【個】春、晴れ、昼休み
十埼・竜 2022年4月21日
新学年、新学期、新入生。
だいたいどこも騒がしいので、
早々に、お弁当片手に抜け出す途中。
「あ、丁度いいとこに」
#奉利・聖
#十埼・竜
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奉利・聖 2022年4月21日
あらま。それはそれは…大変でしょうね。
電波に強い干渉を受けるのはご勘弁願いたいでしょうに。
【いかにも】
【今では見る影も無いが、かつては龍の帝であった】
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奉利・聖 2022年4月21日
はい?あぁ、そうですよ。元々は頑丈なだけの棒切れだと思ってたのですが…どうやら偉大な龍の骨を使った代物のようで。
名は『セヴラト』と言うそうです。位階の上がったこれを握った時、過去の映像のようなものが流れてきまして…そこで知りました。
【アンデッド…死せる生命。不遜な人間が我が亡骸を探し当て、蘇らせた】
【死者であり、不死者である】
【故に死んだか、死んでないかは…我にも断じることは出来ぬ】
十埼・竜 2022年4月21日
不意打ちにはまだまだ、ねぇ。構えてればまだ平気なときもあるんだけど……
あ、たまたまなんだ。それ拾ったの。(先輩の声からは、特段変わった様子も感じ取れない……妙な思い入れとか、執着とか、そういうのは。あったところで、ぼくに聴きとれるかわからないけれど――――)
……なんか、うまく出来てるね?
(ありものを使い潰すスタイルの先輩が「頑丈な得物」を手に入れたことでもあるし)
(死と不死の重ね合わせ、なんてものに、進行形で触れていることも)
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十埼・竜 2022年4月21日
《……蘇らせた人間がいる?》
《それって、騎士団?》
……じゃあ、ぼくが触っても。何か、見えたりすんのかな。
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十埼・竜 2022年4月21日
【――――“波”の、理の、外から。】
【まるで、こどものような声が囁く「きみも」】
【「おわりへの、たびを、しているの?」】
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奉利・聖 2022年4月21日
そうですねぇ。
なんだか随分と、肌に合うものを見つけた気がします。
ある意味運命だったのか……。
【運命、か】
【だとすれば、憐れな運命よ】
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奉利・聖 2022年4月22日
(おにぎりを頬張って)
【知らぬ。だがおかげで、我は随分と良いように使われた】
【生者を喰らい文明を燃やし、災厄の扱いよ】
【世を穢すくらいなら、終わったままでいたかった】
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奉利・聖 2022年4月22日
【──貴様、やはり妙なものを連れているな】
【フン。終わりへの旅、か】
【終われるのなら、そうしたいものだな】
【…アンデッドとなった時から】
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奉利・聖 2022年4月22日
【渇くのだ】
【狂おしいほどに、“死”を求めている】
【この渇きを鎮めるために】
【我は此奴と共に在る】
【そして引き換えに、“死”の権能を引き出してやっている】
十埼・竜 2022年4月22日
【「そう」】
【「ちがうんだね」】
、、、 、、、、、
【「ぼくの食卓は、もろいから」】
【「てつだうのも、たいへん」】
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十埼・竜 2022年4月22日
(――――)
(旅?)
(妙なものを連れてる、って)
(こいつは何と混線してる?)
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十埼・竜 2022年4月22日
(ともあれ)
(こいつが「好きでこうしてるわけじゃない」ことは、“波”に触れていれば、なんとなく読み取れた。多分そこは、信じていい部分だと思う)
《先輩があんた使って敵をぶっ殺すたびに、あんたは潤って》
《そのためにちょっと無茶めなスキルを進呈してるわけだ》
《…………それに何度も助けられてていう事じゃないけどさ》
(胸に手を当てた。……矛が切り裂いた感触が、まだ思い出せる)
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十埼・竜 2022年4月22日
《憐れんでんじゃねえよ》
《ひとの先輩人外にすんのも大概にしろ》
(……こっそり先輩のお弁当に箸を伸ばした。卵焼きを狙う。)
奉利・聖 2022年4月22日
【……ふむ。なるほどな】
【貴様も、我と此奴と同じであったか……】
【あぁ、気にするな。戯言とでも思え】
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奉利・聖 2022年4月22日
あっ…もう、欲しいなら言えばあげますって。
(あっさり取られてしまって、苦笑いを浮かべた)
【そういう認識で間違いない】
【…貴様がどう思おうが、此奴は最早人とは呼べぬ】
【ここまで死に魅入られた生命体は見たことがないほどにな】
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奉利・聖 2022年4月22日
【あまりに、憐れだろう】
ㅤ、、、、、、、、
【知らぬ間に呪われ、どうしようもなく肥大化しているのだからな】
【いかなる生命であろうと、“死”は手に余るもの】
【我も、此奴も】
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奉利・聖 2022年4月22日
【終わったままでいる方が、世の為だったのだ】
【死者と生者は、分かたれ交わらぬべきだった】
【刻逆などという異常事態ゆえ、見逃されてるに過ぎぬ】
十埼・竜 2022年4月22日
へへー……あっ!!めっちゃうま!!?? ねえねえこれ今度永月寮に持って帰ってしゅーせつ先輩にラーニングして欲しいんだけど!?絶対興味示すって……!!
《……あんた冗談とか言うんだな。》
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十埼・竜 2022年4月22日
(龍。……しかもとびきりばかでかい、多分ものすごく長生きの、“帝”の一文字を冠せるほどの。)
(力と知識を溜め込めるだけ溜め込んだ、もの)
(それが断じる。その“波”に偽りなく。)
(それを否定するには、)
(彼に触れ続けたぼくのセンサーは、高性能がすぎていた。)
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十埼・竜 2022年4月22日
《誰が》
《誰が先輩を呪ったって?》
(“波”を荒らげながら、一方で耳鳴りが止まないほど探っている。その、呪いの音を。)
奉利・聖 2022年4月22日
それはいいですね。
彼の腕前はきっと大いに参考になるはずですから。
(にこやかな、食事の裏側で)
【それは……チッ、やはりか】
【人の子よ、悪いことは言わぬ。探るのは───】
(“死”が、鎌首をもたげた)
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奉利・聖 2022年4月22日
(──それは)(奉利・聖の裡で蓄積された、呪いである)
(──それは)(奉利・聖の心に寄り添った、祝福である)
(奉利・聖が、“死”を愛するように)
(“死”もまた、奉利・聖を愛している)
(そこに、異を挟むような真似をするのなら)
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奉利・聖 2022年4月22日
(うぞり)(病的なまでに、蒼褪めていて。食い破られたように白骨が浮かんだ手が)
(君の身体のあちこちから、突き抜けてきて)
(君の、口を)(鼻を)(耳を)(双眸を)
(塞いで、愛撫して、慈しんで)
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奉利・聖 2022年4月22日
<いちばん やさしい ねむり>
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ<いのちがさいごにむかうばしょ>
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤ<ひとはみな しぬために いきている>
<あいしてる あいしてる あいしてる>
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ<いきとしいけるものすべてに>
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ<すくいのねむりを あげましょう>
十埼・竜 2022年4月22日
(龍の制止を聞く耳は、ぼくにはなかった)
(遠のいたことに気付かないくらい、ふわりと、ノイズが薄れて)
(まるで誰も居ない夜の病室みたいな)
(ノイズイーターに塞がれているはずの両耳に、冷たいものが、這う)
(え、)
(声は出なかった。かわりに半開きになった口を内側から押し開かれてずるりと灰色の、赤黒い脈の浮いた、白い骨ののぞいた)(手が)
っ、(仰け反った首をぺたり、氷のように冷え切った死人の手が撫で)(頬を這い上り)(両目を塞ぐ)
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十埼・竜 2022年4月22日
――――!!
(きこえない)(みえない)(きっと声も出ていない)(冷たい手に熱を奪われて感覚が麻痺していく)
(いやだ、やめて、いやだいやだいやだ)
(こわい)
(――――こえ、を)
(凍えきってねむる前に聴いたその、声を)
(ぼくは――――うけいれた、ことが、ある)
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十埼・竜 2022年4月22日
(とうさん)
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十埼・竜 2022年4月22日
【「――――また壊れたの?」】
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十埼・竜 2022年4月22日
(――――不意にパニックを起こして暴れ、そして急に動きを止めたようにでも見えるのだろう)
(その注意力なら。その反応速度なら。)
(少年の被る異形の装置は、不意に、軋みをあげて)
(その細い首を削ぎ落すべく棘肢を向け)
(頭を覆う甲殻がぎしりと頭蓋を圧し潰そうと)
(している。)
奉利・聖 2022年4月22日
(──“死”の関心が、彼に向いたがゆえに)
(『セヴラト』は持ち主にようやく干渉できるようになった)
【同胞よ】
【連れが、危険だ】
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奉利・聖 2022年4月22日
(判断は、一瞬だった)
──竜さん!!
(彼の頭の装置を、引っ掴んで)
(させるものかと、力を籠めた)
(この感じ…何が起きたか、何となくわかる)
お前…!何をしてるんだっ!
(“死”が我が身を離れ、勝手な真似をしたことへの、『怒り』だ)
十埼・竜 2022年4月22日
(爪が首筋を裂き)(甲殻が引き剥がされた白い髪の下、透けるように血が滲む)
(何が起きたのか、何故それを外されたのか、わからない、けれど)
(一瞬の静寂に、先輩の声が飛び込んできた)
(そのあとに訪れるのは――――ある意味死とは対極。あらゆる活動の“波”が音と形に変換される、ノイズの嵐)
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十埼・竜 2022年4月22日
せん、ぱい、(蹲ったまま)返して、もらって、いいですか……(周囲に波及しないように押さえ込みながら、手を差し出す。)
奉利・聖 2022年4月22日
大丈夫なんですね!?
あぁ、まったくいつのまにこんな…!
(彼の手に、それを握らせる)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
<…まだ いきるというのね>
<あぁ、いいわ。さいごはみなしぬのだから>
<いつまでも まってるわね>
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
(──昏き闇に飲み込まれるように、手は消えていく)
(そして、その闇の奥)
(人の顔のようなものが、浮かび上がっていて)
(それは、どことなく)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
(奉利・聖に、似ているのだった)
十埼・竜 2022年4月22日
【「ああ」「まだ動く」稚げな呟きは、嬉しそうに。】
(視界をじりじりと侵すノイズの中にあって、その手はゆるぎもしなかった。未だ理の外側の、もの。)
(これを振り払うために、先輩はノイズイーターを外させてわざと嵐を喚んだんだと)(ぼくはそう思い込んでいる。)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月22日
(優しく囁く声に耳を塞がなかった)
(消えていく手と、その奥に見えた、見覚えのある顔立ちに)
(――――こんなに怒りを抱いたのは、)
(世界がこうなって以来かもしれない)
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十埼・竜 2022年4月22日
――――…………(ノイズが響いて怠い腕を掲げて、躊躇うことなく、異形のヘッドホンに頭を押し込んだ。)
(ぬるり、手に血が伝って)
…………何で怪我してんだ?(ぼんやり呟く)
ていうか、お弁当もひっくり返しちゃったし……あーあ……(片付けながら、)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月22日
…………先輩ってあの手に四六時中掴まれて、囁かれてるの?
奉利・聖 2022年4月22日
(ひとまず、無事だったことに安堵して)
(──今さっき、彼の頭のアレは)
(明らかに…彼の命脈を脅かそうとしていた、よな…)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
…へ?あ、はい……。
意図的に無視できるので、全然気にしなくなっちゃいましたけど…。
あー、怪我を…保健室、行きましょう。ね。
十埼・竜 2022年4月22日
(あ、無視されてんだざまーみろ……いやいやいや)
(そういう問題じゃなくて)
……そう。
(呪い。)
(この呪いの、はじまりを知っているとしたら――――)
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十埼・竜 2022年4月22日
(人の子ってやつは、バカなんだよ。)
(今しがたの恐怖も、怒りで忘れられる。)
(、)
十埼・竜 2022年4月22日
(何せ、ぼくが今、一番怖いのは。)
……保健室もきっとびっくりしますよ、ぼく、怪我で利用すること滅多にないから……(ゴミと洗い物に分けて手持ちのビニールに片付けて。)
んじゃ、ちょっと先にこれ捨ててきちゃいますね。下で待ってます。
(なんて、先に階段を降りて)
(大き目の屑籠に、手を合わせているのである。次はちゃんと全部食べますから。)
奉利・聖 2022年4月22日
え、えぇ……すいません、なんだかご迷惑を…。
(階段を降りる彼を見送って…自分もひっくり返ったものを回収する)
セヴラト……一体何が?
(龍は応えない。もう干渉不能になってしまったようだ)
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
(龍骨を抱えて、立ち上がったところで)
(──ぞぶり)(蒼褪めた手が胸を貫いて)
(別の手が首を、ぎりぎりと締め付ける)
……生者を巻き込むなと、言ったでしょう。これは死人たる僕の裡に留めておくのです。勝手なことをしないでもらいたい。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月22日
【やはり……憐れだな】
【此奴も我も、結局“死”に縛られる、か】
(故に、度々、龍は死を前に哭くのだ)
(、)
奉利・聖 2022年4月22日
(正しく終われたなら、こんなものを背負う必要など、無かったというのに)