【個】鷹が遠く飛ぶための
一恋・花束 2021年9月17日
放課後の校舎裏は、意外と穴場スポットでだ。
あまり人目につかない、そこそこ広いスペースが確保できる為、例えば、秘密の特訓などにうってつけだ。
団長がそこを通りかかったのは、単なる近道のためで。
誰かいるとは、思っていなかったのだが…………
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#鷹遠・幾
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鷹遠・幾 2021年9月17日
……そか、じゃあ先輩。……ん、なんか新鮮な響き。(小さく頷いて)
つまり最初から、だね……。(刀に布を巻き付けて、抱えるようにして恥ずかしげに俯いた)
一恋・花束 2021年9月17日
はい、センパイです。
(にこー、と笑うのは、年下向けの、安心させるための表情だ)
まぁまぁ、初めて持った武器なら、そんなものですし。
練習するのは良いことです、本番で失敗しないためにやるんですから。
鷹遠・幾 2021年9月17日
それはそーだけど……最近、似たような話をされたし……。(思い出すように呟いて)
それにしても。まさか先輩が通りがかるとは思ってなかったし……何か用事だった?
一恋・花束 2021年9月17日
いえ、たまたま通りかかっただけ、用事があったわけではないんですけど。
…………上手く使えないんです? それ。
(ポケットから、ひょいと、水晶で出来た林檎、に見える物を取り出して)
(微妙にヒビが入っているようにも見える)
(――――その林檎越しに、少女と、刀を見て)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
あ、遺産か。
(ぽつりとこぼした)
鷹遠・幾 2021年9月17日
そか、ただの偶然か……。
ん、まぁ……振り回すならいいけど。この刀から流れてくる記憶みたいには。扱えなさそう。(刀に視線を落としてから、その林檎のようなものを見て)
(呟きにぱち、と瞬きをして頷いて)よく、わかったね。……それは?水晶玉……形は、林檎みたいだけど。
一恋・花束 2021年9月17日
ふふ、これも遺産の一つです。
これを通して物を見ると、まあ、見たものの事がよく分かる、不思議な水晶の林檎です。
(手の中で軽く弄ぶように――こういう事してるから昨日割っちゃったんですけども)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
あはは、幾ちゃんにはちょっと大きくて、重たかったですかね。
使い手の記憶が流れてくる刀、は、たしかにちょっと便利そうですけど。
剣術って覚えるだけでも結構、大変ですし。
よかったら、預かりましょうか?
何なら他に合う遺産を探しても――――
(なんて、あまりにあっさりと、【その刀は捨てないか?】という意味の問いかけをする)
鷹遠・幾 2021年9月17日
そなんだ。なんか、便利そうだね。……?(なんかひび割れてる気がする。と思って首を傾げ)
そだね、継承者の戦い方を見せてくれるのは便利だけど。……でも、要らないことまで見せてくるから便利なだけでもないかも。
……。(提案に暫く口を閉ざし)
(無効票)
鷹遠・幾 2021年9月17日
──ん、ううん。面倒なとこもあるし、使いづらいけど。コイツは、アタシにきっと必要だから。……それに、向いてないよって言われて諦めるのはなんかムカつくから。これでいい。(刀を抱え直して、そう答えた)
一恋・花束 2021年9月17日
(おや、と思った。無理に使うぐらいなら、と思ったのだが――――)
(面白いことに)
(“遺産”も、少女を選んでいるらしい)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
…………そですか。
失礼しました。
それならきっと、その子は幾ちゃんが使うべき何でしょう。
…………でも、とりあえずですね。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
「記憶」通りの使い方だと、柄の先端を握ってたんだと思うんですけど、最初は鍔の方までしっかり握ったほうが、まだ持ちやすいと思いますし。
(まずもって「遠心力で振り回される」というのは、重心が寄っているということである。気休め程度のアドバイスだが)
鷹遠・幾 2021年9月17日
む……なるほど。確かに、そうかも……。(ぐっ、と記憶よりももっと鍔の付近を掴んで)
……て、ぇ、い──!(ふらふらふら)
一恋・花束 2021年9月17日
(ああ、ふらふらだなぁ)
(なんというか、根本的に無理がある様な感じというか)
(持って使うのに向いて無さそうと言うか)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
……なんで、
(そこまでするんですか? という言葉を反射的に飲み込んだ)
(刻逆の被害にあった子供に、それを聞くのがどれほど惨い事か、たまたま思い当たってよかった)
…………あー。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
…………ど、どうせなら、先生にちゃんと教わったらどうです?
赤のクラスには、真剣に通じた先生もいますし。
(そうすれば多分言ってくれるだろう、「君には無理だ」とか。)
鷹遠・幾 2021年9月17日
……。(よろ、と刀を地面におろして、目は向けないまま)
──身の丈にあったものを使う方が良いって、さ。知ってるよ。分かってるんだ。
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鷹遠・幾 2021年9月17日
でも、コイツを見つけたんだ。コイツは、なんか違うって思った。今まで戦闘の訓練もしたこともなくて、魔法なんか知らなくて。ピアノばっか弾いてたアタシでも──
(そこまで堰を切ったように発した言葉を切って、強くなれるかも、なんて言葉は飲み込んで)
……意地はったから。張り通してやるんだ。(拗ねた、普通の子供のような口調だった)
一恋・花束 2021年9月17日
………………。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
………………ピアノ。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
花束も結構、得意なんです。
紫のクラスじゃ、結構伴奏なんか担当してたりして。
(かがみ込むほど、少女は小さくない。花束は大きくない。だから目線を合わせるのは容易だった)
――――意地を張るなら。
(自分の一番側で、ずーっとずっとそれを続けている弟の事を)
張り通さないと、ですね。
(少し思う)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
ちょっとだけその刀、花束に貸してもらえませんか?
折ったり、持っていったりはしませんから。
鷹遠・幾 2021年9月17日
……(こくり、と頷いて)……先輩もピアノ、弾くんだ。(ちょっとだけ笑って、眉間の皺が和らいだ)
……ん、いいけど。どうするの?(刀と目の前の先輩を交互に見て、その柄を委ねるように向けて))
一恋・花束 2021年9月17日
手が小さくて、指もそんなに長くないんで、向いては居ないんですけどね。
(けどなかなかのものなんですよ? と添えながら、刀を受け取って)
(柄を手にして、鞘から引き抜く。なるほど、結構な重さがある)
(まともに振るうなら相当な筋力がいる。花束でも、シラフだとそれなりに難しそうだ)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
これは、相当大きくて、重い刀です。
ぶっちゃけ、子供が使うことを想定してません。
(刀を握った手から、パチパチ、という何かが弾ける音がする)
ですが、やりようがないわけではなく。
重くて手で振り回せないのであれば、例えば…………。
(それは少しすると、バチバチ、パリパリ、に変化して)
手で使わない、という方法があります。
(刀が、手で持っていないのに、ふわりと宙に浮いた)
鷹遠・幾 2021年9月17日
浮いてる、の?(目の前で起こったそれに。驚いたように、何度も瞬きをして)
──すごい、そんなに重いのに。どうして、浮いているの?
一恋・花束 2021年9月17日
これは、生体電流を増幅して、刀に纏わせて……簡単に言うと、磁力を操作しています。
(空中で、くるくると刀が回転し始める。刃を立てたまま、指を振るうと、刀が勢いよく茂みに向かって行って――――)
(一閃。校舎裏の藪刈りを終えてしまった。)
(散った枝や葉が、ぱらぱらと舞った)
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一恋・花束 2021年9月17日
(刀は、そのままひとりでに戻ってきて、手元に収まって)
…………この磁力での操作は、超能力というより技術なので、
時間をかければ、多分幾ちゃんにもできると思います。
花束がちゃんと着いて教えれば、ですけど。
…………でも。
できれば、すぐにこの刀を。
少なくとも、ちゃんとした「練習」ができる程度には使えるようになりたい――――ですよね?
鷹遠・幾 2021年9月17日
磁力……。そんな方法が……(目の前の、この技術を見せてくれた彼女に指南してもらえるのなら、それはとても魅力的だ。けれど)
ん、そだね。そう、なりたい。(その問いには、こく、と首肯して)
一恋・花束 2021年9月17日
なので、花束からの提案としては…………・
(ぴ、と手を振るうと、生体電流をカットして、刀が自由落下する。柄を掴んで、一度地面に突き刺して)
「これ」をやるための練習をしつつ。
(そのまま歩いて、カーテンのかかっている窓をガラリと開けて、土足のまま中に入っていった)
(しばらくして戻って来たその手には、花束が思い切り両手を広げたぐらいの長さの、白銀の鎖が握られていた)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
超シンプルに、物理的に。
この刀を振り回せるようにする、というのはどうでしょう。
(鎖の片側にはフックのようなものがついていて、刀の柄に強引につなぎとめる)
簡単に言うと――――――
(ぶんぶんと、今度は物理的な遠心力で、鎖につながった刀を回し始める)
――――――鎖鎌、みたいな感じです。
(ひゅ、と腕を振るうと。鎖が伸びて)
(先程と同じく、藪を横一閃に両断した)
鷹遠・幾 2021年9月17日
(瞬きを二度三度、両断された藪を、それから彼女に視線を向けて)
……そんな方法、コイツの記憶にはなかった。驚いちゃうな。(それから、彼女の言葉を反芻するように、何度か頷いて)
(無効票)
鷹遠・幾 2021年9月17日
──凄いね。ん、やってみるよ。まずはそれを振り回して、それで。
先輩みたいに、自由にコイツを飛ばしてやる。
一恋・花束 2021年9月17日
理屈としては、水の入ったバケツでも、思い切り勢いつけて回れば、意外と振り回せるのとおんなじで。
「回転する」っていうのは、凄い力があるんです。
これなら、幾ちゃんにも、刀を「振るう」ことは、できると思います。
――――――が。
鷹遠・幾 2021年9月17日
手に持たずに、飛ばす。さっきみたいに使えれば……が?
一恋・花束 2021年9月17日
当たり前ですけど、使いこなせないうちは、ものすごーく危ないので。
今日一日は、花束が、とりあえず「安全に練習できる所」まで指導します。
それが、この鎖――これも遺産の一種です、長さをある程度自由にできるっていう性質があるんですけど――を差し上げる条件です。
如何でしょう?
鷹遠・幾 2021年9月17日
これなら、腕で振らなくても、刀を振るうことができる……、アタシにも、コイツを使える……諦めなくて、済む。(表情に活力が戻っていた)
(それから、提案に目を輝かせた。それは、願ってもない条件。)──教えて、くれるの?
一恋・花束 2021年9月17日
やり方だけ教えてぽい、じゃ、センパイとして失格ですし。
見た目よりずっと難しいですから、今日は幾ちゃんが納得するまで、花束、付き合いますし。
勿論、今後も、幾ちゃんが望むなら。
鷹遠・幾 2021年9月17日
ん、うん。うん!教えてほしい。アタシ、先輩にいっぱい教えてほしい!
(前のめりに、少女は、そう口にした)
一恋・花束 2021年9月17日
……わかりました。
じゃあ、その前の一つ約束を。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
花束は、全校生徒の味方です。
幾ちゃんが、強くなりたいなら、強くなる為の手伝いを、花束はします。
逃げるなとも、辞めるなともいいません。
それを決めるのは、幾ちゃんです。
幾ちゃんが望む限り、花束は力になります。
でも。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
自分をたくさん追い込んだり、追い詰めたり、
自分のことを大事にしないことだけは、やめてください。
花束は、それが一番悲しいので。
いいですか?
鷹遠・幾 2021年9月17日
……。(そんな言葉を言われたのは、何時以来だったかな。)
(一人だったし、諦めろなんて言われたら拒んでたんだから当たり前だけれど。)
(本当に、久しぶりに。力になる、なんて。自分を追い詰めないで、なんて──)
(、)
鷹遠・幾 2021年9月17日
──うん。先輩が、そう言うなら。(こくり、と頷いた)
一恋・花束 2021年9月17日
…………わかりました。
では、早速行きましょう!
まずは――――――
(無効票)
一恋・花束 2021年9月17日
準備運動をして、体をしっかり温めてから。
上手く鎖を回す練習からです。
…………幾ちゃん。
(、)
一恋・花束 2021年9月17日
本当に危険な無茶はさせません。
でも、すごーく頑張りましょう。
痛くても、怖くても、辛くても、キツくても。
……弱音を吐いても、やり遂げましょう。
その先に、道はつながっていますから。
鷹遠・幾 2021年9月17日
……ん。がんばる。……アタシ、すごくがんばるから。
だから、よろしくね。先輩。(ぐ、と両拳を握って、彼女を見つめて大きく頷いた)
一恋・花束 2021年9月17日
(……この日のトレーニングは)
(日が暮れるまで、続いたそうです)