【個】一年前を振り返りながら
風花・葡萄 2024年3月29日
プロム本番、10日前。
学期末。
新学期に心躍らせる日々。
色々なわくわくやそわそわが学校を行き交う
、春本番を迎えつつあるとある日の放課後。
──君に、大事な用があると言って、待ち合わせをした。
#風花・葡萄
#春叶・マユ
2
風花・葡萄 2024年3月29日
……この二つを、OKして貰えるなら。
君を連れていきたい場所がある。
(無効票)
春叶・マユ 2024年3月29日
は、はい。
(何となく背筋を伸ばして葡萄さんの話を聞きます)
え……え?
(受け取るかどうか決める権利……?)
(断る権利……?)
(初めは何を言っているのかよく分かりませんでした。)
(プレゼントを受け取らないなんて、普通するとは思えません。)
(すごく変なプレゼント……というわけでもなさそうです。)
春叶・マユ 2024年3月29日
わ、わかりました。
よく分からないですけど、ちゃんと覚えておきます。
(こくこくと頷いて)
春叶・マユ 2024年3月29日
…………
……!
(そこでひとつだけ、思い浮かんだ答え)
(もしかしたらと思いながら、まさかそんなと考えないようにしていた……あれ、なのでしょうか。)
(無効票)
風花・葡萄 2024年3月29日
……うん。
よく、覚えておいて。
(──ちゃんと覚えておく、を承諾として受け取る。)
(……何となく、君にも、もしかしたら察しがついてるのかもしれないけど──)
風花・葡萄 2024年3月29日
……じゃ、良ければ、ついてきて。
(──階段を上りつつ、君をとある場所へと案内し始める。)
────……
風花・葡萄 2024年3月29日
(あ、肝心なこと聞き忘れてた。)
(えーと……)
……因みになんだけど、マユさ。
もしかしてプロム、もう誰かにお誘いして貰ったりしてた??
(ここの前提条件をクリアしてないと今から僕はとんだお間抜け野郎になる。まぁ、半分もうネタバラシしたようなもんになっちゃうんだけど────それは仕方ないか。)
(移動して、2階に辿り着きつつ、今度は廊下を歩きながら、君の回答を聞く形となる。)
(無効票)
春叶・マユ 2024年3月29日
は、はい……!
(葡萄さんの後を、そわそわしながらついて行きます。)
春叶・マユ 2024年3月29日
え……。
ぷ、プロムですか……!?
いえっ、まだ全然誰にも……!
(ぷるぷると首を左右に振ります)
春叶・マユ 2024年3月29日
(い、今の質問ってやっぱり……もしかして……!?)
(そわわっ)
(すでに落ち着かない心持ちのまま廊下を歩きます。)
(……二人の歩く音が、なんだか妙に大きく聞こえます。)
(無効票)
風花・葡萄 2024年3月29日
……あ、そう、良かった……。
(よかった、誘い遅れた間抜けにはならないで済んだみたい。)
(──言うタイミングここじゃなかったか?なんて、ちょっと思いつつも。暫く静かに歩く。……廊下に響く足音が、少し大きい。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(……もう、あんま間を持たせる意味もないよな、なんて思いつつ。)
(廊下をしばらく進みながら、こんな事を話す。)
──大体、一年前の話、覚えてるかな?
プロムが終わった後くらいの話だけど。
風花・葡萄 2024年3月29日
「──来年、他に君を誘うような人もいなくて。
君も困る事がなければだけど。
その時は、君をプロムに誘ってもいいかい」
…………なんて事を。言ったと思うんだ。
(お誘いの言葉そのもの自体は、勿体ぶるように取っておきつつ。今日の本題の一つを話す。)
風花・葡萄 2024年3月29日
……案外、一年って早いもんだね。
──さて、ついた。
(……言いつつ、「君を連れていきたい」と言ってた場所につく。)
(君にも見覚えは当然あるだろう)
風花・葡萄 2024年3月29日
(なんてことはない、僕がよく使ってる「被服室」なんだから。)
(無効票)
春叶・マユ 2024年3月29日
あ、えと……
そういえばそんな話をしたような……
(言葉の細部までは覚えていませんでしたが、そんな内容の話をしたことは覚えています。)
(覚えています……が)
春叶・マユ 2024年3月29日
(それが今年なのかと思うと、気が気ではありませんでした。)
そ、そうですね……あっという間でした。
(あっという間の一年、たくさんのことがあったけど)
(今それを思い出す余裕なんて全然なくて)
春叶・マユ 2024年3月29日
あ……。
ここ、ですか?
(当然、そこは私もよく知っている場所。)
(葡萄さんと言えばこの場所ではありますが……)
どうして、ここに……?
(無効票)
風花・葡萄 2024年3月29日
うん、した。
……結構、あの時から色々考えてたんだよ。
今年はこうしたいな、って言うの。
──どうしてか、って言われたら……
風花・葡萄 2024年3月29日
最初に、言った通り。
君に、ずっと渡したかったものがある。
(あの日から。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(構想を練って、デザインをして、作り方をしっかり学んで、試行錯誤して────そうして、一年かけて作り上げたものがある。)
(……扉を、開ける。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(放課後、窓から射す陽の光を浴びながら……貞淑に佇まうよう、置かれている衣装が一つある。)
風花・葡萄 2024年3月29日
https://tw7.t-walker.jp/garage/item/show?item_id=59303
(──限りなく白に近く、けど仄かに桃色がかったそれは、「桜の色」が最も近い表現になる筈だ。)
(Aラインのロングドレス。スカートには、桜の花弁の意匠を散りばめてある。踊る時にふわりと広がれば、風に桜の花びらが舞うようにも見える────)
(そんな風に踊る君は、とても綺麗だろうな、と考えながら、制作した。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(──プロムにも勿論向くようにデザインした。けど、それ以上に。)
……「物語の、夢の国のお姫様みたいなのが着てみたい」
────って、言ってたから。
(それも、君が。一年前に零し、話してくれた夢の話だ。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(差し支えないなら、君の手を引いて、ドレスの前まで案内する。)
……君さえ良ければ、これを着て踊る君を、僕は見てみたいんだ、マユ。
ちょっと大袈裟な誕生日プレゼントになって恐縮だけど。
君さえ良ければ、受け取ってほしい。
そして──
風花・葡萄 2024年3月29日
プロムナード。
僕と一緒に、踊っていただけますか。
(漸く、誘う言葉を君に告げた。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(あとは、さっきに言った通り。贈り物をもらうももらわないも、断るのも、君の自由だ。)
(無効票)
春叶・マユ 2024年3月29日
────これ……って
春叶・マユ 2024年3月29日
(扉の先で彼が見せてくれたその光景に、思わず息を飲みます)
(あたたかな陽の光を浴びた、眩いばかりの桜色のドレス)
(言葉も出せないくらい綺麗で──)
春叶・マユ 2024年3月29日
……あ。
い、言いました……。
(葡萄さんの言葉で、ようやく我に返ります)
(自分でも言ったことを忘れた言葉……それをこの人は、ずっと覚えてて……)
春叶・マユ 2024年3月29日
(そこでやっと、葡萄さんが最初に言った言葉の意味が分かりました。)
(「受け取るかどうか」とか、「断る」とか。)
(くす、と小さく笑って)
春叶・マユ 2024年3月29日
ひどいです、葡萄さん。
春叶・マユ 2024年3月29日
こんなの……断るわけ、ないじゃないですか。
受け取らないわけ、ないじゃないですか。
(目にいっぱいの涙を浮かべて)
春叶・マユ 2024年3月29日
私で良ければ……喜んで!
(めいっぱいの笑顔をあなたに向けて、答えます)
(無効票)
風花・葡萄 2024年3月29日
──……、
風花・葡萄 2024年3月29日
(あっひどい!?なんかひどかったかな!?!?)
(どこかでとちったかもしれない、なんてちょっとおろおろして)
(君の顔をみて)
風花・葡萄 2024年3月29日
!?
(涙目になってる君を見て、余計おろおろしそうになる。)
(──けど)
風花・葡萄 2024年3月29日
(最後の、君の、花咲くような笑顔と。)
(「喜んで」の一言で。)────……
風花・葡萄 2024年3月29日
……そう言って貰えて、本当に嬉しい。
有難う。
(僕からも、心からの御礼を。)
風花・葡萄 2024年3月29日
──…………
(ちょっとふらっとする。安心したら一気に気が抜けた)
風花・葡萄 2024年3月29日
──ってうお 危ない安心のあまり意識失うとこだった!!!
(けど済んでのところで持ち直す!!)
て、ていうかマユ!!
涙!涙溢れそう!だいじょぶ!?
(おろおろはしつつ、ハンカチ出して君の涙を拭こうとする。……大事にしたい人の涙は嬉し涙だったとしてもちょっとドキッとしちゃう。)
(。)
春叶・マユ 2024年3月29日
ぶ、葡萄さん!?
(ふらっとした瞬間慌てて支えようとして)
だ、大丈夫ですか……!?良かった……
(その前に持ち直してほっとします)
春叶・マユ 2024年3月29日
え……?
あ、ああ、これですか?
(涙もそのままに動き出したのでちょっと垂れてしまっていました)
(おろおろとする彼を見て、くすっと微笑み)
春叶・マユ 2024年3月29日
ふふ……大丈夫じゃないです。
拭いてください。
(少し甘えた感じでそう言って、目を閉じました。)
(。)
風花・葡萄 2024年3月29日
大丈夫じゃないの!?
(大ゴトなんだ!?!?)(なんて言いつつ)
風花・葡萄 2024年3月29日
(そんな風に、少し甘えてくれてる君を、やっぱり──僕の出来る限り大事にしたいって思うし。)
(夕陽めいた色を帯びてく陽の中で、眦に雫を湛えながら目を瞑る君があまりに綺麗で。止まってるはずの死人の心臓が、高鳴る気がして)
風花・葡萄 2024年3月29日
(──努めて、優しく、丁寧に。涙を拭いつつ)
──……、
風花・葡萄 2024年3月29日
プロム。とっても、楽しみにしてるから。
(──静かに、呟くように告げた。)
風花・葡萄 2024年3月29日
(二人の様子を見守っているのは、今は、桜色の夢のようなドレス、ひとつきり。)
風花・葡萄 2024年3月29日
【おしまい】