【個】水面、美玉に宵蛍
十桜・ひとめ 2023年9月8日
「夜の海を知らないの？」
「それなら、我が教えてあげる」
ひょんなことから生まれた約束。
その日はビーチ区画にて。
#十桜・ひとめ
#春叶・マユ
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春叶・マユ 2023年9月8日
や、やっぱり夜のこの雰囲気ってすごいなぁ……
（夏漣祭では夜間に各区画がナイトプール仕様になります。）
（去年も一応プール区画のナイトプールには行ったのですが、あまりに場違いな感じがしていたのをよく覚えてます。）
（そして今日、私は夜のビーチ区画にいます。）
春叶・マユ 2023年9月8日
夜のビーチ区画って、ある意味プール以上かも……
今年はもしかしたらッて思ってたけど……やっぱり全然慣れない……！
（すごく大人でムーディな雰囲気に、早くも萎縮しておりました。）
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
（そんな縮こまっている少女の後ろから）
（ひらりと、夏に感じるはずのない春の香り）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
来たのね、マユ。
（馴染みのある声と、馴染みのない立ち姿）
（羽衣のように薄布を纏う姿は、水着というよりもまるで踊り子のようで）
（普段では見ることのないところまで晒された肌は、月明かりに照らされて煌めいていた）
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春叶・マユ 2023年9月8日
あ……
（気後れしていたところで耳に届いた聞き覚えのある声と、春の香り）
（ちょっぴり不安だった心が和らいで、くるりと振り返ります）
来てくれたんですね、ひとめさ――
春叶・マユ 2023年9月8日
わぁ……！
（振り向いたその先にいた、ひとめさんの姿に思わず息を飲んでしまいます。）
（まるで物語の中から出てきたような踊り子さんのような姿が、月の下で煌めいて一層現実離れしたような美しさになって、目の前に立っているのですから。）
ひ、ひとめさん……ですよね？
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
ふふ、それ以外の何に見えると言うの？
（少し意地の悪い言い方をしながら、ひらり、ふわりとその場で回って見せた）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
……そういうあなたこそ。
とっても可愛い水着を用意したのね、本当に可愛いわ。
（まじまじと、遠慮もなく上から下までじっくりと見つめて）
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春叶・マユ 2023年9月8日
で、ですよね……！
えと……その……あんまり綺麗だったから……
（目の前のひとめさんに見惚れてしまって、うまく言葉が出て来ません）
（ふわりと回る姿は踊り子というよりも天女さんと言った方がピッタリな気がするくらい、とっても綺麗で……）
春叶・マユ 2023年9月8日
え……あ、ありがとうございます……！
（褒められて、やっと我に返りました。）
私もこれ、すごくお気に入りで……！えへへ……
（じっくり見られるのはちょっとくすぐったい感じですが、ひとめさんに褒めてもらえるのが嬉しくてこちらもくるりとその場で回ってみたりしちゃいます。）
あ、でもナイトプールの雰囲気にはやっぱり、ちょっと合わないでしょうか……？
（今まさに夜にばっちり似合うひとめさんを見てしまったので猶更そう思ってしまいました。）
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
ええ、ええ！
とっても……とっても素敵。
自分で選んだの？
（この水着を選んだ、という事実がまた可愛らしくて。にこにこと微笑んで）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
────マユ。あなた、わかってないの？
（気持ちから、周りを見れていないのだろうと少女は思いました）
（だって、声をかける前から彼女への視線は少なくなかったから）
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春叶・マユ 2023年9月8日
えっと、一応、はいっ……！
この前友達と一緒に買いに行って、色々探しながら選びました……！
（聞かれれば、それはそれは嬉しそうに答えます。）
（それくらいお気に入りで、褒めてもらえて嬉しい人だから。）
春叶・マユ 2023年9月8日
……え？
何が、ですか……？
（何を言われているのかいまいちピンと来なくて首を傾げます。）
（推察通り、周囲の視線なんてまるで気付いていなくて、気にする余裕も無かったからです。）
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
……そう。だからそんなに素敵なのね。
（嬉しそうに話す彼女に、笑みを深めて）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
………………………そうね。そう──────
（ふわりと、彼女に歩み寄りながら少しばかり周囲を見遣る）
（こちらの様子をちらちらと伺っていた、目の合った者たちが頬を染めていくのを目の端に）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
こんなに可愛らしいあなたを、我は手放しには出来ないの。
（お互いの体が密着するほどの距離に体を寄せると、その掌を重ねました）
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春叶・マユ 2023年9月8日
えへへ……（てれてれ）
ひとめさんの水着は……やっぱりオーダーメイドとか、なんでしょうか。
（とても市販されているようには見えなくて、すごい仕立て屋さんがいるんじゃないかと思ってしまいます）
春叶・マユ 2023年9月8日
え、あの……
（寄って来るひとめさんを見たままその場から動かず）
（けどどうして寄って来るのか分からないまま、？を浮かべて）
春叶・マユ 2023年9月8日
……っ！？！？！？
ひひ、ひとめさん……！？
（密着されて、掌を重ねられてしまいました……！！）
あのあの……これは、ど、どういう……！？
（びっくりして、そしてどきどきして、まったく身動き取れません。）
（一体私の身に何が起きているんでしょう……！）
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
（重ねた掌を、少しずつ指を絡ませて）
（きゅ、とその細い指先で柔らかく握って）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
ねえ、踊りましょう。マユ。
あの輝かしい星空に。あなたを刻みましょう。
（あなたよりも、少し低い位置からあなたを見上げて）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
（絡ませたその手を、ほんの僅かに引きました）
（まるで重力なんて感じさせない動き。それに釣られるかのように、あなたの体もきっと同じように動く）
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春叶・マユ 2023年9月8日
はわ……はわわ……
（自分でも顔が真っ赤になっていくのが分かります）
（ひとめさんの指が少しずつ絡んできて、やさしく握られて……）
（ひとめさんの体温が……感触が……）
春叶・マユ 2023年9月8日
……お、踊り……？
（見上げてくるその瞳に吸い込まれそうになりながら、辛うじて聞き返しました。）
（でもその答えが返ってくる前に――）
春叶・マユ 2023年9月8日
あ……
（絡めた手を引かれて、それまで身動きできなかったのがウソのようになめらかに、ひとめさんと一緒に体が動きます。）
す、すごい……私今、ひとめさんと踊ってる……
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
ふふ、上手よ。マユ。
（見目麗しい、妖精のような少女。それに誘われるように踊る少女）
（まるで御伽噺の一幕。その再現を思わせる光景）
（様子を伺うように見ていた人々も、すっかりこちらに見惚れ呆けた顔をしていました）
十桜・ひとめ 2023年9月8日
──────ねえ、見える？
これが、我の言っていた意味。
（くるくると回る度に、必然的に周りの景色が目に入ることだろう）
（その視線は、自らが美しいと自覚的な少女に向けたものだけではないと）
（わかるでしょう、マユ）
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春叶・マユ 2023年9月8日
ひとめさんのリードが上手だから……
（まるで夢心地。）
（さっきまでいた場所とはまるで別世界のような……いえ、自分がひとめさんのいるこの場所に溶け込めたというような、確かな高揚感。）
（誘われるままに、身を任せるように）
春叶・マユ 2023年9月8日
え――
（問われて、そこに見えたのは）
（自分たちに注がれる視線……この場にいる誰もが目を撃バレている様子）
（ひとめさんにだけじゃなく……）
春叶・マユ 2023年9月8日
わ、わ……
私、こんなに見られて……！？
（理解してしまえば、さっきとは違う意味でうろたえてしまいます）
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十桜・ひとめ 2023年9月8日
（ころころと表情の変わる彼女の顔に。楽しそうに、微笑ましそうに顔を綻ばせて）
ええ、ええ。そうよ、マユ。
あなたも、我も。
今、この世界の中心にいるの。
十桜・ひとめ 2023年9月8日
今のあなたがこの場に似合わないなんて、とんでもないわ。
（踊りながら、今度は真っ直ぐにマユを見つめて）
確かに、太陽によく照らされている場所に相応しい格好だと思うわ。
あなたは、きっとそれが似合うもの。
十桜・ひとめ 2023年9月8日
──────でもね。
陽の似合うあなたが、夜に現れると。
よく目立って……つい、見惚れてしまうのよ。
そうね…………暗夜に誘う、蛍のように。
可愛らしい、温かな光をあなたは宿しているもの。
十桜・ひとめ 2023年9月8日
だから────恐れないで。怯えないで。
胸を張って、マユ。
あの子たちの目に映るあなたは、何者にも負けない輝き。
今は、あなたのものよ。全部。
十桜・ひとめ 2023年9月8日
──────それにね、マユ。
あなたと今、踊っているのは。
この我なのよ。
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春叶・マユ 2023年9月8日
私に……見惚れる……
（そんなことが、と思ってしまう言葉。）
（いえ……今までいろんな人に褒めてもらうたびに、もしかしたら、と思いながらも自分の中で自信を持ちきれなかった言葉……）
春叶・マユ 2023年9月9日
（でも、それを言葉を尽くして、行動で示して、こんなにも力強く肯定して伝えてくれる人がいる……）
本当に、私を見てるんですね……
私が、この場所で輝いているから……
春叶・マユ 2023年9月9日
……ふふ。
そうですね、私と踊ってくれているのはひとめさん……
一歩引いたままなんて失礼なくらい素敵な人……
（握っていた手をクッと引き寄せて）
（自分でも驚くくらい自然に、ひとめさんとぴったりくっついて）
また、元気づけられちゃいました。
おかげで私、ここでもちゃんと胸を張れそうです。
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年9月9日
まあ────！
（ぴったりとくっついたこと、そんな状態にしてくれたことに心底嬉しそうな微笑みを浮かべて）
十桜・ひとめ 2023年9月9日
ええ、ええ！そうよ、マユ！
そうしているあなたが、我は好き。
十桜・ひとめ 2023年9月9日
好きな子にも、そうして堂々と在れるといいわね。
（なんて、少し悪戯っぽい笑みで見上げて）
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春叶・マユ 2023年9月9日
えへへ……これもひとめさんのおかげ、ですね。
（胸を張れる……まだいつでもというわけじゃないけど、今は確かに、できています。）
（ただ……それでも緊張はしちゃっています。）
（ずっとずっとドキドキしていて……きっとひとめさんにも、伝わっちゃっています）
春叶・マユ 2023年9月9日
はぇ……！？（「はい」と「えぇ！？」が混ざった声）
す、好きな子なんてそんな……
まだそういうのは私には……！？
（不意の話題にまたもや顔を赤くしてしまいました）
(。)
十桜・ひとめ 2023年9月9日
ふふふっ！そんな卑下しないでいいのよ、マユ。
あなたにも恋バナの欠片の一つや二つあるんじゃないかしら。
（やっぱり、この子は本当に可愛い子。愛おしくて、つい揶揄ってしまう）
十桜・ひとめ 2023年9月9日
（楽しい、愉しい月夜の舞踏会）
（踊り手はあなたとわたし、二人だけ）
（乙女の内緒話を、波音に紛れさせて）
(。)
