【個別】グレイトフル・デッドの残響
十埼・竜 2022年4月24日
怖いものは怖い。けれど。
#奉利・聖
#十埼・竜
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奉利・聖 2022年4月24日
………やはり、これは。
『呪い』なのでしょうか。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月24日
……ぼくのセンサーの性能を一番ご理解いただいてるの、先輩だと思いますよ。(何せ一緒に踏んだ場数が違う)
だーかーらー申し訳ございまさないでって言ってんのーー……
(頭に血が昇っている。……熱くてくらくらする)
(ずる、と、胸倉掴んだ手を離して)
(かわりに、刺青だらけの手首をとって。)
(ぺた、と、自分の細い首筋にあてがった。つめたい。)
十埼・竜 2022年4月24日
知らないうちに呪われた、ってさ。受け売りだけど。
この辺、今度直にセヴラトと話してみた方がいいと思うんだけど……ぼく通訳しようか、なんかあいつには「丁度いい」らしいし、ぼく。
(声が薄い喉を震わせる。)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月24日
(──生きてる人間の、温もりというものは)
(いつだって、自分が此処にいることを実感させた)
(まだ己は、生者の世界に根差していると思える)
奉利・聖 2022年4月24日
…知らないうちに、呪われた?
いつ、どこで……どうして……?
できるのでしたら、そうしてもらえると助かるのですが…。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月24日
…………実は先輩も結構ビビってた? ぼくにまずいことしたなーって。
(ぼくは耳がいいので)(この熱で緊張感が多少ほどけていくらしいのも、なんとなく聴き取った)
十埼・竜 2022年4月24日
……あのときあいつから聴いた話だけどさ。
ここまでめちゃめちゃに「死に魅入られた」現状が、「知らない間に呪われて、どうしようもなく肥大化した」結果だって……要するにそういう話、っぽい。
だからさ。
十埼・竜 2022年4月24日
先輩がはじめて「死んだ」のって、いつ? ……ってことになるんだけど。
だって、呪われたのは最初の蘇生の、手前の話でしょ?
(あるいは)
(死者になってから、蘇るまでに。……そこに、空白の時間が、あるのなら。)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月24日
…お恥ずかしながら。
(無辜の他者を脅かすなど、それこそあってはならぬことなのだ。
奉利・聖 2022年4月24日
…最初の死は、よく覚えております。
見知らぬ土地で目が覚めて、あてもなく彷徨って…。
とりあえず人に着いていったら、野盗の類だったという感じで。
奉利・聖 2022年4月24日
でも…特段変わったことなど、無かった気がします。
呪われたと思い当たるようなことも記憶にありませんし…。
本当に僕は、生前に呪われたのでしょうか?
(あるいは抜け落ちた記憶に、何かがあるのか)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月24日
じゃあ、ひとを追い込んで閉じ込めて癇癪起こすくらいには元気そうで、安心してもらえた?
(あんまりそんな困った顔しないでくださいよ。脈と熱の落ち着いた喉を、くすくす震わせる。)
大丈夫、大丈夫。……ぼくにとっては、ノイズが一個増えたくらいのものだからさ。
(自分に、言い聞かせる。)
十埼・竜 2022年4月24日
……見知らぬ土地スタート? それってもう一回死んでる、ってことじゃないの?
てっきり、東京(こっち)の時点で一回死んだから始まったんだと思ってたんだけど……
……先輩って、妙に、東京にいたときのこと、覚えてないことない?
家のこととかさ。
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奉利・聖 2022年4月24日
…そうですね。少し安心しました。
(すり、と滑らかな手が首を撫でて)
大丈夫なら、いいんですけども。
奉利・聖 2022年4月24日
いえ……最後に覚えているのは、移送中の車の中です。
そこで突然気を失って、気づいた時には。
確かに、当時のことはあまり覚えていません。
学校に通ってた時のことは、思い出としてあるんですが。
奉利・聖 2022年4月24日
家族の顔も、思い出も…さっぱりです。
どうして…でしょうねぇ。
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十埼・竜 2022年4月24日
(ひとを慈しむことを知っている手だと思う)
(それすらも、“似てる”なんて思いたくないけど)
(詰めた息を、そっと吐いて)
……マジでダメならギャーギャー見苦しく騒ぎながら四方八方に助け求めますよ。ラジオなんで。
(声音は、つとめて軽い)
十埼・竜 2022年4月24日
(手首をとらえていた手を、やっと離した。……触れていたいなら、そのままでも構わないし)
移送……(そうだった)(殺人犯でした)……そのシチュエーションで絶命ってちょっと考えにくいよなあ。
十埼・竜 2022年4月24日
人の為の行いは、本当に幸福な人生に繋がるもの。
人の為に尽くし、人の為に学び、人の為に作る。……でしたっけ?
ご家族曰く。
(……それすら、なんだか、曖昧そうだったけれど)
どうして、っていうか、さ。
(刻逆の影響下でも残った、新宿島内。けれど、もぬけの殻だったらしい“実家”。)
ヘンな事言うけど。
(こうも身内に甘い先輩が、誰も覚えていない“家族”。薄すぎる“思い出”。)
…………先輩の家族って、ほんとに、いた?
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奉利・聖 2022年4月24日
……………いた。
と確証が無いのが……どうにも、妙なところですね。
奉利・聖 2022年4月24日
学校から帰る家だって、あそこで間違いないですし。
そこに誰かがちゃんと居たのも確かに実感があって……。
でも顔が思い出せなくて、特別強い思い出も無くて…あれ?
どうしてこうも…曖昧な部分が多すぎるのでしょうか。
奉利・聖 2022年4月24日
分からなく、なってきました。
(瞳の色が、より黒く濁っていた)
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十埼・竜 2022年4月24日
(……単に思い出せないにしては)(様子がおかしくないか)
……先輩?
(暗く深みを増したような、黒の奥に、呼びかける。)
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奉利・聖 2022年4月24日
(あれ?なん だか 頭痛が)
(あれは誰だ?こいつは誰だ?お前は、君は、貴方は)
(……あの家には、そういえば。写真の類が無かった)
(アルバムすら無かった。記録と呼べるようなものが、何一つ)
奉利・聖 2022年4月24日
(あぁ、家に着いてから決まって眩暈がしていたな)
(あれもどうしてだっけ?どうしてなんだっけ?)
奉利・聖 2022年4月24日
(がくん)
(まるで、許容量を超えてダウンしたように項垂れて)
縺セ縺?逶ョ隕壹a縺ェ縺?°
(意味を為さぬ言葉が、吐き出された)
奉利・聖 2022年4月24日
────ハッ!?
今、僕は…どうしてました?
(そして我に返るかのように顔を上げれば)
(今どうしていたかを、すっかり忘れてしまったように)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月24日
先輩、
(聴こえてない?)
先輩っ、
(外部からの介入を疑って耳をすます。……それとも内側のプロテクト?)
せんぱ、
(揺さ振ってでも、と、両肩に手をかけたとたん)
(がくん、そのタイミングで脱力したのは幸運だったんだと思う)
い゛ッ
(咄嗟に体を支えて、)
十埼・竜 2022年4月24日
(――――今の音の羅列は)
(何だ)
十埼・竜 2022年4月24日
……どうしてましたっていうかどうしちゃったのさ!
(目の前で、些か涙目で焦りまくりながら)
実家のこと思い出しててもらったら、なんかぼんやりしはじめてさ。……大丈夫? 頭痛いとか、ない?
(無効票)
奉利・聖 2022年4月24日
今は、なんとも……。
意識が飛んでて…何が、なんだか。
あぁ、家……そう、家は………。
奉利・聖 2022年4月24日
“特に何も、無かったと思いますよ”
(だから気にしないでください、と)
(さっきまでのことなんて、何も無かったみたいに)
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十埼・竜 2022年4月24日
(何もなくないだろ)
十埼・竜 2022年4月24日
……そう。
(肩から、手を離して。)
(つかまえた。)
(そこに何かが“あって”。尻尾を掴ませない気だ、ってことを。)
十埼・竜 2022年4月24日
じゃー、何も無いんならぼく遊びに行ってもいいわけだ。どーせ空き家なんでしょう?
高田馬場、そんなに遠いわけでもないですしね。
(まるで話の続きみたいに、唐突に。……彼の中で、今この場の記憶がどのくらい巻き戻って、あるいは弄られているか、わからないし。)
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奉利・聖 2022年4月24日
いいと思いますよ。
もうすっかり何もなくなっちゃいましたけども。
(あっさりと、それは許した)
(きっと、それは)(探ったところで、良いことなんて何一つない)
(そういうものだろうから)
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十埼・竜 2022年4月24日
(……この間の、セヴラトとの会話の最中。先輩の認識は、多分相当歪められていた)
(そうでなきゃ――――先輩がぼくの危険に気付かないなんて、あり得ない)
(何もない、とあっさり言うけれど)(本当に、ぼくの眼と耳の前でもそこは“何もない”ままなのか?)
(無駄かも知れないけれど。……無意味を潰すことに、意味はある)
十埼・竜 2022年4月24日
それは……ぼくにビビらずに、ちゃーんと一緒に来てくれるってことですか?
(それに、なにより)
(未来の約束をすることは、死にはできないことでしょう?)
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奉利・聖 2022年4月24日
えぇ、勿論です。
お任せください。
(すっかり、元通りになったように頷いた)
奉利・聖 2022年4月24日
あ、その前に。
ひとまず……ここ出ませんか?
(閉じ込められちゃいましたし)
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十埼・竜 2022年4月24日
おー、怖がって逃げ回ってたとは思えない頼もしい返事。(鬼の首とったみたいに言う)(これは暫く弄るやつだ!)
あー、流石にこのままじゃ邪魔だもんね。
(ヘッドホンに片手を触れさせて)(――――びー、びー、無人の通路に警報が響く。ぎしぎし音を立てて、防火壁が上がっていく。)
(モールの喧騒が、やっと戻ってきて)
十埼・竜 2022年4月24日
(あの声を、少しは、紛れさせる。)
(それはありふれたものだ。ぼくにとっては。……そう思うことが、せめてもの抵抗。)
十埼・竜 2022年4月24日
……ごめんね、先輩。仕事の邪魔したし、無理矢理だったし。
帰り道わかる? それともまだモール内で仕事?
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奉利・聖 2022年4月24日
僕はまだここで仕事がありますので。
大丈夫ですよ、道は分かりますから。
竜さんこそ、後で怒られたりしないようにしてくださいね。
(何しろ、好き勝手やられたようですので)
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十埼・竜 2022年4月24日
……点検だったとでも言い訳しますよ。ついでに修理申請も。
(防火壁はギロチンアタックに使うものではありません)
(お客様の誘導を勝手にした件は……先輩に気取られてるのか……流石……)
十埼・竜 2022年4月24日
そっか。んじゃ、お仕事がんばって。
また明日、ね。
(と。STAFF ONLYの鉄扉を開く。非常用ランプの緑が照らす通路の向こうへ、軽い足音が消えていった。)
(■)
奉利・聖 2022年4月24日
……僕は、何かおかしいのでしょうか?
思い出せぬことが、あまりに……。
(さっきからしきり、頭の中が)
(何も問題無い、何も無かったと)(言い聞かせるように、そればかりが渦巻いていた)
奉利・聖 2022年4月24日
(そして)
(この場に居ないセヴラトは)
(ロッカーの中で、ふと思う)
奉利・聖 2022年4月24日
【始まりの呪いには、恐らく】
【何の指向性も、無かったのだろうな】
【不幸な事故か、あるいは。運命がそう選んだか】
【いずれにしても】
【死人の未来に、幸などあろうものか……】
奉利・聖 2022年4月24日
未だに眼は、閉じられたままだ。
(■)