【戦】蒼海の龍/地を這う愚者
一之瀬・一貴 2021年9月11日
MM学園第一グラウンド
一際広いその空間も、今は一般生徒が入れないように緩やかな規制線で囲まれていて。
しかしこの学園において、その程度は日常茶飯事。
強いて異常を挙げるとすれば、単なるタイマンにしては大袈裟なほどにその範囲が広いこと。
だがその疑問も、相対する人物の名を聞けば、
正確には、その片側の異名を聞くだけで、
たちどころに納得へと変じていくことだろう。
番長の名は、存在は、それだけの重みを持つものだから。
約束の刻限、もう間もなく。
乾いた風が、吹き抜けた。
【本日の対戦カード】
『蒼海番長』
#竜城・陸
V S
『緑のチンピラ』
#一之瀬・一貴
0
竜城・陸 2021年9月11日
ああ、どうぞ。
(できるものなら。)
(――言葉ないまでも、視線がそう語ってはいただろう)
(長である以上、地に膝をつくことなど有り得ない。)
(それは、竜人の中で“当然”の義務であり、事実である)
竜城・陸 2021年9月11日
(振りかぶられた拳は、到達するべき場所よりも前で止まるだろう)
(“止められた”というほうが正しい)
(目には見えぬ、けれど確かにそこにある、壁のような何かが、その拳を遮っている)
(そういう、感覚だけは伝わるはずだ)
そういうタイプ。……相性が悪いね。
(多分、一番、自分と相対するに向かないタイプだろう)
竜城・陸 2021年9月11日
(が、当然、加減をするつもりはない)
(――それを喜ぶような者は、ここにはいないと知っている)
(鼻先、二人の間を隔てるように――正確に言えば、彼と相対する竜人の周囲から、全てを押し流すように、全方位へ)
(うねるような濁流が、解き放たれた)
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(語らずとも、その視線の意味は何よりも雄弁で)
(返事代わりの渾身の一撃、叩きつけた拳が、容易く弾かれる)
(そう、予想通りに)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(凶悪な眼光が、捉えていた)
(見えていた、のとも違う。ただぼんやりと、「何か」が覆っているのだけがギラギラと睨む眼から情報として入って)
(だから、その次の行動にも躊躇がなく)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(その障壁へと、再び「気合いで拳を捻じ込んで」)
(弾かれる勢いのまま、角度を変えて)
オ、ッシャア!
(濁流を避ける事も、防ぐこともなく、)
(飲まれるままに、その表面を転がり滑るように、更に上へ)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月11日
……無茶苦茶だな。
(魔術に明るい? ……わけではないだろう。超感覚的に捉えた、というものだろうか)
(拳は砕けていないだろうか、とちらりと考えて――そうではないなとかぶりを振った)
(逆らいも防ぎもしないなら、自由に身動きはできないだろう)
(そのまま――生み出した濁流を這うようにして生み出された氷の波濤が)
(流れのままに、その渦中にいる彼へと迫る)
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(拳が、ぎしりと軋む音)
(奥歯を、噛み締める音)
(氷波が牙を剥き迫る音)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(不自由な姿勢、飲まれたこの身は回り揺さぶられ天地も逆で)
(右も左も上も下も回避は不能、留まる事は当然に悪手)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
じゃあ、見て驚けや。
(必要なのは、覚悟と、超常の力が一つ)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(天地逆のまま、空を蹴る)
(【エアライド】。拙いその力は、一度が限度で、)
俺ァもっと、無茶苦茶だぜ!
(そのたった一度で、もう一度己を弾丸に!)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(左の腕を、思い切り振り被り)
(叩き付け)
(波を、氷を、力の奔流を、真っ向から気合いでぶち抜いて)
(吹き飛び、凍り、ねじ切れそうな苦痛を維持で耐え抜いて)
(己の半身と引き換えに、最短距離)(ただ殴るために)(進む)
竜城・陸 2021年9月11日
驚いているよ、もうここへ来てから何度もね。
(呟くような声は、氷の砕ける音に呑まれてしまうだろうけれど)
竜城・陸 2021年9月11日
(“もっと高く飛べば完封じゃん”。などということを、そういえばこの間言われたっけ――なんて、それを少しだけ思い出していた)
(受け止めてやって、そのうえで勝つべきだろう、なんていうのは、もしかしたらそれこそ、傲慢と言うべきものなのかもしれない)
(余裕や、侮り、と思われてもきっと仕方ないのだろう)
――――、
竜城・陸 2021年9月11日
(思考の間は、一瞬)
(羽搏きが目を眩ませるような突風を生み出して、)
(一瞬の後に竜の姿は、遥か頭上へと舞い上がり)
(――夕陽がその影を長く落とすだろう)
(けれど、)
竜城・陸 2021年9月11日
(――目を閉じてしまわなければ)
(僅かも怯まず、抗うように進み続けたのなら)
(最短距離で駆け上がる彼の拳は、竜の身体を捉えるかもしれない)
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(すれ違うように、地へと堕ちる者と、空へと駆ける者)
(暮れかけの太陽が、空舞う影をグランドへと引き延ばし)
(その姿は、さながら巨大な龍のようで)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(知ったことか、と)
(龍だろうが、バケモノだろうが、超人だろうが、番長だろうが、)
知った、ことかよォ!
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(「気合いを込めた拳は、殴りたい対象を絶対に殴る」)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(最初の一撃で、軋んだ拳を引き絞り)
(ドゴン、と。爆音めいた音と共に、)
、、、、 、、、
(何もない、その空を殴り飛ばして)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(反動で、豪風を越え、睨む瞳の炎のままに、)
ぶっ、
(ずたずたに、かちかちに、ぼろぼろの、もういっぱつ)
(どう見ても動かないはずの、左の拳を、堅く硬く握り締め)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(振りかぶり、引き絞り、身を捻り、全身を振り回し、)
とべ
(ただただ真っ向から、「全身全霊の気合いで、」ただ殴る!)
やっ!
(無効票)
竜城・陸 2021年9月11日
(――何もない空間を“殴った”、それを見て、)
(――凍り付いて、ずたずたの、動かないはずの左腕を振りかぶるのを、見て)
ああ、
(小さく呟いた)
(納得、驚嘆、理解。どの意味ともとれるであろう声音)
竜城・陸 2021年9月11日
(これは、多分まずいな)
(“説得力がある”)
(――“有り得ないことを起こせる”と、“思わされてしまった”)
竜城・陸 2021年9月11日
(周囲に渦巻く冷気は、近づけば近づくほど彼の熱と生命力を奪っていくが。そもそもかなり出力を下げているそれが、躊躇の材料になるとは思わない)
(ので、あれば――)
竜城・陸 2021年9月11日
(横から握った拳を当てて、受けて、流す――)
・・・・・・・・・・・・・・
(「確か、晴はこうしていたはずだ」――と、真似た、少なくとも当人はそのつもりだが)
(戦い慣れ――とまでいかずとも、殴り合うことに慣れているならば、その技術があまりに拙いものであることは理解できるだろう)
(言うなれば、力の流れなんていうものも、武術の型なんていうものも、まるで無視して)
スペック
(持ち前の、竜としての 膂力だけを頼りにして無理矢理逸らしたというような、そういうもので――)
竜城・陸 2021年9月11日
(――だから、当然、勢いも威力も殺しきることはできず)
(ただ、“直撃する”という結果を回避しただけのものになる)
(拳の過ぎ去ったあと)
(ぱらぱらと、青い髪が数本、風に流れるように落ちて行った)
…………難しいな、これ。
こんなことよくできるな、晴は。
(呟くのとほとんど同時に、押し返すような水流。返礼とばかりに、容赦なく、地に叩き落とすように、直上から)
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(ヘタクソで素人丸出しな、それでも「人の技」に、最後の一手を凌がれて)
くそったれめ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(圧倒的な、奔流が迫り)
(たった今この一瞬、同じ高さで合った瞳には、)
(ここに至って尚、闘争心が、勝利への渇望が、反骨心が、克己心が、敬意と、悔しさ、怒りとが、ぐつぐつと混沌と煮え滾り渦巻いたまま)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(それでも、全てを絞り出した肉体は、もう指先すら反応もせず)
その涼しいツラ、ぶん殴るつもりだったんだがなァ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(最後の悪態を終えた瞬間に)
(激流に浚われ、牙剥く単なる人間は、堅い大地へとその身を墜とした)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月11日
――残念だけど、それはこの座を降りるときだけだな。
(なんて、独り言ちて)
(墜ちていく姿を追うようにして、高度を下げていく)
…………生きているね?
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(ドカーン!とズゴーンの中間のような音を響かせて)
………………め、めちゃくちゃ痛え。
(気が抜けたので、そりゃもう全身ボロボロだ!)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月11日
寧ろ今までその感想が出てこなかったのが不思議なくらいだけど。
……癒やそうか。それとも保健室まで歩く?
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
う、うっせー…………
(ウゴオとのグアアアだの汚い呻きを漏らしつつ)
…………自分で、行く。……少し、休んでから、な。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
だから、……先、行け。
俺の、負けだ。
竜城・陸 2021年9月11日
そう。じゃあ、一応ミーレに連絡しておくね。
(――“触れただけで熱と命を奪う”魔力の形成した魔術だ)
(他の現象に転換したものならともかく、氷は万が一があっても困る。魔術に明るい者に診てもらうべきだろう)
竜城・陸 2021年9月11日
…………では、ご要望通りに、先に行かせてもらうけれど。
呼び出した目的は果たせた?
(無効票)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
……………………全然、だ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(元からその差は埋めようもなく、勝機なんて欠片もなくて、どこまで勝負になるのか、くらいの)
(そんなことは、ハナっからわかっていたに決まっていて!)
(それでも、)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
…………次は、……次は、俺が、勝つ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(絞り出すように、見苦しくても、無様でも、それがどれだけ困難でも)
(この炎だけは、絶やさない)
(絶対に)(絶対にだ)
(無効票)
竜城・陸 2021年9月11日
…………そう。
竜城・陸 2021年9月11日
楽しみにしてるよ。
(零れた声音は、)
(心からそう思っているような、そんな響きで)
竜城・陸 2021年9月11日
(そのまま、羽搏きの音ひとつ響かせて)
(――その気配は、遠ざかり)
(漂っていた、重苦しくうすら寒い冷気もすぐに、鳴りを潜めるだろう)
(。)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
…………あぁ、くそったれ。ダサ過ぎんだろ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(遠ざかるその存在の密度に、あらためて対峙していたモノの巨大さを感じて)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
あんがとよ、番長。……流石にヤバ過ぎんだろ、なんだありゃ。
一之瀬・一貴 2021年9月11日
(ボヤくように呟いた声は、ただ広大なグラウンドに吸い込まれて)
あー、めっちゃ疲れた……。
(大の字になって。僅かな時間もかけず、その場で堂々と寝始めた)
(。)
一之瀬・一貴 2021年9月11日
【タイマン決着】
勝者>『蒼海番長』竜城・陸!!