戦技研究部

第13試合:ドラゴンソング・レゾナンス

緋野・氷織 2022年10月23日
試合開始から、数十秒後。

雪吹きすさび、白が埋め尽くす高層ビル街――その只中にて。


#奉利・聖
#竜城・陸





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竜城・陸 2022年10月23日
――しかし。

振り抜かれたそれはその身体に当たることなく、青き氷の障壁に阻まれて止まる。
衝撃が伝播するのならばそれもすぐに破砕されようが――距離を取るには十分すぎる間。

「随分と動きがよくなったじゃないか」

生み出す氷剣は先よりも数を増して。
叩きつけるような氷剣の弾幕は前方と上方から。

『破魔の蒼星』『破穿の氷軌』

――加えて投擲するのは、魔術を付与した霊銀の刃。
回避と防御の動きを予測して、“躱せない”タイミングを狙って放つ。

凝縮された冷気は触れたものを即座に凍らせるほどの極低温を帯び、
魔術によって底上げされた切れ味は触れたものを簡単に両断するほどだ。
触れれば肉体を機能不全にする程度の冷気、防護の術を敷いたとて突き抜ける程度の威力は秘めている。

「じゃあ、これはどうだい?」 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月23日
──氷剣は問題じゃない。
避けるも防ぐもそう難しくは無いし、知覚するのも速い。

問題は続く霊銀の刃──これだけ、死の点が異様に大きい。
つまりは致命的な攻撃。そして、氷剣をどうかにしてこれに対処するのは……時間が足りない。回避は不可能。防御も難しい。
であれば活路は──攻撃にある!
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奉利・聖 2022年10月23日
「セヴラトッッ!!」

龍骨が嘶く。満ちる死を哀しみ、歓喜するように。
強力な反面リソースの消費は相応。手痛いが…物理的行動不能は明確な弱点なのだ!

https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=36632

デルサルベーション──遍くものに死を与える力。
それの発展形、攻性防壁へと変化したそれ。

薄い膜の様に我が身に『死』を纏い、その境界に触れし殺意と害意に。

死を。
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奉利・聖 2022年10月23日
「男子三日会わずば何とやら…でしょう。そちらも」

氷剣も霊銀の刃も、攻撃にて蹴散らさんと迫るっ!

逃がさんとばかりに、彼の後方を取り囲むように陰気の壁を生み出す。こちらはあくまでも戦士。クロスレンジを維持するための細工だ。

『軽』

肉体加速。死を纏いて肉薄する──! (無効票)
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竜城・陸 2022年10月23日
「成程。面白いね」

動じる様子はなく、
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竜城・陸 2022年10月23日
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・
距離を取ろうとする背中に当たるはずの壁は、音もなく砕け、

二人の間を――
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竜城・陸 2022年10月23日
白が遮る。
瀑布のように降り注ぐのは、竜の生んだ氷雪がもたらした極低温が、この仮想現実の自然条件と合わさって生み出した、自然現象としての雪。
上空に生まれたそれを、魔術で風の流れを操って落としただけの、

・・・ ・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
害意も、敵意も、殺意もない、ただの自然現象だ。

けれどその質量は膨大で、彼の体一つ容易く呑み込み、押し流す程度のものではある。
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竜城・陸 2022年10月23日
距離を取りながら、

「まだ追いかけっこをするかい?」

次なる刃を手の中に呼び出して、首を傾げる。

次手を編まないのは油断ではなく、彼の纏う防壁が健在では生半可な攻撃が通用しないと見ているがためだ。
――少し、時間が必要になる。 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月23日
障壁が消えた!?少し想定外だ。
何らかのアクションがあったようには思えない…何をした?

いや、それよりも……この上から来る寒気は!!

「ただの雪か…!!」
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奉利・聖 2022年10月23日
そう、ただの雪だ。だが効果的だ。
自然現象には何の指向性もありはしない。
死の知覚も死の護りも、反応してくれないのだ。

白の膨大な質量に押し流され、地に落ちる。
落下地点の陰の気の障壁を配置し、流されるのを避け。
未だ迫る雪には『朽気功』の崩壊を伝播させ、消していく。

再び呼吸を整える。極寒の空気が全身に行き渡り、反比例するように丹田が炎の様に熱を帯びる。
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奉利・聖 2022年10月23日
よろり、立ち上がって見上げる。

「追うのではなく──倒しに来たのです」

「そちらがどうかは分かりませんが、チームで一番戦力があるのは僕ですから。止めねば敗ける」

死の防壁は強力だが、リソースという有限性がある以上は長く保たない。それは向こうも同じで、如何に強力な攻撃があれど…トライデントにおいては無限ではない。つまりはどこかで、勝負が必要だ。
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奉利・聖 2022年10月23日
「一年の間に……強くなるものだ。お互いに」

番長相手には勝てない。
そんな弱気はもう無い。全てに勝つつもりでいる。
鍵になるのは…ちょうど一年前にぶつけた、アレか。 (無効票)
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竜城・陸 2022年10月23日
「そう。なら、もう少しいい手を編んだほうがいい」

見上げる視線を見下ろして、笑ってみせる。

見違えたのは戦いぶりだけの話ではない。
その裡に秘めた熱も。その言葉の中に籠った想いも。
いつか相対したあの時よりも格段に、強くなっているように感じた。
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竜城・陸 2022年10月23日
距離をあけられて、リソースを相応に吐いて、それでもその瞳の奥の炎は潰えていない。
まだ腹案があるのだろう。
そういう、顔だ。

「――打っておいで」

いつかと同じように、告げる。

・・・・・・・・・・・
それごと打ち破ってやる、と。 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月23日
──かつて同じような言に。
小さく笑みが零れた。
あの頃は圧倒的格上に対して、力を試すような思考だった。

今は違う。煮えたぎるような渇望が、心に宿った。

「セヴラト、いくか」

首から提げた護符。そこから魔力が流れ込んで、回路に流し込まれた。
恐らく今のリソースで撃てる最高の一撃は、これしかない。
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奉利・聖 2022年10月23日
脳裏に浮かび上がる魔法式。
複雑な歯車が嚙み合わさったようなそれは、かつてでは維持できなかったもの。それどころから魔力すらも確保できない。

これまでの助けと、己の成長──否、取り戻したもので。
五番目の焔を我が手に。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『炎と黒鉄』

それは、魔を宿す武器を鍛えるために。
鍛冶師は炎と黒鉄で以て、それを成したのだ。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『伝説の竜狩り』

悪竜、打ち滅ぼすべし。
竜狩りの始祖は掲げる。我らの怨敵は空に在りと。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『賢人ジルバはかく語りき』

竜狩りの歴史と歩んだ者は、語る。
凄惨たる戦いの爪痕を識るが故に。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『怒りもて牙を剥き』

竜を狩る武器に最も適したものとは何か。
その怒りを象徴するような素材は、何だったのか。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『怒りもて爪を研げ』

それは──竜の爪牙にほかならない。
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奉利・聖 2022年10月23日



ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『報復と共に我らは歩まん』

怒りの道を往け。我ら矮小なる人なれど。
宿した焔は、尽きること無し。いざ、天へと突き抜けよう。
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奉利・聖 2022年10月23日
漆黒の龍骨に、ボウッ──炎が灯った。
炎は形を変え、熱量を増し。
龍骨は一時、竜狩りの槍へと成る。

真白き世界の中で、確かに灯る紅蓮。
寒気を捻じ伏せ、篝火のように揺らめく。
残りのリソースを使い果たし、錬気による強化も施す。
「極大貫通」「着弾時急速崩壊」
そして切っ先に宿るは「人ならざる者」への強力な特攻と。

「上位者殺し」───即ち、遥か強き者を打ち倒すための力。
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奉利・聖 2022年10月23日
──────ザンッ!!!!!

強く地を踏みしめて、全ての力をこの一投に捧げる。
結実せよ。竜狩りの槍──焔天に至れ。

──────ドウッ!!!!

砲弾のようなそれが、放たれて。
最後の詠唱に、願いを込めた。

『変則第五位階』
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奉利・聖 2022年10月23日


ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤマジックエンチャント・アクトファイブ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ『ㅤㅤ焔ㅤ天ㅤノㅤ竜ㅤ牙ㅤ竜ㅤ爪ㅤㅤ』


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竜城・陸 2022年10月23日
「――おや」

「編めるようになったんだ」

詠唱が進むとともに膨れ上がる力。
白雪を退けるかの如く煌々と灯る、焔のごとき紅蓮の光。

以前相対した時を数段上回る力を秘めていることは、術の完成を見るより前から明らかで。
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竜城・陸 2022年10月23日
これは戦いではなく競技である。
本来ならば別段真っ向から受ける必要などない。

けれど、それは余りにも勿体ない。
そもそもが――
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竜城・陸 2022年10月23日
「いいね」

「そういうのが見たくて参加しているんだ」

――そういうことだ。
真向から受けなければ、余りにも勿体ない。
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竜城・陸 2022年10月23日
竜はこの空間で、“権能”を働かせることはできない。
神なる“世界”も、竜なる“幻想”も、他者が解釈して再現するにはあまりにも膨大な情報量であり、主観的な世界観だ。
それゆえに仮想現実に反映することは難しく、ここでは“停滞”も“浄化”も十全には働かない。
限定的な――現代風に表現するならば「相手の動きを鈍らせるデバフ」程度の――効果を発揮するのみだ。

けれど。

その魂の中で解釈し、解いて編み直して純然たる“力”と成したものに関しては。
つまり、竜や神に属するものではない、“竜城陸”という人間に帰属する力ならば。

この中でも、十全の効果を発揮する。
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竜城・陸 2022年10月24日
手放した霊銀の剣が解けて消えると同時、翻した手の中に握るのは刃のない柄。
生み出した赤熱した刃を真っ向から相手へと向けて構えれば、その刀身に青き極光が纏わる。

「断ち斬れ、」

陰と陽。或いは氷と光。異史と正史。
相和して深き青の光と成したそれは、“竜城陸”という“人”が編み上げたもの。
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竜城・陸 2022年10月24日
・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
神という絶対者でも、竜という上位者でもない、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
竜城陸というひとりの人間が編み出した光。

その光を――

    ノーザン・ライト
「――“天涯の極光”!」

真っ向から、焔の槍撃を迎え撃つように奔らせる――
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竜城・陸 2022年10月24日
――――ところで。


  トライデント
この戦  場では、自身の体力も、耐久値も、魔力etcと呼称される内在する異能も――そしてフィールドに顕現する自身の行った攻撃も。
何もかもが、個々人に割り振られたリソースと呼ばれる単一の質料から成る。

その在り方は。
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竜城・陸 2022年10月24日
・・・・・
有限である、という部分を除けばすべて。

・・・・・・・・・・・・・・・
竜城陸という個体の平時の在り方と同一である。
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竜城・陸 2022年10月24日
ゆえに竜城陸は、リソースが有限であることと、それらの形を変化させるためにもリソースが必要であることにさえ留意すれば、理論上、平時と同じ対応を執ることができる。

魔力を生命力に還元する……ことにはさすがに制限こそあるものの。
既に放った魔術を自身の望んだ形に変転させる、自身というリソースによって掌握した事象を自在に操る――といった芸当は、現実の空間と遜色なく行うことができる。
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竜城・陸 2022年10月24日
――――さて、そこへきて立ち返ろう。

今、この戦場全体を埋め尽くしている吹雪は、降り積もった雪は。

・・・・・・・・・・・・・
一体何から成るものであっただろうか?
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竜城・陸 2022年10月24日
――――青き極光が、焔の竜牙竜爪を真っ向から迎え撃つとほぼ時を同じくして。

彼が足を付けた地面に降り積もった白い雪が。

今まさに吹き荒れる、氷雪が。

・・・
氷の刃へと変じて、一斉に、全方位から、彼に襲い掛かって―― (無効票)
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奉利・聖 2022年10月24日
───当然のように、その氷刃に対処できるだけのリソースが。
この男にはもう、残っていなかった。
身に突き刺さる少し前、薄く薄く…死の気配があちこちからしていたのだが。膨大過ぎて、どうしようもない。

故に、対処は最初からあきらめていた。
これで仕留めるのが間に合うかどうかの、勝負だった。
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奉利・聖 2022年10月24日
────ズ、ドドドドドドドドッ!!

雨のように叩きつけられる氷の刃。
リソースを使い果たし、仰向けに倒れていた。

全身全霊で撃ち込んだ槍は…どうなった。
届いたか、脅威になったか。それが気になった。
とはいえ、一歩先を行ったのは彼なのは間違いないので───
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奉利・聖 2022年10月24日
「………………はーぁっ」
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奉利・聖 2022年10月24日
「───くっっやしーーっ……」

敗けて、しょうがないとか。
やるだけやったとか。そういう気持ちはもう抱かない。
あるのは敗けて。その悔しさだけ。
熱を帯びたこの感情だけだ。
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奉利・聖 2022年10月24日
なるほどなぁ、あれも全部彼か。
やられた……あんなことができるなんて。

そうだ、あの刃から感じた気運はなんだろう。
陰陽のそれと似ていた。異なるものの合一…。
陰気を習得してから、仙気も自在に錬られないかと試してはいたが。
未だ再現は出来ていない。でもちょっと…ヒントになった気がする。

「こちら聖……ダメでした。ごめんなさい」

仲間には、伝えておこう。口惜しさたっぷりに。
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奉利・聖 2022年10月24日
「次は勝つ」

リソースアウトを指し示す残光と共に。
最後にそれだけ、宣言しておいた。 (▼)
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竜城・陸 2022年10月24日
「それは重畳」

「……でも、次も負けないよ」
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竜城・陸 2022年10月24日
相手が消え去る瞬間に告げた言葉が、届いたか否か。

――まあ、それは考えても仕方あるまい。
相手のみぞ知る、というところだ。

それに、まだやることが残っている。
思索に耽っている暇はない。
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竜城・陸 2022年10月24日
「さて、範囲はこれくらい……で……」

この高層オフィス街の一角は、ノーマルギガースが多く出現する場所だと通達されている。
一応彼らにも逃げる足はあるというが、この大雪に足を取られてはそう遠くまでは行っていないだろう。

「規模は……軽く一戦くらいやれるリソースだけは残しておくか」

派手にやってもいいが、敵が全員退場したわけでも、試合の決着がついたわけでもない。
万が一の備えは必要だ。
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竜城・陸 2022年10月24日
「誠一郎たちを巻き込んでも困るしね」

独り言ちながら、上空へ、高く高く舞い上がる。
一番高いビルの屋上を追い越すくらいまで高く飛び上がったところで、眼下を見下ろして――
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竜城・陸 2022年10月24日
『影滅の葬光』

          『天涯の煌輝』
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竜城・陸 2022年10月24日
『――涯てまで響け』

その詞を紡ぎ終えると同時に――――
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竜城・陸 2022年10月24日
・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
雪の形で降り積もったリソース、今なお降り積もるそれが、

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全て光へと変じて。


そうして――――
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竜城・陸 2022年10月24日
高層ビルの立ち並ぶ、オフィス街の一角が。

夜明けを告げる暁光が如き白き光に包まれて、




――――――――跡形もなく、消し飛んだのであった。 (▼)
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