【戦】古城の竜と、月の導手
竜城・陸 2022年4月25日
「志も大切だけれど、そもそもの力量もやっぱり、一度は肌で感じておきたいからね」
そんな話をしてから、季節は巡って、春。
決闘場の種の扱いも、これをそもそも開発した側ともなればお手の物。
東の空から姿を見せた月が照らす、海上のフィールド。
その上に慣れた調子で組み上げた今日の戦場で、相手を待つ。
ちょっと本格的すぎたかな、なんて首を傾げたのは兎も角として。
場所:
海上・簡易決闘場
……の上に作られた、旧い時代の城砦。
書き込み可能:
#天城・冬樹
#竜城・陸
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1
天城・冬樹 2022年4月25日
(すれ違いざまの斬撃は、相手の下降で回避される)
(やはり空戦での経験は向こうの方が上で)
(下から突き上げてくるような氷剣に、再び光刃を差し向けようとしたところで)
……氷?
(ちらちらと視界を掠める輝きに声を零す)
(無効票)
竜城・陸 2022年4月25日
(視線を外してくれないのは少し厄介だ)
(目を合わせていなくとも、視界にその色がちらつくだけで、致死の幻影が頭を過ぎる)
(“ルー”のほうがこれに慣れてくれるまではもう少しかかるか)(慣れるというかなんというかだが)
(まあ、さておき――)
竜城・陸 2022年4月25日
……そう、だから、君は君が乗り越えたものを誇っていい。
(手首を返して、手元に呼び出すのは数本の銀の短剣)
君が積み上げてきたものを尊び、その先にある道を、
(魔力を纏わせたそれを、下から突き上げる氷剣に交えて投擲し――見た目で氷剣とは区別がつくだろう――)
竜城・陸 2022年4月25日
……もう、見据えたっていいんだよ。
(それはここへ来てから)(過去に囚われたまま動けなかった自分に、皆が教えてくれたことで)
(彼がこの身から、爪(わざ)を盗むというのなら、)
(ついでに、そのくらいのおまけはつけてあげたって、許されるだろう)
竜城・陸 2022年4月25日
(ひらひらと舞い降りる氷晶は、微かに震えながら音を奏でる)
(複雑に響き合いながら形を成すのは)
(“自身の権能を強化する術式”だ)
(氷剣の纏う“停滞”は、先は拮抗していたけれど)
(此度同じ光を差し向けられるならば、それに優位を取る程度までは、その力を増すだろう)
(加えてこの旋律は、この空に満ちる停滞の氷圏、それ自体の深度も増していく)
(先よりも明確に、彼の纏う月光の祝福を、その身に纏わせた強化の力を削り始めていることにも、或いは気づけるかもしれない)
(無効票)
天城・冬樹 2022年4月25日
……それはもう、うん。
(振るった鎌を両手に、落下の勢いを乗せて下降する)
(飛来する短剣を迎撃するように鎌でいなしながら、氷の剣は光の刃で打ち消しながら)(相反する二つがぶつかり合って弾ける様子はダイヤモンドダストにも似て)
……こんなにも短い間だけど。とっても濃くて、得難い経験だったから。
(だから、正面から必ずこの刃を届かせる)
天城・冬樹 2022年4月25日
(舞い散る氷の欠片が響かせる微かな音)(なるほど、これが力を増幅させていたのか)
(それはまるで祈りのように、彼の存在を讃え強化する者なのだろう)
(徐々に寒さが増し、手足の動きが鈍ってくる。辺りに満ちる氷の世界。自身を守る加護もまた徐々にその力を失っていって)
(光刃が今までは打ち消していた氷剣も、何本か突破する者が現れる。自身の身を掠め、傷を作る)
(流れた紅は瞬時に凍てつき、真っ赤な結晶がキラキラと散って)
天城・冬樹 2022年4月25日
(“デバフとは相手に何もさせないから強いのだ”と、電子の堕天使はいっていた)
(この氷雪世界はある種それを体現するもので)
(けれど、ここで歩みは止まらない)
(今まで越えてきた軌跡はこんなところでは終わらない。積み上げたもので、この氷の壁を乗り越えて)
天城・冬樹 2022年4月25日
その先を、掴んで見せる。
(先ほど着弾したままだった月光の槍。消えずに残ったそれが帯びていた魔方陣が輝きを増す――――)
(無効票)
竜城・陸 2022年4月26日
――――、
(その表情を、氷雪の中に垣間見て、)
どうやら、余計なお節介だったかな?
(なんて、くすっと笑った)
(だって)
(もう、十分、“そういう”顔をしているじゃないか)
竜城・陸 2022年4月26日
(砕ける、氷の刃と、光の刃)
(ひらひらと舞い散る光と氷晶は、きっと遠目から見れば自然の織り成す奇跡みたいな光景なのだろう)
(それに交じった“力ある”氷晶たちが音を立てる)
(継続的に深化していく停滞の氷域の中で、戦い続けることは困難であろうが――)
(――この術式を破る方法は、絡繰りに気付ければ簡単だ)
(“停滞”帯びた氷剣が、氷晶となって散り、交じることで、“それ”が浮き彫りになる)
(“停滞”帯びた氷の刃が砕けて散った氷晶と)(“権能を増幅する”氷晶とは、纏う魔力の質が異なっている)
(後者は、停滞を帯びてはおらず)
(つまりは、光で容易く散らせるかもしれない程度のものだ、と判断ができるだろう)
竜城・陸 2022年4月26日
(――――当然、この停滞の氷域の中では、力を自在に振るうことすら容易ではないが)
(しかし、)
(一時的になり、自己の力を今以上に増幅することができればもしかしたら)
(この“停滞”を一瞬でも、僅かでも減衰させられる手段があるのならあるいは)
(――――その両者の手段が手元にあれば――ほぼ、確実に)
(この“停滞”を強化する術式を――破るか、破れなくとも一時的に機能不全にすることは、可能である、と)
竜城・陸 2022年4月26日
(きっと、気付くだろう)
(だから――次の、そのまた次まで、布石は打っておく)
(氷剣に交えるように。銀の短剣を投擲する。)
(腕を、足先を。長物を扱えばカバーしにくい肩口や、足回り。)
(大雑把に相手の動きを制限するための面制圧を成す氷剣とは違い、回避しにくい場所を狙って的確に)
(無効票)
天城・冬樹 2022年4月26日
……先駆者がたくさん背中で語ってくれたからね。
(なんて、驚くほどに穏やかな顔で、目の前の竜を見据えて)
(優しい笑みは、出会った当初のそれとはまた違っていて)
(きっと、同じく大事な出会いがあったのだろう)
天城・冬樹 2022年4月26日
(幻想的な光景の中を進んでいく。光と氷の織り成す世界。そしてその間に響き渡る音)
(徐々に体が重くなる。このままでは鎌を振るうよりも早く、完全なる停止、行動させない世界がやってくるだろう)
(やはり届かぬとあきらめるのか)
(なんて問いすらもう浮かんでは来ない。きっとこれは先達からの贈り物)
(使い方の指南。そしてきっと……“自分の至るべき先”)
天城・冬樹 2022年4月26日
(それを証明するためにも)
ちゃんと、見せるからさ。
(限界まで輝いた魔方陣が砕けると同時、月光の槍が爆ぜ、持続性ではなく一瞬の出力に特化させた不運の贈り物がしたから噴き上げてくる)
(さながらそれは地底からの怨嗟)
(増幅された虚脱の力で、辺りに満ちる輝きを一瞬だけ陰らせて)
天城・冬樹 2022年4月26日
(自身の持つ鎌が黒から白へと色を転じる。覆われた月から、秘匿を破るものへ)
(封じるものから、道を示すものへの変転)
(周囲を浮遊していたはずの宝玉もまた刃の根元へとはめ込まれ)
……無理だと思ってた、絶対に届かないって思ってた。
でも今はそうじゃない。
……歩んできた道を、キミに届けるよ。
天城・冬樹 2022年4月26日
(眩い輝きは自己強化の加護。機能を増幅させる結晶を光の矢が打ち砕くと同時、銀の刃が飛来する)
(被弾を許せば、動作が妨げられ、また次の手を打つ時間を与えることになる、が――)
(宝玉から光の糸が伸びる。その糸に引かれるように、攻撃にひるんだはずの体が前へ、青の竜の方へと延びて)
(その糸は、行動を封じるものであると同時に、行動を与えるもの)
(一度で駄目ならば何度でも、その先へと手を引いてくれるもの)(昨日戦いの中で堕天使から学んだ力)
天城・冬樹 2022年4月26日
(とはいえ、ダメージまでも消すことはできない。この停滞が消えたのは一瞬だけ、この一瞬にすべてをかける)
(回復も、防御も、回避もすべて捨てて、掛かる自己への強化はすべてを速度に)
(飛来する剣の間隙を縫うように、一条の月光が伸びて)
これ、で!
(白光を零す大鎌が、三日月を思わせる軌跡で振るわれる)
(無効票)
竜城・陸 2022年4月26日
(ああ、)
(――やっぱり、ちゃんと気付いてくれた)
竜城・陸 2022年4月26日
(“一瞬”。)
(その一瞬に特化された、怨嗟の如き“虚脱”は、確かに一瞬だけ、氷晶の魔力を弱め)
(その一瞬の間隙を縫って、自身を賦活する術式を敷いた彼が、一点を穿つよう、光の矢を放つ)
(穿たれれば、ぱきん、と呆気なく氷晶は砕け)
(輪唱するように鳴り響いていた旋律が一瞬、不協和音を奏でて――)(止まる)
竜城・陸 2022年4月26日
(自動化された術式が異常を検知して停止し、再構成されるまでの、間隙)
(その間隙の中に於いて、“停滞”の影響は――それでも距離の分重くはあるだろうが――格段に先よりも薄れ)
(自己を賦活する術式を纏った彼はきっと、文字通り飛ぶように速く、竜の元へと達することだろう)
(――その動きを妨げる刃がなければ――)
竜城・陸 2022年4月26日
(――否、)
(あっても。)
(突き刺さった刃の痛みにも、怯まずに。)
(まるで導かれるように、それが自然なことで、必然の帰結であるかのように)
(一直線に、氷晶舞い散る中を突き進む、白銀の軌跡は――――)
竜城・陸 2022年4月26日
――――ああ。
(そのままに、竜の身体に振り下ろされて――――)
竜城・陸 2022年4月26日
.
・・・・・
(――――その姿が、掻き消える)
本当に、見事だった。
(声は、すぐ、後ろから)
竜城・陸 2022年4月26日
(振り下ろされた鎌の先にその姿はなく、)
(声は後方、)
(後頸に当てられた冷たい感触は、爪か、刃か、氷晶か、振り向かなければわからないだろう)
(――――突き刺さった白銀の短剣に刻まれた刻印を介した、短距離の空間移動。)
(それを以てして直撃を避けてのけた竜は、後背、“魔眼の光から逃れた先”に、いて、)
(しかし――――)
竜城・陸 2022年4月26日
(振り下ろした鎌の先。)
(舞い散る白い氷晶に混じって)
・・
(赤い、氷の粒が、いくつも、いくつも、散っていた)
竜城・陸 2022年4月26日
鎌使いとは、相性が悪い……のかな、俺。
(――僅かばかり、息が上がったような声音なのは)
(振り向かなくても聞き取れることだろう)
(舞い散る赤い氷粒は)(竜の肩口に刻まれた、もはや出血の止まった――というより、無理矢理凍らせた――赤い筋は、)
(その切っ先が竜に届いたことを、違いなく語っていた)
(無効票)
天城・冬樹 2022年4月26日
(きっとここまで明らかに見せてくれたのはヒントだったのだろう)(自分に気づかせるため、そして、いつか“自分に使わせるため”)
(そのことに感謝と、その気持ちに報いるためにも刃の中を飛んで、翔んで)
天城・冬樹 2022年4月26日
(刃の痛みをこらえ、跳ねのけ、ただただ行動を前に進むことにのみ純化させる)
(そして振るった大鎌の刃は)
(とらえきることはできずに消えた姿の後を追いかけ、宙を斬る)
天城・冬樹 2022年4月26日
……投了、かな。といってももう、今のでかなり無茶したからね。
飛んでるのもけっこうやっとなんだ。
(手放した鎌は鍵に戻り、どこへともなく消えてゆく)
(そっと手を挙げて、降参の意志を表明して)
でも悔しいな、やっぱり届かな――
天城・冬樹 2022年4月26日
(きらきらと瞬く輝きの中)
(いくつかの、自分の物ではない紅を見て)
……………。
(息をのむ。驚きと、そして喜びと)(いろいろな物の混ざったそれ)
推してもらえてよかったかな、この武器。
(つかってみな、と話した先輩の声を思い出す)
(無効票)
竜城・陸 2022年4月26日
……ああ、いや、ごめん。
そうではないな、そういうのじゃない。
(動作は解かないまま、だが)
(言い訳めいた呟きを自身で棄却して、かぶりを振った)
(この間、似た得物を持つ誰かさんにしてやられたのがどうにもだいぶ悔しかったらしいと自覚して、内省する)
――武器の問題じゃない、相性の話でもない、そんなの関係なく。
竜城・陸 2022年4月26日
たとえ君が振るっていたものが、もっと小さな剣ひとつだったとしたって。
同じようにその刃はここに届いただろう。
だから、これは――
竜城・陸 2022年4月26日
君が考え、悩み、積み重ねていた末に届かせたものだ。
ただ“君だから”為せた成果だ、というべきだね。
……重ねて言うけれど、見事だったよ。
竜城・陸 2022年4月26日
(手元の短剣をしまって)
(息を吐いて、吸って)
(“停滞”の領域をすっかり、かき消してしまってから)
竜城・陸 2022年4月26日
(――先の最大速は、自身の到達できるそれを優に超えていた。)
(仮に彼が防御を投げ捨てていなかったら。あのすべてを捌ききるほどの技芸を身に着けていたら)
(もっと大きな傷を被っていたか、“氷域”の影響下に彼を置くのを諦めて遠間での戦闘に状況をリセットせざるを得なかっただろう)
(ああ、後ろから必死で手を伸ばしてくる子たちは)
(本当に、頼もしくて、)
……怖いなあ。
もっと強くならなきゃ、そのうち影を踏まれてしまうね。
竜城・陸 2022年4月26日
(そんな、掠れたような小さな小さな呟き、ひとつ零した後)
(彼に見えるように、後ろから手を差し出した)
つかまって。保健室まで連れていくよ。
道すがら少し、力の使い方の話もしようか。
……勿論ここからまだやりたいなら、付き合うけどね?
(最後のは、ちょっと冗談めいて付け足した)
(無効票)
天城・冬樹 2022年4月26日
……ふふ、分かってる分かってる。
ちょっとなんていうか、うん……照れ隠しって言うか。
かなりおぜん立てしてもらってやっと、だったけど、それでもすっごく嬉しいんだ。
(なんて、手は上げたままでそんな風に言って)
天城・冬樹 2022年4月26日
ありがとう。ここまで歩いてこられてたのは、本当に周りのみんなのおかげなんだ。
……今度は影だけじゃなくて、本当に爪をもらっていっちゃうかもしれないよ。
(なんていうのは強がりだけれど)(讃えてくれた先輩の言葉に報いるためにも、叶えたいことでもある)
天城・冬樹 2022年4月26日
……普段の天城さんならここで不意打ち、やるんだけど。
(さしだされた手を取って、冗談めかした口調で。けれどもその力はかなり弱い)
今日はもう出がらし。限界を超えて出し切ったよ。……ありがとう、すっごく勉強になった。
これからももっと強くなるからさ。
(無効票)
竜城・陸 2022年4月26日
お膳立てなんてとんでもない。
君が気付かなければそのまま圧し潰していたよ。
(多少“わかりやすい”形で示す程度のことは確かにしたが、それだけだ。それだって、そうしたからとて万人が気付けるようなものではない)
綻びに気付けたそれも含めて、君の力だ。
言ったろ? 君は、君が積み上げてきたものをもっと尊び、誇っていいんだよ。
竜城・陸 2022年4月26日
おや、爪だけでいいなんて謙虚だね?
(なんて、くすっと笑って返してみせて、)……というか、この状況で不意打ちを考えるくらいの余裕があるなら、まだまだ出力を上げてもよさそうだな?
(くすくす笑いながら、)
(言葉とは裏腹にだいぶ力なく握り返してくるその手を、しっかりと握って)
ああ、期待しているよ。
またいつでもおいで、こうして誰かの糧になれるなら、俺も願ってもないことだからね。
…………
竜城・陸 2022年4月26日
……“その先”の景色は、どうだい?
(無効票)
天城・冬樹 2022年4月26日
うわぁぁ、やっぱりすごいなぁ。……でも、うん。
だからこそ、そうだね。ちゃんと自分でつかんだものを、ちゃんと評価することにするよ。
そしていつか、近いうちにものにしてみせる。
(うん、と頷いて)
天城・冬樹 2022年4月26日
だってほら、大事な先輩の首を持っていくわけにはいかないじゃん?
(なんて、最初の掛け合いを持ち出して、冗談っぽく肩をすくめて)
うぇえ、無理無理。でもうん、頑張るよ。いつかそこまでねらえるように。
……うん、まだまだ、得られるものはいっぱいありそうだから。
天城・冬樹 2022年4月26日
どきどきして、暖かくて、……もっともっと、先へ行きたいと思えたよ。漸く、見えてきたんだ。
(▼)
竜城・陸 2022年4月26日
……ふふ。
君なら大丈夫だよ、きっとね。
(小さく、頷きを返して――――)
それもそうだ。
俺も可愛い後輩を返り討ちにして、心臓を戴くわけにはいかないし。
(なんて、こちらも冗談めいて返しつつ――)
おや、並び立つ立場に登るつもりなんだろ?
ならいつかは、ここまで来てもらわないと。
竜城・陸 2022年4月26日
(そして――最後に続けられた言葉を聞いたなら、)
(綻ぶように、微笑んで)
うん。なら、大丈夫だ。……もっとずっと先へ、行けるよ。
その心が翔けようとするままに、目指す場所まで。だから――――
竜城・陸 2022年4月26日
……期待してるからね。
(なんて、最後、呟いて)
(ゆっくりと、校舎の方へ向けて飛んで行く――――)
(▼)