【個】今宵踊るは
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
愛する2人で
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(煌びやかな装飾と、穏やかな曲、人々の歓談の声──そして隣にいる人の温もり)
(少し背伸びをしてしまったろうか? 着慣れない白の服を見下ろし、少し緊張気味で)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(いまだ、実感は薄い。彼から誘いを受けて訪れたこの場所。プロムナードの会場に自分が立っているということが)
(彼とお揃いの白色を基調としたドレス。背中の大きく開いたそれは、痛々しい傷痕をまったく隠すことはなかった)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(先程見た時、彼女の装いを目にした。
綺麗だった。それもあったが、気になるとはその露出とデザインで)
(信じてくれてる……って事なのかな。それとも…)
行こうか、スィーリ。
(君の手を握りしめ呼びかけた。
その思考は今は必要ない。だってこんなに艶やかな彼女と華やかな場にいるのだから)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(背中を覆い隠すドレスも選択肢にはあった。むしろ周りからの視線を考えるならばそうするべきだろう)
(だが──)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
えぇ、いきましょうか。リュヌ。
(手を握り返し、ヒールの音を響かせながら一歩前へ)
(これは、覚悟の表れだ。この場へ誘ってくれた彼に、私の全てをさらけ出すと)
(いや、もしかしたら……この傷痕すら愛してくれる彼は、私のものだと。周囲にアピールしたいだけなのかもしれない)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(こちらを見てくれる彼女の目は真っ直ぐだった。
覚悟を理解した。心意気を察した。ならばこちらは応えるだけ)
(彼女の手を引き。エスコートを意識して歩き始めた。
自分の素敵な相手だと周りに知らしめる。かつて隠したかった秘め事も──そんな彼女の魅力のひとつだと言うように)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
ふふー、…綺麗だよ、スィーリ。
(それを特等席で見られるのだ。とびきりかわいいに決まっている)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(彼に手を引かれながら会場を進む。目の前を悠然と歩くその背中からは、確かな男らしさを感じる)
(そんな思いを抱えながら、熱い視線を送っていると)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
~ーーーっ!!
ありがとう、ございます……。
(思わぬ不意打ちに、思わず敬語が出てしまうくらいには)
(その一言が堪らなく嬉しかったのです)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(彼女少女然として照れる姿はいつだってそうなのだが、思わず背中がくすぐったくなる気持ちだ。
今日はそれがとびきり心地よい)
それで、改めて…遅くなっちゃったけれどさ。
(足を止め君は振り向いた。
繋いだ手を一度離し、君に差し出して)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
──スィーリ、よければオレと踊ってもらえませんか?
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(離れていく彼の手。いつもなら、少し寂しい気持ちが生まれていたかもしれない)
(たが、今日は違う。私は彼に選ばれ、誘われたのだから──)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
はい、よろこんで。
(微笑みを浮かべて、あなたの手を取るのでした)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(君の返事を受け取り、少年の顔にぱあっと笑顔が咲く。)
(わかっていた返事だけど、信じていた言葉だけど)
(やはりこの上なく嬉しいものなのだ)
へへへ、……ありがとう。
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(曲が変わるタイミング。穏やかな曲調から、少し華やかで激しい音楽へ)
それじゃあ──お手を拝借。
(リズムに合わせ、踊り始めた)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
いえ、私の方こそ……ありがとうございます。
(私を受け入れてくれて、好きでいてくれて、色々な感謝を一言に乗せて)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(アップテンポな曲調は、身体を動かすのが好きな彼によく似合ってる。そんなことを思いながら)
はいっ!
(彼に動きを合わせて踊り出すのでした)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
うぅん、──こちらこそね。
(当たり前の返事や取り繕った言葉ではなく、君の気持ちを感じ取った上で)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(気分がアガる曲は好きだ。体を思い切り動かして、更に気持ち良くなれるから!)
やっ!
(付いてきてくれる君が好きだ。 待っていてくれる君も好きだ。
心が躍るから)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(ヒールの高い靴で踊るのは想像以上に難易度が高い。周りに他に踊っている生徒もいるのだから、余計に気を配る必要もある)
(身体や靴への負担を考えるなら、おとなしく身を任せるのがいいのだろうが)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(それは私の最良ではない。私が目指すのは──)
ふふ、ちゃんとついてきてくださいね?
(彼と一緒にめいいっぱい踊りを楽しむこと。全身全霊でくたくたになるまで)
(リードされるだけにとどまらず、彼を振り回す勢いでダンスの激しさを増していく)
(この瞬間に命の灯を燃やし尽くすかのように)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(男女で踊るダンスにとって大切なのは男側のエスコート、リードが大事だ。
ヒールに限らず女性のドレスは踊るのに向いているとはとても言えないものが多い)
(だからリュヌもセオリーを頑張って覚えて、それを実践しようとも思ったのだが)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(彼女の意思がそうさせなかった)
おっと、それなら──
(こちらもそうやって付き合うまでだ。
踊り明かし、精も根も使い切る──そのくらいの激しさで)
(彼女の踊りに追随するよう、こちらもリズムを加速させていく)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(挑戦的な視線を向けながら、足を交差するように身体を密着させる)
まだまだ、ギアを上げますよ?
(そうやって彼の耳もとで囁いて)
(すべての熱をあなたに捧げるように、踊りあかすのでした)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(君の声が耳をくすぐる。君の視線がオレを熱くさせる)
──望む所だぜ。
(負けられない。踊りだろうと、好きな気持ちだろうと。
君という最愛の人が相手でも、自分は燃え上がる)
(無効票)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(あぁ、この時間がずっと続けばいいのに)
(リュヌの一挙手一投足に気を配りながらも、胸の内はそんな思いでいっぱいだ)
(憧れが実現している。彼の愛を全身で感じられている)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(彼女の表情から心が満たされているのを感じ取る。それだけでもこの時間の価値が上がるというものだ)
(君が足を動かせばこちらが差す。こちらが手を取れば君が引いて動く)
(互いの駆け引きでダンスが加熱する。想い合い探る事でラブを伝え合うのだ)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(踊る、踊る、踊る。最高のときを、最上の時間を)
(彼とすべてがつながっている。そう感じられるほどの一体感)
(世界中の全てが私たちを祝福しているのではないかと思うぐらいに)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(2人が踊りを通じて、繋がり、溶け合い、ひとつとなる。
至上の喜びのように、それこそを表現するように。
熱く、熱く、踊り明かす)
──スィーリ!
(君に手を差し伸べる。熱烈な愛と共に)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
──リュヌ!
(君の手を取る。熱烈な愛を受け止めて)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(君を引き寄せ、回り廻る、終わり近づく曲の風と踊りの熱を、火炎旋風に巻き上げて。)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
────っ!
(曲の最後、君を魅せるようにポーズを決めた)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(何事もにも終わりはある。嬉しいことも、悲しいことも、辛いことも、幸せなことも)
(けれど、それは──)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
────ッ!
(大きく背を逸らしポーズを決める。自信の身体の全てをあなたに委ねて)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(深く、長く。息を整えて。)
(そうして君を見た)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(夜はこれからだ。節目はあるが、本当の終わりはまだ先の筈だ。けれども少し休むために)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(君にそっとキスをして)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(荒い息を、ゆっくりと整えていく)
(熱いときが過ぎ去っていった。身体からもゆっくりと熱が取れて──)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
──っ!?
(──君が唇に落とした爆弾が、再び身体の奥に大きな熱を生んだ)
(まだまだ熱い想いは冷めやらぬようだ)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
(君に送った熱を名残惜しそうにしながら、唇を離して)
……えへへ、ちょっと図々しかったかな?
(ゆっくりと、立たせるように補助をして)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
もぅ……ほんと図々しくて──。
(補助されながら、立ち上がり)
スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
──どうしようもないくらい、私の気持ちを乱すイケナイ人。
(首に手を回し、唇を重ねるのでした)
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リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
わぷ…!?
(もがもが。不意打ち気味にきたキスに、動揺しつつも受け入れて)
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スィーリ・ラウタヴァーラ 2024年4月4日
(自らの愛を伝えるために)(与えられた幸せを伝えるために)
(周囲の視線を気にすることもなく、濃密な口づけをしばらく続けるのでした)
(🩰)
リュヌ・ドゥートランキルテ 2024年4月4日
踊り疲れればこの後はケータリングされた食事でもと思っていたのだが──そう予定通りには行かない。
それから暫くの間、2人は互いに愛を確かめ合うのでした。
(🩰)