【個】きみに見せたかったもの
竜城・陸 2023年3月15日
ホワイトデーの数日前。
悩んだ末の文言である――ことを彼女が知っているかはさておき、
送られてきたのは「デートしようよ」なんて、いつも通りのシンプルなお誘い。
ただし、待ち合わせの時間は随分と早く、朝の船が出るような平日の夜明け前で――
#ルクス・アクアボトル
#竜城・陸
2
竜城・陸 2023年3月15日
(彼女が熱を分けてくれた手を、そっと離すと)
(目の前に、恭しく差し出して)
宜しければ、空の上まで。
ご一緒いただけるかな?
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
ふふ。(その返しに、好ましげに微笑みながらも)(じ、と、顔色を見るように視線を返して、)
――そうみたい。ええ、良かった。(なんて、ちょっぴり性悪な言葉を続けて)
見せたかったもの?
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
――まあ。
ふふ、空のデートね。
(よく口にしていたけど、こうやって改まってやるのは初めてかしら――なんて、微笑むと)
ええ、もちろん。――怖くないよう、しっかり支えていてね?
(冗談めかして言いながら、そっと、その手を取った)
竜城・陸 2023年3月15日
(寒さのせいでなく頬も、耳の先までも赤くなっているのは、見透かすような視線の前では隠しようがなくて)
(けれど、隠す必要のあることでもないな、とは思う)
(こんなにもきみのことが好きなのだということの、証みたいなものだから)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
いつかそんなのも――なんて話すばかりだったからね。
丁度いい機会だったし、折角だからと思って。
(なんて、きみに笑みを返して)
勿論、怖がらせたりしないさ。
(手をとってくれたきみをしっかりと抱き上げて、抱き寄せて、)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(――ふわりと浮き上がる)
(風の冷たさを感じさせないように、ゆっくりと高度を上げながら、東へ)
(空と海のあわいに、薄茜がさす水平線を望むように)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(――力を抜いて。抱き上げられるまま、全てを委ねるように体を預けると)
(貴方の胸に、そ、と、頭を寄せ)
(上がっていく視点。ゆっくり――といっても、普段地を歩いている側からすればぐんぐん上がっていく感覚)
(それを見つめながら、黙って、目を細めて)
竜城・陸 2023年3月15日
(次第に近づく、空と海のはざま。透かし見るように一度眺めやって、それから。きみの方へ視線を向ける)
――ね、ルクス。
去年のバレンタインデーと、ホワイトデー。
君に渡したもの、覚えてる?
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(不意の問いかけに、ぱちくりと目を見開いて)
ええ……それは、まあ。覚えているけれど。
二つ並べる、ということは、花のことかしら。
バレンタインには……そうね、丁度、夜明け前のような彩りの花束。
竜城・陸 2023年3月15日
そう。……俺が一番綺麗だと思ったもの。
(今思えば、多分に遠回しな告白みたいだったな、なんて思って)(ちょっとだけ笑声が漏れた)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
去年は、花をそれに擬えて贈ったでしょう。
(――視線を、水平線へと向け直す)
(陽が空を照らす前の、夜明け前の一瞬)
(いつかきみに見せたみたいな、)(薄紫の絹のような雲がかかるほの淡い空と、)(対照的に深く、青く染まる海――)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
――今日は、“そのもの”を贈りたくて。
(きみに視線を戻して、そんな風に、)
(……言いながら)
(もしかしたら、自分がこの光景を見たかっただけなのかも、とも、ちらりと思ってしまう)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(だって、本当に、)
……ああ、やっぱり。
綺麗だな。
(きみに、良く似合う色だったから)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
――……そう。貴方のお気に入りの景色で、特等席……ね。
(水平線に視線を投げたまま、目を細めて)
(もう随分と見慣れた海の。港からでも海岸からでも、船の上からでもない、慣れない角度から見た姿)
(この色合いにどう自分を見たのか。思いを馳せるように、しばし静かに見つめて)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
…………。
(それから。日が姿を現してくるのに合わせるように。ゆっくりと、視線を上――間近な、貴方の顔に向けて)
(――そのまま、伸ばす手。指先を、する、と、貴方の頬に這わせた)
竜城・陸 2023年3月15日
街明かりの届かない場所から見るのが、一番綺麗に見えるかなって思ったから。
――それに、ほら。
空の上で二人きり、というのも一度くらいは、
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
…………味わって、みたかった……と、言いますか……
(装っていた平静が、視線を向けられただけで吹き飛んでしまったのは、自分でも大概だなと思う)
(――だって本当に綺麗で、)
(いつかはこの景色みたいに、遠くから眺めているだけでもいいと思っていた、きみの笑顔が、その瞳が)
(こちらに向けられているだけで堪らなく嬉しくて、)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(――そのはずなのに)
(その先を求めてしまうし、)(もっと、なんて思ってしまう)
……ね、ルクス。
(触れた指先に、甘えるように頬を擦り寄せて)
今、すごく、きみにキスしたい。
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
だぁめ。
(許可なんて取らずに好きにしていい、なんて、いつも言う口が)
(あっさりと、意地悪な答え)
だって……
(さらり、さらりと。すりよせられる頬には答えるように、貴方の目元から、耳元まで。しなやかな指先が、くすぐるように撫ぜて)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
私は今、もらった「お返し」をじっくり、味わっているのよ。
煌めく朝日と、それが照らす貴方の白い肌。
波を離れて通る海風に靡く、貴方の青い髪。
……それと、2人きりの時間。
唇を合わせたら、よく見えないじゃない?
(なんて。目を細めて言いながらも、)
(――指先は、まるで遠慮なく。貴方の顎の輪郭を確かめるように、撫で上げたかと思えば)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(ちょん、と。人差し指で、貴方の唇に触れて)
だから、
(そのまま。つう、と、なぞって、指先はまた頬へ)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
我慢して。
日が完全に昇ったら――、
息の仕方を忘れるくらい、濃い口付けを交わしましょう?
竜城・陸 2023年3月15日
――――、
(息のしかたを忘れたみたいだ、)
(と、うまく呼吸も継げない身体とは裏腹に、頭の中で存外俯瞰的な、そんな考えが浮かぶ)
(驚いたとか)(落胆とか)
(まったく、そんなものとは違う何かのせいだから、かもしれない)
(きみのそんな、我侭めいたような物言いが可愛らしくて)
(いま、この時間をいとおしんでくれていることが、嬉しくて)
(言葉を忘れたみたいに、きっと呆けた顔できみを見ていたと思う)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(――――はっとして気付いたら)
(あまりにもじっときみの事を見詰めていたこととか)(それ以前に、さっき自分の口から零れ出た言葉とか)
(そういうのがひどく面映ゆくて、少しばかり俯き加減になってしまったし、)
えっ、あっ、…………う、うん。
(なんて、艶やかに笑ってみせるきみに答えるのがやっとだった)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(――――かーわいい、と)
(顔には出ているだろう褒め言葉を、今日は口に出さないであげることにする。あまりそう言われたいわけではないだろうし)
(それに、そう)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(とん、と、胸に頭を押し付ける。俯き加減になってしまった顔を、下から覗き込むような。そんな角度で、)
――私、だぁいすきよ。貴方の、そういう表情。
(なんて、囁いた)
(それに、そう。同じことを、正直に口にしていても。別の言葉が浮かぶのが、好意というものかしら)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(もっとも、そうしている間も……やっぱり、くすぐるように、愛でるように。或いは焦らすように)
(指先は、貴方の頬を撫でて、なぞっているのだけれど)
竜城・陸 2023年3月15日
(その表情だけで何を思っているかわかるくらいになったのはきっと喜ばしい事なんだろうな、と思いながら)
(面映ゆさを隠すように、束の間視線を俯けた)
(――誓って気分を害した、なんていうことはなくて)
(むしろ不思議と最近は、そんな風に思われることさえどこか擽ったいようで嬉しいような――否、勿論、格好いいところを見せたいのは変わらないのだけれど――――)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(――なんてぼんやり考えていたところに落とされた囁きに、一瞬思考が真っ白になった)
(もうずっと赤いだろう顔が、余計に熱を持った気もする)
ずるいな、もう。
……俺だって、きみのそういうところも全部含めて、大好きだよ。
(頬を撫でる指の感触も、いちいち熱に拍車をかけるものだから)
(なんだかもうどんな顔をしているやら、自分でもわからない)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
ふふ。――知ってる。
(ええ、知っている。文字通りに、――快く楽しい心を食らう魔として、貴方のあじを知っている)
(くすくすと、笑い声は楽しげにくぐもって、)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
知っていても、嬉しいわ?
(続く囁きも、また甘く)
竜城・陸 2023年3月15日
――困ったな。
本当に、全部見透かされてるみたいで。
(なんて、言葉で言うほど、表情は困ったふうでもなくて)
(だって、それすら快い、と思ってしまうから)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
(ちらりと、水平線を一度だけ、見遣って)(まだ陽が昇り切るには、少し早い)
……じゃあ、まだ格好をつけていられるうちに、もうひとつ。
君に伝えたいことがあったんだ。
(なんの事だか知っている? なんて、楽しげに)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
ふふ。全部、は、言い過ぎよ。
分かるコトだけ。……大体、全部分かっていたら面白くないでしょう?
(くすくすと、笑って)
だから、ここは素直に楽しみにしようかしら。なぁに?
(なんて。冗談めかした言い方は、分かっているのかいないのか)
竜城・陸 2023年3月15日
……ふふ、それはそうだ。
知りたいと思って言葉を交わすのも、ひとつひとつ知らなかったことを思いがけず知るのも楽しいものね。
(なんて、笑い返して)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
ほら、今年もプロムがあるでしょう。
もしよければまた、きみをエスコートさせていただきたいな、と思って。
(一応今年で卒業だから、とか)(クラスの代表だし催し物には積極的に協力しないと、とか)
(そういう建前も、ゼロではないのだけれど)
(一番、素直に)(思ったまま、欲するままを言うのなら)
……誰より一番綺麗なきみを、一番近くで見たいんだ。
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
……早いわね、1年って。
(くすりと、笑って)
ええ、もちろん、喜んで。
またフロアの視線を頂いてしまいましょう?
………………あぁ、ただ。
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
(思い出したように。また、ちょんと、貴方の唇に触れて、)
――急にキスしたくなっても、我慢しなきゃダメよ?
竜城・陸 2023年3月15日
――ありがとう。
俺も去年よりは動けるようになったから……しっかりとエスコートさせていただくよ。
……ん、何か……
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
――――、そ、……それは、うん。
(そんなことないよ、とは)(嘘でも言えなかったので)
そうだね……、気を付けます……。
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
あら、ほんと? ふふ、負けてられないわね、それは。
楽しみにしてる。
(踊ることも、そうして人目を惹くことも、やっぱり、好きだから)
(にこりと素直に笑って、頷いて)
――――ふふっ。
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
ええ、そうしましょ。
……物足りなくならないためにも――、……あらかじめ、やりためておかないとね?
(ちら、と、)(朝の日差しの方に、視線を戻して)
竜城・陸 2023年3月15日
だって、誰よりきみを美しく魅せたいのだもの。
隣に立つ俺も、それに相応しいようにならないとね。
(期待していて、なんて続けたところまでは、当人曰く“格好をつけていられるうち”だったのだろうけれども)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月15日
ちょ、ルクス……あの……、
(表現――!)(とか思ったところでもう平静が奪われたので格好がつかなくなった)
…………。
(同じように、ちらりと水平線を見遣って、)(もうすっかり昇った陽が、眩い光を投げかけるのを見て)
(先程のやりとりを思い出して、つい)
(きみの横顔に視線が向いてしまう)
ルクス・アクアボトル 2023年3月15日
ふふ。
(感じる視線に振り向きながら、)(顔を、寄せながら)
(くすりと、笑う)
(相応しい2人として並ぶのも)
(あるいは、2人だけの時間で求められるのも)
(どちらも、想像するだに愉しいことだけれど)
(無効票)
ルクス・アクアボトル 2023年3月16日
(――奪い、貪る、まものであることも)
(変わらぬ性だから)
(、)
ルクス・アクアボトル 2023年3月16日
(そのまま、奪うように重ねた口付けの続きは)
(それを改めて思い出させるような――)
竜城・陸 2023年3月16日
え、あの、――――。
(間近で視線が合って、)(言葉のうしろはそのまま引っ込んだ)
(欲して、求めて、溺れて欲しいと誘うそれとはまた異なるその瞳のいろは)
(まるですべてを呑み込んでしまいそうなくらいに深く、どうしようもなく魅惑的で)
(いつだって、敵わないなと思わされて――)
(無効票)
竜城・陸 2023年3月16日
(――同じくらい、)
(そんな瞳を間近で見られることに、それが自分だけであることに)
(どうしようもない歓びを感じてしまうのだから、仕方ない)
(、)
竜城・陸 2023年3月16日
(奪うような口付けに応えるように、受け入れるように、目を閉じる)
(きみの全てが欲しいというのだから、)
(きみに全部奪われたっていい)
(そんな、胸の裡にある想いまでも伝わったかどうかは、わからないけれど――)