私立MM学園

【個】ささやかな願い、向かう先は

緋野・氷織 2022年10月14日
今日も今日とて大盛況の屋台コーナー。

賑やかに立ち並ぶ、眩しい景色の中で。
二つの影があった。

静かに獲物を狙う者。
そして、そんな姿をうっかり見てしまった者だ。

#緋野・氷織
#梶野・龍夜





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緋野・氷織 2022年10月15日
あっ。

…………。
(無言の抗議)(奢られたことに対してである)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(まあいいか、と息を吐いて)
(台に肘を置いて、景品の棚を見る)

……僕は慣れるまでが長いんだ。これに限らず、なんでも。
サッカーだって兄さんみたいにすぐにうまくなったりはできなくて、丸一日ずっと裸足でボールを触りながら過ごしたこともある。

(構え方はさっきちらちら見えていた時よりもずっと様になっているだろう)
(――どことなくあなたのそれに似ている……のは、あなた自身が見てもなかなか気付けないかもしれないが)
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緋野・氷織 2022年10月15日
見て、試して、間違えて。

(――ぱん)
(少し左に逸れた弾を見て、姿勢を直す。同じ構え方では体格や筋量のバランスがノイズになって同じ結果にならない)

直して、試して、間違えて。

(――ぱん)
(今度は、右側をかするように一発)

それを積み上げるんだ。
石積み遊びみたいに、何百、何千。
理論が頭に染み込んで、身体がそれを徐々に覚えてくるまで。

でも――
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緋野・氷織 2022年10月15日
(――ぱんっ)

(と、最後の弾はぬいぐるみに初めてしっかりと当たったが)
(それこそ、“下の方が重たい”のか、命中の衝撃で少し揺れた程度で、びくとも動かず)
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緋野・氷織 2022年10月15日
――見本があれば、一人でやるよりは全然早い。
今みたいにな。

……とはいえ、だからってすぐ完璧にはならないけど。

(はい、と)
(こちらもしっかり一回分お金を払って弾を込めた銃を差し出して) (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
あ─────
(当たった……!)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
当たったじゃん!氷織!ナイス!
(ぱちぱちと拍手。背中のミナも祝福するようにひと鳴き)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
あ!(つい!)

えっと、なんだっけ……そう。氷織はすごいなあって話。
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梶野・龍夜 2022年10月15日
いやでもさ……実際すごいじゃん。ほんとに。
出来ないよ。普通。

(差し出された銃を受け取って、再び構える)

でも、そうやって出来るようになるのが楽しい……ってやつかな。 (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
!?
いや、そんな話はしてなかったと思うが……!?

(なぜかいきなり褒められた)
(的中へのナイス、はともかく、そっちの方はこの娘にとって全くの予想外で)
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緋野・氷織 2022年10月15日
…………というか、そこまで僕はえらくはないな。
どっちかというと僕は……

(たぶん)

……「諦める」って。
自分に負けることだと思ってるから。それが嫌なだけ。

(もちろん、それ以外の理由がないわけではないのだろうが――)

……一番大きいのは、それ。
(本人は、自分のことを、生来の、極大の、負けず嫌いだと自負している) (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
そりゃ……誰だって諦めるのは嫌だと思うよ。
だからめちゃくちゃがんばったりするし、すごい辛かったりするし…………

(なんとなく、彼女と同じように)
(感覚ではなく、理論的に体を動かしてみる)
(今どの角度に肘を当てていて、どのぐらいの力を込めているか……とか)

(素人ながら、頭を回してみて)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
…………でも、どうしても辛くて、耐えられなくて、諦めることだってあるし。

別にさ、それが良い悪いってわけじゃないんだけど。
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梶野・龍夜 2022年10月15日
────ただ俺は、“自分には負けたくない”って言い切れる氷織がカッコ良くてすごいなあって思っただけ。

だから、そう謙遜しないでよ。氷織。 (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(兄と、自分を、父と母は分け隔てしないが)
(そうでない他人は、常に比較する)

(両親ともにその名が売れすぎていることが災いしてか、常に衆目に、無責任な期待に晒されながら育ち)
(大多数の彼らは、二人の子供に勝手なラベルを付けた)

(天才の兄と、凡才の妹。世間の評価はそんなようなものだった)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(緋野氷織は、自分のことを卑下していない)

(嫌いでもない)

(自分の将来を諦めても居なければ)

(自分の培ってきたものを否定もしない)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(それでも)

(――それでも)

 ・・・・・・・・
(それが足りている、と思ったことは、一度もない)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(だから、最初に戸惑って)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(それから、徐々に追いついてきた理解に面映ゆさがせり上がってきて――)
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緋野・氷織 2022年10月15日
…………い、いいから。

ほら、早く、お前の番だろ。

(いつもよりぶっきらぼうに、そんな風に、背中を叩いて促して――)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(――――小さく呟いた、「ありがとう」は、祭りの喧騒に消えそうなくらい小さな声。) (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
え?あ?な、なに?俺なんかまずいこと言った?

(いやちょ、そんなにされると間違えて撃っちゃうから────)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
(─────?)

氷織、今なんて──────(ぱん)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
(狙いをしっかりつけていた時よりも、よっぽどのクリーンヒット。ウサギのぬいぐるみの頭部がぐらりと大きく揺れていた)

(皮肉か運命か、けれど時々、人生で起こるのはそういう努力や己の思考と判断が介在することの許されない偶然ばかりであることもよく知っていて)

(龍夜は、笑ってしまうくらい理不尽なこういう偶然が、存外嫌いではなかった)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
(大きく揺れて背中から落ちそうなぬいぐるみは、何故かギリギリまで粘るように耐えていて、このまま放っておくと数瞬もしないうちに再びどっしりと座ってしまうだろうことは明白だった)

(だから、何よりも。素早く銃に弾を装着して、彼女の手を取った)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
──────頭、もう一発!
(撃って!)

(だってアレは、氷織が求めて、自分で得るべきものだからだ) (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
――――、
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緋野・氷織 2022年10月15日
(目を瞠ったのは、一瞬。すぐに思考を切り替えた)

(最適動作の反復。緋野氷織は一度覚えた動きを忘れることがない)

(実際の、試合とか、戦闘とか)
(そういう場面では、戦場の状態という環境要因、対戦相手という人的要因――そうした諸々から、「最適」が最大の戦果を生まない場合も、ままあるが)

(こと、ものが止まった的であるならば、話は別で)
(“最適”をなぞれば、結果はついてくるものだ。公式を覚えていれば正解が導き出せる、学校の勉強と同じ)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(――――とかいう難しいことなんて、まあ、頭にはなかったのだが)

(ただ、そう)

(最後の一歩を託してくれた友達の気持ちに、応えたいと思っただけ)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(素早く構えて――)

(――狙いをつけて、迷いなく撃つ)

(狙い通りの位置へと着弾したコルク弾が、的をひときわ大きく揺らして――――)
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緋野・氷織 2022年10月15日
――――、

……倒れた…………? (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
倒れた……よね………?
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梶野・龍夜 2022年10月15日
………えっ、倒れたよね!?
(バッと店員を見れば、驚いた顔をしつつも大きなうさぎのぬいぐるみを持ってきてくれていて)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
やっ──────
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梶野・龍夜 2022年10月15日
やった!!やった氷織!!!
(振り向いて、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべました) (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
――――、

(驚き半分、戸惑い半分の表情で、それを受け取って)
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緋野・氷織 2022年10月15日
…………、
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緋野・氷織 2022年10月15日
…………ん。
やったな、龍夜。

(珍しく、わかりやすく笑顔で、握った片拳を差し出した)

(拳を合わせる赤のクラス仕草である) (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
うん、やったね!

(握った片拳を合わせる。興奮はしているけれど、やっぱり少し控えめにする理性はあった。やっぱり痛いから、この手)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
いやでもほんと、すごいよ氷織。
あんな急でもちゃんと当てちゃうんだからさあ。

ああ、よかった。本当に。
(興奮しすぎてため息が漏れてしまう)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
(はあ………と一度落ち着いて)

それ、持って帰るの? (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
(拳を合わせて)(ん、と頷いて)

それは……ほら、そういうポジションだから。

(反射、即応。ストライカーには大事なことである)
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緋野・氷織 2022年10月15日
ん、……持って帰るよ。
折角の記念だし、……実はちょっと欲しかったんだ。
(なんて、さっきは誤魔化した理由を、今度は素直に言って)

……ところで、この後用事ある?
手伝ってくれたお礼に、よかったら何か奢るよ。
ミナにも、待っててもらったしな。 (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
そっか!ならよかった!
きっとその子も氷織に迎えてもらってうれしいと思うよ。
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梶野・龍夜 2022年10月15日
えっ……いいの?
別に……俺が勝手に手伝いに入ったようなもんだし…………
(ところが背中にいるミナは喜ばしそうに鳴き声をあげるのだった) (無効票)
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緋野・氷織 2022年10月15日
……そう、そうかな。
そうだといいけど。

(なんて、ぽつりと呟いて)
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緋野・氷織 2022年10月15日
ん、もちろん。
何を言ってるんだ、お前がいなかったらあと何十分経っても取れてないんだから。
遠慮する必要はないぞ、別に。

(ほら行くぞ、と、我先に歩き出して) (無効票)
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梶野・龍夜 2022年10月15日
そうかな………じゃあええと…………
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梶野・龍夜 2022年10月15日
ってちょっ、待ってよ氷織~!

(締まらないなあ!と思いつつも、足取りは軽やかに。隣に並んで歩んでいくだろう) (。)
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緋野・氷織 2022年10月15日
別に置いていかないから焦らなくていいぞ。

(なんて、ちょっと苦笑ぎみにしながら)

(それでも隣に追いついてくるまで待ってから、ゆっくりと並んで歩き出すのでした) (。)
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