第１６試合：その音、勝鬨が如く
三隅・彩乃 2022年4月28日
混沌極めたる戦場は、港の倉庫であった。
全チーム2名ずつが集い、それぞれが三つ巴を形成する。
勝つか負けるか、誰にも読めぬ戦場を。
確かに響く音だけが、支配していくだろう。
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
「っていうかさあ、聖ちゃんって何聴くの？」
「こういうのとか──────」
硬く鋭い腕が、持ち上がる。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
「どう？」
軽口のように放たれた言葉とは裏腹に、その手首は目にも留まらぬ速さで何度も、何度も翻る。
甲高く、一歩間違えればノイズのようなカッティング。
その身を切り裂かれるような音の感覚はそのまま。
僅かにかげろうの耳に届く歩行音を鳴らす小蜘蛛たちと、こちらを真っ直ぐに見上げる死人へと向かう。
この世界のあらゆる方向から、
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
聴いたものの体を斬って、裂かんと響いていく。
愛染目・未来 2022年4月29日
（甲高い音と共に小蜘蛛達が裂かれて、リソースが飛び散っていく。痛い。いたい。いたい）
（慌てて、文字通り蜘蛛の子を散らすように散開していく――が、あらゆる方向から飛んでくる音を躱しきれるはずもなく。）
(無効票)
愛染目・未来 2022年4月29日
（散った先からどんどん裂かれていく――）
（そもそもが覚えたての能力、動きも未だ拙く。）
(無効票)
愛染目・未来 2022年4月29日
――――フッ！！！（蜘蛛の一体が少女の姿に戻ると、その背には鉤爪の光る八本の大蜘蛛の足。）
―――！！！
（背後の死角から蜉蝣を目掛け、矢継ぎ早に繰り出す八連撃。）
奉利・聖 2022年4月29日
───音の、奔流。
耳から身体に染みこんで、切り裂かれそうな感覚を覚えた時には。
ざっくり──身が裂けていた。
リソースが零れ落ちる感覚…されど、止まらぬ。
彼女の奇襲に、合わせに行くようにして
「爆」
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奉利・聖 2022年4月29日
「軽」「錬結」
爆発の推進力を得たような加速と、身を軽くして得た加速を合わせて
神速の貫手を繰り出しながら
空いた手に銃を握り、砂の檻へと打ち込む。
これはどこまで、耐えられる。
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
背後から迫る八岐大蛇と、檻を破らんとする杭。
────いや、蜘蛛だから女郎蜘蛛って言わないと怒っかな。
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
────だから全部、聴こえてんだって。
蹴散らし続けた小蜘蛛も。そこから少女の姿へと戻ったことも。
さらにその八連撃すら。
裂いたその身のままの加速も。目に捉えられぬその手の平も。
さらにその銃弾すら。
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
しかもほら、共闘じゃないじゃん。ねえ。
身を翻して、真っ白な羽のようなストラトキャスターで八連撃を受け止める。
6弦のうち、4弦は千切れ。
3つのピックアップは2つ砕け。
そのボディーは歪み。
ネックは折れる。
全てを受け止めて、その役目を終えた。
─────否。受け止める、というのは正確ではない。
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
、、、、、、、、、、
全てを受けて、奏でた。
かげろうにとって、この世界の全ての音は音楽であり。
この空間において、発せられる音の全てはかげろうのものであり。
つまり言うなれば、
ストラトキャスターがひしゃげた音ですら、音楽として昇華されるのだ。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
確かに、その速度によって砂は抉られ、撃ち込まれた弾丸によって檻は僅かに削られた。
が、それだけ。それだけだ。
再生するように、うぞうぞと集まる蟲の群れのように。
ほんの少し生まれそうだった穴ですら、無かったことにされる。
その上、奏でられた音。
八連撃による衝撃。それをさらにこのバカデカいアンプで増幅させて。
全域に、放つ。
愛染目・未来 2022年4月29日
よしっ！！！（奇襲、成功！攻撃は防がれたけどギター？は砕いた。）
（さぁ追撃を―――）
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愛染目・未来 2022年4月29日
―――――ガッ！！！！！
（大音量の衝撃に弾き飛ばされ、砂の檻まで体が跳ねる。）
（そのままズルズルと床に倒れ伏し―――）
うう‥‥ぺっぺっ！！（すぐさま立ち上がり、口から砂とリソールを吐き出す）
(無効票)
愛染目・未来 2022年4月29日
（音による不可視の攻撃。数多の可能性を可視化し、未来を目で見る自分にとって絶望的な相性の攻撃だった――）
向こう、は‥‥音で、こっちを認識してる？（闇雲に突っ込んでも敢えなく防がれるのは目に見えている。鉤爪を鳴らしながら、隙を伺う。）
この人、どうにかしないと‥‥どうにもならない、ね。先輩、何か策は―――
奉利・聖 2022年4月29日
───彼女は、止められない。
たとえ何をしようと、彼女が奏でる手は終わらない。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月29日
この場は彼女が全ての主導権を握るのだ。
あらゆる音が彼女の掌なのだ。
突破不可能──時間が、無さすぎる。出現と同時に終わるなら、そろそろ仕留めなければ……本当に？そんなことできるのか？
「壁を……ぶち抜くしかない」
彼女を止めるヴィジョンは、見えないから。
さっきの壁の様子を見るに、無敵ではなさそうだった。強烈な一撃で穴を開ければ、あるいは。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月29日
「僕がやります。お行きなさい」
このままでは共倒れ。ならばせめて、一人でも外に出て状況の打破を狙うしかない。たとえ得が無いとしても…動かさなければ。
「リソースが、尽きる前に…」
全域に広げられた暴力的な音を浴びて、既にリソースはダメージとして流出してしまった。まだ耐えられているが…このまま持続的に削れるくらいなら、攻撃に使って活路を開く。
──砂の檻を前に、力を溜める。気を練り上げ、突き抜けろと願って。
たとえ再生するとしても、一時でも外に出られる道が開ければ！
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
「さァさ、足掻いて藻掻いて────」
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
「溺れちまいな。」
力を込める聖の前に、“あるもの”が生まれた。
砂檻から転び出るように現れたそれは、一見、ただの機材の山。
マイク、スピーカー、ミキサー。その他、諸々。
何の変哲もない音響機材だ。よくある機器の群れだ。
、、、、、、、、、、、、、、
その機材に見覚えさえなければ。
奉利・聖 2022年4月29日
──トライデントは、真剣勝負だ、
だから躊躇せずに後輩を攻撃できるし、勝つ為に様々な手段を使う。
だから、これだって簡単に破壊───
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奉利・聖 2022年4月29日
「愛染目さん」
(無効票)
奉利・聖 2022年4月29日
「どうやら僕は、貴女を送り出せそうにない」
時間にしてみれば、ほんの刹那。
それでも明確な躊躇は、致命的だった。
一度自覚してしまえば、手を引っ込めるしかない。
まったく、後輩にああいった手前、これは不甲斐ない。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月29日
随分、甘くなってしまったな。
いや、これはきっと昔からか。
その人を感じられるものを壊すのは、中々どうして…上手くいかない。
思い出は何時だって、死人の足を取って。
決断的行動を、鈍らせてしまう。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月29日
ゴールデン出現まで、あと数秒
「ラストチャンスを…あげておきます」
「頼りない先輩で、ごめんなさいね」
気の籠められた龍骨は、振るうだけで強烈なダメージを与えるだろう。それを、手放して。彼女の手に投げた。
彼女が倒し切るか、薄羽・カゲハが耐えて──すべてを決するかだ。
死人は、足を取られてこれまで。
なるほど、お似合いの結末か──。
愛染目・未来 2022年4月29日
ん。ん？え？ど、どういうこと？
（なんか機械の山が出てきたと思ったら、先輩は諦めてしまった。）
わわっ。（投げ渡されたそれを、反射的にキャッチする。）
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愛染目・未来 2022年4月29日
重い‥‥（この、骨。掠った時も思ったけど、実際の重さ以上にすごい力を感じる。何か、謂れのある生き物の骨なのかな。）
――わかった。（どのみち、リソースも残り少ない。ここで全部出し切ろう。）
(無効票)
愛染目・未来 2022年4月29日
（奇襲する手立ても音を防ぐ方法も思い付かなかった。もう真っ直ぐ全力で思いっきり行こう。）
せー‥‥のっ！！（全力で振りかぶって、叩きつけに行く。少しだけ身に付けた可能性の操作の能力で、当たれば会心の一撃、必殺の一撃を。）
らぁああああああ！！！！！！！
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
正直、壊そうが壊すまいが。かげろうにはどうでも良いこと。
あれほど聡明なあの男が、砂の中から出てきた意味を理解出来ていないはずがない。
だというのに、躊躇った。
幾度も死を乗り越えたとて、過去には。
思い出には足元を掬われるのだと。
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
ここで壊したところで、二度と蘇らないわけではないし。
まして、彼の思い出を砕いたことにはならないというのに。
────やっぱ“優しい人”なんだよ、聖ちゃん。
よっぽど、人間らしい。
かげろうは、思う。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
オレは優しい人じゃないからさあ。
死人にも、目の前のか弱い少女にだって勝ちを譲ってやる気はさらさらないし。
だからって、それを避けるとか、身を護るだとか。
考えらんねーのよ。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
かげろうは、逃げも隠れもしなければ、護ることも知らず。
、、、、、、、、、、、、
二人の全力を、受け止める。
完膚なきまでの勝利と、凱旋。
理由なんて単純明快。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
─────────それがロックだから。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
気の籠った龍骨が脳天を割らんとする寸前。
骨のないその体、その額を以って。
自ら、迎え入れてやる。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
インパクト。
大地が揺らぎ崩れるのではないかというほどの、震動。
衝突した一点を中心に、それは広がっていき。
砂の檻すらも、抉られていった。
それでも、
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薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『太陽のうだつは上がらない。
月の口角は下がりっぱなし。』
────かげろうは、死せず。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『それでもこの安寧を往く。
淡く輝かしき大航海。』
────額から、噴き出すように砂と煙を吐き出しながら。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『ずっとこの波に揺られていたのなら。
どれほどの幸福だろうか。』
────龍骨を握り、奪い獲る。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
まるでギターのように龍骨を構える。
当然弦なんてない。だから、爪で弾く。
その硬い指、爪で引っ掻くように。
その硬い骨を、掻き散らす。
先程の衝撃を、もっと。もっと！
鳴らせ、鳴らせ。震わせるのは、この空間だけじゃない。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『錨を上げろ！！
（行く先に灯台は無くとも）』
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『錨を上げろ！！
（月灯りに見捨てられても）』
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『怒りを挙げろ！！！
（焼べろ、この灯火を）』
───────お前らの、魂もだ。
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
『F゛゛゛i゛r゛e゛゛ I゛゛n゛゛t゛h゛e゛゛ H゛゛゛o゛゛゛゛l゛゛e゛゛゛゛！゛！゛！゛゛！゛゛゛』
愛染目・未来 2022年4月29日
―――（入った！！）（行けた、決まった、ほとんどヤケみたいな一撃だったのに入った―――あれ。）（え。獲られ、）
あ――――
(無効票)
愛染目・未来 2022年4月29日
あ―――（その歌で、傷だらけだった体はバラバラと崩れていって――消えた。）
（ああ、でも。カッコいいな―――）
(離脱)
奉利・聖 2022年4月29日
───やられたな。
向こうの作戦勝ち、という面でもそうだし。
なんというか、精神的な面でもだ。
とはいえ、悪い気は意外としない。
『こちら、スイーパー08。負けました』
『しょうがないんで…最後に良い曲を聴いて、終わりにします』
(離脱)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
さあさあ、さあさあさあさあさあ！！
こっから大サビが───────
「────あれ？」
見えたのは、二人が消えゆく姿。
そして同時に、その耳に聴こえたのは
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
《ゴールデンプチギガースが撃破されました。試合終了です、即刻生存者の離脱処理が────》
バケツの水をひっくり返したような、冷ややかな音声。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
「いやちょっと待ってこっからが最高なんだっ────」
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月29日
強制終了。シャットダウン。
自らが撒いた種によって、ゲリラライブはあまりにも呆気なく、その幕を閉じたのだった。
(離脱)
