放送電波研究会

【個別】次元創世のネクローシス

十埼・竜 2023年5月29日
終わりを望んだ者と
終わりの先を祈った者と
叶わなかった、願いの話。

悪魔は憶えている。


#奉利・聖
#十埼・竜





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奉利・聖 2023年5月30日
「どうぞ、心ゆくまで」

危ないことは、任せてくれればい。 (無効票)
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十埼・竜 2023年5月30日
「消えるくらいならブッ飛ばせってぼく言ったの忘れた?」
呆れ声からは、いつもの穏やかさが消し飛んでいる。
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十埼・竜 2023年5月30日
【なぜ】
藻掻く。
【僕がこちら側なのに、動くはずがない!】
しかし、細い手はしっかりと悪魔の頸を締め上げている。
藻掻けども、振り払えない。

掴めるものにまで、堕とす。
https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=44903
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十埼・竜 2023年5月30日
「聴こえるか」
「聴こえるよなあ」

「じゃあオハナシしようぜ空の棺」

「インタビューとお勉強の時間は今後たっぷり取ってやるよ」
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十埼・竜 2023年5月30日
「まずは裁判だ」
ぎり。
「文句は山ほどあるんだ!!」
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十埼・竜 2023年5月30日
「父さんが言った『ぼくを護れ』って、死んでも生き返ればいいとかそういう意味じゃねぇんだよ」
「その上ディアボロスと判ってからのあの扱いは何なんだよ」
「クソッタレな話だけど、これは正直大したことじゃあない」
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十埼・竜 2023年5月30日
「一番赦せないのは」
「ディアボロスでもない、何も知らない、何の力もないただの一般人に」
「到底叶えられない『矛盾』の代償を支払わせて」
「その意味もわからなくなった残り滓を、お前の都合のいい契約者に仕立て上げたことだ」

「お前が無知でバカなクソガキだってことは知ってるよ。
どうしてぼくの父さんをお前の親だと思い込んだ?
意思表示すら曖昧な残骸ですら、まだ同質のものと信じられた?」
「解らなくても、それを区別できないはずがないんだよ、お前が」
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十埼・竜 2023年5月30日
【違う。アラタは】


「――――ノイ!!」
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十埼・竜 2023年5月30日
もぁぁ。

喚ばれた、モーラットが鳴く。
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十埼・竜 2023年5月30日
【アラタは、そこに】

もぁぁ。もぁぁ。
その叫びは、確かに、悲痛ではあった。
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十埼・竜 2023年5月30日
その頸を握りつぶさんばかりに
 、、、、、、、、、、
「お前は何を聴いてんだ」
「ぼくと同じものを聴いてるくせに!!!」
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十埼・竜 2023年5月30日
「この期に及んで言いたいことはそれか」
「本当に、こんなになった父さんにまだ縋る気か」

「…………やってみろよ!!!」
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十埼・竜 2023年5月30日
もぁ。

小さな鳴き声が、促す。
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十埼・竜 2023年5月30日
「お前なんかのために、ここまでしなきゃいけないんだよ」
いつか何処かの世界で絶望した愚者の呪いが、それを構成する“波”を暴く。

「お前は今まで何があったのかを、今何が起こってるのかを、あとで知って、理解して、それから苦しめ」
ぼくが戦い培った二年間の経験で、託された情報で、それを組み替え、新たな形式に変換する。

「その憎しみを教えてやる」
これは神でも天使でも悪魔でもない。
人工物。
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十埼・竜 2023年5月30日
その記述はすんなり呑み込めた。
読み解けば、構文はあっさり真似られた。
この思考パターンを、願いを、祈りを知っていた。
ぼくはそれを書き換えて汚していく。
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十埼・竜 2023年5月30日
「お前はこの時から、ぼくと生きていけ」
「その身体で!!!」

https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=45279
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十埼・竜 2023年5月30日
今のぼくが生身だったら、きっと選べなかった。
100%怒りの波で構築された幽鬼のぼくは、後戻りを知らず

「もぁぁ」

だから、この声を、絶対に覚えておいて。
悲しむのはあとにしようと、思った。
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十埼・竜 2023年5月30日
【――――どんな形になっても、ただ、其処にいて欲しかった】

「わかるよ」



「でも、ぼくはそう思わない。」
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十埼・竜 2023年5月30日
「死んだ。いなくなった。……それを認めるべきだった」
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十埼・竜 2023年5月30日
悪魔はぼくの手の中で、小さく、小さな塊になる。
鳴いて、何かを訴えたのかも知れない。
それはもう言葉の形をしていなかったけれど。
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十埼・竜 2023年5月30日
当事者不在による、契約破棄。

「……」

幽鬼の輪郭は、一度大きく揺らいだ。
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十埼・竜 2023年5月30日
「……それで」
白い亡霊のぼくが、やっときみに向き直る。
「結局この『負債』が残っちゃうんだね」

ノイズを凝縮したような、輪郭の曖昧な、小さな白い卵を掲げて見せた。 (無効票)
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奉利・聖 2023年5月30日
ずっと黙って聞いていたが、まぁ喚くこと喚くこと。
まぁそれもそうか…言いたいことは山ほどあるだろうし。

無知であるが故に、縋り続ける…か。
人もそれに陥ることはある。…案外そう変わらないのだろうか。
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奉利・聖 2023年5月30日
「お疲れさまです、竜」

「……それ、どうするんですか?」 (無効票)
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十埼・竜 2023年5月30日
「……聖なら、これ、殺し切れるんじゃない?」
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十埼・竜 2023年5月30日
「そしたら、晴れてこの呪いから解放だ!」
やったねばんざい。軽く両手を掲げて朗らかに。
「きっと静寂が手に入る!」

「でも、これはぼくの力でもあった。それは確か」
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十埼・竜 2023年5月30日
「この先、一緒に戦い続けられる保証はない」
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十埼・竜 2023年5月30日
「聖」

「きみは、ぼくに何を望む?」

「きみの願いが聴きたい」
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十埼・竜 2023年5月30日
きみは、どっちが幸せ? (無効票)
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奉利・聖 2023年5月30日
「…そこで僕ですか」

「自分のことなら、自分で決めちゃっていいのに」
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奉利・聖 2023年5月30日
「非常に、ごく個人的なことを言ってしまうのであれば」
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奉利・聖 2023年5月30日
「一人で戦うのはまぁ……寂しいものですよね」 (無効票)
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十埼・竜 2023年5月30日
「相棒の意見をちゃーんと取り入れるぼく、偉いだろ」

「……だってさ。多分、一番、苦しんでるとこを見せてるのがきみだし」
「こんなことにまで付き合わせてるし」
「しかも、最後まで、結局きみに頼まないと叶わない!」
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十埼・竜 2023年5月30日
「その、非常に個人的なきみのわがままが聴きたいんだもの」
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十埼・竜 2023年5月30日
……そっか。
安心したみたいに、柔らかく呟いて。

手のひらの上の小さな白い卵を、口へ。
頬張って。
呑み、込む。
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十埼・竜 2023年5月30日
「まっず」 (無効票)
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奉利・聖 2023年5月30日
「はいはい、えらいえらい……冗談ですよ」

「よくここまで、頑張りましたね」
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奉利・聖 2023年5月30日
納得して選んだのなら、そこに否やは無い。

「………後で後悔しないように」

これは、一応の念押しだ。 (無効票)
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十埼・竜 2023年5月30日
「もうちょっと心から迸るように褒めて」
冗談を被せる。

「……うん。」
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十埼・竜 2023年5月30日
「どのみち、すぐに七曜の戦が来る。力を手放さなくて正解だよ」

そう。
こうすることは決めていて。
……でも、ちょっとだけ、その可能性に揺らぐ気持ちはあったから。
「きみを試したことは、謝る。ごめん。」
きみにも必要だって、言って欲しかった。
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十埼・竜 2023年5月30日
「……さて、ロケーションが砂浜でよかった、ね、っと」
力を取り戻した幽鬼の白い腕が、指揮でもするように空間を掻き混ぜる。
白い霧を結び直して、現実へ還す。

霧が晴れた夜の海は、水平線が、僅かに明るい。

ノイズが砕いたせいで、この一帯の砂が篩にかけたように細かな粒子になっていた。
その他に、大きな痕跡もない。
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十埼・竜 2023年5月30日
左眼の光を、弱々しく瞬かせる。
罰の時間はそろそろ終わりだ。

「ぼくたちを、ありがとう」
「還ってきた僕に、よろしくね」 (無効票)
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奉利・聖 2023年5月30日
「…まったく、しょうがないんですから」

試すような真似をしても。
いいよ、と。小さく笑って許すのだ。
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奉利・聖 2023年5月30日
水平線を一瞥して、その小さな明るさに目を瞬かせる。

「お役に立ったのであれば、幸いです」

「……さぁ、色々片付けて帰らないとですね」
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奉利・聖 2023年5月30日
「えぇ、またよろしく」 (無効票)
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十埼・竜 2023年5月30日
「そうそう、今から一人流れ着くからね。片付けといて」

少し幼い姿だから、久々に、きみの顔が随分遠い。
多分これ、刻逆直後くらいだな。
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十埼・竜 2023年5月30日
淡い光が微かに差した射干玉の瞳、その横顔に背伸びする。

「愛してるよ」

ただの挨拶みたいに、笑って――――それきり、時間切れだった。
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十埼・竜 2023年5月30日
白い亡霊は風に吹き散らされて、消える。


やがて、波間に。       、、、、、
随分と小さくなったヘッドホンを腕に抱えた少年が、目をさましたのだった。 (■)
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奉利・聖 2023年5月30日
「やぁ」
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奉利・聖 2023年5月30日
「おはよう」

「そして、おかえり」 (■)
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