第4試合:ケルベロスの場合<開始0分6秒>
神居・メト 2022年4月3日
微かな浮遊感の後、土を踏み締める感触、緑の香り。
S1:第4試合 戦場:「山岳」
雄大なる山々に復讐者は送られ、今、開戦の火蓋が切って落とされた。
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ミサゴ・ゾーリンゲン 2022年4月3日
初期配置を確認。事前に聞いている、2人は金が沸く場所
――――なら、自分の役割は
ミサゴ・ゾーリンゲン 2022年4月3日
――ホルスターからハンドガンを引き抜く。誰もいない空へ向かって射撃しながら、その反動を溜め
「オレが行く。2人はそこ、確保してくれ」
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標的は、美味しいポジションで孤立している駒。
――跳躍する。空を2度、3度蹴り、斜面の窪地を飛び越えて。
真っ直ぐに木々生い茂る麓へと。
ラール・ケレス 2022年4月3日
「――――、」
初期配置を確認――するまでもなく見えた影に緊張が走る。
――だが、悪くない、いや、100点に近い好配置。
銃を引き抜きながら、本格的な戦闘に入るべきかの判断を下すよりも早く響いたのは、
さほど遠くない銃声と、通信越しの声。
頼りになる味方で大変結構。
こうなれば、自分が――自分達が考えるのは目の前のことだけでいい。
「陸」
ラール・ケレス 2022年4月3日
. ・・・
「あっちは僕が抑える」
伝えるのは一言だけ、それで十分。
――或いは陸はこっちとやりたかったかもしれない、なんてちらりと思いもする。けれど自分の役割は、不確定要素を潰すこと。
・・・・・・
それで勝てる盤面だ。
――不意打ちが望めそうにない配置なのはちょっと惜しいな、なんて、考えながら。
標的に、これ見よがしに銃口を向けて――
竜城・陸 2022年4月3日
銃声、ほぼ同時の短い要請。
それを受けての言葉だろう、視認できるほどの距離にいる味方からの一声。
「了解」
そのどちらにも応ずる、短い返事。
あっち、示されたほうをちらりと見遣る。
特段に否やはない、が――
「大技に気を付けて。この中だと、俺でも対応が難しいかも知れない」
それだけ付け加えて、
竜城・陸 2022年4月3日
――翼を大きく羽搏かせ、浮き上がる。
今この場にいる自分以外の三人、全員にその姿を晒すように。
散々に学園生徒の前で力を揮っている。
自分の身上は、皆嫌と言うほど知っていよう。
それをこの中で十全に振るうことはできずとも――居るだけで牽制になる。
そういう自身を、竜は正しく理解している。
そうしてから。
「では、こちらは俺がお相手しよう」
――もうひとつ傍にある、味方ではない影。
眼下の標的を見定めたように、眇めた瞳で見据えた。