【個】果てなきみち
水槽・ロロ 2021年9月21日
「そうだ、今度手合わせしないかい?」
ある日の食堂で、なんとなしに彼――青の番長、竜城・陸にそう告げて。
あまつさえ、勝った暁の戦利品まで求めて。
飄々と笑う男は、この戦いの未来(さき)に何を見るか。
来たる放課後グラウンドにて、戦いは静かに幕を開ける。
#竜城・陸
#水槽・ロロ
2
水槽・ロロ 2021年9月21日
(背中に隠した金属バットを抜いて、)
(おもむろにそれを、)
(身体を捻って、全力で投げ飛ばす――)
竜城・陸 2021年9月21日
(――投げつけられたそれは、竜の身体に届く前に“何かに弾かれたように”軌道を変えて)
(勢いをなくして、落ちていく)
(――“先が読める”というのなら。否、そうでなくとも。そんな結果はわかりきっているだろう)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(返礼は、氷の雨)
(――といってもこの男が使えばそれはもはや、“槍”とも言うべき質量だが)
(数十のそれが、頭上から一斉に降り注ぐ)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(数多の氷の大槍が降り注ぐのを、じっと眺める。確かに驚異的だ。あの雨を喰らえば、自分がひとたまりもないだろうなとぼんやり思う)
(しかし、男はすでにそこにはいない)
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(竜城の影から、死角から。氷の雨が狙いを定めないことを"知っている"からこそ、その隙を突く――)
赤鬼。
(高く飛び上がって、その勢いのままに突き穿つ手刀が竜城に迫る)
竜城・陸 2021年9月21日
(差し向けた瞬間まで、そこにいたはずだ。けれども数本が地に突き立つ頃にはもう、そこに姿はない)
(迷いのない動きだ。“どこが安全か”がはっきりとわかっていなければできないだろう)
(――そのレベルで“読む”のか)
(成程、と認識を更新して、)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(けれど動揺は一切なかった。振り向きすらもしなかった)
(動きが読めたわけではない。見えているわけでもない。けれど、どこにいるかはわかるというだけ)
(そして)
(――止める必要がないと知っているだけ)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(――突き穿つような手刀を、鈍い音とともに障壁が受け止めてから。ゆっくりと振り返った)
けっこう厄介だな、君。どのくらい視えているんだい?
水槽・ロロ 2021年9月21日
"七曜の戦"とやらに敗れて野垂れ死ぬところまで。
(攻撃が阻まれれば、障壁に蹴ってさらに高く飛び上がる――そして、背中から取り出した二つ目の武器……鉄パイプを突き立てるようにして再度障壁破壊を試みる)
竜城・陸 2021年9月21日
じゃあ、残念だけどその未来視はあまり正確じゃないな。
(引き離すのは容易だが、そうはしない。直上から“落ちてくる”一撃を、変わらず障壁が受け止めた)
君の背中、武器庫みたいだ。
水槽・ロロ 2021年9月21日
はは。正確であってほしくはないよ、俺もね?
(追撃も防がれた以上、諦めたようにずるりと――地上へ落ちていく)
流石にこれ以上は持ってないけどね……これ以上はまさしく荷が重いし。
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(どさ、と背中から落ちる――もちろん、受け身を取ってコロンと起き上がる)
さて……あの障壁の方が、俺の能力よりよっぽど厄介なんだけど。
正体不明……打つ手なしかな?
竜城・陸 2021年9月21日
おや、もう打ち止め?
(浮いたまま)(見下ろしたまま)(その動きを見ていた)
(この程度で終わるわけはないだろう、とは思っている)
(が、まあ、相性が悪いだろうな――とは、思う。攻めあぐねるのも、理解できる。客観的にそんなことを、考えて)
……では、悪いけれどこちらから行かせてもらうよ。
(叩きつけるような水流と、足を縫い留めるような氷の波濤は、ほぼ同時)
(“ほぼ”だ。正確に視えていれば、氷の波濤の方が到達がわずかに早いことは理解できるだろう)
水槽・ロロ 2021年9月21日
――、
(足と地面が氷で縫い付けられる直前で、跳ねる。そして、纏わりついた冷気をそのままに水流に乗る。氷渡りか、或いはサーフィンのよう)
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
防御と、危険予知。お互い攻めあぐねるとなると退屈だね?
(言いながら、鉄パイプをオールのようにして)
一発でも入れられればって思ったんだけど、いやぁ、俺には厳しかったかな。
晴とかであれば、また別だったんだろうけどさ?ほら、彼は攻撃一辺倒みたいな姿勢だし。
竜城・陸 2021年9月21日
……うん?(意外そうに、目を瞬いた)別に攻めあぐねてはいないよ?
――だって、君。
俺、普段こんなに細々とした攻撃ばかりは、しないだろう?
(見たことがあるかはわからないけれど。)
(涼しげに、続けた)
(“早く本気でやったほうがいいよ”と、言外に告げるような)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(本気で嫌そうな顔のべー)
水槽・ロロ 2021年9月21日
起死回生の手になるか……ぶっつけ本番はすごくヤなんだけど……ッ。
(ついで流れてきた先ほどの鉄バットを回収して、二本の長柄武器を携えて、)
っ!!
(再び、飛び跳ねる。狙うは竜城の眼前。左手で構えたバットで障壁を叩き、)
(そのバットを、右手の鉄パイプでさらに叩きつける。金属同士の振動で、先ほどよりも鈍く、障壁を揺らす)
竜城・陸 2021年9月21日
――ああ、なるほど。
(やはりこれは、相性が悪いな)
(――相手にとって)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(実のところ、解法はシンプルなものなのだ)
(魔術未満の、“イメージ”だけがものをいうこの障壁を破る解は、ただ単純で)
(“術者の想像を超えること”、それだけだ)
(“「完全に」慮外の攻撃”)
(“どう見ても「避け得ないと思わせるような」強大な質量”)
(“「人間としての限界を超えるような」挙動”)
(その形態は問わず、それが実際に対応できる/できない攻撃であるかも問わず。要件はただ、それ一つ)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(だから、“得物を使った単なる二連撃”程度では)
(その障壁は、揺らぎもしない)
……さっきの方がまだいい手だったな。
(障壁を足場にして頭上を取る、というのは)
(“一度後輩に似たようなことをされていなければ”、素直に受けざるを得なかったかもしれない)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(そのまま徐に、彼の腕を自身の手で捉えようと)
(手を伸ばした)
(別に、掌握するのはどちらの腕でもいい。どちらでも変わりはない)
(――読めているなら、振り払うだろうが)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(ここまで、か)
(と、武器に込めた力を抜く。所詮、自身の実力は己がよく理解していて……"一番火力の出る攻撃"がこの程度であり、それが事実だった)
(奇策不意打ちを交えた近接戦闘、それ以外の攻撃手段は――)
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(ある)
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(ロロの周囲が、"暗く淀む"。脱力した身体の底から、溢れ出すような暗闇と底冷えするような悪寒)
(「そう、そのまま、呑み込んで――」)
(ほんの一瞬)
("空間"が、切り取られるみたいに浸食される。暗闇が、夜が、二人を喰らいつくそうとして――)
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
黙れ。
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
(パッと、夕焼け明るい放課後の空がかえってくる。ほんの一瞬の出来事は、瞬きと同じぐらい。だから、気にしなければ気にならないほど)
(そうして、相手が臆することもなければ褐色の男は、力を抜いた腕を掌握されるだろう)
竜城・陸 2021年9月21日
(片眉を、僅かに跳ねさせたろうか)
(ほんの一瞬。瞬きの間の、その出来事を)
(竜は正確に、知覚し、認識していて)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
(――そのうえでなお、僅かも怯まなかった)
(難なく、その腕を掌握して、)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
…………君。
何を飼ってるんだい、それ。
(手を取ったまま、動かない)
(相手にしてみれば、腕だけで持ち上げられているような感じであろう)
水槽・ロロ 2021年9月21日
……重くない、それ?
(苦く笑って。……しかし、少しの間をおいて、問いかけに答える)
さぁ、ね。
逆刻の影響なのかな?あまり気にしてないけどさ。
竜城・陸 2021年9月21日
人ひとり程度ならあまり。
……グスタフでさえ抱えたことがあるんだから君くらいわけないさ。
(件のクラスメイトはといえば上半身が鋼鉄であるからしてどう考えても目の前の相手の二倍以上はある)
続ける? さっきのなら勝負にもなるかもしれないけど。
……その分だとそんな気分ではないかな。
水槽・ロロ 2021年9月21日
はは。
見たかったなその光景。絶対面白いじゃん?
(想像したらちょっと元気でたみたいで、しかし戦意はもうそこにはなかった)
うん、お手上げ。
"あれ"は使わないって決めてるんだ。
(咄嗟に使いそうになったのは見逃してほしい、と付け加えて)
赤のクラス、らしくないだろう?あんなの。
黒にいたなら使っていたかもしれないけど、俺は晴の下にいたいんだ。
竜城・陸 2021年9月21日
…………。
(成程、と)(一先ず、その言い分を聞き遂げてから、ゆっくりと高度を落として)
君と晴の間にどういう絆があるかは知らないから、あまり偉そうなことは言えないけれど――
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
――でも、そうだな。
俺の知っている赤星番長なら、言うだろうね。
“ちょっと正体不明のヘンな力を持ってるくらいで追い出したりしない”って。
あるいは――
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
――“細けぇことはどうでもいいから、持てる力の全部で挑んで来い”、なんて、ね。
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
…………ま、だから、今日は一先ずここまでだけど。
あいつに挑んで勝つとまで言うくらいなら、いつか折り合いをつけたほうがいいよ。
(受け入れろ、とは言わない)
(――自分だって今こうして在ってさえ、“受け入れて”はいないから)
(だけれど、)
俺たちに必要なのは潔さじゃなくて、何がなんでもすべてを取り戻そうっていう気概だろう?
なら、いずれそれもうまく利用してやるくらいの気持ちになれたほうが、きっといい。
水槽・ロロ 2021年9月21日
……。
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
はは。
確かに。それもそうか。
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
けど、まだ人の目に晒すかは考える時間が欲しいな。
晴への建前だけじゃない。赤の後輩たちには、赤らしい戦い方を見せたいという……矜持、というのに近いのかな?
そことの折り合いだろうね。
(と、ひとつため息をついて)
けど、
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
いいのかい?
未来視によると……もし"あれ"を使ったら、俺はキミに勝ってしまうよ?
竜城・陸 2021年9月21日
耳が痛いな。青らしい戦い方なんて一切していないよ、俺。
(“戦い”の分野で行けば、機械を用いた戦闘などが専門にあたるが、全くの門外漢である)
まあ、でもそういう矜持は大切なものだと思うから、じっくり考えるといい。
――余計なお節介をするのならば。
何を使おうと、“己の肉体を以て”立ち向かうなら、それは「赤らしい」戦い方だと思うよ、俺はね。
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
おや、随分とまた言うものだね。
残念だけれど、“七曜の戦に敗れる”なんて未来しか視えていないような眼が見せた未来なんてアテにしないほうがいいよ?
それに――
(無効票)
竜城・陸 2021年9月21日
そうであるなら、その未来を覆すだけのことだ。
決まり切った未来くらい変えられてこその、“番長”だからね。
……まあ、そもそもが。
“晴の下にいたい”なんて言うような相手に負ける俺ではないよ。
俺を倒したいなら、晴くらい越えられるようでなければ。
水槽・ロロ 2021年9月21日
あはは。
その未来視で攻撃を殆ど躱されてよく言う。
(と、けらけらと笑ってみせて)
さぁて。
現実問題、晴は俺よりずっと強いし。
あと単純に、キミより相性が悪いというのもあるんだけど……。
けど、
(無効票)
水槽・ロロ 2021年9月21日
"次"は、負けないよ。
竜城・陸 2021年9月22日
もしかして君、あれで俺が全力だと思ってたの?
(後輩ですら手を抜かれてるって気付いたのに……などと、わざとらしく肩を竦めてみせて)
(――そこまで見縊られているとはさすがに思っていない。ただの軽口だ)
……まあ、ともあれ、再挑戦はいつでもお気軽に。
“それ”に慣れたい、というのならそれも手は貸せるだろうしね。
(演出継続)
竜城・陸 2021年9月22日
(地面に降り立って、そこでやっと手を離した)
さて、それじゃあ帰ろうか。
帰りに食事でもしていく? 晴にも声をかけるつもりだけれど。
水槽・ロロ 2021年9月22日
(ふわっと足が地面につく。軽口の叩き合いの最中でも落としたりしないあたり、やっぱり優しいななんて思いながら)
んん、そうだね。
緊張して朝から何も食べてなかったから、おなかすいたよ。
じゃ、3人でファミレスでも行こうか。
(と、背筋をぐぐぐっと伸ばして、)
(演出継続)
水槽・ロロ 2021年9月22日
(腕が、空へと伸びていて)
…………。
(夕暮れを経て、浮かび上がった星空に手を伸ばすような形で……やがて、星に触れるようにひとつ、こぶしをつくった)