【個】賽は投げられる
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
錠剤二つと、頼れる友達。
わっちが呪いに対抗するために用意したもの。
*Location
放課後 晴れ
研究室
*Talk
#十埼・竜
#虚ヶ谷・ワチカ
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十埼・竜 2023年6月26日
(深呼吸)(二度、瞬いて)
いいよ。
はじめて。
(すっと、静かになる。)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
そうゆう事。幽霊の正体見たり、っていう感じですよ!
(抜くのも切るのも自在という意味で)
……。よし。
(少し静止したのは、今の己の状態を示す必要があったからだ)
(脈拍は少し早い。体温は正常に少し暖かい。特に体に異常があるようには見受けられない。 今は。)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
いきます。
(カプセルを口に放り込み……ぐくん、と喉を上下させて飲み込んだ)
(数秒経って、一瞬で)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(―――ぶわっ!!)
(少女の体内に、「黒」が生まれた)
(其れ等は見えない粒が集まった霧のようになって、少女の体内に満ちている)
(心拍数が上がっていく。発汗がある。)
……ッ、……あ、うあ、……!!
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
……くる、……しい、なあ……!!
(笑っているような声色だった。其れで良かったからだ。想定通りの苦しみだ。息が上がって、体中が心臓になったみたいに鼓動がばくばくして、)
……ッ…!!
(そうして、最後の調薬が一つ完成する。立ち上がるとふらふらと一つ目の機械に向かって歩いて、)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
う、あ、
(机の上から乱雑に瓶を一つ取り、錠剤を最後のピースとして機械に入れ。そうして最初の機械の製薬ボタンを押す)
……はあっ、……あ、あ…
(息が苦しい。出来ない程ではない。だが、これでもう少し苦痛は緩和される筈だ)
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
(今のぼくには、超常が現実に起こす漣も聴こえている。)
(きみが薬を飲み下すなり、“それ”が羽虫が湧きたつみたいなノイズを立ててきみの身体をいっぱいにしているのも)
(きみの身体があげている悲鳴も)
(きみの呼吸も)
十埼・竜 2023年6月26日
……
(大丈夫か、と声をかけて、きみの気を散らすのは躊躇った)
(大丈夫なわけがないのに、きみはきっと大丈夫だって言ってしまうから)
(よろよろと歩くきみが転ばないように、すぐそばに控える)
……もうすぐ、終わるから。
(小さな声を、そこに添えて。)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(がしゃんと硝子の窓が閉まって、ういんういんと音を立てて製薬が始まる)
……これ、っ、で、……次の人は、…くるしく、ない。
だいぶ、緩和される、はず。
(直ぐ傍に誰かがいる。其れだけで、わっちは何よりも心強かった。一人ぼっちで己の限界を試し続けたあの日よりも苦しい筈なのに、あの日よりも安心感を感じている)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(ノイズのような黒い粒子の“ソレ”は、急速に収束し始めていた。丁度胸の真ん中……心臓から少しずれて上あたりだ。)
……次、の。
錠剤……かして、
(そう、どちらかといえばこちらが問題だ。痛みは出来るだけ緩和したいが、何処まで抑えられるか)
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
そう。
そうだね。
……きみは、よくやってるよ。
(そばで、頷いて)
十埼・竜 2023年6月26日
(次)
(は、桃色の)
(シャーレの中から錠剤をひったくる、ついでに)
(冷たいメスも握り込んで)
十埼・竜 2023年6月26日
はい!
(薬を、きみの前に差し出した)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
――……
(目の前が霞むのは)
(涙ではなく、目眩のせいだ)
……。ごめんね…
きみに、あまえて、ばっかり…だね…
(君に苦しい思いさせてばっかりだ)
(でもね)
(わっち、初めて……今度こそ人を助ける薬を作ったんだよ)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
こんどこそ……
たすける、毒を…つくるんだ…
(薬を震える手で受け取ると、落とさないように両手で口の中に入れる。がりっ、と噛み砕いて。がり、がり、がり。苦しさを逃がすように何度か咀嚼し)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(この薬は、麻酔を使える)
(そう悟った其の瞬間)
あ、……あ、あああ!!
うあっ、あ! いっ、あ、ああぁっ、痛……!!!
(痛みに耐えかねて、夏服のボタンを引き千切るように膚を晒す)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(肌が黒ずんでいた)
(正確には真っ黒になっていた。胸元、ど真ん中だ。其処から黒ずみが根を張るように広がっていて……其の中心が、ぷくり、と膨らむ)
(同時に)
(其の身体が“すかすかになっていく”)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(体組織を用いて「病巣」を作る)
(其れはつまり、正常な体を構築していた細胞が、病巣に使われるという事だ)
(奪われれば減る。病巣にはぎっちりと黒い組織が集まって、其の代わりに、肉体の他の処は穴あきチーズ宜しく体組織が減っていく)
(はく、と空気を求めて唇が動く)
(黒い膚に、一つ、芽のようなものが生まれた。其れは瞬く間に双葉になり、茎をのばし――――)
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
何言ってんだよその為に僕が来たんだろ!!
(二つ目の薬)
(これは痛みを伴う、と――――)
十埼・竜 2023年6月26日
(――――暴かれた服の下は、全く別の病のようだった)
(露わな胸元から枝分かれして伸びる、黒い……痣?)
(皮膚の下を這う根が、耳障りな“ノイズ”をたてて)
……っ!?
(まずい)(まずいんじゃないのか!?)
(この規模と速度で)
、、、、、、、、、
(きみが喰われているのは)
十埼・竜 2023年6月26日
(唇の動きを見て、きみの身体を真正面から抱きかかえるように支える)
(何か言おうとした?)
(目の前の胸元から、それこそ土が盛り上がって芽吹いて)
……なんだ、これ
(何かが育っていく)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
……それ、でも。
(それでも、だ)
(君に甘えて、君に押し付ける事には――変わりないのだから)
(枯れた大地のような膚に花咲くのは、一輪の真っ黒なスズランだった。花が蕾み、開いて、鈴なりに咲き誇る。……そう。この薬は痛みを伴って、呪いという厄災を植物へと変えてしまう薬。――けれど、わっちには言わなきゃいけない事が、)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
みっつ、……おねがい、して、いい?
(返事を聴いている暇はない。食われた己の身体は休眠を求め始めている、)
(ああ、痛みが遠のいていく)
ひとつめ、ね?
……机の上、に。桃色の液体が、入った、スポイトが…ある。
其れを――薬剤に、……3滴。……あと、この薬には――麻酔が。つかえる。つかって、あげて。
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
……それから、
…これ、抜くか、切って……くれる…?
これが、……呪い、だから…
(ぐったりと君の腕に身体を預けている。痛みに対抗した結果、体力を大きく消耗してしまったし……体の内部はきっとボロボロだ)
(スズランは咲いたところで成長を止めていた。体組織が其れ以上搾取される事はなくなったが、生成途中で“食われた”量がいかんせん多い)
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
(触れるだけで黒が移りそうな、完璧なスズランの影絵)
(きみが話すために肺を膨らませれば)
(花は、腹立たしいくらいに儚く揺れた。)
十埼・竜 2023年6月26日
(朦朧とし始めた声に)わかった。(短く答えてさっと振り返る。液体。スポイト。あれか)
…………抜くか、切る……
(白い肌の下の黒い根)
(本当に草なら、上を切ったところでまた生える。だから抜いてしまうのが最善だ)
(ただでさえ心身共に消耗した、きみの身体にかかる負担は?)
十埼・竜 2023年6月26日
(聴こえている。その身体の、頼りない密度も)
(けれどディアボロスは常人なら耐えられない欠損でも生き延びるし、死に至っても海から蘇る)
(グロテスクな頑丈論。)
(メスを、握りしめた。)
十埼・竜 2023年6月26日
ごめん。
(これ以上きみに負担をかけられない。この決断を、きみは呪ってくれていい)
(きみの肌を傷つけないギリギリで、黒い花の根元にメスを入れた)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(わっちが大人になれないみたいに)
(きみだって、大人じゃない)
……だいじょうぶ。
(手を伸ばして、……君に触れようかと思ったが、君はメスを持っていたのでやめた。狙いをずらさないようにだ)
だいじょうぶだよ。
君は、――今日はいつだって、正しいよ。
(大人じゃないから)
(だから言える一言がある。正しさを求める大人には、こんな一言は言えないだろう)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(花となって結実した其の殆どに、呪いの黒は込められている)
(だから根が少しくらい残ったからって、気にならないし)
(其れに、最初に言ったっしょ。どういう風に呪いが動くか判ってしまえばこっちのモンだって。アレ、本音だったんだよ)
謝らないで、……大丈夫、大丈夫だから。
……こっちこそ、……
(きみより先輩だからね、わっちは今日は泣かないよ。……そっときみのメス持つ手に己の手を添えた。ああ、ごめん。今は手が冷え切ってるみたいだ)
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
(なんでぼくが励まされてる側なんだよ)
(……多分、また、そういう顔をしてるんだろうな)
(クソ。)
十埼・竜 2023年6月26日
(冷たい手が後押しするみたいに)
(肉を裂くための刃は、あっさりと黒い茎を断ち切った)
…………ね。
(きみに、声をかける)
とれた。
だから。
もう、だいじょうぶ、だから。
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(ばら)
(ばら、ばら、ばらばら……)
(断たれた花は急速に、枯れるというより朽ちていく。ぼろぼろと崩れていく其れを見て、――わっちは深く息を吸って、吐いた。)
…うん。
(頷いて、)
とれた。
………。
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
、、、、
るーくん。
(名を呼んでも――何も、起こらない)
(もう、何も起こらないのだ)
あのね。
……さいごの、おねがい。ね。
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
あの子を。
【7】ちゃんを。たすけてあげて。
(君のメスを持った手を、両手で握る。もう握るというより添えるに近いけれど、)
…あのこを、…早く、…たすけてあげて。
あのこはきっと――わっちのくすりを。まってるから。
ね、……るーくんにしか、おねがい、できないから。
(無効票)
十埼・竜 2023年6月26日
(冷たい両手が、ひやりとぼくの手を包んで)
わかってる。
(最後って言うなよ縁起でもない)
わかってるよ、ワチカちゃん。
(いくらでもまた面倒事吹っ掛けてきていいんだ)
(力が抜けていくその冷たい手を、掴み直す)
十埼・竜 2023年6月26日
(きみがちゃんと見えるように、顔を覗き込む)
ぼくに、任せろ。
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(きみは、優しいから)
(わっちはまた甘えて、またいつか、君に迷惑かけたり、怒らせたり、イラつかせたりすることがあるんだろう)
(でもね、許して欲しい)
(きみの事お兄ちゃんみたいだ、って思ってるから。……なんて言ったら、「僕の方が年下だろ」ってきみは言うのかな)
――……うん。
かならずね、
かならず、だよ。
(思ったよりべそっかきな声が出た。目を閉じるのが怖い。このまま意識を失ってしまうのが怖い。本当は怖くて堪らない、けど)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(涸れた膚に君が触れる。君の青い瞳は、こんな時でも何処までも透き通っていた)
――……。
(初めてわっちは、ぐっと下唇に力を入れた。泣かないって、決めたんだもん)
……まか、せる。
…任せるよ、……るーくん。
……あとは、…あー…
(みっつって言ったのにね。わっちは閉じていく瞼に抗うように、何かないかなって探る。そうして、手に触れたのは)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
かなで、くん。
そう、
……。
わっちのこと、も、
かわいいって、
もっとゆって、って……
(子守歌はない。けれど、緩やかに瞼が綴じられ)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
(あの人に)
(あの人に)
(あの人に)
(未練ばかりが重なりながら、わっちは緩やかに、眠りに就くのだった)
(。)
十埼・竜 2023年6月26日
……言っとけ言っとけ、この際だから三つと言わずどんどん……
(泣き出しそうな顔に、微笑みかけて)
十埼・竜 2023年6月26日
……?
十埼・竜 2023年6月26日
…………………………。
十埼・竜 2023年6月26日
…………???
えっ待って奏くんに可愛いって言われたいってどういう要求……
(それはぼくの知ってるあいつ?)
(いやそこ知り合いだったんだ???)
十埼・竜 2023年6月26日
………………(寝た!!!!)
十埼・竜 2023年6月26日
(いやいやいや)
(それはまたあとで)
(耳をすませる。脳波は安定、ついでに充満していた呪いのノイズも全く聴き取れない)
……とりあえず保健室、エンデさんいないかなあ……!
(内線に相乗り、保健室に一報呼び出し入れてから)
十埼・竜 2023年6月26日
(きみをゆっくり横たわらせて、)
(立ち上がる。)
(機械が新たに生み出した、黄色と黒のカプセル。)
(桃色の錠剤には、言われた通りに液体を。)
(慣れた動きみたいに、手は震えもしない。)
十埼・竜 2023年6月26日
必ず。
(二つの薬を確保して)
きみの無茶を、無駄にはしないから。
(。)
虚ヶ谷・ワチカ 2023年6月26日
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