私立MM学園

【イ】Preface:to Yuffine

ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
『メルヴィーネの火花』
かつて一人の少女が願い、学園が叶えた花火舞い上がる夏の祝祭。


『温泉島ユフィーン』
温泉迷宮バスロマンという遺産が生んだ、数々の温泉が蔓延る秘湯の島。


なぜ、温泉島はまた現れたのか。
かつて、一度行われた花火大会をなぜ持ち出したのか。

そのきっかけとなる出来事は、遡ること数日前ーーー


たった一人の、島の女神の願いからだった。




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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
――――――――
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
(それから、長い月日が流れて――…現代)

(○月×日、MM学園校内にて)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
………?

(さら、と風を受けて銀髪がなびく)
(だがそれに合わせて、少女は何やら疑問そうな顔を浮かべていた)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
―…ね、ハル。
今…何か…聞こえなかった…?

(声が聞こえたような気がして、ふと隣りにいる青年に問いを投げた)
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陽樹・春曲 2023年10月25日
は?
いや、俺には何も聞こえなかったんだが…
(彼女の問いに対してちょっと呆れ気味に呟けば、やれやれと)

お前が幻聴を聞くなんて珍しいけどな
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
ん……そう、なのかな…。
(おかしいなぁ、と首を傾げつつも)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
………の――が――
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
……!

…やっぱり…何か、聞こえた…。
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陽樹・春曲 2023年10月25日
だから俺には何も…

っておい、急に何処行くんだよ!
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
(気づいたら声がする方へと走っていた)
(自分でも、知らぬ間に足が動いていたのだろう)

(なぜなら、あのときに聞こえた声は――)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
はぁ……はぁ……

(息を切らして走っていると、ようやく足を止める)
(声がよく聞こえた先…)
(そこは白い霧のようなものに、包まれていた)
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陽樹・春曲 2023年10月25日
はぁ……はぁ……っ
おま、ユノ…いきなり走り出して何だってんだ…
(こちらも息を切らして彼女に追いつけば、目の前の景色を目にして)

…な…なんだ、これ…煙、か?
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陽樹・春曲 2023年10月25日
何か焚いてるようなものは見えねえが…靄とかでもないだろうし…。
いや、でもこの感じ…。
(ゆらりとその白い煙のようなものに触れると、その煙は僅かに暖かみを感じられた)

煙…というよりは、湯気…湯煙…のような…
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
…うん…この辺りに「いる」…

(まるで誰かが、そこに居るかのように呟けば)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
「 ああ、私の声が…聞こえるのですか 」
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陽樹・春曲 2023年10月25日
!!!?
(どこからともなく聞こえた声に思わずびくりと動いて)

な、なんだ!?
ゆ、幽霊か何かか!!?
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
(ふるふる、と首を振って)
…多分、そういうのじゃない…。

でも…うん…あなたの声が、聞こえたから、此処に来た。
とても寂しそうな、声…だったから
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月25日
「 ……… 」

(天使の少女の声を聞いたあと、彼女が聞いた声は静かになる)
(そして次の瞬間)
(二人を包んでいた湯気のような白い煙は集約するように形を変えて)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
(やがてそれは、煙で出来た、白い人のシルエットを取っていた)
(そしてその白影から、声は放たれた)

「 私の声を聞き入れた あなたにどうか、お願いがあります 」
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陽樹・春曲 2023年10月26日
…!?
ユノが言ってた声って、これか…?
それに…お願い…って何だ…。

(目の前に現れた白い煙人の声がこちらにも聞こえたのか、驚きつつ)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
ん……そう…。
…ハルにも、聞こえるんだ…ね。
(そうして、改めて煙人にと目を向けて)

…その前に…あなたは、誰…?
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
「 …… 」

「 私は…ユフィーン…。温泉の島に眠る、女神…」

「 どうか私に もう一度 あの頃の音を…聞かせてくれないでしょうか 」
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陽樹・春曲 2023年10月26日
あの頃の音…?
つーか、ユフィーンってその名前、どこかで聞いたことあるような…。
(ふむ、と少し考え込んでその名前を思い出そうとすると、ハッと気づき)
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陽樹・春曲 2023年10月26日
…あっ!
ユフィーンって確か…去年現れた孤島の名前じゃねえか!
旅行って名目で行かされたあの島。

温泉の沸き立つ島の迷宮だったが…まさか、あの島に女神なんてもんがいたのか…?
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
…えっと…色んなお風呂があった、島…だよね…。
あの島の、女神…さん…なんだ。
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
「 はい。ですが女神としての力は、薄らいで消えつつあるのです 」

「 今の私がこの姿になってるのも、そのため 」

「 ですから、あの島でもう一度…賑わいの音を聴きたいのです 」
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
「 祭囃子の音、人々の賑わい、感謝と平穏の声 」

「 私という存在をもう一度、皆に思い出してほしいのです… 」


「「 そうでなければ、これからもきっと…私 は… 」」

(物悲しげな声と共に、少しずつ煙は薄れていき、その力が失いかけようとしていた)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
……………

……思い出して、ほしい…
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陽樹・春曲 2023年10月26日
…女神サマ直々にそんな風に頼み込まれるとはな。
しかし随分と唐突な頼み事だ。そんな事言われてもな……

(そもそもあの島自体、遺産の効果によって生まれ落ちた島だと耳にしたことがある)
(今となってまた同じように現れるかどうかも定かではない上に、賑やかな場を設けるとなれば相応の準備は必要というもの――)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
………


……ん。わかった、女神様。
そのお願い……やってみる
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陽樹・春曲 2023年10月26日
はっ?

ユノ、お前何言って……
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
「 ……… 」

(少女の声を耳にして、薄らぐ姿の中にその少女の表情を見れば)
(煙の女神は少しだけ、安らぎを得たような、優しい微笑みを見せた気がした)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
「 ………ありがとう… 」

「 …どうか………お願い… 」
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
(そうして最後にそれだけ残して)
(煙は消えて、靄が晴れるようにして景色はいつもの学園の敷地内に戻っていった)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
………

…消えちゃった……ね。ハル。
(元通りになった景色で天を見上げるようにして、少女は言う)
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陽樹・春曲 2023年10月26日
ああ…さらっと現れて、さらっと消えていきやがった…。

…それにしても。温泉の女神の頼み事、ねぇ。
なかなかな無茶難題を受けたけど、本当にできるのかよ、ユノ。
(面倒な事になったぞ、とやれやれ言いながら溜息をこぼす)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
……わからない…

…でも…
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
…でも…あの女神様…とっても寂しそう、だった。
誰も覚えてなくて、独りぼっちで…
…ずっとずっと、覚えてもらえないままは…寂しい、と思う。

だから…放って、おけない…そう思った、だけ。
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陽樹・春曲 2023年10月26日
………

(「寂しい」か。まさかユノの口から、そんな言葉が出てくるなんてな…)
(元々何考えてるか分かりづらい奴だったけど…色々、理解してきてるのかね)
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陽樹・春曲 2023年10月26日
…そうか。
まぁ、あんな事聞いた後じゃ投げっぱなしでいるわけにはいかねえよな。
(ふっと彼女の成長に笑みをこぼして)

…そんで。あんな見得きったんだから、策の一つくらいはあったりするんだろうな?
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
え…?

………うーん…と……
………

(無言)
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陽樹・春曲 2023年10月26日
おいおいおい、あんな事言っておいて何の案もなしかよ!
どーすんだよ!?
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
…ハルなら…何か思いついてくれるかなって…。
(言ってはみたもののちょっと他人任せであった)

…うー……楽しいこと、賑やかな、事………
(むーん、と頭を巡らせていると)

……あ
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
…じゃあ――こういうのは、どう…かな…?

えっと、ね。…―――――――
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陽樹・春曲 2023年10月26日
………
(彼女の発した言葉を聞いて、少し驚きつつ)

…おま、本当にそれでいくつもりか?
確かに去年、あれはやったけども…
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
…ん…でも、皆で一緒に楽しめる事だったら…これがあるかな、って…

…お願いしてみたら…もしかしたら、やってくれるかも、だし…
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陽樹・春曲 2023年10月26日
お前にしては結構大胆な案ではあるが…。
言われてみれば、たしかにあの女神サマの願いとしては近しいものではあるわな。

となったら…とりあえず、まずは生徒会に打診してみるか。
何はともあれ、実現するにも勝手な真似は許してくれそうにないしな。
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
ん……さっきのお話なら、きっとお願いしたら…わかってくれる、はず。
(むん、と両拳を握って自信満々といった感じ)

ともあれ…頑張ろ、ハル。
…温泉の、女神様のために……
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
(――そうして、二人は動き出した)

(力を失った温泉女神の願いを引き受け、実現するために)

(―――そして。少し時が経って、10月22日)
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ユノ・メルヴィーネ 2023年10月26日
(温泉島ユフィーンは再び現れて)

(また、祭りが始まろうとしていた…)
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