【イ】残り三つの“座”
一恋・花束 2021年8月27日
「――――かくして“勇気”の座が埋まり、残りは三色、三つの“座”、と」
朝礼にて、高らかに宣言するしとらの姿を、窓の外から眺めながら。
生徒会騎士団団長、一恋・花束は机に肘をついて資料をめくっていた。
「この人選は間違い無し。しとらちゃんは絶対に必要ですし。技能も、役割もそうですけど、人のやる気を奮い立たせる力がありますし……“ついていこう”と思ってもらえる人徳は、得ようと思ってられるものでは有りませんので」
それが彼女を選んだ、最大の理由……というと少し語弊があるけれど。
とにかく、“座”も彼女を認めた。ならばひとまず問題はない。
それよりも…………。
「番長が七色揃ってて、こっちが七人揃ってないほうが問題ですし……元々は騎士団に対する抑止力が“色号(カラーズ)”だと言うのに」
資料をめくる。資料をめくる。
現時点で所属している全ディアボロスの生徒、181人の情報を、余すこと無く脳に詰め込んでいく。
「あと三人、あと三人――――やっぱり、次はこの子ですかね?」
その中から一枚の紙を取り出して。
花束は、にやりと笑った。
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