【個】星瞬いて、篝は遠く
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
2日目の夜。豊饒祭も終わりに近付き、キャンプファイヤーが燃えている。
それなのに、少女が指定した待ち合わせ場所は――炎の傍ではなくて。
人気のない、出店通りからも離れた場所にある、ぽつんと置かれたベンチだった。
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虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
――……(静寂。其れは冷たくて、暗くて、ひたひたと油断すれば己の影に寄って来る。隣にこの人がいなければ、きっと自分が此処でいなくなっても、誰も気付かないだろう)
……ん、…(ずび、と啜るレモネードはホットだ。けれども、)……ちょっと寒いかも。何かー、羽織るものが欲しいなー、なんて。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
(にへら、と笑みを浮かべ、……けれどそれもすぐに、困ったような笑顔に変わってしまった)
……ごめンね。キャンプファイヤーでさ、騒いでも良かったかなーって思ったンだけど、……ちょっと、そういう気分じゃなくてね。(正直に述べる。)
――あ。レモネード、聖さんの分もあるよ。いる? 暖かいのにしたの。
(無効票)
奉利・聖 2022年11月30日
ならちょうどいい。
どうぞ、もうすっかり冬になってきましたからね。
(そっと、彼女にブランケットをかける)
奉利・聖 2022年11月30日
お気になさらず。どこへなりとも、行きますから。
…おや、いただきましょうか。
(有難いですね、なんて)
(レモネードを受け取るだろう)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
えへへ、ありがとう。
(ふわりと肩に優しい暖かさが乗っかる。嬉しそうに微笑んで)
わっち、聖さんにいっぱい甘やかして貰ってばっかりだなぁ。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
――…ありがとう。
(一つ、お礼を言って。がさごそと袋から取り出したレモネードの器を彼に渡す。)
……楽しかったぁ、豊饒祭。
(空を見上げれば、星が瞬いている)
わっちのお店もね、なンか、無茶苦茶纏め買いしてくれた子がいて。品物、綺麗になくなって。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
なのにね、……友達を、…怒らせちゃったの。
(ぽつり、呟く。レモネードに視線を落としたまま)
……こンな時にするには不似合いな暗い話だけど、聞いてくれますか。
(無効票)
奉利・聖 2022年11月30日
頑張ってる子を甘やかすのは当然です。
お店だって頑張ってらっしゃったのなら、それはもう。
(暖かいレモネードを口に含んで、ほっと一息を吐く)
大成功ですねぇ。
奉利・聖 2022年11月30日
……なんなりと。
(軽いデジャブを覚えながら、先を促す)
何も咎めたりしませんから。
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
へへ。うン、頑張った。
でも其の理論だと、聖さんは年中甘やかされてなきゃいけないな。
わっちが甘やかさないと。
(といいつつ、…また少し、沈黙を落として)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
薬をあげたの。
――……其の子は悩みを抱えてて、…わっちは、わっちには何が出来るだろうって考えたの。……それで、薬を作って渡そうって、思って。
……でも、作ってる途中に……治験で倒れたの、見られちゃって。迷惑かけちゃって。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
其の子は――わっちじゃなくて、自分に怒ってた。
自業自得だって……言ってた。
そうじゃないのに。何にも考えずに、“困ってる”だけ見てて、原因も経緯も知らないで、突っ走ったわっちが悪いのに。
なのに、怒らせちゃったの。…自己嫌悪させちゃったの。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
わっち、あの日から後悔ばっかりしてる。
もっと冷静だったらッて。慎重だったらって。
……自分がやりたから、じゃなくて…其の子の事をちゃんと見てたら、もっと違ってたはずだって。
(レモネードを一口飲む。涙は不思議と出なかった。多分、まだ冷静に話せている、…と、思う)
わっちは護りたいンだ。其の子も、皆も、聖さンだって護りたい、…ン、…だけれど。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
巧くいかないなって、思ったワケです。
……わっちは弱い。
護りたいが空回りして、迷惑かけちゃったンだ、つまりは。
(駄目だね、と、やっぱり困ったように笑ったのだった)
(無効票)
奉利・聖 2022年11月30日
(……そういうことか)
(なんだか繋がったような気がした)
(彼もこの娘も……やれやれ)
なるほど、それは手痛い失敗だ。
(そっと、冷たい手をブランケット越しの背に置こうとするだろう)
(一定の感覚で、子をあやすような要領で叩くのだ)
奉利・聖 2022年11月30日
ちゃんと反省、出来ているじゃないですか。
何が悪かったか、冷静な頭で考えられてる。
今回は上手くいかなかった。これはもう、しょうがないですね。
(レモネードを一口)
奉利・聖 2022年11月30日
貴女もその子も、善意だった。
助けたい貴女と、自分の為に苦痛を負ってまでやってほしくないと思ったその子。どっちも悪いわけじゃない。
ただ上手く嚙み合わなかった。人生においては何度もあることです。
厄介なことに、善意であるが故に苦しい。
だから今、貴女はきっと辛いはずだ。それでいいのです。何も、悪いことじゃない。
(そこに、悪意なんて無いのだから)
奉利・聖 2022年11月30日
今回はダメだった。
……もう、誰かを助けようとするのは止めちゃいますか?
(非難の色はなく。これからどうしたいかを聞きたい)
(そういう表情で、彼女を見つめる)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
でしょ?
多分、数年もしたら笑い話に出来るンじゃないかな。多分。
(背中に手が置かれて、ぽんぽんとあやすように叩かれる。例え冷たくとも、其処に誰かがいるという事を感じて、凄く安心した)
(其の優しさに、瞳が潤むけれど)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
(泣いてはいけない。そう思った)
(泣いてうやむやにしてはいけないのだ。向き合って、呑み込んで、そうして、進まなきゃいけない。そうしたくて、こうして改めて口にしているのだから)
――わっち、あんまり懲りないから。
似たような事、またやっちゃうかも知れないけどね。
……。うン。
辛い……辛い、なぁ。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
――……(今にも泣きそうな顔で、でも泣かないように必死に留めて、聖さんを見る。其の真っ黒な瞳に、どんな風に己は映っているのだろう)
……少しだけ仲直りした後、其の子にもいわれたの。
「護らなくて良いって、安心してくれてもいいんだよ」って。
でも、……出来ないよ。
わっちは、助けたい。護りたい。空回りしても良い、誰かの役に立っていたい。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
要らない子になりたくない、
……変なのは判ってる。
わっち、何か変なンだ。何処かおかしいところがあるンだ。
でも、でも、……(ぐっと唇を一度噛んで、痛みで涙をこらえ)…其れだけじゃない。わっちの為じゃなくて、其の人の為に、助けたいって。思う。要らないって言われても良い、邪魔だって言われても、其れでも、……其れでも…助けたいンだ…!
(無効票)
奉利・聖 2022年11月30日
またやったら、また反省しましょう。
それでいいんです、それで。
(時々さすって、軽く叩いて)
(大丈夫、此処に居るよって教えるのだ)
奉利・聖 2022年11月30日
其の子はきっと、強く在りたいんだ。
助けられるばかりじゃない存在になりたいって思ってる。
意地なのかも。
(そこで、一度小さく間を置いて)
ねぇワチカさん。
奉利・聖 2022年11月30日
人を助けたいって思った時…どうしてそう思ったのでしょうか。
その人が安らいでいたり、安心したりしてるのが見たい?
助かってるという結果を見て、満足したい?
あるいは…………己は此処に居ていいんだと。
認められたい。
その願望の根っこは、なんでしょう。
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
…良いの?
――…呆れられたり、しないかな。
(ひっく。しゃくりあげる。息が泣いている。でも、まだ雫は零さない)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
――……強く。
(じっと言葉を聞く。そして、聖さんが語る「其の子」は、)
……。わっちと、同じ?
(弱いだけが嫌で。護られるばかりが嫌で。其れはまるで――自分のようで)
(首を傾げ、……名を呼ばれ、ひく、と返事のように喉が鳴る)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
(……黙する。其れは答えられないという沈黙ではない)
……最初は、…最後だったの。
認めて貰いたかったの。わっちにも何か出来る事があれば、其処にいられる。いてもいいと許して貰える、そう思ってたの。
……でも。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
……今は、違う。
笑っていて欲しいンだ。
悲しい顔をしてほしくない、悲しい目に遭って欲しくない。
皆が、聖さんが、竜くんが、笑っていてくれるなら! ……わっちは其処にいなくてもいいって、……思う。
……。なンて言ったら、怒られるかな。
(ぽろり、一粒零れるくらいは…勘弁してほしい)
(無効票)
奉利・聖 2022年11月30日
さぁ、それはなんとも。
でも僕は赦しちゃいますよ。
(ふふ、と悪戯っぽく笑ってみせて)
奉利・聖 2022年11月30日
多分ね、そうだと思うんです。
みんな強くなりたがってる。僕もそう。
でもなかなか理想にはなれない。
1人で戦えても、何でも出来ても。まだ強いと満足できない。
…ふふ、これはちょっと、貴女とは違うベクトルかもしれませんけどね。
奉利・聖 2022年11月30日
怒りますよ。
貴女がそこに居たくないと思うのは、悪いことじゃないけれど。
居たいのに、居なくてもいいと思うのは怒ります。
みんな怒る。
奉利・聖 2022年11月30日
だってそれは、対等じゃない。
助けるのも、助けられるのもそうだ。
「対等」になって初めて、互いを助け合える。
僕を護りたいなら、僕に護られる貴女を認めてほしい。
そこからだ、まずは。
(声音はずっと、穏やかで)
(願うように言っているのが、伝わるだろうか)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
…聖さンはなー。
わっちが何をしても、許してくれちゃいそうだからなー。
(いや、流石に何をしてもという事はないかもしれないが…其れでも少なくとも“豊饒祭ほっぽってぐちぐち言ってるわっち”を許してくれてはいるから、嬉しくも思う)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
――聖さンも? いっぱい強いのに?
……。
(咀嚼するように、沈黙)
…少し違うベクトルかもしれないけど、…似てる、ンだろうね。
わっちは欲しくても届かなくて。聖さンは、まだ足りないって思ってる。
根っこにあるのはおんなじ“強くなりたい”なンだよね。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
う。
……うん。わっちも、其処にいたい。いたいよ? いたくない訳ない。わっちだって、笑いたい。…。
……護られる、わっち。
…。(レモネードを一口。優しい甘酸っぱさ。)
…もう、いっぱい護って貰ってるのに。
…聖さンにも、“あの子”にも。
虚ヶ谷・ワチカ 2022年11月30日
…護られるのは、…苦しくて、辛いンだ。
後ろから見ているだけしか出来ないのは、……。辛い。
(認めがたい。受け入れたくない。でも、そうしなければ対等になれない。わっちはまた一つ後悔する。護りたいを押し付けていたんじゃないかって)
……認められるかなぁ。
対等になりたい。護りたい。
護って貰った分を、……返したい。沢山、沢山、返したい…
(ぐず、ぐず)
(ぽたぽたとレモネードの容器に雫が落ちていた。其れが己の涙だと気付くまで、少しかかった)
(無効票)
奉利・聖 2022年12月1日
ちゃんと考えてることなら、許しちゃいますよ。
なんでもはしません。
(ほんとですよ?なんて)
(背中をつついてみる)
奉利・聖 2022年12月1日
そうですね。何も出来ないのは、辛い。
だから───待ってます。
何らかの形で、僕達を助けてくれることを。
今は返したくて堪らないでしょう。早く返したいでしょう。
だからこそ。
奉利・聖 2022年12月1日
焦らないで。
失敗しても、やり方を間違えても。貴女は頑張ってる。
言葉を尽くして、思考を尽くして。伝えたいことをちゃんと伝えて。
それでゆっくり、頑張ってみましょう。
今はちょっと失敗したから…立ち止まって休憩です。
奉利・聖 2022年12月1日
幸い今、僕以外誰も見てないですから。
好きにやっちゃっていいんですよ。
(泣きたい時、縋りたい時)
(その先にしてもいいのだ。此処に居るから)
(生ける者の隣人として、此処に居続けてるから
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
な、なんでもは、だめかぁ…
だよなぁ…
(背中をつつかれて、びくりと震え。…泣きながらじっとりと恨めし気な目をする)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
――……必ず…必ず、返す、よ…!
今は、…護られてばっかり、かも、しれないけど…
弱っちくて、身勝手な、わっち、だけど……!
(返したい。沢山貰った幸せを、「此処にいても良いよ」というあったかさを、「傍にいるよ」と教えて貰った温かさを、返したくてたまらない)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
……
(そっと、相手の胸に頭を預けようと傾いてみる。人に甘えるという事はどういう事だったのか、わっちには判らないけれど)
……たくさん、泣かせて、下さい。
いっぱい、泣かせて、下さい……そうしたらわっち、また、立つから。
そうして、……いつか…あの子に、伝えるから。護って貰ってるって。護ってくれてありがとうって。いつかわっちがお返ししたいって。
(ぐずぐずと嗚咽交じりに言う。そうして君を、見上げるのだ。何処までも優しく微笑んでくれる君を、)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
――どうして。
どうして聖さンは、…わっちを、護ってくれるンですか?
どうして、……そンなに、優しいンですか。
(無効票)
奉利・聖 2022年12月1日
……うん、いいですよ。
お気の済むまでどうぞ、お使いください。
(胸に預けられた頭に手を置くようにして)
(大丈夫大丈夫、と言いたげにぽんぽんと叩く)
奉利・聖 2022年12月1日
……頑張って生きている人が、好きだからです。
懸命に頑張り続けてるのが、見ていて胸が熱くなる。
そんな人が、僕を好きで居てくれるなら猶更。
僕はそう言うものに寄り添っていたい。
そういう人の熱に触れるのが好きなんですよ。
(それで涙を流すほどに頑張る彼女は、気に入っている)
(無効票)
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
(何処までも優しい君は、其の優しさに反して冷たい)
(其の意味を知らないほど、わっちはバカではないけれど)
(そんな事がどうでもよくなるくらいに、君の手は優しい)
……わっち、がんばれ、てる、かなぁ。
…だったら、……うれしい、なぁ…
……。(熱い雫がころころと頬を落ちる)
…ありがとう、聖さん…
わっち、…聖さんが好きでいられるような、人に、なって、いたい、なぁ……ッ、う、うぅ……!
虚ヶ谷・ワチカ 2022年12月1日
ごめんなさ、……ごめんね、ごめんね……!
う、うあぁ、あうううぅう……!!!
(あとはもう、湧き上がる感情が齎すままに涙をぼろぼろに零していた。ぐずぐずに泣いて、泣いて、泣き疲れて眠ってしまうまで。そんなになってしまうまで、目の前の優しい人に甘えていた。甘えてしまう自分を、許せるようになりたかった)
(大丈夫だよ。飽きるまで泣いたら、――ちゃんと、立つから)
(。)
奉利・聖 2022年12月1日
(涙があふれるなら、枯れるまで泣いて)
(疲れて、良く休んで、クリアな頭にして)
(次を頑張る)
(それが生きている人の、生き方の一つというものだ)
うん、うん……いいんです。それでいいんだ。
何も間違えてなんかない。
大丈夫大丈夫……貴女はえらいよ。
(彼女の涙が枯れるまで、ずっとそこに居続けた)
(隣人として、ずっと)
(。)