【イ】Sera - “kaze”at M Live
日日日・らんか 2023年2月5日
2023.02.05
"ここ"には、あたしだけ。
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日日日・らんか 2023年2月5日
——再び、暗転。
日日日・らんか 2023年2月5日
しばしの後——
日日日・らんか 2023年2月5日
——再びの、明転。
日日日・らんか 2023年2月5日
照明で照らされるステージ上。
アコースティックギターをぶら下げて、先程まで無かった椅子に腰を掛けていた。
特に気負うでも無い、パーカーにスカートの出で立ちで。
日日日・らんか 2023年2月5日
「1曲目、『Sunny Day Dream』でした。」
普段通りの口振りで。
マイクを握り、椅子に座る。
日日日・らんか 2023年2月5日
「作詞作曲初めてやけん、大目に見て欲しかよ。なんてね。」
おどけた口振りでウインクをすると、軽く頭を下げて。
日日日・らんか 2023年2月5日
「こんにちは。いや、もうこんばんはかな。
改めて、Sera(セーラ)こと、日日日・らんかです。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「えーと。昨日、凄いことぶっちゃけた先輩に倣って。
あたしも少し、ルーツについて話そうかな。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「あたし、生まれは日本の福岡で。それからelementary……小学生位の時に、アメリカに渡って。で……色々あってたまたま日本に帰国してた時、刻逆が起きて今こうなってるんですけど。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「……大変だけど、ホントにロクでもない事態だけど。でも、色んな縁に結ばれて。なんだかんだ、悪く無いかなって思ってて。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「あ〜……違う違う何言うてんやろ……。
んーと、言いたかったんはそげん事やなくて、ありのままで行くってことで。」
日日日・らんか 2023年2月5日
会場の皆。
見に来てくれた、知り合ってくれた、友達になってくれた皆を一瞥すると。
日日日・らんか 2023年2月5日
自分のことかと、口を抑えている人にも届くように。
軽くウインクすると
日日日・らんか 2023年2月5日
「やけんちぃと、ありのまま。方言で行かしてもらうね。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「ほんとは今日、バンドスタイルでやろうかなて思とったんやけど。
なかなかタイミングが合わんで、出てくれる人も見つからんし。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「まあそれに、初めてやけん。せっかくやし、1人で出てみようかなんて思って。
それでどうしようかな〜ってとき、棄てられとったこの子ば見つけたとね。」
日日日・らんか 2023年2月5日
思い返すように、ギターをサラリと撫でて。
日日日・らんか 2023年2月5日
「少しぱげとったところもあったけど、大切にされとったんやて思います。弦ば張り替えて磨いて、手直ししたら使えるようになって。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「……ばってん、使う人がおらんこつなって、棄てられて。
きっと、まだ戻ってこれとらんのやて思う。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「そげん人がいっぱいおる。戻って来れん人、戻る場所がなか人。いっぱいおる。
そげん中で、場所ば探して。誰かば探して。自分ば探して。
何かば探しよーて人も、いっぱいおるて思うばい。」
日日日・らんか 2023年2月5日
「……やけん、そげん人たちに向けて歌います。」
日日日・らんか 2023年2月5日
『wind』
日日日・らんか 2023年2月5日
ギターの弦を優しく撫でる。
バラードのような静かな歌い方で、声を出す。
日日日・らんか 2023年2月5日
『暮れる 街の切なさを』
『過ぎる 日々の忙しさを』
『全部 風は乗せてゆく』
『雲に乗る 雨が降る』
日日日・らんか 2023年2月5日
静かに、淡々と歌う。
日日日・らんか 2023年2月5日
『今日出会えた喜びも』
『明日出会える悲しみも』
『全部 風が連れてゆく』
『あるべき場所へ』
日日日・らんか 2023年2月5日
日々の景色への郷愁を匂わせるような歌詞を、弦の音が肉付けする。
日日日・らんか 2023年2月5日
『吐き出せない思い』
『思い出せない願いも』
『風の中では まだ生きているから』
日日日・らんか 2023年2月5日
勢い付いた、ハリのある運動の軌跡を描き、サビに向かって調べは続く。
日日日・らんか 2023年2月5日
『風よ 届けておくれ』
日日日・らんか 2023年2月5日
『音を 運んで行け』
日日日・らんか 2023年2月5日
『あなたなら どこへも行ける』
日日日・らんか 2023年2月5日
感情を乗せた声で、唄う。
日日日・らんか 2023年2月5日
『私(あたし)だって 行きたいけれど』
日日日・らんか 2023年2月5日
想いを込めた声で、歌う。
日日日・らんか 2023年2月5日
『曲がった この翼は』
日日日・らんか 2023年2月5日
ハッキリと強く、弦を掻き鳴らす。
日日日・らんか 2023年2月5日
『堕ちて』
日日日・らんか 2023年2月5日
『朽ちて』
日日日・らんか 2023年2月5日
『羽ばたいては くれないから』
日日日・らんか 2023年2月5日
一旦手を止める。
ゆったりとしたリズムと、柔らかい声音に戻して。
日日日・らんか 2023年2月5日
『次の風を 待ってみます』
日日日・らんか 2023年2月5日
ふう、と一息着く。
日日日・らんか 2023年2月5日
『……そして 芽生えた僕ら』
日日日・らんか 2023年2月5日
『風が繋ぐ 縁だから』
日日日・らんか 2023年2月5日
「……ありがとうございました。
次のLiveを、お愉しみに。」
日日日・らんか 2023年2月5日
拍手に答えるように、大きくお辞儀をすると
日日日・らんか 2023年2月5日
——スポットライトの灯りは消え、
日日日・らんか 2023年2月5日
幕が下りる。
日日日・らんか 2023年2月5日
〜fin〜