【個】夏の名残を感じながら
レイチェル・セレナイト 2022年8月30日
・あらすじ
(割と半ば強引に)海に誘ってもらってその当日。
まだまだ残暑の暑さきびしい新宿島では、たくさんの方がビーチに詰め掛けておりますが……。
・とき
8月某日
・ところ
お台場ビーチ
・おはなし
#奉利・聖
#レイチェル・セレナイト
1
奉利・聖 2022年8月31日
…………もしも。
もう溺れてもいい時がきたら、とか。
考えたことも無いんですか?
(無効票)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
絶対、なんてないですからね。
リスクはちゃんと、考えておかないと。
(そこで、頬を撫でる手をふと止めて)
……知ってます?
本当に優れた音楽というのは、精神――魂に響くんです。
そしてそれを操る人を、私の故郷では「魔曲使い」と言いました。
……当然、私もその一人。
難しいなんて上等じゃないです?
“それができればいい”……なら、やってみせましょうとも。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
そう、ですよね。
そう、だと思います。
(――いくら喜びがあろうと)
(幸せがあろうと)
(それが失われる苦しみだって同じだけ存在するのだから)
(いつしか人は、痛みしか感じられなくなる)
(得る事よりそれをなくすことを恐れて、手を伸ばせなくなる)
(未知の喜びよりその先の苦しみを予感して、足を止めてしまう)
(歩みはてた先に安息がないのなら、いずれ、心だって動かなくなるだろう)
……私は怒りませんけどね。
いいじゃないですか。終わっちゃった方が自分が楽だって思うなら、それを選ぶのは悪じゃない。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
いいんですよ。
生きるか死ぬかなんて、自分で決めたって。
そんなところまで、「誰かが悲しむから」なんて、言わないで。
……それはそれとして、まだ生きていてもいいな、って思うなら。
私はそっちの方が嬉しいですし、生きてるうちは死にたい気持ちにならないように、めいっぱい賑やかしてあげますけれど。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
…………その聞き方は、ちょっとずるいです。
考えること、がないわけじゃないですよ。
でも――それを選ぶことはない。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
本当なら、たった一人の誰かに捧げるはずのものを。
誰にでも切り売りして、捧げて、時に偽って、だまして。
「一緒に溺れてあげる」なんて甘い言葉で、数えきれないくらい、孤独のままに溺れさせてきたんですよ?
……今更。そんなの、ずるいじゃないですか。
(無効票)
奉利・聖 2022年8月31日
……どうやら。
「魔曲使い」のやる気に火をつけてしまったようです。
いいでしょう、でしたら僕も付き合います。
実際に効果が表れる実験体が居る方が、良いでしょうし。
何より……ちょっと期待してます。
奉利・聖 2022年8月31日
これがね、一番自分で決めにくくって。
でも貴女の言う通りなんです。これは自分の意志で好き勝手していいものであるはずだって。
だから凄く迷って、困ってしまう。
此処に居ることが快い自分も、終わりたいと渇望するも自分も居て。
ちょっと天秤触ったら、簡単に大きく傾いてしまいそうになる。
だから現状を維持してしまうのかもしれませんね……。
奉利・聖 2022年8月31日
……………そうですね。
今までそうしてきて、虫が良いとか…今更だとか。
思うは当然だと思います。
これもね、きっと。
生きるか死ぬかの話と同じなのかもしれないんですよね。
奉利・聖 2022年8月31日
そのずるさに、足を止めるのも。
それでいいならそれでいいのですし。
いや、それでもって思うなら……僕はとっても、いいなって思います。
出来ることは全然無いけど、応援くらいはできますし。
(ちょっとした意趣返しみたいに、言葉を借りながら)
奉利・聖 2022年8月31日
まぁ、つまりは何が言いたいか、ですが。
ずるいことは何にも、悪いことじゃないってことです。
生命なんて極論、全部ずるの塊みたいなもんですよ。
(凄い暴論を持ち出して、焼きそばを啜った)
(無効票)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
「実験体」じゃなくて「協力者」って言ってほしいですねー。
まあまあ任せてくださいよ。
私の作曲技術も上がってきましたし?
夏休み中みっちり紫のクラスの授業に出た甲斐がありました。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
どっちもいるなら、今はどっちもでいいし、変に触らなくてもいいんじゃないです?
現状維持だって、悪いことじゃないでしょう。
……もし大きく変えたいなって思った時に、あらためて触ればいい。
その時は多分、支えてくれる子がいるでしょう?
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
……やですねえ、聖くんったら。
そういう、言い返しにくい言い方で返して来るんですから……。
(なんて、少し笑って)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
いつだったかな、気付いちゃったんですよね。
普通の生活、普通の人生、普通に恋をして幸せに……なんて。
そういうことを考えるたび、今まで蹴落としてきた人たちのことが浮かんで、それで、鉛を呑み込んだような気持ちになるってことに。
――だからおばあさまを追って、こういう世界に入りました。
おばあさまに憧れていた、っていうのだって、事実ではありますけど。
何より、これなら――
恋をしなくても。幸せにならなくても。何も持たなくても。
「そういう生き方をしているんだもの」「これが正しいんだもの」って、言い聞かせていられたから。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
……ずっとね。
私、自分のこと、もっとひどい人間だと思ってたんですよ。
今まで散々、生きるために他人を踏み台にしてきて、別にそれを後悔したことなんてなかったし。
犠牲になった人に申し訳ないなんて思ったことだって、なかったはずなのに。
……でも、それって、それ以外考える余裕がなかったからで。
色々、考えられるところに来てしまうと、考えちゃうんですね。
ここに来てからは、特に。
……やっぱり、お友達が言っていた通り、今まではそんなこと考える余裕がなかっただけなんだなあって。
私、意外と普通だったんだなあ、って。
最近、そう思ってて。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
……まあ、だから。
自分が踏み躙ってきたものを、大事にしたいと叫べるほど強くもないんですね。
だからといって別に、完全に捨てきれるわけでもないわけで。
……ま、だから、こういう「デート」も、代償行為ですよねえ。
巻き込んじゃって、すみません。
(なんて、小さく息を吐いて。お行儀悪く、焼きそばに手を付ける)
(無効票)
奉利・聖 2022年8月31日
ほう、随分勉強してきたようだ。
なら……また聴ける日が来るのを、楽しみにしてます。
(魔曲使いの本領も見たいし)
奉利・聖 2022年8月31日
(生きていくのは、奪い合いだと誰かが言った)
(限られた席という名の幸福を奪い合うのだと)
(奪い合ってる最中は余裕が無くて、みんな必死で)
(其れが落ち着いて、振り返った時にようやく思い知る)
(下に落としたものを、後ろに置いてきたものを)
(ようやく────)
奉利・聖 2022年8月31日
…罪悪感って厄介なもので。
中々消えることはないんです。簡単に積み重なっていくのに。
結構長い事付き合っていくことになるんですよ。
奉利・聖 2022年8月31日
その内自分というものが嫌いになっていく。
これはもう、どうしようもない。生き方が決めてしまったものだから。
だから失くせばいい、なんてこと…言えるわけがないんだ。
奉利・聖 2022年8月31日
だから、持ったままでいいので。
(よっ、と立ち上がって)
奉利・聖 2022年8月31日
遊びましょっか。
(貴女を見下ろしている)
奉利・聖 2022年8月31日
僕を支えてくれる人、きっといます。貴女もその一人だと勝手に思ってます。逆もまた然りだと思ってるんですけど…もしかして違いますか?
違うなら…まぁ、失礼しましたということで。
デート、楽しいですよ。
開幕のあんなのも、今も。これまでも。貴女が代償行為だと思ってて、巻き込んでるようなことで。結構救われちゃってる人が居るんですから。多分僕以外にも。
奉利・聖 2022年8月31日
貴女が貴女の人生を愛せなくても。
貴女と関わった時間を愛してます。
これからこうして遊ぶ時間もそうなる。
奉利・聖 2022年8月31日
で、何しましょうか。
砂でアート対決…あ、ダメだな…僕の負けが見えてる。
うーん、貧弱な案しか出ないので…知恵を貸してください。
(無効票)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
…………、
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
――――――
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
ずっ……るいですねえ……。
私なんかよりずっと、ずるいです。
(知ってて言ってるなら本当に、そうだし)
(知らないで言ってるなら、いっそうだ)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(こんなに自分のことが嫌いだ)
(こんなに自分の生きてきた道を悔やんでいて)
(こんなに自分の過去にしてきたことを軽蔑している)
(それでも、その先にある今を、)(この時間を、)
(肯定されてしまったら)
(――そんなの、)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
……っとに、人を堕落させるのがうまいって言われません?
(精一杯の憎まれ口も、どうにもキレがなかった)
ええ、そうですよ。
あなたが何かを選ぶなら、そこに痛みが生じるのなら、きっと手を差し出してしまうんでしょう。
私が何かを選ぶなら、その時に寄る辺が欲しかったら、きっとあなたの手を探してしまうんでしょう。
…………わかってて。
そうやって手を差し出して。
選ばせようとするなんて。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
……本っ当に、ずるいんですから。
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(見下ろす視線と、視線を合わせて)
ほんっとに芸術ダメなんですね聖くんったら。
とはいえ……ええ、二人で遊ぶとなると、特性がそれぞれの方向に尖りすぎてて難しいですねえ。
逆に「これならうますぎず下手すぎずそこそこ」ってやつないんです?
(無効票)
奉利・聖 2022年8月31日
言ったじゃありませんか。
生命なんてずるの塊みたいなものだって。
(だから悪びれもしないのだ)
(そこも含めて、ずるい男なのかもしれないけれど)
ふーむ、そうですねぇ。
奉利・聖 2022年8月31日
そこそこ運が絡むようにすればいいと思うので……。
お互い一定範囲内で浜辺に何か埋めて、宝探しのし合いをするというのは?
先に見つけたら勝ちってことで。
奉利・聖 2022年8月31日
それでいいなら、はい。
(相も変わらず、熱の通わない手を差し出す)
(無効票)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
あ、言ったな。
つまり自分がちゃんと生きた命であることを認めたってことですからねそれ。
今度からは死人だからとか言わせませんよ?
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
おや、宝探し。
いいですねえ……それこそ埋まってる貝殻とか探すのもいいのかも。
綺麗なの見つけきた方が勝ちみたいな……
(なんて言いつつ、)(差し出された手をとって)
ね、聖くん。
(もう片手で、屈んで、のジェスチャー)
(無効票)
奉利・聖 2022年8月31日
あっ……
目ざといですね……。
(しまったと、とばかりにお手上げのポーズ)
奉利・聖 2022年8月31日
うん、それもいいですね───はいはい?
(屈め?なんだろうか)
(言われた通りに──)
(無効票)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
ふっふーん。
吟遊詩人も工作員も、言葉が巧みでなければやっていけませんからね。
(なんて言いながら、入れ替わるように立ち上がろうと、)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(――して、)
(影が重なる一瞬)
(刺青のない頬に、温かく、柔らかい感触があったかもしれない)
(――かすかなリップ音は、彼の耳に聞こえたか、否か)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(そうして、先に立ち上がって、)
さ、そうと決まれば行きましょうか!
波打ち際の方が、色々流れ着いてるかもしれませんよー。
(何事もなかったみたいに、手を引いた)
(🌊一息)
奉利・聖 2022年8月31日
───────え
(頬に触れたその感触は)
奉利・聖 2022年8月31日
!!!!!?????
ちょっと!?
(どう考えてもそういうことか!?)
(動揺のままに手を引かれていくのだった)
(🌊一息)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(なんですかー? なんて、呑気に応えて)
(ふふっ、と口元に上機嫌な笑みを刷いた)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(この先、自分のことが好きになれる気もしないし)
(これから、普通に生きられる気もしないし)
(自分の幸せを求められる気もしない)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(だけど、一つだけ決めた。)
(もしも奇跡みたいな何かが起こって、自分が、溺れてみようと思えたら)
(その先にある“宝物”に手を伸ばそうと思えたら)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
(――――その時は何が何でも、この人を道連れにしてやろうって。)
レイチェル・セレナイト 2022年8月31日
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