【個】君と舞う空に泡沫
未護・真言 2024年4月6日
手を取り合えば始まる、プロムナードの小洒落たダンス
王はいつものように振る舞うが、お姫様にご満足いただけるでしょうか
……すまない。
君の心に、王は触れすぎた。
◆ 演者 ◆
#未護・真言
#戸外崎・茱萸
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未護・真言 2024年4月6日
それでは、お姫様。
どうかこのオレと一曲、踊っていただけないだろうか。
(舞台に足を進めれば、跪いて、白手袋を外した手を差し出す)
(それはまるで、決まったやり取りを行う儀式のようでもある)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(息を呑んでしまう)
(眠る間際、授業中。この場面をもう何度も思い浮かべた筈なのに、やっぱり私は立ち尽くしてしまうのです)
(すべて揃えてくださったあなたの前で、私は)
………はい。
(ようやく震える指先を、その手に重ねました)
(これはそう。綺麗に形作られた、たった一夜の出来事です)
未護・真言 2024年4月6日
緊張しなくていい、身を委ねてくれればそれで。
(すい、と手を引いて)
(彼女の腰に手を回し、抱くように引き寄せて)
……まずは緊張をほぐすところから始めようか?
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
──あ。
(そんな)
は、い
(身を固くして瞳を上げます。琥珀に見守られていて)
(ほぐす。そうです。どうにかしなきゃいけないのに、ままならない)
あの…、わたし…
未護・真言 2024年4月6日
(ふむ、思ったより緊張してるかな)
(なら………)
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
……回ってみようか?
(言うや否や)
(手を浅く握って)
(くるりと少女の体を、回転するように導く王)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
──きゃあ!
(視界が回る。あなたを含めた会場を一周して──ダークスーツの男性たちと華やかなドレス、夢のような照明と──そしてまたあなたへに)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
…あ、
(よたりともつれて寄りかかり、見上げます。)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(私)(笑ってる)
未護・真言 2024年4月6日
(とふ、と正面から受け止めて、見下ろして)
(うん、良い笑顔だ)
(なら……)
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
(抱きとめたままの姿勢で、彼女ごとくるりと回って)
(一回、二回、三度目は、回転を変えて)
(遠心力に任せるように、再度手をとって)
(見つめ合っている間だけは、音楽も、周りのダンスも関係ない、二人だけの世界)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(いいように。あなたの良いようにされている。翻弄されてるんじゃなくって──心地よさの中で、自在にされている。)
(あなたの心のままに、私の心の行方を、「そちら」へと誘われている。)
(周りのすべてが目まぐるし閃いて。でも、関係がない。)
(あなただけが、灼け付くようなのです)
(私の身体に、瞳に、記憶に)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
……… 真言、くん…
すごい…です…ね……
(合間に、途切れながら声をかけて)
未護・真言 2024年4月6日
そうかい? キミの期待に添えているだろうか。
(慣れたものだと言わんばかりに、左右に揺れて、踏み込んでは、引いて)
それなら……社交ダンスの特訓も、無駄じゃなかったらしい。
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
そんな… 期待…なんて…
(ゆると顔を振って)
夢のよう…です……。
(あなたの足先と私の足先、私たちの胴体同士。それぞれに糸が蔦っているように吊られて動きます。ふしぎ。とても不思議なのです。)
(魔法をかけられた手足のままに、私は微笑んでいます)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
特訓… 真言…くん…は…努力家…ですね…
お箸…の特訓も……されて…いたし……
(見上げたまま、小首を傾けて)
…私…も…お稽古…すれば……もっと……あなた…に…見合う…ダンス…が…(導かれて胸が、添います)
(頬が染まって)
─……、出来る…かな……
未護・真言 2024年4月6日
おや、いっときの夢にしては――温かいと思わないかい?
(すい、と顔を寄せて)
(耳元でささやくように――――)
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
(それから、瞳を見つめて)
できるさ。
ダンスだけじゃない。
学び、研鑽してできるようになることなら――人は何だってできる。
それに…………
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
今のままでも十二分、似合っているとも。
キミがオレの手を取ってくれなかったら、俺は舞台に立てていないんだよ?
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(「いっときの夢」)
(私の耳は余さず聴き取り私の目は、熱く応えます。)
(──ええ。そうですとも王子様。)
……だから(僅かな時、揺れる瞳は半ば伏せられ)
ずっと…長く……続くって…信じてます…
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(そしてまた、呼吸を忘れ見つめ合う)
学び… ……
… そう……… そう、ですね。
(確固たる声で教えてくれるのが嬉しい。きっとそれはあなた自身の道行きを照らす──照らし続ける、光の言葉なのだと思うから。)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
……で、も。
私…… 私……じゃな…くても……
………
(王子様の──あなたの訪れを心待ちにしてる。そんな女の子は街中にいる)
(それは拭うことをしてはならない、分別だと──)
未護・真言 2024年4月6日
君が求めてくれるのならば、時間一杯まで。
(ダンスは都合上、途中離脱も、途中参加も可能だけれど……)
(体力の消費を厭うように、少しペースを落として)
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
――――茱萸嬢じゃなくても良い、と思うかい?
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
オレは……一緒に踊るなら、キミでないとと思っていたんだけどな。
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(緩やかに、時が時間を取り戻す)
(私は思い出したようにゆっくり息を吐き、)
(時間一杯)(それは言い換えられた刻限)
(静かに頷くのです)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
あ…
(目を上げる。睫毛が震える)
(矛盾する私が、交互に口を添える)
(過ぎた夢だと知っているでしょう?)
(無くしたくない──無くさない)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
………(ごめんなさいをこらえて)
真言…くん…
(首を振り)
…嬉しい……
…嬉しい…です 私…だと……思って…いて……くれて……
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
──……
幸せ……です……
未護・真言 2024年4月6日
…………オレは。
キミの心に触れすぎたかも知れない。
申し訳ないと思っては、いるんだが――――
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
(幸せ、という言葉に)
(苦笑を交えて)
いずれ――消えてしまう身なのにね。
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
─────
……
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(きらびやかな全てが、鞭を打つように)
(痛い)
(耳鳴りがする)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(知らないのに)(知っていたように)
(私はあなたを見つめている)
……… 真言………くん………
未護・真言 2024年4月6日
オレは――――死者だ。
世界があるべき姿を取り戻したら、消える身だ。
だからオレは……キミに、夢しか見せてあげられない。
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
あさましくも、誰かの記憶だけには――残りたい。
いずれ消えゆく、居るべきではないこのオレが、
誰かの思い出にはなりたい……そう思っていたら、いつの間にか。
キミの手を取っていたよ。
……スノードーム、ありがとう、嬉しかった。
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(音楽も、周りのダンスも止んでしまった、二人だけの世界。)
(そんなわけない)
(そんなわけない)
(そんなの)
(いや)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(私は一言も発しない。一言を溢したら、それを許すことになる)
(あなたの瞳の翳りを、見つめたまま見過ごした私は)
(こんなにも)(傲慢なのだから)
(認めない)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(夢が)(夢がほんとうの力を持ったとき)
(人の努めでは抗えないものにも、及ぶことが出来るはず)
(私はやがて)
(ふうわり、と首を振ります)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
真言くん。
(たじろぎもせず名を呼びます)
それならもっと
たくさん 思い出を つくりましょう。
(笑顔をあなたに向けて、そう言いました)
(無効票)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
ね? お願い。
未護・真言 2024年4月6日
(真剣が伝わる。熱意が伝わる)
(だからこそ、申し訳なく、それと同時に)
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
(その申し出に――すがりたくなる)
―――キミにとって。
それが、いつか、辛い記憶になってしまっても?
(曲に合わせて、手を引きながら)
(笑顔に対し、申し訳無さそうな瞳を向けて)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
(「いつか」)
(ええ)(私は、刻限の向こう側を、見ないから)
(深く、頷いて)
(♤ 続ける ♤)
戸外崎・茱萸 2024年4月6日
大丈夫です…よ…
(予め決められていたかのように、私はあなたの手を取ります)
(大きな手を、見えない影から掬うように握ると)
(私はあなたの胸に寄り添い)
(──もう一度ここから、時計の針を動かすのです)
一緒に…います。
未護・真言 2024年4月6日
……なら――…………
(無効票)
未護・真言 2024年4月6日
もう少しだけ。
この魔法を、続けよう。
(キミの手を引いて、手で背中を支え)
(体重を預けさせるようにしながら――――)
(♤ 続ける ♤)
未護・真言 2024年4月6日
(いつか来る終わりと別れの後で)
(君が笑えますようにと、願いながら)
未護・真言 2024年4月6日
【夢の始まりと、終わり】