【個別】成田家のセンタク
鞠依・みぃ 2023年3月17日
鞠依・みぃが掃除屋たる青年に案内したのは、新宿区内某所にある寂れたアパートだった。
刻逆の影響で避難しているのだろう、人は誰もおらず。
ただ、みぃが案内した先の家宅の看板には『成田』と記されていた。
「ここの部屋の清掃をお願いしたいの」
少女は、あっけらかんとした様子でそう伝えた。
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
聖！
お待たせ。ここがみぃがお掃除お願いしたいと思ってた場所だよ。
（と、手を広げて指し示す。もはや廃墟と化したアパート。その中に、特殊清掃を依頼したのは他ならぬ鞠依・みぃだ）
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奉利・聖 2023年3月17日
……ここが現場ですか。
（押していたトロリーを停めて）
それでは、早速中を拝見させていただきます。
よろしくお願いします。
（最早廃墟…人の営みを感じない）
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
ん、ありがとう。
みぃもね、ずっと何とかしたいと思ってたけれど一人じゃ難しいと思ってたから。
だから一緒に手伝うよ。
どうぞ宜しくね。
（と、鍵を開けて、戸を開いて――）
鞠依・みぃ 2023年3月17日
（悪臭だ。）
（まず感じたのは、一時的に電力を失ったことで漏れだした、食品類の腐食臭。）
（そして、散らばった雑誌類や新聞。どれも大人が好んで読むようなものばかりだ。）
（錆びたキッチンに、埃っぽい換気扇）
（あまり料理をしない家庭であったのだろうと伺わせる）
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奉利・聖 2023年3月17日
礼には及びません。
他ならぬ貴女の頼みです。いつでも、どこでも行きますよ。
（さて、中を拝見──）
奉利・聖 2023年3月17日
（腐敗臭…冷蔵庫が機能していないのだろう。中は総て捨てるべきだな）
（赤色の付箋を貼る）
（雑誌、新聞紙…紙類も全て捨てよう。保存する意味も無い）
こちら、どこまでやりましょうか？
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
……できるかぎり綺麗にして。
床に散らかってるのは、ゴミだから。
親はきっと、帰ってこないし。
（顔色ひとつ変えず作業する彼に安心する。）
（自分はマスクと、手袋を事前に用意して装着する。）
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奉利・聖 2023年3月17日
承りました。
大きなものを一度外に出しますね。中身を後ほど捨て、解体します。
（ゴム手袋を着けて）
（冷蔵庫のコンセントを外し、専用の袋を用意してから冷蔵庫をそのまま仕舞い、軽々と外へ運び出す）
奉利・聖 2023年3月17日
帰ってこない……そうですか。
（土地を取り戻して？と言おうとしたが）
（多分そういう問題ではないのだろう）
（部屋へ戻って）
（電灯を外しに行く。どうせこれもいらなくなる）
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
……ありがと。
…………ママね、もう帰ってこないんだ。
みぃがみぃであること、知らないし。
今は台東区のカレシさんの家に居るんじゃないかな。
（と、リビングから新たに進んで、あるのは寝室兼勉強部屋だ。）
（狭いアパートであるが故に、勉強もままならなかったのだろう。）
鞠依・みぃ 2023年3月17日
（電灯が外れる瞬間――ばちり、と）
（明滅して、卒業アルバムの表紙を反射させた。）
……あ。
（思い出したように、ついアルバムを手に取ってみる）
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奉利・聖 2023年3月17日
……実質的絶縁状態ですね。
（親子が互いを愛し合ってるとは限らない）
（彼女は愛されなかった。故に最早、他人よりも遠い存在だ）
でも、それがいい。
必ずしも元の鞘に戻る必要は無い。
奉利・聖 2023年3月17日
（がこっ、と外して）（線を切り落とす）
（これも一度外へ）（さて次は──）
……みぃ？
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
……………親子ってさ、愛し合うのが当然だと思ってたよ。
どんな状況下でも、どんな感情を抱かれていても。
…………無理、しなくて、いいんだよね。
鞠依・みぃ 2023年3月17日
………………聖。
電灯の作業終わったら、こっちの寝室部分も手伝って欲しいんだ。
その前に……見てほしいものが、ある。
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奉利・聖 2023年3月17日
──愛されないのに、愛す必要は無い。
何も貰ってないのに、与える必要は無い。
それを無理して行えば、どこか壊れてしまう。
それでいい。
奉利・聖 2023年3月17日
かしこまりました。
こちらは直に終わります。
（外して、配線を切り、外に出す）（これだけだ）
（さして時間もかからず終わるだろう）
奉利・聖 2023年3月17日
…それで、見て欲しいものとは。
（彼女の居る寝室へ）
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
よかった。ありがとう。
（彼の作業が終わったなら、手にしたアルバムを、開く――……）
鞠依・みぃ 2023年3月17日
（開かれたアルバムには、にこやかに笑い揃う集合写真。その右上には、不自然に黒塗りされた箇所があり――……）
鞠依・みぃ 2023年3月17日
その黒塗りされた部分の下の名を、『成田 璃子』といった。
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奉利・聖 2023年3月17日
（そっと、その写真を横から見る）
……こちらは。
（大体、察しは付いているが）
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
ん、みぃ。ほんとは、『璃子』っていうんだ。
自分の顔が嫌いで、集合写真の部分だけ……黒塗りで潰しちゃった。
鞠依・みぃ 2023年3月17日
ママが言ってたの。
「あんたは失敗作だから将来絶対なにかで金稼いで顔を整形しなさい」って。
それだけ、みぃ、ブサイクだったんだ。
だから自分に自信が無いまま、学校もいい思い出が無いまま過ごしてたの。
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奉利・聖 2023年3月17日
………人の美醜は、主観が混じる不安定なものですが。
「失敗作」はいただけないな。
奉利・聖 2023年3月17日
じゃあ、この卒業アルバムは貴女にとって…消し去った方が良いものですか？
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
そんなこと……そんなこと、ない……。
鞠依・みぃ 2023年3月17日
消し去らないで。
みぃがかつて璃子であったこと。
それは、親なんて関係なくて、あたしがあたしであった証拠なの。
……捨てないで……お願い……。
（床にへたり込んで、願うように）
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奉利・聖 2023年3月17日
なら、捨てません。
奉利・聖 2023年3月17日
貴女とその子が、地続きであるのなら。
たとえ貴女が違う存在になったとしても……消したりしないで。
さ、そんなところに居ないで。
（立てますか？と身体を貸すように）
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
（体を差し出すようにされても、それをつい拒んで）
あたし……あたし、可愛くないのよ。
ブサイクなのよ。
聖は、聖は……、
鞠依・みぃ 2023年3月17日
みぃのこと、どう思ってるの。
本当はみぃなんて名前じゃなかったし。
見た目だって刻逆で得られた見目だったんだよ。
ずっと、騙してたみたいだよ。
それが辛くて、みぃ、この部屋に誘ったの。
あたしの、『成田・璃子』のこの部屋に。
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奉利・聖 2023年3月17日
…………美しいだとか。
奉利・聖 2023年3月17日
可愛いだとか。
不細工だとか。
醜いだとか。
人は見た目に拘る。それもそのはずで、人間の第一印象は外見だし。
良い方が好かれやすいのは確かに、その通りだ。
奉利・聖 2023年3月17日
それでもね、やっぱり最後には。
内面に行きついてしまうんです。人というもののへの好悪はね。
心という名の鏡に己を映して、もしそれが美しいと感じるなら。
それに相応しい人間であるように。
醜いと感じるなら、それを補えるような心を持つ。
僕は「美しさ」というのを、そうだと思っています。
奉利・聖 2023年3月17日
僕は騙されてなどいない。
貴女の美しさは、ずっとそこにある。
魅せ方を努力し、歌も踊りも練習して。
時に苦悩し、葛藤して…尚も相応しく在ろうとしている。
懸命に良き女であろうとしている貴女を醜いと思う者は、貴方のその顔にしか興味の無い愚物だ。
奉利・聖 2023年3月17日
僕が思う貴女は。
かっこよくて、可愛くて。
幸せに生きるべき人です。
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
――――！！
………………みぃは、そんな強くないのに、何故……。
鞠依・みぃ 2023年3月17日
ありがと！
みんなに性癖どツノピンチ！！！！！！！！！！！！！！！！！！
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奉利・聖 2023年3月17日
自分では自覚できない強さというものも───
奉利・聖 2023年3月17日
どツノピンチってなに！？
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鞠依・みぃ 2023年3月17日
やったぜ……ちょっと不安な空気感を和らげることが出来ちゃった。
どツノピンチだよ、聖！
さあさあ、まだまだお部屋掃除は始まったばかりだよ！！
(無効票)
奉利・聖 2023年3月17日
は、はぁ…なるほど？
（突然元気になったから驚いたが…まぁ、いいのか？）
奉利・聖 2023年3月17日
了解しました。
捨てないで欲しいものがあれば、事前に言ってください。
あとはみんな片付けてしまいますからね。
(発言終了)
鞠依・みぃ 2023年3月17日
任せて！
過去の積算、精算！
なので大丈夫だよ聖！！
お片付けもあたし、手伝うからさ。
（と、一緒に春の片付けを続けるのであった――……！）
(発言終了)
