【個】緑白領域
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
まるで嵐の前かのように、その日は風がなかった。
普段なら部活や自主練で賑わう放課後にも関わらず、グラウンドにはふたりを除いて影はない。
事前に取り決められていたのか、本能がそれを選んだか、はたまた──。
💪戦場💪
第一グラウンド
ある日の放課後
💚書き込み可能🤍
〝森羅番長〟クリスタ・コルトハード
〝腕白番長〟ミーレ・ベルンシュタイン
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3
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
（足から伝わる、感触の違い。抵抗する肉体を、その力で砕いたときのものではない。だがそれでも、ミーレの腕はひしゃげて、その身体は仰け反った）
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
（────はずだった）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
ッ！？
（目の前で起こった出来事に、目を見開いた。仰け反ったはずのミーレが、戻ってきた。吹き飛んだときと全く同じように、だ。）
ﾊﾟﾗﾄﾞｸｽ
これが、ミーレ様の、異能……ッ！
（蹴りを放った姿勢のまま、動けない。前にも後ろにも、先ほどのように回転で軸をずらすこともできない。ミーレの両掌が、クリスタの胸へと直撃した）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
（人外の膂力から繰り出される蹴りの、勢いをそのまま返した双掌打。直撃を受けたクリスタの身体は、ふわりと浮かびあがり、一瞬遅れて凄まじい勢いで吹き飛ぶ。弾丸のように地面に激突すると、轟音と共に土煙があがった）
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
ﾏｷﾞｰ
魔術、と呼んで頂きたいですわ？ ええ、巻き戻したり――
（微笑。残心の間もなく、何かもう一言、囁くと）
（その場から、消えて）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
早めたり。
（まるで、最初からそこで待ち受けていたかのように）
（吹き飛んだ先に「先回り」したミーレが、地面に激突し、弾んだクリスタの体に向けて、全体重をかけたサッカーボールキックを振り抜いた）
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
（地面に大きく叩きつけられ、跳ね上がるように立ち上がったクリスタの背後から聞こえた少女の声。目を見開いて、地面に右手を着く。ブレーキと軸を兼ねたその右手を中心に身体を回し、ミーレの蹴りに、蹴りを合わせた）
……なるほど、なるほど。刻を操る魔術。大したものですね
ええ、それはもう厄介です
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クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
（ばねのように跳ねて起き上がると、メイド服に着いた土を軽く払う）
まさか俺の力もそのまま打撃に応用してくるとは。ふふふ、俺じゃなければ身体が粉々だったかもしれませんね
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
おぉっと……！？（渾身の蹴りに、当然のように不自然な体勢から合わせられた蹴り。予想外の衝撃に反発する体。弾かれた体が、今度は巻き戻ったりすることもなく、ふわりと着地して）
……わたくしでなければ粉々になっていた力を、遠慮なく返したつもりだったのですけれどね？
（これは、治した――のではなくて）（そもそも効いていない？）
（びりびりと痺れる足を軽く振って、損傷を巻き戻し）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（魔力障壁）（頑丈な皮）（いえ……この感触は）
……まさかそれも、純粋な筋密度ですの？（半信半疑。呆れたような声を漏らした）
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
ええ、まあ
（常人の50倍の筋密度、常人の3倍の体重。クリスタの身体にダメージを与えることは、まともな打撃では不可能だ。首に手を添えると、関節を鳴らして）
単純な再生ではなく時間の逆行が相手では再生力が追いつかなくなるまで砕き続けるというわけにも行きませんし……、一撃で意識を飛ばすにはミーレ様の技量が高い。どうやら、この調子ではしばらく終わりそうにありませんね
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
いえ、いえ。
流石に壊し続ければ止まりますわよ、いつかは。わたくしとて人。魔力は無限ではありませんもの。（苦笑気味に認め、）
――けれど、それは緑ちゃんとて同じこと、でしょう。（くすりと、笑って）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
いずれにせよ、ええ。
どちらかが根を上げるまで根比べというのは煩わしい。お互い、望ましくない。
（――ということ、ですわね？ と、笑って）
（拳を持ち上げ。緩く握って）
（初めて、「構え」らしきものを取った）
クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
流石、ミーレ様。察しが良いのか、それとも俺と考えが近いのか……
（両手は自然に開いて前に。腰を落として、低く構える。自分よりもいくらか背の低いミーレよりもさらに下を取るように。現代の人間でなくても見聞きしたことはあるだろう。紀元前数百年、古代ギリシャより続く格闘技──レスリングの構えだ）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月30日
では、決着と参りましょう……ッ！
（そう口にすると共に、地を駆けた。低く、鋭く、そして誰よりも重いタックルが、ミーレの膝下へと向けられた）
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（――コォ、と。言葉を返すことなく、異様に大きな、呼気が響いた）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（加速しての接近、特に再びの回り込み。警戒しないわけはないだろう。むしろ、狙われているのではないか、と感じる。気のせいでなければ、一度背後を取られたことへの苛立ちめいた感情も）
（察しが良い、が正解だろう。あらゆる“流れ”を掴み、観察することが、魔術師としてのミーレの才）
（だからこそ――使わない。元より、加速したまま殴れない以上、アレで威力は水増せない。今必要なのは防御を抜く重い一撃。「技」だ）
・
（故に呼気に集中し、大気中の気を取り入れる）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（想像ですけれど――多分、こういう流派だと思いますのよね）
（地を踏みしめる歩法と、大気中のマナを取り入れる呼吸）
（二種の異なる技法が交わる、「彼」の技の果てを夢想する）
（さて、自由に魔術の使えぬ現状、取り入れたマナをどう使おう）
（異様に丈夫な体を撃ち抜くために適した技は――）
（――ああ、そうだ。昨日の黄ぃちゃんを、形ばかり真似てみよう）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（ばちりと。生体電流を異常に賦活された右腕が、１秒にも満たない間、眩いばかりの電撃を帯びて）
・・・・・ ・・・
見様見真似・螺月流。
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月30日
（応じるように、身を低く）
（タックルを、更に下から刈り取り迎撃するように、顎を目掛けて放たれる、雷光と化したショートアッパー）
（その技の名を――世界と時代が違えば。
人は、サイキック〝抗雷撃〟と呼んだ）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（突如、眼前に走る雷光。本来のミーレの能力ではないことは、明らかだった）
──ッ！
（低い姿勢と、顎に向けて更に下から伸びてくる拳。タックルはすでに止められないほどの加速をつけていた）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（ミーレの拳がクリスタの顎へと直撃した瞬間、迸るスパーク。完全に入った、そう感じる手応えだっただろう。クリスタの顎が、上に弾かれて上半身ごと仰け反る）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（そして網膜に焼き付いた雷光が晴れる頃に）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（白い髪の向こうで、ぎらぎらと滾るふたつの赤い瞳が）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（ミーレを見つめていた）
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
――――、……
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（武術家めいた残心はなく。撃ち抜いた、微かに焼けた拳を引きながら）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（血のように赤い、ふたつの瞳が――愉しげに細められ）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（クリスタを、見た）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
───もし
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
もし、この技が、練達されたものだったら、今の一撃で俺は気を失っていたでしょう
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（食いしばった歯の隙間から、熱い息が漏れる。引いていくミーレの腕を掴み、外側へと捻る）
（同時に自身は背後へと回り込み、片腕をミーレの首へとかけた）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（怪力が、重量が、最も活きる技とはなにか。十分な加速距離を取れる打撃技でも、重量そのものが力になる投げ技でもない。一度極まれば一切の加速距離もなくただ力を比べることになる、関節技である）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（衣服や武器も使わず、腕で直接頚動脈を圧迫する裸絞。それが、この少女の意識を刈り取るのに、最も適していると判断したのだ）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
これなら、力は返せませんね……！
（万力の如き腕力で、少女の細い首を圧迫した）
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（明らかに――マズ、という顔をした）
（紛れもなく渾身の一撃。早撃ちの如く打ち込んだ、「飛ばす」つもりのそれ。当然の帰結として生まれる隙）
（それでも。普段ならば、そう容易くは組ませなかっただろう、が）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（――腕を外そうと動きかけた途端、ひゅ、と息が詰まる。慣れぬ呼吸を、修練の土壌なく、それでも十全過ぎるほどに再現できてしまい、大量の酸素を取り入れた反動。といってもそれは、一瞬にも満たない動きの遅滞であったが）
（これもまた、「練達せぬ技」に頼ったツケであり――この領域の攻防においては、致命的な隙）
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（そして、正しい対処だ。「加速したまま殴れない」のと同様、拘束は外せない。常人ならばまだしも、膂力・タフネス共に圧倒的なクリスタの絞めを外す術は、なく――――）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（そのまま数秒、緊張が続く。何秒、何十秒、絞めているのかもわからなくなった頃に──実際のところ、ほんの数秒だったが──ミーレから強い抵抗が無いことに気付いたクリスタは、腕の力を緩めた）
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クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
…………よろしいですか？ ミーレ様
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
――――、……けほっ
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ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
…………ええ。
これは、わたくしの負けですわね（もたれかかるように力を抜いたまま。バツが悪げに、頷いた）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
（グラウンドに座り込むと、胸にもたれかからせたまま座らせて）
ふふ、ふふふ。刻逆からこちら、本気になったのはミーレ様が初めてですよ。
(、)
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
俺の初めて……どうでしたか？
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（動けないわけでもなさそうだが、おとなしく身体を預け。くすくすと笑い）
ええ、――とっても素敵な体。堪能させていただきましたとも。
ガッカリされていなければ、良かったですわ？
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
流石は腕白番長、といったところでした。
そういえば、あの最後に使った技ってなんだったんですか？
なんだかセンスのみで使ってて最適化が済んでないような技でしたけど……
（なんて言いながら、髪を撫でる）
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
ああ〜……あれは、アイちゃんの真似ですわ。想像で補完しちゃったので、結構ディテールが変わってるかもしれませんけれど。
わたくし、重い技があまりないので、試してみたのですけど――そのあたりは、素直に課題ですわね。……誰かさんを見習って、使っても良かったかもしれません。（くすりと笑って。髪を撫でる手に逆らわず、自分からも頭を寄せた。つん、と丁度指先に当たるだろう――白い、結晶）
(、)
ミーレ・ベルンシュタイン 2021年8月31日
（なんて、戦いを振り返ったり）
（「お腹空いてません？ 今日のご飯、何作りましょうか」なんて笑ってみせたり）
（そんな話をして）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
へえ、亜唯様の。ご本人ならもっと強く打てるのでしょうかねぇ
（くすくすと微笑んで）
今日はドイツ風がいいですね
すっごく空いたので、いつもよりたくさん作ってくださいね。荷物は俺が持ちますから
（なんて、先程まで死闘を繰り広げていたとは思えないほど穏やかな時間が流れていくのだった）
クリスタ・コルトハード 2021年8月31日
【緑のクラス、薬品庫を獲得】
