわかるだろうと疑いもせず、そんな風に続けて）
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
あー……もしかしてあの子のことかな？ うん、分かる分かる。俺の行きつけの店でよく見かけるよ。連れてってあげようか？
（なんて言いながら、慣れ慣れしく氷織の肩に手を回そうと）
（もちろん、適当に話を合わせているだけだ。こんな世間知らずそうなガキ、適当に丸め込んで酒でも飲ませてしまえば――）
（…………ん？）
（今何か――おかしな部分があったよう、な）
（微かな、引っかかり）
緋野・氷織 2021年9月23日
（よく見かける？）
（――という言葉に違和感を感じる間も、なく）
（肩へ回されようとした手を、反射的に振り払ってしまって）
(無効票)
緋野・氷織 2021年9月23日
あ、す、すみません……！！
（慌てて、頭を下げる。親切にしてくれている相手に失礼をした――と、少なくとも、少女は心から申し訳なさそうにしていたろう）
（どこか少しばかり顔が赤いのも恐らくバレてしまうかもしれない。慣れていない、というのはありありとわかるような）
そ、その。
行き先を教えていただければ、ぼ――私一人で行けます、ので。
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
痛っ……！（と、大袈裟に振り払われた手を抑え、痛そうに顔を顰めて）
（じろりと、機嫌を損ねたようにその顔を見て）
……冗談じゃない。世話になってる店だって言ったろ？
こんなご時世だし、簡単に暴力を振るうような子を紹介するわけにはいかないよなぁ……。（なんて、わざとらしく勿体ぶりながら）
(演出継続)
ラール・ケレス 2021年9月23日
……まぁ？ もちろん？ 俺だって鬼じゃないし。
大事なガッコーの先輩を探してるだけの、“礼儀正しい”子を放り出そうとは思わないけど？
（分かるよね、と言わんばかり。懲りずにもう一度、今度は腰に手を回そうと――）
……ガッコーの先輩……？
（待て）（学校？ ……は。今、動いてないよな）（制服姿で動いてるガキ自体は、そこまで珍しくもないけど――）
緋野・氷織 2021年9月23日
――……っ、
（すみません、と小さく。もう一度、謝罪の言葉を乗せてから）
（ひどく動揺したように、当惑したように、だけれどそれ以上は抵抗せずに――目線を逸らし、近づいてくる男の挙動に、耐えるように、して、）
……はい、学校の先輩……です。
（零れた呟きに、小さく、頷く）
(無効票)
緋野・氷織 2021年9月23日
・・・ ・・・ ・・・・・・・・・
白い髪に、赤い目の、メイド服を着た女性。
……一応、写真がある、のですが。確かめてみていただけますか？
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
（そうそう――なんて、嗤って、少女のすらりとした腰に、しっかりと手を回す）
（さりげないようでいて、逃がすまいとするような強引な手付きは、身体に染み付いたもので――）
（――同時に、思考が凍る）
（そう、通常の学校は動いていないはずだ。避けようとしていた獲物、制服が違う筈のその一つを除いて、基本的には）
……げっ……いや、制服……！（と）（思わず、声が出た）
緋野・氷織 2021年9月23日
――……、
（緋野氷織は、真面目な生徒だ）（年上の人間には敬意を払い、頼み事には礼儀があると理解し、言われたことはきちんと守り、理由のない暴力を恥じるような）
・・・
（だから謝罪をしたし）
・・・
（だから抵抗をしなかったけれど）
(無効票)
緋野・氷織 2021年9月23日
（――理由があるなら話は別。）
（腰に回された手、その手首を、相手が離れようとする前に自身の手で掴む）
（――明らかに、普通の女生徒にしてはありえないような握力で）
……コルトハード先輩のこと、ご存じでしたか。
（けれど、相手は一般人だ、と理解しているから。まだ、口調は落ち着いていた）
（ただ、腕の力は、逃がすまいとするようなそれであろう）
ラール・ケレス 2021年9月23日
【西方・玲央】
ぐえっ……いたたたた……！（呻く。離そうともした、逃れようともした。けれど、その握力を振りほどくような力は彼にはなく）
くっ、クソ、知らねえよ、誰だそれ！（今更のシラを切りながら、）
くそっ、離せよゴリラ女！ ちょっと可愛がってやってから「職場」を紹介してやろうとしただけじゃねえか、このご時世じゃ親切ってもんだろ……！（みっともなく喚き散らし）
緋野・氷織 2021年9月23日
…………。
（その物言いを聞いて）（明らかに。険のある顔つきになったろう）
“制服が違う”と思ったんだろう。
確かにこれは前の学園のもので、今通っている学園のものではないが、……それは細かい話で。
（声音も少し、低く）（口調も、畏まったそれではなくなって）
…………大事なのは、
特徴を告げただけで、“先輩”の通っている学校がわかったということ。
(無効票)
緋野・氷織 2021年9月23日
…………NEO新宿連合とやらの一員か。
でなくとも、何か、知っているんだろう？
（握った手は、そのまま。それ以上力を込めもしないが、緩めもしない）
ラール・ケレス 2021年9月24日
【西方・玲央】
〜〜〜〜っ……！（ぞ、と、走る寒気を感じると、抵抗が弱まって）
……お、俺が知ってるのなんか、あの女がもう一人のガキを俺らに売ったことくらいだよ。それ以上は何も知らねえって……本当だ。
幾ら見た目が良くたって、あんな見るからにヤベエ女に手ぇ出そうとするほど鈍かないんだ！ 関わらないようにしてた……！
なあ、だからいいだろ、もう離してくれ！ アンタにももう何もしねぇよ！
緋野・氷織 2021年9月24日
…………、そうか。
（先に情報収集をしていた生徒たちが聞いていた内容と、ほぼ同じ）
（売った、という話に関しては少し懐疑的だが――）
（――という、疑問は脇に置いて）
二人の居場所も、心当たりはない……ということで、間違いないか。
ラール・ケレス 2021年9月24日
【西方・玲央】
そ、れは…………（言葉に、詰まる）
（避けていると言った通り、細かな動向を追っているわけではないが、少なくとも小さい方のガキは、アジトに捕らえられているはずで）
（だが、その場所を教えるというのは――）
緋野・氷織 2021年9月24日
…………。
（無言で腕を掴む手に力を籠める。多分痛い）
ラール・ケレス 2021年9月24日
【西方・玲央】
づっ……痛い、痛い痛い痛い！ 分かった、歌舞伎町の■■ビルだよぉ！ そこが俺らの溜まり場だ！ まだどっちもいるんじゃねえのか！？
なあ、いいだろこれで！ 見逃してくれよ！
緋野・氷織 2021年9月24日
ああ、不足ない。…………。
（不足ない、と言いながら）（険のあるような目つきは変わらない）
（けれど、掴んだ手首は、相手の言葉を聞いた直後、素直に離していた）
（緋野氷織は、真面目な生徒だ）
（だから、“女を食い物にしています”みたいなことを公言する相手を、放置しておくことは気が咎めるけれど）
（――「殺傷、及び肉体的・精神的な著しい後遺症の残る行為を禁じます」という通達を、順守した）
ラール・ケレス 2021年9月24日
【西方・玲央】
（腕が外れると、ひっ、と悲鳴を上げて、転がるように逃げ出すと）
（汚れを気にする余裕もなく。覚えてろ、なんて定型句すら口にせず、ただ屈辱と怒りに顔を染めながら、路地裏に転がり込んでいく――）
緋野・氷織 2021年9月24日
…………。
（その背中を、視線だけで見送って）
(演出継続)
緋野・氷織 2021年9月24日
（……さっき触られた腰のあたりを、）（制服の袖でぐしぐし、ぐしぐしと、拭うようにこすって）
（思い出したように浮いてきた怖気を誤魔化すみたいに、自分の両腕を抱きながら――）
（表通りの方へ、走っていった）
