【個】蒼い海と白い鯨と
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
ある放課後、まだ日の高い新宿島の海辺。
本日のフィールドワークということで釣り糸を垂らす「青の番長」の後ろから、近付いてきたのは――。
#ルクス・アクアボトル
#竜城・陸
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竜城・陸 2021年8月28日
想像がつかない世界だけれどね――人が乗って生活できるような船なんて。
(精々が、ロングシップ、だとか呼ばれる単純なつくりの船くらいで。長い航海に耐えるものではなかったし)
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竜城・陸 2021年8月28日
――――。
(耳元へ寄せた頬に、微かなしびれ、のような――弱い電流が走るような感覚を、彼女は覚えたかもしれないし)
(覗き込んだなら、僅かばかり、男の口元が緊張したように引き結ばれたのも見えたかもしれない)
……見ての通り、今日はまだあまり。
まあ、あぶれてもさして問題がないと言えば、そうなのだけれど――
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(くす、と笑う、鼻に抜けるような、微かな笑い声。離れていたら届かないだろうそんな笑みも、間近な音として届いて)
こちらでは、逆に時代錯誤だけれどね。道楽な親の横好き。
魔術も科学も贅沢に使って、船を走らせて異国を渡る……そんな、暮らし。
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(その微かな反応に、気付いているのかいないのか。声色も、中腰の不自然な体勢で、触れそうなほど近い距離も変わらない)
(声の大きさも、囁くような、小さなそれのまま)
あら、ざぁんねん。
いつもは、何が釣れるの? 完全に東京湾のまま――でも、ないわよね。
竜城・陸 2021年8月28日
そういうのを浪漫、というのだろう? 晴が言っていたよ。
それに聞く方からしてみれば、そういう暮らしも楽しそうに思える。
(吐息の音まで聴こえそうな距離が、落ち着かないと言えばそうだけれど。かといって、取り乱すでもなく)
陸地が根こそぎなくなってしまって、潮もけっこう変わっているらしい。見たことのない魚も多いとは聞いたね。
……尤も俺には、どれがそうかはわからないのだけれど。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
晴……ふふ、赤の番長? ええ、その通り。よく分かってるわね。
もちろん、――最高よ?(くすりと、笑って)
でしょうね。この方角は元々外洋だから、変化はこれから増してくるかも。
その辺り……多少、生態系が心配でもあるわね。(なんて。ここだけは少し真面目な様子で呟きを漏らしつつ、)(ふと思いついたように、)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
「近い」とか、言わないのね。
取り乱さないのは流石だけれど。不自然な距離で話しかけているのは私の方なのだから――まるで気にしないのも、逆に不自然ではない?
(なんて。悪戯っぽい、やっぱり、囁き)
(平常を装っているのではなくて、なんて、言いたげな)
竜城・陸 2021年8月28日
そういうのは、晴のほうが理解があるかもしれないね。
俺は先に、驚きとか、そういうほうが浮かんでしまうから。
ああ、まあ、そういう意味では――巨大な魚影を見た、なんていう話もあるみたいだよ。
不確かな噂だけれどね。
(ふいに交じった真剣な声音に、少しばかり口の端を持ち上げつつ――)
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竜城・陸 2021年8月28日
……そこまでご理解戴けてなお、ということは。
意図があってそうしている、ということだろう?
だったら、取り乱したら君の思うつぼというものだ。簡単に隙は見せられないかな。
(なんて、こちらも悪戯っぽく返してみせて)
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
試してみなくては分からないものもあってよ、蒼海番長さん?
――あら。それはそれこそ、ロマンね。鯨か鮫か……それも、気にはなるけれど。
今のは、そう、この辺りで言えば……例えばもう少し南の海に行けば、シガテラ……生体濃縮の有名な毒素もあるし。「口福の伝道者」は頼りすぎると、その辺りの危険を増すようにも思うのよね……。
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
あら。手強い。(くすりと、笑って)
(簡単に罠にかかってはくれないな、なんて、笑み)
ええ、もちろん。言われていたら、こんなところかしら。
「あら。釣り人の横で大声を出すほど無作法ではないわ」「それに――」
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
「魚は存外、人の影に敏感だもの。
影は、重なって、じっとしていた方がいい。
――だから、いいでしょう?」
(と。さっきまでより、更に近付いて)
(もう、本当にただ触れていないだけで。なのに体温が伝わってきそうなくらいの距離から、あなたの耳元に、囁いた)
竜城・陸 2021年8月28日
…………まあ、それはね。
驚きを通り過ぎれば、或いはそういうものに憧れるということもあるかもしれない。
(これでもまだ少年だしね。なんて、軽口のように)
……詳しいね。さすが、というか。
そうだね、そういう危惧もあるし――そもそも、全てを残留効果に頼っては、人らしい営みが忘れ去られてしまいもする。
(難しいところだね。そう結んで――)
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竜城・陸 2021年8月28日
(――さらに近づいた距離を感じれば、さすがに少しばかり目線が逸れるだろう)
(僅かばかり、釣竿を握る手に力が入るのもわかるかもしれない)
一応、一応ね。言った通り俺もまだいわゆる思春期、というやつだから、ルクス。
取り乱さないにしろ、緊張はしているんだよ。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
では、試してみればいいわ。今は難しいけれどね。(くすりと、笑って)
ええ、詳しいわ。そして、私もそう思う。
――だから、上がる魚の傾向が変わった時は早めに教えて頂戴。杞憂でも構わない。貴方のところが、一番そういう話が集まるでしょう。(或いはそれが本当の用事だったのかもしれない。そう思えるほど、つらつらと、淀みなく囁いて)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(でも、)
じゃあ、ダメ?
(囁く唇は、離れない)
竜城・陸 2021年8月28日
そうだね、機会があれば――まあ、元の世界に戻ってしまうと、まず航海に耐える船を造るところからになってしまうけれどね。
(それはそれで改竄史みたいになってしまうかな、なんて冗談交じりに)
そうだね、……暇さえあれば海に向かい合っている奇特な人間は俺くらいのものだ。
そこに関しては約束しよう……というよりも、知恵が借りられるのであれば願ってもない、というものだ。
(――ものだが)(真面目な話は普通の状況で聞きたかったなとかちらりと思ったのは、なくはない)
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竜城・陸 2021年8月28日
…………、それは、まあ、困るには困るな。
(困るが)……困るけれど。
今は、駄目、とまで強く拒否をする理由があるかと言われれば、ないしね。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(拒否する理由がない、と)
(その返答に、)
良かったわ。さすがにそろそろ、腰が疲れたもの。
(くすりと笑って――後頭部と背中に、柔らかい感触)
(そのまましなだれかかって、身体に腕を回す)
(そんなつもりで言ってはいないと、分かっているだろうが。重なっていいかと聞いて、是と答えた。言質を取ったとばかりに、堂々とした、迷いのない仕草だった)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(そのまま、)
あら、残ればいいじゃない。載せてあげるわよ、私のものになる船に。
(笑って、話を続けようとする)
竜城・陸 2021年8月28日
――――、
(――気付いたのは、もう既に触れられてからで、)
(恐らく、先よりもなお、明確に、はっきりと)
(――肌の表面を撫でていくような痺れと、)
(“力が抜けていくような”“熱を急速に奪われるような”感覚を、)
(きっと、彼女は感じるだろう)
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竜城・陸 2021年8月28日
(――――然し、それも、一瞬のことで、)
…………ごめん、そう来ると思っていなかった。油断したな。
(言葉が聞こえるころには、何事もなかったみたいに。触れた肌にしびれのようなものは、あるだろうけれど)(それだけだ)
(特段、押しのけも、身じろぎもしないまま、)
……お誘いはありがたいけれど、難しいかな。そもそも、どうして俺に?
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(あら)(流石に少し驚いた様子で、藍の瞳と、銀の髪の合間に覗く赤の瞳を、見開いて)
(――けれど。特に、身を引くでもなく)
いいえ? 急に触れたのは私だもの。
別に、無理に収めなくても構わないのよ。――貪欲なのね。
(残る痺れを、気にした様子すらもなく。回した腕の指先で、つ、と、あなたの肩口をなぞろうと)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
ざぁんねん。(食い下がるわけでも、ない。くすりと、笑って)
別に? ただの気紛れ。船に誘うのに理由なんて要らないでしょう。
……ああ、でも、そうね。強いて言えば――、
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
「青」から「蒼海」の號を選ぶ男は、嫌いじゃないわ、「陸」。
(「蒼海番長さん」ではなくて。初めて、その名を耳元で囁いて)
竜城・陸 2021年8月28日
……ああ、いや、俺が欲しているとか……そういうのではないよ。
“氷”って、そういうものだろう。ただ、それだけ。
(身に負わされた権能であって、それ以上でもそれ以下でもない。――強いて言うのなら、呪いが近いかもしれないけれど)
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竜城・陸 2021年8月28日
…………魅力的なお誘いなのは確かだけれどね。
(だけれど。全てが終わった時に、自分がどうなっているのかもわからないし――)
……ああ、その號か。そうだね、……
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竜城・陸 2021年8月28日
(視線を、つと水平線へ流して)
……流れ着いて最初に、こうして、新宿断層の端から海を見渡した。
――その時のことを、思い出して。
かのように悠然と在ろうと思ったんだ。
(何よりも――)
(それを。身に負わされた「蒼」よりも。ずっと美しいと思ったから)
……まあ、でも
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竜城・陸 2021年8月28日
名前で呼んで戴ける方が、俺は好みだけれどね。
その方が近しい感じがするだろう。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
私も、カラダの話よ?(当たり前のように、笑って返した)
(まるで、それと心の話を区別する必要があるのか、本当に分からないような様子で)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(身体に、緩くだけれど、腕を回したまま)
(釣られるように、海を見て)
………………一つ、理由が増えたわ。(互い違いの色の目を、細めて)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
私が好きなのは「この海」じゃない。
「海は、もっと広い」のよ。
知らない波をかき分けて、抜けた先に初めての景色と出会いが待っている。この世の全てが海だなんて、そんな狭い海を、私は愛せない。
いいこと? 貴方の感動は、貴方のものよ。否定はしない。
だからこそ、私は言うわ――「こんなものじゃない」。
本当の海は、もっと、もっと美しいものよ。
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(歌うように告げた言葉を不意に切ると、くす、と、笑って)
だから、その號を名乗って私の上に立つのなら、一度は取り戻した海においでなさい。
その後どこに漕ぎ出そうと、それは貴方の勝手だけれど。
――でないと、承知しないわ。
竜城・陸 2021年8月28日
――そう。だから、極力振るいたくない。
(過ぎたる力は、あらゆるものから全てを奪う)(その、体現だから)
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竜城・陸 2021年8月28日
(――眺めやる水平線の青を視界に捉えたまま、小さく息を吐いた)
(「もっと広い」――言葉通りの、そういう話ではないだろう。語らう言葉のそれを聞くならば)
……それを俺は、想像することすらできないな。
幻想竜域だって、もう、そこしか世界には残されていなかった。
“この世の全て”である海しか、俺は知らないから――……
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竜城・陸 2021年8月28日
…………まいったな。
難しいと思う、なんて言いながら、正直少し憧れる。
(見知らぬものなりに。想像もできないなりに。“見知らぬそれを知りたい”という風には、考えてしまう)
だから、そう。そうだな。
いずれどうなるかはわからないにしろ、一度は見てみたい。
そうは、思うよ。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
でも、抑えているものを解き放つのは気持ち良いでしょう、と、思ったのだけれど。(くすりと笑い、痺れの抜けてきた自分の指先を持ち上げ、見つめて)
――よろしい。
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
ならば支えてあげましょう、「陸」。(くすくすと、笑って)
私は、可愛い幼馴染や妹ほど、喧嘩っ早くないし――船以外の「長」にも興味はないの。
だから、貴方がその憧れを捨てない限り、青の一人として、手伝って差し上げるわ。
お礼を身体で払って頂けたら、言うことないのだけれどね。――「今くらい」でも、おやつくらいには、悪くないけれど。
(愉しげに。「他者を悦ばせる」ことで生存に必要な精神エネルギーを得るイキモノが、心から愉しげに笑って)
竜城・陸 2021年8月28日
――それを受け入れる相手がいて成り立つ話だと思うよ。きっとね。
(だから、…………、)
…………いや、この物言いだと語るに落ちているね。
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竜城・陸 2021年8月28日
お眼鏡に適った、と思っていいのかな、これは。
…………(“可愛い”かあ。立場が窺えるなあ)(なんて、思ったのはおくびにも出さず――――)
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竜城・陸 2021年8月28日
――――ルクス。
だからね、俺も一応男だと言ったばかりだろう。
(魔力の制御に意識を払っているから、平静に見える、というだけで)
(どちらの話についての、とはとくに言及せず)
……まあ、とはいえ、学園にいるうちは「おやつくらい」で済ませておきなさい。
俺だってそんな話で君に小言を言いたくはないからね。
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
やぁよ。(即答)
私は誰かさんと違って、自分の欲を抑える気なんてないの。
だから――良い夢が見たくなったら、いつでもどうぞ? 気に入った相手を、拒みはしないわ(くつくつと、やっぱり囁くような声で笑うと――)
――ところで。
(その点について小言を受け入れる気はない、というように、首を傾げ、指先を持ち上げて――)
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ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
引いていない?(竿の先を、指差した)
竜城・陸 2021年8月28日
そう。
(吐息交じりの声は、分かり切っていた、みたいな響き)
……ならせめて俺のところまで話が来ないように上手くやるように。
他人の情事に口を出すほど不毛で無益なことはない。
(続いた言葉には、小さく咳払いして、言及を避けた)
ん、何――――あ、
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竜城・陸 2021年8月28日
(竿を引くために身を乗り出そうと、して)
(背中に掛かったままの重みに気付くし)(なんなら、布で覆えない背中越しに伝わる女性らしい柔らかさもあらためて自覚してしまうもので)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月28日
…………ルクス、そろそろ、離れない?
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
(くすりと。耳元で、笑みが響いて)
(演出継続)
ルクス・アクアボトル 2021年8月28日
――ええ、もちろん。
(ふわりと、柔らかな肢体が、広い背から離れて)
(リップか何かのような細い筒をポケットから取り出すと――かしん、と音を立てて、「タモ」の形に展開して)
手伝ってあげる。できれば続けざまに釣ってくれたら、お土産になって助かるわ?
(慣れた様子で両手で持った。視線は変わらぬようで、どこかわくわくと糸の先を見つめて)
竜城・陸 2021年8月28日
(離れる温度に小さく安堵の息を吐いたのは、向こうにもしっかり聞こえてしまっているだろうけれど)
(本当に100%安堵だったろうか)(…………)
(演出継続)
竜城・陸 2021年8月28日
(……考えても不毛だな。やめよう)
……ああ、助かるよ。
手慣れた方の助力が得られるなら、いつもより釣果も期待できるかもしれないね?(なんて、言いつつ、)
では、引くよ――――