【個】残った世界はたったこれだけ
三隅・彩乃 2022年11月7日
修学旅行、ゾンビの世界。
プラスチックの封を破ろうとする手は、割れたガラスが踏まれる音でびくりと止まりました。
敷地面積面積66000㎡、駐車台数2400台もある3階建ての大きな大きなショッピングモールがありました。
そこにはたくさんの死者が蠢いていて、対して生者はなんとふたりだけ。
世界はずいぶんと狭くなってしまいました。
インセクティアの少女と、人間の少女。そして6畳ほどのスペースとバリケード。
数日分の食料と、毛布がふたつ。
残った世界は、たったこれだけ。
世界はずいぶんと狭くなってしまいました。
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三光・蜜味
三隅・彩乃
1
三光・蜜味 2022年11月7日
じゃあ、ここだと彩乃は、ハニーに勝てるの?
(むむ、と顔を両手に触れたまま、少し体を起こして)
ハニーのほうが、大きくて、強いのよ?
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(むむ、力負けしてしまいそうです)
でも私のほうがお姉さんよ?
(膝立ちになって、上から体重を掛けるようにして彼女が起きるのを阻もうとします)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
そう? じゃあ…………
(急に、力を全部抜いて)
三光・蜜味 2022年11月7日
(後ろに、とすっと倒れ込んで)
三光・蜜味 2022年11月7日
(彩乃が、上に乗るような形になって)
お姉さんは……これから、どうするの?
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
あら……。
(すとん、と支えが急になくなってしまったものですから、慌てて膝の位置を調整したら馬乗りになってしまいました)
三隅・彩乃 2022年11月7日
勝っちゃったわ。
(そういうことにしました。お姉さんだから勝ってしまいますね)
蜜味を好きにさせてもらおうかしら。
(まずは頬から蜜味の手を離して、今度こそ唇を落としにいきます。制止されたってやめません。なぜなら自分が勝者なのですから)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
ん。
(神経が通っている手には、唇の感触も、温度もしっかり伝わって)
…………くすぐったい。
(負けてしまったので、拒みません。触れるたびに、指がピクピク動きます)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
……!
三隅・彩乃 2022年11月7日
(にや~~)
(今度はぺろっと舐めようとしてみます。キスはくすぐったいらしいので!)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
ひゃ ん っ !
(驚くぐらい……普段のかすれたそれとは比較にならないほど、高い声が出た)
三光・蜜味 2022年11月7日
…………あーやーのー…………?
(抗議の目線で、じっと見つめます)
(見つめますが…………抵抗は、しません)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(かわいい!!)
三隅・彩乃 2022年11月7日
なぁに?
(目線の抗議を正しく受け止め――受け止めた上ですっとぼけました。手を離し、次は覆いかぶさって、唇は彼女の首へ)
嫌なら抵抗していいのよ?
(触れたまま囁きます。抵抗されてもやめないつもりですが)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
(本気で抵抗すれば……押しのけることは、きっと簡単だ)
(お互い、一般人程度のちからしかないのだから、体格でまさるこちらのほうが)
(誇り高き女王蜂、生まれながらの支配階級、されるがママなど言語道断)
(でも…………)
三光・蜜味 2022年11月7日
や。
(何故か身体に力が入らない……抵抗する気が、起こらない)
それは、だめよ。
(口では、そういう)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
嫌じゃないわ。
あなたは嫌がってないの。
(押さえつける力を弱めます。とってもとっても弱めます。羽毛でも乗っているような力加減。これでも振りほどけなかったら、それは蜜味が嫌がってない証拠なのだとばかりに)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(唇は少しずつ登っていきました。首からだんだん上へ、次第に顎へと。そしてもっと登ると見せかけて――唇とみせかけて、耳に接吻)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
や、だもん。
(身を捩る、抵抗のフリ)
(くすぐったくて、顔に近づくたびに、ひ、となって)
(とうとう、目を閉じて)
三光・蜜味 2022年11月7日
ひゃ、ひ
(耳元に触れると、触覚がへたりとなって)
、、
(もともと、それを望んで、要求したのは自分だったはずなのに)
(この状況は、全然想定していなくて)
や、やめ……
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
やめなぁい。
(耳から額に、額から反対側の耳に、次に鼻先へ。まぶたへ。頬へ。残るは最後の一箇所)
三隅・彩乃 2022年11月7日
蜜味。
三隅・彩乃 2022年11月7日
ほんとにやめちゃっていいの?
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
や――――や、やめ…………
(拒んでも、声に出しても、やめてくれないのに)
三光・蜜味 2022年11月7日
………………っ
(なんでそこだけは、聞くんだと、抗議の目線をじっと向けて)
三光・蜜味 2022年11月7日
………………彩乃は、どうしたいの。
(それは)
(望んだわけではなく、求めたからだ、という体裁が欲しくて)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(体裁、なんて)
三隅・彩乃 2022年11月7日
蜜味のしてほしいことをしてあげたいわ。
(与えてあげません)
だからほんとに嫌ならやめてあげる。
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
(腕を、上に乗る彼女の、細い腰にまわして)
…………彩乃。
三光・蜜味 2022年11月7日
(ハニーが■■なのは?)
(わかってる、決まってる、心は定まっている)
(それは間違いない、今だって、ブレてない)
(そして)
三光・蜜味 2022年11月7日
(それでも)
ハ ニ ー
(女王蜂は)
(欲しい、全部欲しい)
、、、、、、 、、、、、
(好きなものは、全部欲しい)
三光・蜜味 2022年11月7日
…………いじわる、しないで。
(力を込めて、押し寄せるような動き)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
よく言いました。
(それでよしとしましょう。迫る彼女の顔の、唇へ)
(今度こそ接吻を施します)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(触れて、微かなリップ音)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(少し離して、もう一度)
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
(甘やかされて、大事にされて、褒め称えられて育ってきた、幼い子供の唇です)
(それはそれは、柔らかいでしょう)
(それはそれは、甘い香りがするでしょう)
三光・蜜味 2022年11月7日
(一度目は、軽く)
(離れていく温度に急激な寂しさを感じて)
(二度目は、少しだけ長く)
(ほんのちょっと、腕に力を込めて、逃げないように)
(無効票)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(もう一度唇を離して)
蜜味って甘い味がするのね。
(先程食べさせたスナックよりもずっと強い、彼女の根源的な味わい。今度は彩乃も体から力を抜いて、地面に横たわります。ちょうどふたりで並んで寝そべるように。逃げるつもりなんて欠片もありませんでした)
三隅・彩乃 2022年11月7日
ねぇ。
蜜味。
(キスの合間に言葉がひとつ、ふたつ。)
三隅・彩乃 2022年11月7日
たのしい?
(無効票)
三光・蜜味 2022年11月7日
(どくん、どくん、音が聞こえる)
(体内から響く、高鳴りの音だ)
(どん、どん、音が聞こえる)
(外から響く、無粋な音)
(それは、終焉の音)
(さっきまで、こんなところにはもういたくないと思ってたのに)
(それが近づくと、急に惜しい)
(だって、女王蜂はわがままだ)
三光・蜜味 2022年11月7日
……当然よ、言葉も、身体も、全部、全部甘いの、ハニーは。
…………だから、ハニーに溶けない、彩乃がおかしいの。
三光・蜜味 2022年11月7日
…………でも。
(何度でも、欲しくなるぐらいに)
…………たのしい。
三光・蜜味 2022年11月7日
(どん、どん、音は直ぐ近く、気配も、直ぐ近くに)
三光・蜜味 2022年11月7日
…………ねえ、もういっかい…………
(もう、包み隠さずに――だって、これがもしかしたら、最初で最後の機会だから)
三光・蜜味 2022年11月7日
……ほしい。
(演出終了)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(彩乃は蜜味から視線を外しました。蜜味以外を見るのはずいぶんと久しぶりのような気がします。軋むバリケード。目に見えたカウントダウン)
……。
(でも、見たのは1秒にも満たない時間だけ)
三隅・彩乃 2022年11月7日
(すぐまた蜜味へ視線を戻して)
よかった。私もたのしいわ。とっても。
三隅・彩乃 2022年11月7日
(バリケードの崩れる音がしても、鈍い足音がしても、もう見向きもしません)
ええ、もういっかいしましょう。
三隅・彩乃 2022年11月7日
(たったこれだけの残った世界。その最後の瞬間を迎えるまで)
(唇を重ねるのでした)
(演出終了)