私立MM学園

【個】夢は終わらない

薬袋・凛杏 2024年4月4日
お姫様なんて、少女の頃の夢でしかありませんでした。

夢は夢。大人に近づいていくほど、自然とそれを理解していきました。

叶うわけがないからこそ、夢だから。
なら、叶ってしまった夢は、何という名前になるのでしょうか?

#薬袋・凛杏
#梶野・龍夜





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梶野・龍夜 2024年4月4日
(フォーマルなタキシードにヴィンテージ風の紺色のコート)
(何度も鏡で見ては自分でも服に着せられている感じが恥ずかしく、居心地の悪そうな少年が、会場の端に立っていました)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
……………。

(い、勢いで誘ったはいいけど正直持たないぞこれ……!)
(あの日冗談半分に、「じゃあ……一緒に行ってみる?」なんて口走ってから、毎日苦悩した日々。もうずっと頭の中で彼女の色んな顔が過ぎって仕方がなかった) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(山の中ではヒールなんて履くことは無い。普段からもだ)

(一歩、一歩と足を踏み出す度にその足元の不安定さが心許なくゆらついてしまう)

(この、身体に張り付くようなグリッターが散りばめられた衣装も勿論慣れてはいない。学園祭で友人同士見せあうことはあったが、知り合いの男性が待つ場所へこの姿へ向かうことに、強張る心臓の動きを抑えることが出来ない)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(でも)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(彼が、「行ってみる?」なんていうモノだから)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(私は、夢でしか考えられないような恰好で、あなたの前に立つ)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
……あ、あの、待ちましたか?

(夜のように深い蒼に、星空のようにきらきらと散りばめられたグリッターのドレス。形状は身体のラインに沿い、ダンスパーティということでスラリとした印象を抱かせるドレス姿)

(ドレスだけではなく、ドレスと同じ色のオペラグローブに、明らかに慣れていない高めのヒールを履きながら、いつもはポニーテールで纏めているその長い銀の髪を腰まで下ろしながら、彼の前に現れる) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
(会場を見渡せば、男女共々煌びやかな格好。その中でやはり一際輝くのはドレスを身に纏う女子たち)

(やはりというかなんというか、彼女はどんなドレスなのだろうとか考えてしまって)

(視界に入ってきたはずなのに、気づくのが数瞬遅れて)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
あっ、ごめん!全然待ってな────い、けど────────

(最初は顔。それから、正直な目線がゆっくりと下へ。つま先までしっかりと)
(不躾にも、そこからまた上がって顔に戻るのだった)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
綺麗だ────────
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梶野・龍夜 2024年4月4日
────ね。
(ん゛ん゛っ、と思わず出てしまった言葉を誤魔化すように咳払いをした) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(慣れない靴、慣れない恰好。正直、恥ずかしさはかなり強く感じてしまっているのは事実だ)

そ、そんな、馬子にも衣装ですよ。
その、緑のクラスの方にお借りはしましたけど……私、お姫様なんて柄ではありませんし……。

(照れ隠しか、それとも本心か。彼の言葉に顔を紅潮させながら少し目を逸らして話す) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
いや!いや!そんなことないよ凛杏!似合ってるのは本当!きれ……いだともほんとに思ってる!
そんなこと言ったら俺の方が馬子にも衣装っていうか、服に着せられてる感じだし!

(ほら、全然似合ってなくない!?とフォローだかなんだかわからないことを口走って) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
そ、そんなことありませんよ……!
その、私も男性の服なんてよくわかりませんけど、その、凄くしっかりとしていて、頼りがいのある、格好い……
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
い人、だ、なん、て……。
(言えば言うほど赤くなる。こちらは、間違いなく本心で)
(両手で顔を覆いながら、顔が熱くなる様子を隠そうとする) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
かっ…………
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梶野・龍夜 2024年4月4日
こ、いい、かな。そうかな……

(思わず同じように顔を赤くして俯きがちになってしまう)
(気になっている女子に大層褒められたら、それはそれは嬉し恥ずかし、男としては舞い上がるほど喜ばしで内心大変なのであった)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
(しばし、間があって)

(いやこのままでは良くないと思い至ったのか)

あ、あのさ……!

(心を決めて、顔を上げた) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(顔、この後見せられるかな)

(そう思うくらい、顔が赤くなっていると自分自身で感じてしまう)
(今のままでは、自分からは何も言えなくなってしまった)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(だけど、先に声を出してくれたのは貴方で)

は、はい……!

(少し驚きながら肩を跳ねさせ、彼の続く言葉を聞く) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
っ────

(目が合うと、自分でもわかるぐらい心臓の跳ねる音が聞こえた。気がした)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
や、約束通りさ……一緒に、踊らない?

(ぎこちなく、掌を前に出して) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(『Shall We Dance?』なんて、教科書でも聞くことは無い)

(でも、女の子にとっては……誰もが知っているような、魔法の言葉で)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(そっと、差し出された掌に対して指を沿えるように、上から重ねる)

……こんな私でも、今日だけは……夢をみさせていただいても、いいですか? (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
────うん、もちろん。

(手を繋いで歩む先は、会場の真ん中。仲睦まじくダンスを楽しむ者の仲間入り)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
(鼓動はいつまでも収まらない)
(なんなら、グローブに包まれた彼女の細い指に触れて、より激しく鳴っている)

(けれど、もう────)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
楽しもう、凛杏。

(ここまで来たら、楽しんでしまえ!)

(割り切ってしまえば、なんてことはない)
(腰に手を回すなんて、思い切ったことだって出来てしまう) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(彼のエスコートによって、お姫様はダンスホールへと招かれる)

え、ええ。でも、私……実はダンスなんて、全然踊ったことも無くて!

(カツカツとヒールの踵を鳴らしながら、腰に手を回した彼によってぴたりと密着する体勢になる)
(心臓の鼓動の音が体の中へと響く。それは自分のものなのか、彼のものなのか。もはやそれすら分からない) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
大丈夫だよ凛杏。俺も全然ないから!

(格好に似合わず、子どもっぽい笑みであっけらかんと答えた)
(本当は、色々調べてずっと練習したけれど。そんなの言えるわけないし)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
(当然と言えば当然だが、やはり一人で練習するのとは訳が違う)
(単純に他者と踊ることの難しさ、さらにはこの密着した姿勢で緊張もとんでもない)

(重心の位置。ステップの間隔。正直練習して覚えたことなんて真っ白で)
(今はただただ、ダンスとも呼べぬぎこちない動きで彼女を導くことしか出来ない)

(頭でそうわかっていても、心はこれでいいと言っていた)

(今はこの時間を楽しみたい。彼女にも楽しんでほしいと。心から) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(お互い、出鱈目な動きのようにステップを踏む。きっと、周りから見れば滑稽な一幕に見えるかもしれない)

(それでも、この息を合わせようとするこのひと時が、楽しく、愛おしくて)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(ぎこちない動きだからこそ、彼の傍に居られる)
(お互いに詰め寄るようなステップの踏み間違いにより、顔と顔が近づく)
(依然頬は紅く染まっているが、そんな密着も笑いながら)

……ダンスって、楽しいですね。

(彼ににこりと微笑んでみせた) (無効票)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
(近づくことで、よりわかる。緊張しているのは自分だけではないこと。彼女も同じであることが)
(きっと自分がそう思うように、彼女もそう思っているのだろう)

(だって、彼女の紅い頬と同じぐらい、自分も染まっているのがよくわかるから)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
うん────そうだね、凛杏。

(そんな中で浮かべた笑みは、普段とはまた違った顔だろう)

(有り体に言えば、君だけに見せる────────)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
────あのさ、凛杏。

さっき、こんな私でもって言ってたけど。違うよ。

(前へ、後ろへ)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
思いつきとかなんとなくとかじゃなくて────

凛杏だから、誘ったんだ。

(少し回って、また前へ)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
────凛杏の夢を、叶えさせてあげたいと思ったんだ。
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梶野・龍夜 2024年4月4日
それと、その夢は──────

(手を引いて、腰を少しだけ抱き寄せて)
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梶野・龍夜 2024年4月4日
俺が、"叶えた人"になりたいって。

そう、思ったんだ。

(本心であることが、その目から伝わるぐらい)
(君のすぐ傍で) (無効票)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
──────

(その言葉は、音楽と話声が入り混じるこの会場の中、はっきりと少女の耳へ流れ込む)
(そしてその直後、会場に流れていた曲が終わりを迎え、踊っていたほかの参加者達もそれぞれ動きを止めながら、お互いに話を始めるだろう)
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薬袋・凛杏 2024年4月4日
(しかし、彼の言葉を聞いた少女はぴたりと動きを止めたように数秒あなたの顔を見つめたまま止まり、そして)

…………。

(若干俯いた状態で、一言も話さないままあなたの身体をゆっくりと押すように、どんどん参加者が少ない壁際へと追いやっていく)
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薬袋・凛杏 2024年4月5日
(そして、完全に壁にまであなたを追いやると)

……今は、ちょっと……こうさせてください。顔、さっきよりも、見れませんから。

(耳まで真っ赤に染めながら、あなたの胸元へと顔を寄せるように、その身ごと彼をひしりと抱き寄せるだろう。そして、)

……そのまま、聞いてください。
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薬袋・凛杏 2024年4月5日
──私、植物を見るが大好きです。

香りが良くて、落ち着かせてくれる花が好きです。
青々と元気に生い茂る草木が好きです。
大きく聳え立つ森林が好きです。

……でも、一番は……巨木のようにたくましくて、強くて、頼もしくて……私を安心感で包んでくれるものが、好きなんです。

叶えてください。守ってください。
私の夢を、たくさん、たくさん。
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薬袋・凛杏 2024年4月5日
……貴方になら、それをお願い出来るから。

(赤らんだ顔のまま、やっと少女は、あなたを見上げて) (。)
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梶野・龍夜 2024年4月5日
(どこか違和感のある様子に言葉を発する間もなく、あれよあれよと壁を背にしていた)

(愕然とした顔のまま、彼女の抱擁と言葉を受け入れて)
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梶野・龍夜 2024年4月5日
(今、この目の前にいる少女の)

(彼女の、一挙手一投足。聴き心地のよい声音。それら全てが)
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梶野・龍夜 2024年4月5日
(愛おしいと、ようやく)

(心から認めることができて)
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梶野・龍夜 2024年4月5日
(先程までのダンスとは違って、自分のしたいように、彼女を抱きしめた)
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梶野・龍夜 2024年4月5日
────うん、もちろん。

(ちょうど君の耳元に囁くような形で、応えた) (。)
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薬袋・凛杏 2024年4月5日
Fin.
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