S・S・S

【個】生ける者

奉利・聖 2022年10月2日
寂しくなかったよ。

#十埼・竜
#奉利・聖





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奉利・聖 2022年10月2日
僕よりそっちの方が酷い有様ですよ。
声はMCの命でしょう?ちゃんと水分摂って。
ご飯は食べてますか?それで寮に戻ったら怒られちゃいますよ。 (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
……………………なんっで、そんな、手厳しいのさぁ…………
(ずるずる、力が抜けてくみたいに胸元に寄りかかる)

(────ああ)
(大丈夫、なんだ)
(きみの"波"は、確かに此岸を向いている)
(あの〈声〉も、何故か今は薄れて)
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十埼・竜 2022年10月2日
ごはんは……夜に、レイチェルさんが、一緒食べてくれてたから。
(この病室で口にできる、簡単な軽食程度。しかも、そのひととき以外ではろくに喉を通らなかったのだけれど)


………………………ぼく。
すごーく、こわくて。 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月2日
最近いつも、こんな感じでしょう?

(とは言いながらも、背中を一定のリズムでさすってはいるのだが)
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奉利・聖 2022年10月2日
聞いてます。

…何が怖かったんですか?
(大体分かってはいるけど)(ちゃんと彼の口から聞きたい) (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
……最近、先輩、ぼくにきびしい…………
(声の振動が、肌を伝ってくすぐったい)
(ここにいる。)
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十埼・竜 2022年10月2日
……………………先輩が。
もう。
…………やめちゃうんじゃ、ないか、って。

だってさ。
先輩が、こんなにちゃんと、眠れてるの、初めて見た。
そうなりたかったんだろうな、って、ぼく、思って。
…………ぼくはやだよ。絶対やだ。でもさ。
きっと、もう、疲れなくて、いいんだって、ぼくがお願いしたことでこうなったんだからぼくは何にも言えないじゃんって、
みんな、みんなが、信じてる、のに、ぼく、どうし、ても、
(ぎゅ、と、手を握り締める)
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十埼・竜 2022年10月2日
(――――消毒薬の匂い。機械の低い唸り声。白い、白い部屋。)

ぼくだって。
…………ぼくだって、ここで、あきらめたから。うけいれたから。
治んないんだからもう楽になろうって。
だから。だから。
とうさんは、さいごに、きてくれなかったんだ。
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十埼・竜 2022年10月2日
つめたくて、しずかで、だれも手をにぎってくれなくて。
さいごがひとりぼっちなのが、こわくて、

…………だから、ぼくは、(握りしめた指先から、力が抜ける)
ここにいたんだ。 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月2日
……だから、ずっと此処に居てくれたんですね。

(1人にしないように、寂しくないように)

そう。だから夢の中は…あんなに暖かい感じがしたんだ。
暖かくて、音楽が溢れてた。おかげであっちも案外、悪くはありませんでしたけど。

でもやっぱり──こっちが恋しくなっちゃいましたね。
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奉利・聖 2022年10月2日
竜さんが此処に居たから。
皆さんが望んでくれたから。
戻ってこれましたよ。

(そのおかげで救われたんだと)
(君に伝えたかった)
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奉利・聖 2022年10月2日
………後悔していますか。

(何を、とは言わなかった)
(其れは多分、彼が一番分かっていることだ) (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
(うん。声もなく、うなずく。)

……ゆめ?
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十埼・竜 2022年10月2日
(顔を、あげた)
(涙のあとでべたべたで、やっぱりひどい顔で)

………………おかえり。先輩。
(それでも、満面の笑みで。)
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十埼・竜 2022年10月2日
(何度も何度も、この白い部屋で、きみのベッドの横で、思考の袋小路を彷徨っていた)
(どこからかやり直せば、こうならない道があったんじゃないか――――あっただろう。きっと、いくらでも。)

(けれど現実ってのは、結局は選ばれた道だけで描かれているものだから。)
……ぼく、人選はベストだったと思ってるんですけど?
だって。
やりとげてくれたじゃないですか。 (無効票)
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奉利・聖 2022年10月2日
いつもと変わらない新宿島の夢です。
寂しがり屋が居たみたいで、暫くは構ってあげないといけなくて。

人々もいました。
でも僕だけ、違う場所に居るみたいに…触れ合えない。
その寂しさを、皆さんが消してくれた。
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奉利・聖 2022年10月2日
えぇ。やり遂げました。
…それで終わりにしてれば、そのまま戻れたと思うんですけど。

ちょっと……勝ちたくって。
色々頑張っちゃいました。ごめんなさい。
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奉利・聖 2022年10月2日
竜さん。
この結末には、後悔していませんね?

(あの時の選択を悔やんで、心が苦しんでいるのではないか)
(其れが心配だったのだ、ずっと) (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
(きみの言う、構う、という言葉に心当たりがあって)(きっと同じものではないにしろ、同じような“システム”を受信できてしまう、ぼくだ)
……「寂しがり」だったんですか、そいつ。
(声はこわばる。……志向性、プラス人格? どういうことだ?)

勝ちたくて。……あの反則サムライに?
……何があったのか、詳しく聴きたいんですけど……
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十埼・竜 2022年10月2日
(二度目の後悔を問いただす、その顔をじっと見つめてしまう。……随分不安そうに見えて)
(大きな背中に手を回して、ぽん、ぽん、叩く)
そりゃ、すごーく、いっぱい、悔やみましたけど……先輩の顔見たら。
先輩がここにいるんなら、ぼくは、大丈夫。
(ぼくって単純だからさ。くすくす、笑って)
……反省点はいっぱいありますけど、ね。
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十埼・竜 2022年10月2日
必要とするだけじゃ、隣には、いられないんだなって思ったんです。

(せめて、皆を戦場に駆り立てるだけじゃなく)
(ひとを殺せと唆すだけじゃなく)
(あのとき、扉を突き破るだけの力があれば)

……どんなぼくなら、きみの隣にいられますか?
(細く嗄れた声は、静かな熱を孕んでいた) (無効票)
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奉利・聖 2022年10月2日
こんな時くらいしか、ちゃんと会いにもいけないですから。
悪い奴じゃないんですよ。

(おかげで今は、囁く声もすっかり鳴りを潜めているし)

そのお話は、また今度にしましょう。
でも僕が勝ったのは、先に伝えておきます。
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奉利・聖 2022年10月2日
…そうですか。
ならよかった。いつまでも沈んだままだと、復調するの大変そうですからね。

(ちょっと冗談めかしていた)
(少し安心だ)
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奉利・聖 2022年10月2日
沢山考えて。

必死に頑張って。

自分なりに前に進める。

そんな人がいい。
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奉利・聖 2022年10月2日
強くなります。
何にだって勝てるように。何だって護れるように。
貴方もそうしてください。

僕はね、貴方の親にはなれません。
護る親と、護られる子供という関係じゃないからだ。
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奉利・聖 2022年10月2日
“対等”になりましょう。
お互いのできることで。 (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
(目を瞠る)
え……!?
(きみがこうなったのは、敗けたからじゃないのか)(じゃあなぜ)
……あとで絶対教えてよ。ぼくのところからじゃ、あんまりよく“聴こえ”なかったから……
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十埼・竜 2022年10月2日
(ここ数日盛大に沈んでいた手前、一切反論ができない)
(ただ、少しだけ気持ちが軽くなってくれたみたいで、ほっとする)

(ぼくのこと、ときどきすごーく子供扱いするの、先輩じゃないですか)
(……なんて)
(ぼくが、そんな感じに甘えてたのを、受け止めてくれてただけなんだろうけど)
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十埼・竜 2022年10月2日
(縋りついていた腕を、解いた)
(空調が効いているはずの室温でも、離れれば少しひんやりして……ああ、確かにそこに熱はあるんだ)

…………そうやってノセるの、ほんっと、うまいよね。
ぼくが世界一カッコいいと思ってる“先輩”にそこまで言われたら、やらざるを得ないじゃないですか。

(ぼくにも、その灯火は移る。)
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十埼・竜 2022年10月2日
(未だ頼りない、白く細い手を差し出して。)
それとも、“聖”って呼ばれたい?
(“対等”な、握手をしよう) (無効票)
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奉利・聖 2022年10月2日
だって、やる気に溢れてるでしょう?
最初からその気がない人はノせませんから。
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奉利・聖 2022年10月2日
お好きなように。
先輩後輩というのも、いいものですから。

ね、“竜”
(彼の父の真似事ではない。あの時とは違う)
(ぱしっ、と小気味良い音と共に手を取った)
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奉利・聖 2022年10月2日
差し当たってまずは…その酷い顔をどうにかしましょう。
お見舞い品いっぱい来てますし、食べますか?

あ、あとラジオ!
その分じゃ全然放送もしてないでしょう?そっちも復帰してもらわないと。夜中の楽しみが減るのは嫌ですからね。 (無効票)
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十埼・竜 2022年10月2日
(違う手のひらで)(違う、声だ。)

(ぼくは、どっちも失くさない。)
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十埼・竜 2022年10月2日
両方呼ばれたいとは結構強欲ですよ、先輩。
…………カワイイ後輩のカワイイ顔に酷いとはひどいじゃないか……ひどいんだろうけど……(ぐしぐし、手で顔を拭う)(大して変わらない)

あ、お見舞い品、ぼくもいいの? じゃ、顔洗うついでにお茶でも貰ってくるよ……
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十埼・竜 2022年10月3日
(――――白くてしずかでさみしい病室で)
(細いアンテナと小さな箱からの、その声だけが、よすがだった)

…………音楽が聴こえて。さみしくなかった、って、言ってたね。
“むこう”で。

(届かせることが、できるのかも、しれない。)
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十埼・竜 2022年10月3日
(父さんだって、もしかして、)
(あきらめたぼくのことを、あきらめたんじゃなくて)
(みにくく死んでいくぼくに怯えたんじゃなくて)

(………………そんなこと、いつか、直接訊ければいいんだけど。)
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十埼・竜 2022年10月3日
(ベッドから降りながら、きみに振り向いて)
リクエスト曲。
(来いよ。指先で煽る。) (無効票)
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奉利・聖 2022年10月3日
お好きなようにと言ったでしょうに。
(ぺしっと指先で額を小突く)

僕一人で全部消費するの大変ですしねぇ。
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奉利・聖 2022年10月3日
む……じゃあ、そうですね。

(ちょっと端末貸してください)(そう頼んで)
(渡したなら、リクエスト曲を表示してくれるだろう)

これで。 (無効票)
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十埼・竜 2022年10月3日
ってェ!(いたくないけどこの後輩はオーバーだ!)なんでカワイイ後輩のひどい顔に追い打ちすんの!? 誰がこんな顔にしたと思う!?
せ……
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十埼・竜 2022年10月3日
…………聖、って、言い慣れねー……
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十埼・竜 2022年10月3日
ん。
(呼び出された音源、タイトルを目でなぞり……しばらく、間。)

……ふふっ、あははは!!
(堪え切れないみたいに、笑いだして)
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十埼・竜 2022年10月3日
なーるほど、こういうモーニング・コールな気分なわけだ?
いいじゃん!
(立ち上がり)(……少し弱った体を、ふらつかせて)

(けれど、足取りは軽く、病室を出ていく。)
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十埼・竜 2022年10月3日
(――――やがて、窓辺に置かれたラジオが、不意に)

(その歌を、奏ではじめるのだろう。) (■)
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奉利・聖 2022年10月3日
(言いなれない様子にふふっと笑みが浮かんだ)
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奉利・聖 2022年10月3日
あらま、すっかり元気になっちゃって。
ゆっくりでいいすからねー!
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奉利・聖 2022年10月3日
(───ラジオだ)

(帰って来た。日常の中に)

(そんな気分になって)

(また笑みが浮かぶんだ)
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奉利・聖 2022年10月3日
ただいま、そしておはよう。

また此処に居られるみたいだ。 (■)
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奉利・聖 2022年10月3日
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