【個】理由
日日日・らんか 2022年4月9日
——屋上
肌寒さが消え、春の匂いを風運ぶころ。
プロムが終わり、数日がすぎたある日の放課後。彼を呼び出した。
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日日日・らんか
奉利・聖
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日日日・らんか 2022年4月9日
(下校する生徒や部活動を行う生徒で賑わう放課後の校庭。屋上からぼんやりとそれを眺める影がひとつあった)
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奉利・聖 2022年4月9日
(きぃ、とドアを軋ませて)
(吹く春風を身に浴びる)
お待たせしました。
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日日日・らんか 2022年4月9日
(風の匂いや色、感覚がする。ドアの開いた音に振り返った)
来てくれてありがとう。……師匠。
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奉利・聖 2022年4月9日
他ならぬ弟子がお呼びですから。
……察するに、この前のことでしょうか。
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日日日・らんか 2022年4月9日
(そう、この前の——)
僕は、の続き。
……聞かせてもらえる?
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奉利・聖 2022年4月9日
わかりました。
僕は……思い出を作るのを、避けています。生きている以上避けようが無いことなのは分かっているのですが……。プロムナードのダンスにおいて、僕は誘う側。避けられるものであったと、そう考えておりました。
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日日日・らんか 2022年4月9日
思い出を……?
(それは、何故——?)
(不思議そうな顔で、呟いた)
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奉利・聖 2022年4月9日
…らんかさんには。
奉利・聖 2022年4月9日
もう自分しか覚えていない、誰かとの思い出はありますか?
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日日日・らんか 2022年4月9日
それは……。
日日日・らんか 2022年4月9日
…………。
日日日・らんか 2022年4月9日
……今回(歴史の侵略)のこと、だけじゃなくて?
(彼の目。どこか底の知れないその目を、じっと見る)
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奉利・聖 2022年4月9日
えぇ。『これまで』刻んできた、全てです。
誰しもにきっと、あるのではないでしょうか?
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日日日・らんか 2022年4月9日
……そうね。
……あたしは今回だけだけど。でも、あなたは違うんだね。
(無効票)
奉利・聖 2022年4月9日
何度目かは、もう分かりません。
それでも永く、沢山生きて、死んだことは確かでした。
(遠くの景色を見て、目を細める)
奉利・聖 2022年4月9日
新たな時が始まるたびに、違う営みがあった。人は一人で生きられないから、社会に順応するのは避けられなかった。
思い出は野放図に積み重なって、そしてその悉くは。
奉利・聖 2022年4月9日
僕の中だけに残った。
何一つ、もう二度と。誰と分かち合うこともなく、顧みることのないアルバムです。
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日日日・らんか 2022年4月9日
永くって、どれくらい?
日日日・らんか 2022年4月9日
……あたしはたった1回だけど、悲しみと、孤独と、それ以上の喪失感があったよ。何をすればいいのか、どうすればいいのかわからなくなって……。
(それを、彼は何回も、何千回もやって来たと言う。それは、なんて……)
……だから、思い出を作らない?
(なんて、悲しすぎる——)
日日日・らんか 2022年4月9日
(すいませんつけ忘れです……!)
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奉利・聖 2022年4月9日
どれくらい、でしょうね。
百単位では到底、収まらないとは思いますが。
そう、誰しにも痛みがある。それは、思い出があるから尚更痛くなる。
奉利・聖 2022年4月9日
此度の人生は、果たして。
失われるのか、失われないのか。
少しの期待はありますが、確証が無い。
だから僕は慎重になっています。求められれば応えましょう。ですが求めるのは、止めにしたのです。随分前から、ずっとそうしてきました。
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日日日・らんか 2022年4月9日
まさか、千とか?
それは……イエス様もびっくりね。
(それが本当か。あたしにはわからない。でも、少し納得した。彼の瞳——そこに映る諦観と、疲弊。そして深い虚無感。その理由に。)
日日日・らんか 2022年4月9日
期待しなければ、失望もしないから。
日日日・らんか 2022年4月9日
(そう言うと、少し目を伏せて)
……でも、それなら、求めにも応じちゃダメだよ。
だって、あなたを求めた人は—求めた自分は—、あなたと思い出を、作りたかったんだから。
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奉利・聖 2022年4月9日
…仰る通りです。
徹頭徹尾、独りになればよかったのに。
ずっと、そうできなかった。
奉利・聖 2022年4月9日
誰かに為に、何かをするというのは。
孤独の身では絶対に、為しえないことです。
だから独りで生きていくなんて、きっと出来なかった。
結局こんな、半端な格好でやり過ごそうというのですから。
随分と意志が弱いものです。笑ってしまいますね。
(自嘲の色を含んだ笑みだった)
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日日日・らんか 2022年4月9日
それに、あなたも本当は思い出を作りたいと思ってる……なんて夢の見すぎ、かな?
うん……本当に独りで生きて行くなんて、きっと出来ないよ。
(それは人間だから。なんてことは言わないけれど、でもこれは実体験によるものだ。それに、意思の弱さならあたしも似たようなものだし。ここに来て、1人で生きていこうとして、1 週間で諦めた。ていうか、数日で死にかけた。知ってた?ストレスで吐き尽くしたらその後血が出てくるって。)
でもさ、そのおかげであたしは師匠と会えたよ。
(その、意思の弱さはきっと、未だ彼に残る人間性の在処なのだと、そう信じる……いや、信じたい)
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奉利・聖 2022年4月9日
…さて、どうでしょうね。
嫌いになり切れない、とは思いますが。
(この新宿島での出会いを、哀しいものにしたくはないから)
……期待を。
奉利・聖 2022年4月9日
期待をさせて欲しいのです。
きっと失われないと、きっと今生は違うと。
そうしたら、僕も。
何かを求められるように、なるのかもしれません。
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日日日・らんか 2022年4月9日
……わかった。期待させてあげる。
でも、あたしにも期待させてよね。
(そう、ウインクをした)
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奉利・聖 2022年4月9日
……善処します。
師匠らしく、頑張りませんとね。
(ありがとうございますと、一礼して)
奉利・聖 2022年4月9日
……そろそろ、掃除に戻りませんと。
お聞きいただいて、ありがとうございました。
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日日日・らんか 2022年4月9日
あたしもさ。あまり期待しない質なんだよね。師匠ほどじゃないけど。
でも今回は……。
ううん、いいの。
(片方しか思い出にならないなんて、辛すぎるんだから)
あたしは師匠に求めるだろうけど、師匠もさ。少しは求めてよね。練習。(両の指を2本曲げて、おどけるようにそう言った)
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奉利・聖 2022年4月9日
お互い、練習ですね。
不出来な師ですが、どうぞよろしくお願いします。
それでは、これで。
(淡く微笑んで、屋上に後にするのでした)
(演出終了)
日日日・らんか 2022年4月9日
ホントだよ?何かあったらあたしに言って。……まあ限りはあるけど、出来る限りやるからさ。
ふふん、いいよ。あたしは“出来た”弟子だから。
(と冗談めかして手を振った)
改めてよろしく。師匠。
……あ、ちょっと待ってあたしも行く!
(急いで彼の姿を追いかけて、屋上を後にしました)
(演出終了)
日日日・らんか 2022年4月9日
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