【個】たったひとつの声
田中・夜美 2024年1月9日
音がする
鳴り響く音だ
音の方へと向かえば、そこは――
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新堂・亜唯 2024年1月9日
……でも……
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新堂・亜唯 2024年1月9日
_____ﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ♬
お前が居ないのに、俺ひとりで何弾いて歌えってんだよ。ええ！？
田中・夜美 2024年1月9日
٨ـ٨ﮩ٨ـﮩ___٨ـ٨___٨ـﮩ____♬
(無効票)
田中・夜美 2024年1月9日
「だ、だって。……我がいると……大変なことになるって」
「そんなことないって思って、歌っても……大変なことになって……」
新堂・亜唯 2024年1月9日
__ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ ♬
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月9日
だからなんだ。
お前がいることで大変になったことも……そりゃ、あったんだろうけど。
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新堂・亜唯 2024年1月9日
俺も、寮のみんなも、学校のみんなも。
お前がいなくて大変だったやつだって、いっぱいいるぜ。
少なくとも……
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新堂・亜唯 2024年1月9日
______ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩ____
一人で弾いたって、もうつまんないし。
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月9日
______ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩ__________ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩ____
一人で歌ったって、いい感じにならないし。
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月9日
_____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩ__________ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـ_ـﮩﮩ٨ﮩ ♬
俺はもう、ぼーりゅーがいないことの方がよっぽど大変で。
でもぼーりゅーと一緒になら、また絶対いい歌もいい曲も作れるって。
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新堂・亜唯 2024年1月9日
……だから今、こんなところまで追っかけてきて。
一緒にぎゅいんぎゅいんしてる。
田中・夜美 2024年1月9日
____٨ـ٨ﮩ٨ـﮩ___٨ـ٨___٨ـﮩ♫
「……我も嫌だ」
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田中・夜美 2024年1月9日
______ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____
「一人で演奏しても、そんなに楽しくない」
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田中・夜美 2024年1月9日
____٨ـ٨ﮩ٨ـﮩ___٨ـ٨___٨ـﮩ____
「我だけでやっても、我の音しかしない」
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田中・夜美 2024年1月9日
（ああ、そうだ）
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田中・夜美 2024年1月9日
（口にして）（ギターを鳴らして）
（わかる）
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田中・夜美 2024年1月9日
（初めて）（音楽を）（すごいと）（思ったのは）（我じゃない）（他の人の）（演奏を）（聞いたからだ）
（音楽を）（始めてからも）（ずっと）（誰かが）（そこにいて）
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田中・夜美 2024年1月9日
（誰も）（我も）（楽しくなかったのは）（きっと）（それで――）
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田中・夜美 2024年1月10日
（音を思い切り鳴らす）
（そうだ）
（いっぱい）（練習をした）（この音は――）
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田中・夜美 2024年1月10日
_____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ٨ﮩ٨ـﮩ____♪
（音が）（溢れるように）
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田中・夜美 2024年1月10日
___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ__♫
（音が）（弾けるように）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ__٨ﮩ__♬
（音を）（合わせるように――！）
新堂・亜唯 2024年1月10日
____٨ـ٨ﮩ٨ـﮩ___٨ـ٨___٨ـﮩ♫
……そうだろ。
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
______ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____
ぼーりゅーが楽しくないなら、俺だって楽しくない。
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
____٨ـ٨ﮩ٨ـﮩ___٨ـ٨___٨ـﮩ____
俺たちの、この音は……俺たちじゃないと鳴らせない。
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新堂・亜唯 2024年1月10日
（だから極論、これはすごくすごく自分勝手な話）
（ぼーりゅーに帰ってきてほしいのも、結局は自分のためで）
（そこに気の利いた慰めや、彼女が起こした出来事に対しての解決策なんてなくって）
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新堂・亜唯 2024年1月10日
（でも、そんなことは必ずしも自分が考えなくたって）
（彼女を心配して、助けになれる人間は……いくらでもいる）
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新堂・亜唯 2024年1月10日
（だから）
（今、ここで自分がやるべきことはないけれど）
（今、自分がやりたいことは）（聴きたい音は――）
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新堂・亜唯 2024年1月10日
_____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ٨ﮩ٨ـﮩ____♪
（二人で、繋げて）
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新堂・亜唯 2024年1月10日
___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ__♫
（二人で、合わせて）（そして）
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ___ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ__٨ﮩ__♬
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
__ـﮩﮩ٨ﮩ__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ ♬__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ ♬
（彼女と共に、ステージに集まった“観客”たちを）
（仮初の世界でなく、現実の煌びやかな舞台の上で）
（有無を言わさず、心底シビれさせてやるような最高の音！）
田中・夜美 2024年1月10日
______ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ____
（言葉はもういらない）
（言うまでもないからだ）
（楽しくないなら、こんな音は出せないから）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
ﮩ٨ـ_٨ـ٨___٨ـﮩ____♪
（狂乱していた観客たちが、動きを止める）
（呆然とするように、演奏する二人を見る）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
ﮩ٨ـ_٨ـ٨ـﮩ_ﮩـ_٨ـ٨___٨ـﮩ____♫
（それらは一人一人、テクスチャが剥がれるように）
（あの日、ライブを見ていた田中・夜美に変わっていく）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
（でももうそれを見ていない）
（わかっているのは、そう）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
__ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ ♬
（この音に、この音楽に）
（一緒に、魂を震わせてくれてることだけだ！）
新堂・亜唯 2024年1月10日
_____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ_____ﮩ٨ﮩ٨ﮩ٨ـﮩ____♪
（きっと、千の説得より、万の言葉より）
（自分たちの間ならば、この音こそが何より伝わるだろうから）
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
ﮩ٨ـ_٨ـ٨___٨ـﮩ____♪
（そして、観客が一人一人変わっていくにつれ）
ﮩ٨ـ_٨ـ٨___٨ـﮩ____♪
（向けられた視線をくぎ付けにするように、演奏は最高潮へ向かっていき）
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
__ـﮩﮩ٨ﮩ____ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ ♬
（震えていくその魂を、隣で演奏する彼女に）
（客席から見つめる彼女に）（そして自分に）
（同じ響きを、熱を、波紋のように響かせて――）
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
__ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ٨_______ﮩ٨ﮩ_______……
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
……。
(無効票)
新堂・亜唯 2024年1月10日
（そして、その演奏がひとつの区切りを迎えたとき）
（ようやく再び、隣の彼女へと視線を向けて）
（けれどその口はもはや、「帰ろう」とか「大丈夫？」なんて、単なる言葉を紡ぐためのものではなかったから）
(【演出継続】)
新堂・亜唯 2024年1月10日
（ただ、無言で）
（彼女の方へと、掌を掲げて見せた）
田中・夜美 2024年1月10日
（響いた音）（流れた音）
（残った、音）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
（最初とは、打って変わって）
（心地よい、静かさだけが広がって）
(無効票)
田中・夜美 2024年1月10日
（そうして出されたものに、返す言葉は一つもなくて）
(【演出継続】)
田中・夜美 2024年1月10日
（ただゆっくりと）
（同じように手を挙げた）
田中・夜美 2024年1月10日
（ぱちんっ）
田中・夜美 2024年1月10日
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