【個別】かつて城だったもの
十埼・竜 2022年4月19日
二月の末のあの日から、この放送局は軽く片付けたきりで時をとめていた。
コンクリートの壁と床に囲まれた、がらんとした部屋。片隅に寄せた壊れた機材と、崩れた廃品と、屑箱いっぱいの砂。
それらを、そろそろ、捨てなければならない……のだけど。
「そういえば、こういうのって……“使える”んですか?」
#薄羽・カゲハ
#十埼・竜
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薄羽・カゲハ 2022年4月20日
……………
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
なははは!寂しくなったらいつでも甘えていいかんね~~~。
(それこそママみたいにさ~~~。)
(ざらざらざらと早速ミキサーとスピーカーを積み上げて、コンコン叩けばいい音が鳴る。)
(ほら、いつだって傍に。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
あら、気づいちゃった?黙っとこうと思ったのに。
(なんて、考えてもないこと。そんな色々考えるタチじゃあない。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
…………っていうかおわりちゃん、戦ってんだねえしっかり。
オレちゃんはそれがビックリだぜ。
この前のだって、随分派手にやってたみたいじゃん?
(トライデント然り、奪還戦然り。戦うのは不得手のような言動や雰囲気があった割に、意外な功績も上げているし。)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
ほらこういうこと言うとそーゆー感じになるじゃん! ぼくのこと過剰に子供扱いしてさあ!
(ずぁ、さっき消えた機材が、崩れた光景の逆回しみたいに立ち上がり)
(――――そこには年月こそ降り積もっているけれど、ぼくがあの日に壊した傷は、なくて)
(それには、ちょっと)(ほっとした)
十埼・竜 2022年4月20日
(また会える。)
十埼・竜 2022年4月20日
…………得意だとはとても言えませんよ。奪還戦だって相討ちですし、トライデントだって前半二戦、きっちり擂り潰されて死んでます。
ただ……
(ふと、)(自分の、真っ白に近い手を見下ろして)
手伝いをしたいときに、できないのは、イヤだなって。
(誰の)(……とは、言わないけれど。)
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
そう?オレちゃんのこの目は適切にモノを見てるんだけど。
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
なっはっは!んなこと言ったらオレちゃんだって負けて~~~ら!
潰れて死んだり喰われて死んだり散々だったぜ。
(鮮やかなるかな呵々大笑。まるで“死ぬのが心地いい”みたいに。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
お?なんだよおわりちゃん。男の子みたいなこと言うじゃん。
好きな子でも出来た?オレちゃんに教えてみ?誰にも言わないからさ。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
(真正面から見据える金の瞳に、気圧されるみたいに目を逸らした。)
……えー。
(正当な評価。それでも不満の音だけを口にする。)
十埼・竜 2022年4月20日
…………ああ……ログは見ましたよ。……耳塞ぎながら。
(このひとはその今際の際まで態度が変わらない……というのをつくづく実感した。動けるとかではない。テンションが全くブレない。)
……(ものすごく躊躇いながら)…………カゲハさんも死ぬの好きなんですか?(聞きようによってはあんまりな問いを投げかける。)
十埼・竜 2022年4月20日
……っそういうんじゃなくって!依頼とか!えっとそのほら……ここんとこ、せー先輩と一緒に行くこと多かったから!
あのひと無茶苦茶やるから……手伝う方も結構ついてくの必死っていうか……(もっとも、ついていけなかったら軽々とこっちに合わせてくれるのだけど)(足引っ張りたいわけじゃあない)
……カゲハさんには言わない。声でかいもん。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
わっざわざ見たの!?真面目だねえ~~~~~!!!
(すごいすごい!)(拍手!)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
“も”?
(気になる副助詞。質問を一口の質問で返す。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
あ、酷いな~~~~きっと内緒話も話してくれないんだ。共犯なのに。
(共犯なのにな~~~~。)
(でも声がでかいことは否定しない。事実だし。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
でもそっか、聖ちゃんか。
いつもお世話になってるお礼ってやつ?
律儀律儀。頑張れ少年。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
…………。(窓際の壁に背中をつけて、ずるずると寄りかかって)
…………死ぬのが好きな人が他に、知り合いにいるんだよ。(ぼやかした。)ぼくはそんな風に思えたことないけど。っていうか毎回最悪だって思ってるけど。
……………………カゲハさんもそうなら、なんでかな、って。
十埼・竜 2022年4月20日
そこで共犯持ち出すのずるいなーーー!
じゃあカゲハさんも好きな人とか彼氏さんできたらぼくに教えてくれるんですか?
……二月のお礼なんか、当分返し切れる気がしないからね。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
あらヤダ。こわい知り合いがいたもんだね~~~~。
うちの子に悪い影響がないといいけれど~~~。
(染まる心配はない。だが、理解が出来ないものを見せられ続けるのは確実に良くはない。)
(だからといって、何かするほどのものでもない。人付き合いはこの子の勝手だもの。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
もち!まずはおわりちゃんでしょ~~~~?
(それからよあけちゃんでしょ~~~?)
(寮のみんなからペラペラペラ。まともに答える気はさらさらなかった。)
(一通り、言い終わったかな。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
(少し、トーンを落として。)
どう生きるのが楽しいかと同じぐらい、どう死ぬのかが楽しいか、あってもいいんじゃない?
生きてる実感とか、死ぬことが出来る命があることとか、まだこの世界に赦されている感じとか。
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
オレちゃんは生きてる実感派。
死ななくても得られるものだけど、死ぬ時が一番生を実感するって言うじゃん?
(このかげろうに限っては、死に逝く、というよりも燃え尽きた結果命を散らす。の方が正しい。)
(だから、少しズレてるのだとは思うと話して。)
あの空間がちょうどいいってのもあるけどね。
気軽に死ねちゃうし。変な癖、みんなつかないといいねえ。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
(血に染まることには、慣れてきている)
(ぼくが傷つくことは、滅多にないから、なおさら)
(ぼくの外側の、生きることと死ぬことが、ひどく脆くて他愛ないもの、みたいに)
十埼・竜 2022年4月20日
……カゲハさんぼくの「ママ」ぶるの割と好きだよな……だからぼくは母親知らないんだってば!
十埼・竜 2022年4月20日
え、
(自分のを筆頭に、威勢よく発された名前は十二分に聴こえていたはずなのに……一瞬その意味を飲み込みかねた)
(飲み込めないまま積み上げられる寮生の、高校三年組の、たくさんの名前。)
いやそれきっと知り合い全部……あれか!愛してるぜベイベーのやつか!?(前にふわっふわに酔いながらそんな話をした、ような。)
つまり全世界じゃん。
十埼・竜 2022年4月20日
………………ちょっと、安心した。
(きみが炎に飛び込むとして、それは呼ばれているからじゃない。)
(きっとその跳躍は、どこまでも自分勝手の結果だ。)
でも、積極的に危ないことして欲しくはないですけど。
……気軽に死ねるって物騒だな……(しかし、戦闘不能を勘定に入れた行動は、随分……とってしまったと思う)
カゲハさん、VR好きでしたっけ? 修学旅行んときは……なんでしたっけ、木刀へし折ってましたけど……
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
幼気な少年に愛のプレゼントってやつだぜ。
(献身的だろ?)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
そういうこと~~~~!
だから愛してるんだぜ、おわりちゃん。
(鋭い爪を携えた長い指でハートを作ってみせて。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
オレちゃんなんかより、おわりちゃんのがよっぽど無茶な手段に出ようとするでしょ。
(ね。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
あ~~~~あれはね、慣れてなくって。
胸ん中が五月蠅えな~~~ってちょいと当たったかも。
(だって、“その音がない人間”など想定されているわけがないのだから。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
慣れたら結構、いい音だなって感じるよ。五月蠅いけどね。
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
(無邪気なのか、何なのか……少なくとも面白がってるのは確かだろう!)どう、いたしまして。……ぼくもその、まあ。
(何故かその言葉を、真っ直ぐ口にする気になれない。)
……ぼくそんな風に見えます?
十埼・竜 2022年4月20日
(「胸の中がうるさい」)
(鼓動。脈。血すら。暴いて知っている。それは、そこにない。)
(聴こえていたと思っていたのは、多分ぼくの反響だ。)
……それが聴こえなくなるときに。「実感」、感じちゃったり?
(意地悪だったかもしれない。)
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
出来ないことから手を引くぐらいの聡明さはあるけれど、出来ないと割り切ることはちょっと嫌。わかっちゃいるけど嫌なものは嫌。
近いところ、無理して背伸びしたら届きそうなところには無理をして手を伸ばす。
そのあと、どんな痛みが待っていても。
(とか。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
(ふはっ)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
そんな感じ!
やっぱ“ある"のと“ない"のとじゃあ全然違うぜ?
あの世界から戻って来たあと、ウワ~~~ってなるもん。
(返ってくるのは、あっけらかんとした答え。)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
(たとえば)
(イライラしてるときとか、逃げ場のない冷たい夜とか。そういうときに言われたら、ちょっとムカッ腹が立ったかも知れないけれど)
……ほんっとカゲハさん、ぼくのこと何でもわかってますね。
(とろりと温い春の風と光が差し込む、なんにもない部屋の中だ。)
“母親”みたい。
で、“共犯者”は、そういうのやめとけって言います?
十埼・竜 2022年4月20日
うわ~~~~やっぱなかった、って?
慣れたら、あっちの方がよかったなあ、って思うのかな。カゲハさんも。
(壁から背中を引き剥がして、)
(一歩、近づく。)
ぼくにはちゃんと聴こえてますよ、今も。「カゲハさん」が。
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
ママって呼んでも振り向いてあげるぜ!
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
いんや?七転び八起き。
自分で起き上がれるなら痛みは知った方が子どもは賢く育つだろ。
痛みを知っていてなお、そんなことをするってことは……それだけの覚悟があるってことだもんな。
それに、“影”ながら助けてあげるさ。そういう時は。
(共犯なんだから。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
やっぱなかった~~~~じゃないかな~~。
なくて良かった。これが夢であって良かった。
(だって、まだ。)
そんな感じ。
(見つけていないから。)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
──────、
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
そっか。
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
じゃ、やること終えたし新入り探しの旅にでも出る?
早い方がいいっしょ?
(それにオレちゃんがいた方が早そうだし。)
(無効票)
十埼・竜 2022年4月20日
(意外と教育的だな、なんてひねくれて思ったけれど)
(信用されてるんだな、ぼく。)
十埼・竜 2022年4月20日
……現実じゃなくてよかった、になるんだ。
(自分にないものが付け足されていたら、気持ち悪いから。)
(異様に聴こえすぎる耳を与えらえた現実や、知らない鼓動が付け足された仮想現実。)
(……ぼくたちは、真逆なのかも知れない。)
十埼・竜 2022年4月20日
(一歩。……すれ違うように、部屋の出口へ爪先を向けて)
あ、機材探し付き合ってくれるんですか? ちょうど目をつけてたショップがいくつかあるんですよ!
(声を燥がせて)
じゃ、行きましょっか!
(無効票)
薄羽・カゲハ 2022年4月20日
お、なんだよなんだよ~!オレちゃんにも嬉しいショップだといいなあ!
(後を付けていく。影のように。)
(■)
十埼・竜 2022年4月20日
(────がらん、と)
(今度こそ何もなくなった、灰色の部屋がのこされて)
(新しい時代の訪れを、待っている。)
(■)