【個】蜜色の輝きが降る
竜城・陸 2022年5月23日
素材を取りに行く用事が一つできた、ので。
相変わらず神出鬼没の同級生に、そんな話をして。
「……ところで、本当についてくる?」
場所:
幻想竜域キングアーサー・とある海岸
書き込み可能:
#十桜・ひとめ
#竜城・陸
・終了時にアンケート選択
1
十桜・ひとめ 2022年5月24日
……………………。
(言っていた通りの、蜜が固まったような石があった)
(雑把に言えば楕円型で、飴色のその石は、まるで飴玉のように甘そうで)
(宝石だと言われていなければ、とりあえず口にでも放っていたかもしれない)
(そんなことを、見惚れながら、思う)
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
……ね、ちゃんとあったでしょ。
(指で拾い上げた石をまじまじと見遣る彼女の後ろから、覗き込むように手元を眇め見て)
どうかな。君の目から見ても、綺麗なものに見える?
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
────海にこんな綺麗なものがあるだなんて、識らなかったわ。
(ぽつりと、零れる)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
…………ねえ、陸。
まだ……琥珀って、たくさん海に眠っているのかしら。
(顔色は隠したまま、後ろ手に拾った琥珀を手渡して)
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
……俺も昔は知らなかったよ。
本で読んだり、詩を聴いたりして学んだことばかりだ。
竜城・陸 2022年5月24日
うん? ……そうだね、まだ幾つもあるよ。
(手渡されたそれを、手を差し出して受け取って)……もう少し探してみたい?
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
…………ええ。だから──────
十桜・ひとめ 2022年5月24日
向こうの方まで、行ってくるわ!
(弾かれたように飛び出して、跳ねるように水辺を駆ける)
(足も服も、濡れることも気にせずに)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(より、深い方へと)
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
えっ、
竜城・陸 2022年5月24日
――ちょ、(っと、)
(まで言う前に追うように走り出していた)
(当然彼女よりずっと水の抵抗が激しい、ひどく大きな翼や尾のせいで、あまり速度が出ないのだけれど)
(咄嗟に飛ぶ、という選択肢が頭に浮かばなかったくらいには、慌てていて)
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
ふふふっ、あはははっ!
(気が狂ったように見えるだろうか)
(何かに取り憑かれたように見えるだろうか)
(慌てている後ろの気配に、愉しんでいるように見えるだろうか)
(もしくは、それら全て)
(どんどんどんどん)
(その身が沈んで行くのにも構わない)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(ふと)
(体を翻して)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
ねえ、陸!
我も、その子みたいに──────
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(『見つけてくれる?』)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(ざぼん)
(水面の底へ、身を投げた)
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
――ああ、もう!
(なんて、僅かばかり苛立たしげな声音は)
(彼女のその行動にというよりは)(追いついて手を伸ばすことすら侭ならない、重い身体に対してで)
竜城・陸 2022年5月24日
(いよいよその姿が水面に消えてしまえば、軽く舌打ち一つして)
(もたついていた足を止める)
(迷わず深みへ飛び込んで――)
竜城・陸 2022年5月24日
(――翼を広げて)(一つ羽搏き)
(まるで飛ぶように、空の上に在るように、水の中をゆく)
(この竜の司るは、“停滞の氷”と“浄化の水”)
(水底は、自身の領域も同じだ)
(追いかけて、)
竜城・陸 2022年5月24日
(追いかけて――――)
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(母なる海、胎内で眠る赤子のように)
(水中を揺蕩う、融けていく)
(不思議と、恐怖はなかった)
(体に絡みつく冷たさも、内から抜けていく息吹も)
(目を閉じてしまえば、“同じこと”)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(ふと)(聲が、聞こえた気がして)
(瞳を、開いて)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(──────ああ、やっぱり)
(来てくれるのね)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(つい、笑んでしまう)
(嗚呼、きっと怒られてしまうわ)
(呆れられているかも)
(でも、見て、あの顔)
(必死で、真剣で)
(可愛い顔──────)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(だから、少しだけ)
(ほんの少しだけの、出来心)
(彼の朝焼けのように綺麗な瞳を)
(二つの彩、二つの輪を持つ瞳で)
(一目、見つめる)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(刻としては刹那)
(彼の腕が、この身をすくい上げるまで)
(たったそれだけの刻が)
(二人には、永遠のように感じられるだろう)
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
(翼が水を切って進むその速度は先よりも随分も速い筈なのに、先よりずっともどかしく感じた)
(何事か口から零れた言葉は、泡になって水面に吸い込まれた)
(水底を揺蕩うその姿へ向かって、手を伸ばす)
(手を――――)
竜城・陸 2022年5月24日
(――――そこで、)
(二つの彩と、目が、合って)
竜城・陸 2022年5月24日
(手を、)(伸ばしているはずで)
(届いたはずで)(引き寄せた、そのはずで)
(だけれど)
(“確かにそうできている”はずなのに)
(それが、完結しない)
(まるで、)
(周り全部が動いているのに、自分たちだけ止まってしまったみたいに――――)
竜城・陸 2022年5月24日
(――――そんな、)
(止まってしまったような時間の中で、)
(まだ、深い、冷たい、海の底で、)
……何してるのさ、きみ、もう。
(咎めるような声が、彼女の耳に届くだろう)
(息は、できるはずだ)(言葉も、話せるはずだ)
(この水底にいても)
(まるで、陽の下にいるときのように)
竜城・陸 2022年5月24日
追いつけなかったら、どうするつもりだったのさ?
(――いま、世界をそう書き換えたから)
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
──────だって、
十桜・ひとめ 2022年5月24日
──────あなたは、何処までも。
──────来てくれるでしょう?
(信じていたから)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(あるいは)
(“どちらでも良かった”)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(か細い息と、冷え切った体)
(明らかに警鐘を鳴らしているはずのその体に見合わず)
(声は、蕩けたような音色で)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(もう一度、彼の腕に収まるその須臾に)
(一つ、零す)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
『────────────好きよ、陸』
(無効票)
竜城・陸 2022年5月24日
俺の手の届く限りはね?
(その言葉は、少しばかり咎めるような響きを帯びたかもしれないが)
(でも、安堵の方が大きいのは、確かで)
(引き寄せた肩を抱くようにして、安堵の息をひとつ)
ああ、ほら、随分冷えて――――
竜城・陸 2022年5月24日
――――――、
(聞こえた、)(それが)
竜城・陸 2022年5月24日
(どういう意味なのか、問えなかった)
(ただ、)
(“遠慮なく我侭言えるからでしょう?”……なんて、いつもみたいな軽口で返せもしなくて)
(かといって、同じように返すこともできなかった)
(喉の奥に、言葉が突っかかったみたいだ。)
竜城・陸 2022年5月24日
…………。
(無言で、)
(冷えた身体を、来た時のように抱き上げて)
……戻ろうか。
風邪をひいてしまうといけないから。
(こればかりは譲らないとばかりに、言い終えた時には有無を言わさず、水面へ浮き上がろうとして)
(無効票)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(返答は、ない)
(だが、少女にとってはそれが十分すぎる答えだった)
(きっと、そうなるだろうと)
(知っていたから)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
(あっさりと、彼の力で塗り替えられた世界を眺めて)
(満足そうに、瞳を閉じて)
十桜・ひとめ 2022年5月24日
──────『わたし、風邪なんてひいたことがないのよ』
(その言の葉は、何処に流れ着くだろうか)
(▼)
竜城・陸 2022年5月24日
(――いつもみたいに返せばよかったのだろうか)
(それとも)
(――わからない。)
(わからないまま、喉の奥に詰まった何かだけが、大きくなる)
――…………、
竜城・陸 2022年5月24日
(腕の中でなにやら満ち足りたように瞳を閉じた彼女が)
(……何事か紡ごうとした言葉も、半分くらい聴き取れなかった)
(音にならなかったのか)
(或いは、それを処理するほどの自身の余裕がなかったのか――)
竜城・陸 2022年5月24日
(――なんていう間に、腕の中の少女は既に穏やかな寝息を立てていて)
いや、えっ、言うだけ言って寝るんだ……??
(やれやれ、と)
(もう何度目になるかわからない溜息を吐き出して)
竜城・陸 2022年5月24日
――――……、
大事だとは、思っているよ。君のこと。
(引っかかったままの言葉を)(小さく紡いだ)
(でも、)
(“みんなが好き”なのは、誰も好きじゃないのと変わらない)
(“全部大事”なのは、選ばないことと変わらない)
(――そんなことを)(誰に言われたんだっけ。)
竜城・陸 2022年5月24日
(溜息、またひとつ)
(かぶりを振って、思考を切り上げて)
(水面を目指して、翼を羽搏かせて――――)
竜城・陸 2022年5月24日
(――風切る音も)(流れる景色も)
(眼下に広がる水面を揺らす漣も)
(喉の奥に絡まるそれを、洗い流してはくれなかった。)
(▼)