【個】月夜に二輪の
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
3月24日、晩。
プロムの催しに学園が浮わつく夜のこと。
人気のない校舎の屋上に、佇むのは白い影。
その装いは、いつもとは少し違いまして――、
#ミーレ・ベルンシュタイン
#一恋・花束
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ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
良かった、来てくれた。
(なんて。ふわ、と、柔らかく笑って)
(浮かぶ月を背に微笑みます)
(……サイズを合わせるのはそれなりに大変だったのか、胸元なんか窮屈そうだけれど。相応に気合の入った男装みーれちゃんだね)
一恋・花束 2023年3月30日
いっ…………
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
……きなり、そういう格好で来るのは
(対して、そっと見せた姿は)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
……ずるいのでは?
(白と対になるような黒)
(銀河のようなスパンコール)
(少し大人に仕上がった、ナイトドレス)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
だって、今日はそういう夜ですもの。
わざわざこの日に誘ったんだから――、
(なんて、貴女の反応に得意げな表情はやっぱり、いつもの少女だけれど)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
舞踏会から攫ってしまったお姫様の、エスコートに恥じないようにしないと。
……そう考えて良かった。
綺麗です、花束ちゃん。とっ……ても。
(そう、まっすぐに褒める様子は。きっちりエスコートしよう、と思っているのか、いつもよりも努めて落ち着いた様子で)
(――でも。嬉しげに目を細めて、本当に綺麗だなぁ……と、貴女のドレス姿を焼き付けます)
一恋・花束 2023年3月30日
……年下の王子様がいるとは思ってなかったので、
ちょおっと心の準備をさせてくださいね?
(んむむ、と深呼吸しつつ)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
……かっこいいですよ、ミーレちゃんも。
(見られる体を、抱きながらも、隠そうとはせず)
それで……
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
……どうやって、誘ってくださるんです?
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
ふふー。
どちらで踊るか考えたら――、今夜は、こっちかなあ、って。
ふふ、ありがとう――、と。そうでした。
わたくしったら、肝心の台詞をはっきり、口にしていませんでしたね。
(それはやっぱり、ずるかろうというものだ)
(口にしながら、す、と、一度、片手を挙げて)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(ぱちん)
(指先を弾けば、――微かに。大きな音量ではないけれど、風が運ぶように音楽が聞こえてきます。それと、少しの喧騒)
(それはまるで、ここがダンスホールの裏手であるような。……そう。会場じゃなくて、あくまで漏れ聞こえるくらいの、控えめな)
……あの夜、貴女が刻んでくれたお陰ですかね。
なんだか最近、負担が軽くて。これくらいの簡単な魔法なら使えるようになってきました。
(エムライブもやったやつですけど――なんて)(漏らす言葉は、閑話休題)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
人前で咲く高嶺の花にだってなれる、明るい晩を抜け出して――
こんな静かな、二人だけのフロアですけれど。
わたくしと、踊って頂けますか。
わたくしだけの、花束として。
一恋・花束 2023年3月30日
(ああ、音が聞こえる。ダンスの音だ)
(きっとここにしか聞こえない、花束達だけの音)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(だから……答えは、決まっていて)
はい。
この世を彩る、この花束を。
今宵は、独り占めしてくださいまし。
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(そっと、身を寄せて)
あるいは、枯れてしまうまで。
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
――――……そんな風に言われたら。
ただの一時も、この指先を離したくなくなってしまいます。
この腕の中で咲いてくれればいいのに、と、
(そ、と)
(掛け合いめいて口にしながら、掌を上に、差し伸べて)
(丁度やってくる曲の切れ目。次の曲はもうすぐで)(……と、そこで)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
……ただでさえ、他の誰かに誘われてしまったらどうしよう、と、やきもきしながら待っておりましたのに?
(冗談めかして、ちょっぴり意地悪一つ付け足してみたり)
一恋・花束 2023年3月30日
おや、一瞬を永遠にするのは、王子様の得意技では?
(手をゆっくり置いて、くすりと笑って)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
今はもう、貴女以外に、この花を拐える人がいるとお思いで?
(視線を合わせて、演技がかった口調でそう告げて)
(体を、月に預けながら――踊りだす)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
ふふふ。――それはきっと、貴女の方。
魔法なんて使わなくても、こうしていたら、世界の時間が止まってしまったようで――、……その癖、一瞬で過ぎ去ってしまうんですもの。
(くす、くすと)
(貴女の手を、そっと取り、背に反対の手を回し。――緩やかに、男側として導くように、踊りだす)
(ほら、やっぱり、……背が高い方が男役の方が、収まりも良いですし。なんてことは、言わないでおきます)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
貴女の心は私のもの。
そう信じて疑わずとも。……それに、「高嶺の花」を大事にして欲しい気持ちも、本当でも。
(だから、うん、半ば学校行事であるプロムの盛り上がり的には、彼女がいた方が良い。それはそれでアリなパターンかなぁなんて思う「白の番長」もいたのだけど――)
それはそれとして――、……可愛い恋人の、ちょっぴりのヤキモチくらいは、許してくれるでしょう?
わたくしの、花束。
一恋・花束 2023年3月30日
(年下の女の子にリードされて、こんなに安心してしまうんだから)
(恋は盲目、岡目八目)
(委ねて、頼りたいと思考する、感情そのものがエラーみたいなものだけど)
(それが心地よいと言う感覚を、処理している)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(――――とどのつまり)
ええ、ヤキモチを焼いてもらうために、高嶺の花で居続けたいくらいには。
愛らしいです。
(踊るたびに体を寄せて、ステップのたびに見つめ合って)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(誰かが見ていれば、マナー違反だけれど)
(どうせ二人しか居ないのだから)
(不意にそっと唇を寄せても、咎めるものだっていないのだ)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(まるで悪戯な妖精だ。踊る最中、軽やかに間を詰められて唇が重なった瞬間は、ちょっぴり動揺)
(一瞬、抱き締めたくなってしまって、どうにか綺麗にステップを続けるのでせいいっぱい。――そんなこともきっと見抜かれた上で、その瞬間にはもう、また、貴女の顔がすぐ目の前で)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
――んもう。ずるいひと。
(それで、戯れ混じりの繰り言を続ける気が失せてしまうくらい、機嫌もすっかり上向いてしまうのだから……勝てないなあ、って)
(でも)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
そういうところも、だいすき。
(2度目の口付けは、そっと、自分からも)
一恋・花束 2023年3月30日
(だってこれは逢瀬でしょう?)
(だったら、恋を重ねてもいいでしょう)
(行為を重ねてもいいでしょう)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
すき。
(耳元でささやきながら、もう一度)
だいすき。
(あるいは、正面を向いて、まっすぐに)
すき。
(あるいは、貴女が手をとりながら、後ろに回ったときに)
(言葉を重ねて、形にして)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(でも今日は――――)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
…………すき。
(拐ってもらうほうだから)
(それ以上は、自分からはしないのです)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
―――――っ。
(ずるい、ずるい、本当にずるい)
(ステップが完璧なのがまた小憎たらしい。堂に入ったアレマーナ。掲げた手の下で貴女がくるりとターンして愛を囁けば、ほんの一瞬身を離す寂しさを見透かされたようで頬が熱くなる)
(気取った今日の立場のせいだろうか。いつも以上に、手玉に取られている気分)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(――だから。ああ、きっと)
(曲の終わり、踊りの切れ目。惜しいはずのこの瞬間を、やっと、と、まるで焦らされたように感じてしまうのも)
(きっと、見透かされていて)
――――、
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
……花束。
(呼び捨てる響き。気取って言い出したそれを、戻す気にもならなくて、)
(貴女の頬に、手を触れて、)
――目を、閉じて?
(何度も重ねて、今更な)
(それでも、自分からするからという――誘われるままの、意思表示)
一恋・花束 2023年3月30日
……ん。
(ねだって、望んで、与えられるものを待つように)
(乞われたままに、目を閉じて)
(貴女を待つ)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(――重ねる唇は、さっきまでより、強く)
(ドレスの背に、エスコートの最中より強く、腕を回して、ぎゅうと抱き寄せて)
(でも、ちょっぴり子供っぽく。ただ溢れる気持ちのまま押し付けて、重ねるような、――長めの、口付け)
一恋・花束 2023年3月30日
(抱き合って、唇を重ねる内に)
(とっくにステップを忘れてしまって、求めることだけに集中してしまって)
(熱を、心を、体を)
(もっともっと欲しがって)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(その時間の長さに甘えるように、少しだけ)
(愛おしい唇の中に自分を割り込ませて)
(絡めて、引き抜いて)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(見つめて――――)
……………ミーレ。
(名前を、呼んで)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(――一度交わりあったら、もう止まるわけもなく)
(ぞく、と背筋を走る感覚に逆らわず、侵してきた舌をくすぐるようになぞり、絡めて)
(――は、と、荒い息。離れた唇、微かに糸が引いて)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(そんな、何もかもむき出しな無防備な瞬間に、名を呼ばれたら)
…………うん、
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
……花束。
(もう、ダメになる。――「もう少しだけ」を、我慢できずに、顔を寄せる)
(唇に――では、なくて)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(襟ぐり、鎖骨。――というよりは、もう。大人っぽいドレスの胸元だ)
(深い方がいい。だって、普段は見えない場所。今だけ、自分だけが見ている場所)
(――そんな場所に、口付けた。ちゅう、と、痛みが走って跡が残るくらいに、強く)
一恋・花束 2023年3月30日
ひゃ――――(と、声が思わず出て)
それ――――は
(それ以上は、駄目)
(駄目なのに、止められなくて)
(無効票)
一恋・花束 2023年3月30日
(けど、この先は、いくらなんでも)
(なんだって)
(ええ、だから、胸元に寄った頭をギュッと抱きしめて、受け入れて、押し付けるようにして)
(それでね、)
一恋・花束 2023年3月30日
…………刻んで、いいですよ?
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(――――もう)
(止めてくれないと、って。そんな無責任なことがちらつく時点で、もうダメになってるのは、分かってて)
(だから、うん、流石に悪戯もここまでだ。……うん、ここまで)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(唇に残る、目の前を包む、優しくて柔らかな感触)
(それに傷を刻んで、自分のだと示すような、暴力的な、そんなことは、きっと、良くないから)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
――――……ん。
(――でも。ここまで、なら。もう、1度や2度くらい、)
(ね)
(ちら、と、見上げて、)
(それでね、)
ミーレ・ベルンシュタイン 2023年3月30日
(もう少しだけ、永遠に続くようなふたりの時間に、溺れて)