【個】貴方に。
大門・錦 2022年6月29日
放課後。
暮れなずんで尚、熱を感じさせる西日が差し込む高校三年の教室に、男女の影。
「お願い事が、あるのですけれど。」
いつかを思わせるような言葉を先に発したのは、少女の方で。
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竜城・陸 2022年6月29日
ん? ……いや、構わないよ。
今日は朝の当番だったからね、放課後は時間が空いているんだ。
(何もなければ釣りでもと思っていたくらいだし。)
(なんて付け足して)
大門・錦 2022年6月29日
それでも、お時間を戴くことに変わりなく。
手短に、と済ませていい内容でもありませんし。
(そこまで言ってから。息を少し吸い。胸に留めた言葉を発して。)
卍薦を、頂きたく存じますの。
竜城・陸 2022年6月29日
ん、……ああ。その話か。
(特段に驚きは示さず、一つ頷いて、手近な席に着く)
なら、そうだね。
少しお時間を戴くことにはなるか。
……所信表明は聞いたけれど、あらためて君の口から話してもらってもいい?
大門・錦 2022年6月29日
えぇ。勿論。
(向かい合う席に腰掛けて。)
まず、所信表明でも掲げた談話室及び目安箱の設置。
これは私の言葉足らずが原因なのですけれど、真意は黒のクラス内の懇親、相互理解の推進のため、ですわね。
他のクラスに比べて、黒のクラスは何と言いますか、方向性が多様でしょう?
例えば青のクラスでしたら生産、建築、とわかりやすい方向性はありますけれど、黒のクラスは探求、研究、と。
どちらかといえば内に籠りがちですから。
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
もう一つが、極夜番長の番長としての在り方への不満……というと角が立ちますけれど。
彼女の力量は兎も角。上に立つならば率先してほしい、という私のわがままですわね。
一歩引く所があるでしょう? あの方は。
それでいて背を押すタイプでもありませんし。
(どちらかと言えば、熱が籠っていたのは後者の極夜番長についてだったかもしれない。それでも、前者の相互理解についても真剣に語って。)
竜城・陸 2022年6月29日
んん。
懇親、はまだわからなくはないよ。話として、クラス内の仲はいいにこしたことはないからね。
……ただ、ううん。
俺は今の黒のクラスの方向性に余り問題があるとは感じていないのだよね。というのは外野だから――というのもあるのだろうけれど、そもそもの話として「神秘とは秘匿するもの」だろう?
それを「ひらく」ことで君がどうしたいのか、余り見えてこないかな……と思って。
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
うん?
……ああ、まあ、確かに強いリーダーシップを発揮するタイプではないかもしれないけれど。
頼れば頼られた分だけ力になってくれる子だと思うし、そうできるだけの知識の下地も付けていると思うし。
クラスの色の問題でそういうところが見えてこないだけ、というのはあるんじゃない?
(まあ、これは俺の意見だけど。そう付け足して)
大門・錦 2022年6月29日
神秘については草案として技術交流会のような事もしたい、という案も出ていますが。
そちらはあくまで草案。この場で言えるような事ではありませんわね。
ただ、あくまでも個人間の交流であって、そこから神秘をお互いに開示しよう、とは私も思っていませんわ。
この人はどういう事をやっているのか、という範疇でも、自分が行き詰った時に頼る指標にはなるでしょう?
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
えぇ。私もこの力を持て余していた時に頼った事もありますわ。ですが。
(一度、そこで言葉を切って。)
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
頼られて力になる。知識もある。
それは、人の上に立つならば。当然の事ではありませんの?
そこから一歩進んで、頼りたい、と思わせる存在こそ、私は番長にふさわしいと思っていますわ。
例えば赤星番長のように。そして。
蒼海番長のように。
そして、私はそうある心算で、この卍奪に立候補いたしましたの。
竜城・陸 2022年6月29日
成程ね。……それはまあ、道理だな。
統制者の責務として当然のことで、前提条件だ。
その上でさらにそこから進んだ立ち位置を目指したい、という思いは理解したよ。
――まあ、俺がそうなれているかは少々自信がないけれど……それはさておき、だ。
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
であるなら、聞かせてほしいのは君の思う未来像のほうだな。
それこそ技術交流会、というのもそうだし、談話室での懇親であるとか、そういう活動を通じて。
君は、自分のクラスをどういう形に持っていきたいと考えているんだい。
個々の方策の話でなく――最終的な目指す形は定まっているの?
大門・錦 2022年6月29日
そうですわね。
その二つを突き詰めた、究極的な理想としては、学園における智の結集所。
一つの問題に対してそれぞれの観点、魔術体系、超能力的視点から解決に当たれる場所。
いつかは、刻逆さえも解き明かせると。
出来る出来ないはともかく。
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
あまり仰々しい場ではなく、それこそ談話室で口の端に上った事について、突き詰めていければそれで良いかと。
勿論、他のクラスと被らない範疇で、ですわ。
魔術、神秘、異能についての事で。
餅は餅屋に。と言いますもの。
竜城・陸 2022年6月29日
おや、では差し詰めその長を目指す君はメーティス……いや、君の来歴を考えると神に擬えるのは少々違うか。
ふふ、でもそういうことなら、悪くない。
心惹かれる未来図だな。
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
――その智慧がいずれ学園の、そして世界の援けとなる。
そういうクラスにしたい、ということなら。
その未来を目指すべく君が高みを目指し続けるというのなら。
……俺としては、その志は十分に足ると判断できる。
大門・錦 2022年6月29日
では。以上を持ちまして黒の卍奪立候補者、大門・錦の宣誓とさせていただきますわ。
番長連合青組筆頭、蒼海番長。
私に卍奪の許可を戴けますでしょうか。
竜城・陸 2022年6月29日
そうだね。
では、最後に前提条件の確認といこうか。
(手を出してもらえるかい、と、片手を伸べて)
大門・錦 2022年6月29日
(小首を傾げつつ、右手を差し出して。)
竜城・陸 2022年6月29日
なに、別段特別なことではないよ、身構えなくていい。
(言いつつ、彼女の手を取れば)
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
(――景色がまるで飛ぶように流れ、切り替わって、)
(一瞬の後には、洋上)
(新宿島の大地が遠くに見える、古びた、恐らくはディヴィジョンから漂着したまま海上を彷徨っていたのだろう廃船の上)
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
……さて、まあ。
先に今の術式の説明はいる? いらないならすぐに本題に入るけれど。
大門・錦 2022年6月29日
デートのお誘いには随分と乱暴ではありませんか?
(そんな軽口を言いつつ、転移……瞬間ではなく遷移といったところだろうか。などと推察していたところ。)
あら。神秘は秘するもの、なのでは?
明かしても構わないのでしたら知りたいところですけれど。
先に本題から伺いましょうか。
(と、続きを促して)
竜城・陸 2022年6月29日
構わないよ。そも、近代の魔術書には存在も記されているしね。
魔術文字を介して自分との間に道を作る――祭司の秘儀だ。世界との親和性がなくともできる、ちょっとした嗜みさ。
魔術文字に秘められた意味を解せば、君なら目を瞑ってもできるだろうね。
(なんて、さらりと言いつつ)
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
俺はね――ああ、あくまで俺の考え方であって、番長の総意ではないよ。
卍奪というのは、主権交代の儀礼のようなものだと思っている。
神の法を離れて人が立つように。王の法を否として新たな法を立てるように。
故に問われるのは、今そこに立つ者のそれに足るか否かでなく、それを打ち倒さんとするもののそれに足るか否かだ。
……ここまではいい?
大門・錦 2022年6月29日
成程。予め刻んでおいた文字を基点としたもの、という事ですわね。
(事実、あらゆる文字を理解し描く権能を持つ堕天使も、その身に宿していた。)
えぇ。冠を戴くには相応の能力が問われることは重々承知の上。
つまり、私の資質が問われている、という解釈で宜しくて?
竜城・陸 2022年6月29日
ううん? 資質は見せてもらったとも。
俺が重視する資質はひとつだけだ。
「その目が今を見て、その手が未来へ向けて常に伸ばされているか」。
……ところで、君はこんな問答を聞いたことはないかい?
「力はあるが志なき者と、志は高いが力なき者、どちらが王に相応しいか」……なんて、そんな話。
大門・錦 2022年6月29日
似たような例えはよく聞きますわね。
力なき正義と、想い無き力と、など。
竜城・陸 2022年6月29日
ちなみに、君はどうだと思う?
大門・錦 2022年6月29日
そうですわね。
どちらも相応しくありませんわ。
強いて言えば。後者が人を使う事を知っており、人徳があるのであれば許容はする、といったところでしょうか。
志無き王など、害悪でしかありませんもの。
力も、志も、共に備えていてこその王。
まぁ、有史以来、共に備えていた王の方が少ないのが現実ですけれど。
竜城・陸 2022年6月29日
そうだね、俺もそう思う――というか。
統制者として自らが全てを背負って立つと言うのなら。
その為の力を備えていることは、資質でもなんでもない、当たり前の“前提条件”だ。
前提条件を満たした者が、自ら成し遂げるべき志を履いてその為に邁進して初めて、その資格を得る。
そういうものだと思っている。
踏まえて――
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
この俺の身に届く神秘を編めるかい、錦。
今、ここで。
大門・錦 2022年6月29日
無理難題を仰いますわね。
(身構えなくていい、とは何だったのか。瞬時。錦の全身の悪魔の欠片が励起する。以前に見せた真なる姿。『神ノ影(メフィストフェレス)』となり。)
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
『根源開放。其は全知故、悪を知り。其は全能故、悪も能う。
(主は全知全能である。ある宗教に於いて、それは一般論を超越した常識である。およそ世界中の人口に膾炙する概念。)
(しかし、全知であるならば。全能であるならば。当然。悪とされる事も知り、成しえる。それは天の主としてあるまじき悪徳。)
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
悪知悪能たる半身の名こそ悪魔。眼を逸らす莫れ。
(それゆえに切り離された存在こそが悪魔。悪たれ、魔たれ、と名付けられた存在。)
(だが、それはつまり悪知悪能。善知善能たる主との対存在。それ故に、与えられた特権がある。)
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
…………因果の終端を見るが良い。』
――
https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=31630 ――
(創造主たる主の対存在。即ち、消滅を司る悪魔そのものの権能。『神ノ罪(シン)』。神の犯した罪への罰が具現化して。)
(放たれた漆黒の極光は、陸ではなく、足元の廃船の船縁へ。およそ1m程のその極光は、通り抜けたもの全てを。文字通り一切合切を貫通し。その先の海も、海底も、掠め行く全てを虚ろ、天地創造前の存在へと返し。)
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
(すぅ、と。錦の姿が元に戻る。)
こんなところでしょうか。『停滞』も。『浄化』も。およそ魔であるもの以外。物質界の一切を抹消する権能、ですわね。
私が編める最上の神秘ですわ。
竜城・陸 2022年6月29日
無理難題なものか。前提条件、と言ったろう?
(卍奪を掲げて立っている以上、当然それだけの力は備えていて然るべきである――と)
(少なくともこの竜はそうと信じているのだ)
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
(瞬きひとつすることなく、その変化を、励起される力を視ていた)
(差し向けられたとてやりようこそあったろう。半身を“神”の灰に拠るこの身体のもう半身は“竜”。古来より悪であり、魔と象徴されしものである)
(とはいえ――)
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
(“やりようがある”ということは)
(自身の力を以て抗する必要がある――“その力が自身に届く”と認識しているということの顕れである)
――……確かに。
統制者足るを問われる資格と資質のあることを、認めよう。
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
いいよ。卍薦、承ろう。
挑むに足るものを備えている以上、真にその座に届くか否か、諮るのは当代番長の役目だ。
君自身の全霊で以て、ぶつかってくるといい。
大門・錦 2022年6月29日
ありがとうございますわ。
……番長から二人分。推薦を戴くなら、星見さんと竜城さんが良いと思っていましたの。
クラス5人のの意を受け。貴方達に足ると思っていただけたなら。
後はこの身、全てで挑ませていただきますわ。
(無効票)
大門・錦 2022年6月29日
(そして、すっと右手を差し出して。)
それでは、帰って果たし状を認めるとしますわ。
連れて行ってくださいますか?
竜城・陸 2022年6月29日
おや、それは光栄なことだ。
――先程の評価も含めて、俺としても身の引き締まる思いだよ。
ああ、君がどこまで至れるか、楽しみにしている。
(無効票)
竜城・陸 2022年6月29日
了解、では、お手をどうぞ、レディ。
(差し出された右手を掬うように恭しく、手を取って)
(――それと同時に触れた指先から。あなたの意識に滑り込ませる、「空間を繋ぐ」魔術式と、それを励起する魔術文字)
話としては単純でね。
魔術文字を刻んだ場所と、自分のいる場所を空間的に繋げてしまうというだけ。
ただ、自分で刻んだものでないと効果がないから――今度試してみるといい。
自身や手を触れた対象を転移するだけでなく、魔術文字を刻んだ場所からものを引き寄せる、なんて使い方もできるよ。
(忘れ物知らずだ、と冗談めいて付け足して)
……さて、抱えて飛んでも構わないかい?
大門・錦 2022年6月29日
推薦を受けた身としても、より一層引き締まる思いですわね。
(取られた手から流れ込んできた式と、魔術文字について考えを巡らしせて)
アポートも出来ますのね。思ったより汎用性が高そうですわ。
(演出継続)
大門・錦 2022年6月29日
えぇ。よろしくお願いしますわ。
(そう言って、陸へと身を委ね)
竜城・陸 2022年6月29日
空間を通して向こう側を見通す、なんてこともできるし――自分の魔術を送り込むこともできる。
(元々はそういう用途で使われることが多かったようだしね、と)
……神秘持たぬ身でも研鑽すれば至れるものだから、君の身に宿る力や神秘ともあまり喧嘩しないだろうしね。
戦術の幅が広がると思うよ。
(演出継続)
竜城・陸 2022年6月29日
ああ、承った。
(そっと抱え上げて、宙に浮き上がり――)
では、行こうか。
大門・錦 2022年6月29日
ご配慮くださりありがとうございますわ。
研鑽してみますわね。
はい。
(抱えられること幾度か。慣れた風情で新宿島まで送り届けられて行った。)