【個】ある女生徒の請願
リップ・ハップ 2021年9月6日
『保健室ではどんな治療が行われているかわかりませんから。開けていいか静かに確認をとった方がよいでしょう』
これはかのしっかり者、しっかりちゃんこと夜明の言葉。
それ以来リップちゃんも保健室入る時ノックしてんだ。
あの子小学生なのにしっかりしてんよね、ほんと。
『生徒会ってどんな仕事してっかよくわかんねいな。生徒会室入る時も確認案件じゃね?』
これは私の言葉。しっかりちゃんに肖ってしっかリップだ。わはは。
だからこんこんこん。彼女と同じ3回のノック。
放課後。場所は言うまでもねい。
マイガートルこと伯爵は保健室に置いて、今日はポスターが相棒ね。
#一恋・花束
#リップ・ハップ
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一恋・花束 2021年9月6日
(どんがらがっしゃん)
(ちょっと大きな音。数秒の沈黙。それから)
はいってどうぞーーーー!!!
(という声がした)
リップ・ハップ 2021年9月6日
……おーん。生徒会室ってどんがらがる場所なのか。いろいろやってんだねー。
お邪魔しまっすー。
(中からの許しを得、臆すことなく扉を開けて踏み込む)
ちょーっちお願い事があって来たんだけど、今お時間平気ですか。
一恋・花束 2021年9月6日
はいはいはいはいはいはい!
(棚の上から崩れかけたダンボールを、すぱぁんとひっぱたいて戻して)
えーっと白のクラスの、リップ・ハップちゃんでしたっけ?
どぞどぞ、今ちょうど暇になったところです。
リップ・ハップ 2021年9月6日
正に今、って感じ。ライブ感すごいね。
(ひと叩きで整えられた段ボールをちらと見て)
(その役職故に一方的に――お互いとなったが――顔と名前の一致する少女の顔に視線を戻す)
大正解。リップ・ハップだよ、かいちょ(会長)。
んっと、学園のあっちこっちにポスターを張り出したいのだけど、やっていいかどうかの許可もらいに来たんだ。
ほらクラスごとにシマ的なのあんじゃん?
方々の番長巡りするよりこっちなら一括かなーって。
(暇とあらば挨拶もそこそこに、早速用件を切り出した)
一恋・花束 2021年9月6日
あはは、会長というよりは団長と呼んでもらえると嬉しいんですけども。
(対して気にした風でもなく、お座りくださいと椅子を示して)
ポスター? あー、なるほどなるほど。
そうですね、そういうのは生徒会に言ってもらったほうが速いですし。
…………本来は広報の仕事なんですけどねこういうの!
じゃ、確認します――ちなみに何のポスターです?
リップ・ハップ 2021年9月6日
そ? じゃ次からね次から。
今のはNGシーン集的なのでエンドロールに流そ。あと水にも。
じゃーん。献血ポスター。
(ぱらーり。丸めた用紙を掲げ、広げて中を示す。ある緑のクラス生徒との合作……イラストの占める割合が多いため五分五分の合わせとは言い難いが、そんなポスターだ)
(ひょこっとその脇から顔を出し)
みんな献血しよ? みたいな。
こういうのあんだよ、ちょっと調べたりとかしてみねい? みたいな。
啓発系のポスターかな。
一恋・花束 2021年9月6日
あはは、流したので忘れちゃいましたし。
(ひらひら手を振って)
へー、献血のポスター。
(数秒、眺めてみる。モチーフがわかりやすく、デフォルメが的確で、意図が伝わりやすいという意味で良い出来だ)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
確かに、このご時世こそ必要なことですし、すごく良いことだと思いますし。
おっけーです、このコピー機つかっていいので、好きなだけ刷って迷惑にならない程度にべたべたはっちゃってください。
(生徒会室の隅に置かれた、複合コピー機まで歩いていって)
なんと光沢紙が使えるんですよこれ!
リップ・ハップ 2021年9月6日
(彼女の視線を追うようにポスターを見て、反応を窺うようにまた視線を戻し)
おん。話がはえい。
(許可もそうだが)
でしょでしょ。急に便利なことできるようになったけど、急にできなくなる可能性もありありだし。
人の手だけで何とかせにゃならん時もあるしね、きっと。
(その意義を説く必要も、彼女の反応を見るに無さそうで)
つやつやぴかぴかにグレードアップじゃん。やっべ、ポスター度ましまし。
(案内されるまま後に続く)
一恋・花束 2021年9月6日
学園……っていうか、新宿島の人数だと、常時備蓄ってわけには行かないかも知れませんけども。
(なにせ保存が効かないものなので――それこそ「血液を食べる種族」なんかがいたら、パラドクスで増やせるのかも知れないけど)
…………ちなみに、これは個人的な興味からの質問なんですけど
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
なんで献血のポスターを作ろう、と思ったんです?
いえ、物理的な意義はわかりますけど、なんで自分が動こうと?
リップ・ハップ 2021年9月6日
(ぱか。ぺた。ぱた……ん。pppp.)
おっ、これ縮小コピーすりゃ手配りチラシもいけそじゃねい?
そっちはぺら紙――、
(コピー開始のボタンを押して)
(後は機械任せ。問いかけに振り返る)
愛が広がってくとこ、見たいから。
あとそれに関われんのもまたとねい機会だし?
(考える様子はなく、平坦な表情と同じように淡々と答えた)
一恋・花束 2021年9月6日
あー、B5とかで印刷しちゃってもいいですよ。
やり方わかります?
(と言いながらも、既に動き始めたコピー機に、おお、なれてるな、と頷いて)
あい?
(一瞬、頭が言葉を変換できなかった、珍しいことに)
えっと、ラヴですか? えるおーぶいいーの愛?
リップ・ハップ 2021年9月6日
それ。うちのクラスの男子の話じゃねいよ。わはは
(らぶ。両手でハートの形を作ってらぶのポーズ)
自分のものを、見返りなく、見知らぬ誰かに捧げる。
献血ってさ、無償の愛なわけよ。
愛の名の元に捧げる血も、これもまた愛な。
ポスターにもハート、アピってたっしょ?
一恋・花束 2021年9月6日
ああ、あの無謀な男の子……。
(花束の中では、そうなっているらしい。実際、よく似てる)
(うちの弟にそっくりだ)
んー、ま、確かに。
ジュースとかお菓子とかもらえますけど、基本的には善意の行動ですもんね、献血。
(花束は、若干特殊な“血”故にやったことはなかったけれども)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
リップちゃんにとっては、献血が愛の象徴というわけですか。
(愛、愛、小さくつぶやいて)
ちなみに、他に「愛」にカテゴライズされる行動って、何だと思います?
リップ・ハップ 2021年9月6日
(こくりこくこく。善意の行動との言葉にたっぷり頷き)
象徴にすんなら血のが上かなー。
だからこそ献血推しっつか。ボランティアのポスターなんでも作ったりはしねいし。
(そう口にした、その上で)
例えばおっぱい。母乳。育児の、授乳の時のね。
あれさ、主成分血じゃん。自分の血を赤ちゃんにあげるわけよ。
お母さんの愛情で子供はすくすく育つなんて言うけどさ、そこにあんのは血なんだよね。愛をこめて、血をあげるわけ。
だからリップちゃん的にはドストライクで愛カテゴリ。
一恋・花束 2021年9月6日
ああ、わかりましたわかりました。
、、、、、、、、、、、、、、、
血を分け与える行為には愛があるってことなんですね。
リップ・ハップ 2021年9月6日
そーそ。そんな感じそんな感じ。
愛が物質的に存在するなら、それは血だってリップちゃんは思ってる。
愛を捧げんなら、その行為が愛以外の何ものなんだって話っしょ?
一恋・花束 2021年9月6日
愛とは、目に見えず、抽象的で、ふわっとしている概念ですけど。
リップちゃんは、形があると思ってるんですね。
自らの命を削って分け与える事ができる、唯一のものだから。
愛がなくては、それを捧げることは出来ないから。
――――――なるほど。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
…………どうりで、さっきからやかましく反応するわけですし。
リップ・ハップ 2021年9月6日
(こういうとこまで話はえいな、かいちだんちょ。セーフ。言ってねいからセーフ。)
(この手の話することが今まで無かったかと言われれば当然否。しかし経験したどれより段違いにスムーズに受け取られていて)
(脇見でコピーの状況を確認する余裕すらある)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年9月6日
おん? 何の話?
(そんなゆったりとした心持でいたためだろうか。一連の会話のどこから出てきたのか、流れの見えない彼女の発言に少しばかり呆けた)
一恋・花束 2021年9月6日
ああ、いえいえ、こちらの話で。
…………ちなみにリップちゃん。
この学園の生徒会には、七つの席があるのをご存知です?
リップ・ハップ 2021年9月6日
おー、ん。
(納得したような、そうでないような)
ざっくり、かにゃー。一個一個細かくまではしらねい。ほら誰もやってないやつとかあんじゃん?
そゆのまで知らなくても学園生活で困らねいし。
(実際今日も、生徒会騎士団長一人を知っていれば事が済みつつあるわけで)
一恋・花束 2021年9月6日
団長、副団長、書記、庶務、監査、広報、会計の七つですね。
ちなみに今埋まってるのは前者四つで、他は空席です。
なので花束は今すっごく困っています、なにせ番長のほうが生徒会より頭数が多いという自体なものでして。
リップ・ハップ 2021年9月6日
(監査。そんなのもあるんだ。)
(庶務が新しく任命されたことは、本人の演説もありしっかり覚えている。広報に人が居ないのも、先刻目の前の少女が口にしていた)
(会計はまああるだろうな。なるほど七つ。)
(右手の全てと左手の親指人差し指を折り)
うんうん。そいで私みたいに番長じゃない生徒の相手もしてくれて、だんちょはほんとお疲れ様じゃんね。
一恋・花束 2021年9月6日
で、それとは別に、生徒会騎士団に参加した生徒には、それぞれ七元徳――――人の善性を象徴する概念に対応した、特別なアイテムが与えられます。
花束は【知恵】、副団長……キナっちゃんは【正義】、書記のポーラちゃんは【節制】、最近参加したしとらちゃんは【勇気】です。
残っている座は【信仰】、【希望】そして――――――
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
――――【愛】です。
愛の概念を象徴する生徒が、この学園にはまだいないんです。
生徒会のメンバー選びは、基本花束に一任されてるんですけども…………
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
…………この概念の方が、生徒を求めてるのは初めてなんですよね。
生徒会室に入ってからずーっと、リップちゃん。
あなたに、【愛の座】が反応してるんです。
リップ・ハップ 2021年9月6日
(なんかややこしくなったな?? ぬーん。いーやこの際もっと知っとくかー。だんちょ直々の生徒会の広報、みていな。わはは。)
(ポスターについて快諾されたのだ、もともと袖にするような性格でもないが、愛想よく――平坦な顔だが、聞く)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年9月6日
(聞く。ノックした時のようにしっかりと)
おー……、ん。
さっき言ってたのはそれの事。
へー、
(聞いて導き出した結論は)
これどっかから勧誘に話変わったな?? 生徒会について知ってもらおうのコーナーじゃなかったな??
一恋・花束 2021年9月6日
はい。
リップ・ハップちゃん。
生徒会騎士団の広報となって。
愛について全校生徒に堂々と語り。
正々堂々正面から高らかに愛を募る。
そんな権利が欲しくないですか?
リップ・ハップ 2021年9月6日
(少女にとってその餌は――その直球且つ効果的な使い方も相まって、大層魅力的で)
欲しい。乗った。
(釣り糸を垂らすまでもなく、水中から魚が飛び出すが如く)
一恋・花束 2021年9月6日
話が早い!!!!!
もうちょい渋られるかと思ってましたし! 助かるんですけども!
リップ・ハップ 2021年9月6日
私もリターンは? とか聞く展開想像したけど聞く必要なかった。
だんちょの手腕じゃんね。わはは。
(無効票)
リップ・ハップ 2021年9月6日
愛の為なら、それでリップちゃんにゃ十分よ。
一恋・花束 2021年9月6日
あはは………………
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
――――それだけぶっ飛んでくれてるほうが、番長を相手にするには丁度いいです。
ついでに、世界を救うのにも。
(スカートのポケットから、小箱を取り出して)
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
……この中に、“愛”の座を司る装備、執煌武装が収められてます。
どんな形になるか、どんな効果があるかは、リップちゃんがどんな存在であるかに寄って決まります、サイズもこの箱に収まるとは限りません。
了承するならば、受け取ってください。
それをもって、正式に任命完了とします。
リップ・ハップ 2021年9月6日
わはは。私がぶっ飛んでんならスカウトしただんちょもぶっ飛んでるっちゅーことで。仲間仲間。
これ受け取って、
(もう一言)
リップ・ハップ 2021年9月6日
名実ともに。みていな。
(熱烈アピールしてくれちゃったのはこいつかー。なんて口にしながら箱を受け取る。仰々しさや恭しさは別段無く、いつも通り自然体の、マイペースな少女として)
よろしくね。だんちょ。仕事も頑張るよ。(愛を語るついで感)
一恋・花束 2021年9月6日
ありがとうございます、では、改めて。
白のクラス、リップ・ハップ。
あなたを正式に、生徒会騎士団広報として任命します。
基本、生徒会とか、各クラスから上がってきた連絡事項を皆に伝えたりする役割ですけど……必要だと思ったことを、生徒に伝える権利が、あなたにはあります。
(無効票)
一恋・花束 2021年9月6日
……例えば、献血のポスターを貼ったりね?
しとらちゃんみたいに、全校生徒の前で演説キメてもいいですけど、やります?
リップ・ハップ 2021年9月6日
(これはー、後で開けよう。サイズがどうとか、私の愛が生徒会室に収まるかわかんねっしなー。わはは。)
(好奇心に任せてちょっと振ってみたり、重さを感じて見たり、満足すればポケットに収めて)
いえーす。
(それそれ。と両手をピストルのようにして)
あー、ね。広報ってくらいだから自分の事も自分で広報しねいとな。
何か考えとくー。
一恋・花束 2021年9月6日
あとは、学園の代表として、恥ずかしい行為は慎むこと。
喧嘩売られたら倍返しにしてやる、ぐらいですかね。
でも、基本的に難しいことはなーんにもありません。
リップちゃんがリップちゃんでいれば、多分大丈夫だと思います。
花束が見る限り――――――
(もう一言)
一恋・花束 2021年9月6日
リップちゃんの愛は、なかなかに最強ですし。
リップ・ハップ 2021年9月6日
うん。うん。……あ、そ? そっか、じゃあ安心。
そのマスクは取りなさいとか後出しされてたら相談センター駆けこんじゃう所よ。
(多分大丈夫の言葉に肩の力を抜を抜く。マイペースとはいえ)
わはは。だんちょのお墨付き。気合入っちゃうぜ~。
一恋・花束 2021年9月6日
お顔は気になる所ですが、無理やり見ようとは思いませんし。
……じゃ、ちゃっちゃとコピーしちゃいましょうか。
生徒会の仲間になった以上、ビラ配りとポスター貼りも花束の仕事になりましたし!
リップ・ハップ 2021年9月6日
いつか御開帳される日を私も目指してっから、それまでのお楽しみってことで。
おん、いいの? ……ししし。じゃあありがたく力を借りちゃおうっかな。
ポスターの方はねー、多分これで枚数足りるから次はチラシの方だなー。
(そんなこんなでレザーマスクの少女は、早速広報としての仕事に取り掛かるのだった)