【個別】ひとよのはな
十埼・竜 2022年4月2日
――――ひとりで見てはならないと、言われたのだけれど。
25時。
夜でもほの明るく誘う、白い桜の木の下に
白い少年が、ぼんやりと突っ立っていた。
#竜城・陸
#十埼・竜
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竜城・陸 2022年4月3日
??????
え、ルクス「の」? 間柄の話をするなら先輩……だけど……???
(無効票)
十埼・竜 2022年4月3日
………………………………ソッスカ。
(耳がいいので問題なく「えっ意味わかんないんだけど」のニュアンスを聴き取った。耳がいいので!)
(つまり隠してるとかじゃなくって多分マジでそういうんじゃない!!何なら、なんだ、その……そういうんでもなさそうな……)
(際限なく入力され続けるのがぼくだ。だから、プロムでは色々なものを聴いていた。浮ついた“波”とか、秘めたものを忍ばせた“声”とか、いろいろ。)
(…………確か、このひとは。)
十埼・竜 2022年4月3日
…………別にいいんです、きにしないで。(やっと上げた顔はだいぶ赤くなっている)
んで「困りそう」って、なんです?
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竜城・陸 2022年4月3日
うん、別に君みたいに刻印されてるわけでもないし……(しれっと)
え、ああ、…………
竜城・陸 2022年4月3日
…………、
えーと……、
竜城・陸 2022年4月3日
(そう、「彼からルリアの魔力がする」はもう、この間――年末顔を合わせた時点でわかってたし)
(ラジオ局に安否を確認しに行った時もそうだし)
(その時は別になんでもなくて)
(今はなんでかそう思った、というのは、)
竜城・陸 2022年4月3日
………………???
え、あれ、…………あー、そういうこと?
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十埼・竜 2022年4月3日
(ばっと自分の首の後ろに手をやった)………………わかるんですか…………???
え、何、ぼく全然そういうことがわかんないんですけどどういうこと!?
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竜城・陸 2022年4月3日
俺はほら、半分くらい魔力でものを視ているから。
だから魔力の残滓とかにはよく気付くというか――誰でもわかるわけじゃないから気にしなくていいと思うよ、…………
竜城・陸 2022年4月3日
え、あ、いやこれはその……
個人的な……話……?
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十埼・竜 2022年4月3日
個人的な話、で止められるとすごーく気になるんですけど。(食い下がる視線)
(無効票)
竜城・陸 2022年4月3日
あ、いや、だからその、
…………前々から、君とルリアが懇意なのを知ってたのに、
今更になって、君と喧嘩してると困る、って。思った理由? に、思い当たった、みたいな。
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十埼・竜 2022年4月3日
こん、い、というか。(つっかえつっかえ、ひどく、困ったような顔をして)
…………「所有物」ですよ。ただの。(その台詞は、滑らかに吐き出せた。)
十埼・竜 2022年4月3日
……そんなの先輩がルクスさんと仲いいからじゃないんです?
一緒に来てたじゃないですか。プロムに誘ったんでしょう、先輩が。
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竜城・陸 2022年4月3日
そう?
(なんて、一言だけ)
(それで満足してる、って顔じゃない気がするけど)
(――とかいう野暮は、自分の言うべきことじゃないし)
竜城・陸 2022年4月3日
仲が良い……お世話になっているのは確かにそうだけど、でもそれは前までだってそうで、
“今更”、そう思った理由、って話で、
……………………、
竜城・陸 2022年4月3日
(たぶん、)
今までなかった“どうしたい”がわかったみたいな、そういう感じ。
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十埼・竜 2022年4月3日
そうです。(みじかい、肯定。)
十埼・竜 2022年4月3日
…………“どうしたい”ですか。(その音の“波”は、確かに、熱を持っているように感じられた。)
(ベンチに不自然に開いた距離を、少し詰めて。)
どうしたいんです? 先輩。(その顔を覗き込む。)
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竜城・陸 2022年4月3日
(ん、と)
(そのことばに、視線を向けて)
竜城・陸 2022年4月3日
――それを最初に君に言うのは、締まらないでしょ。
(なんて、くすっと笑った)
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十埼・竜 2022年4月3日
(あ。)(やっぱり「そういうの」じゃないか。)
叱られちゃいますねぇ。
(視線に微笑み返して)
(少しさめたココアに唇をつけて、桜を見上げる。)
…………やっと、ちょっと、ほっとした気がしますよ。ぼく。
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竜城・陸 2022年4月3日
(なんとなく、上を見上げた)
(降る桜の花びらが、雪みたいだ)
前に、友達……、に、似たような啖呵切ったんだけどさ。
……楽しい、嬉しい、幸せ、とか。“好き”も、“大切”とかも。
そういうの、ちゃんと口に出せないなら、それはきっと。
今までの、後悔とか……今まで諦めてしまっていたものとか。
そういうの、乗り越えられてないのと同じだし。
竜城・陸 2022年4月3日
……それが言えないまま。
“生きてる”なんて、言えないよな、って、思って――
竜城・陸 2022年4月3日
……いや、そんな大層な話とかでもないかもな。
ただ自分が、そうしたいと思ったことで、欲しいと思ったものだ、ってだけかも。
(なんて、息を吐いて)(入れ替わるように、自分の飲み物に視線を落とした)
…………ほっとしたってのは、なんで?
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十埼・竜 2022年4月3日
(――――言の葉、なんていうけど。くるくる回って落ちてくる花びらは、なんだろう)
(たのしい。うれしい。しあわせ。すき。たいせつ。きみの声を乗せて、目の前を過ぎていく。)
(やがて暗い土の上を、ほの白く染めて。)
十埼・竜 2022年4月3日
……そうそう、そういうのは言っといたもん勝ちなんですよ。惜しんでいいことなんて特になし、言って返ってくるなら儲けものじゃないですか。
(混ぜっかえして、ふんわり笑う。)
欲しい。……欲しい、ですか。ふふ。結構感化されてるんですか?
十埼・竜 2022年4月3日
えー、だってさー、(ベンチから投げ出した足、爪先をゆらゆら揺らして。)先輩もちゃんと……こう……男子学生なんだなーって。
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竜城・陸 2022年4月3日
感化されてるって言われたら、ここへ来てから出会う全ての人に影響を受けてると思うけどね。
(なんて、それはそれで混ぜ返すような言葉)
……おや。じゃ、今までなんだと思われていたんだい?
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十埼・竜 2022年4月3日
竜とか神とか自分で言うじゃない?……だから、遠いなあって思ってた。
(案外素直に白状して)怖いとかなんとかっていうんじゃないんだけど、なんていうかさ。
十埼・竜 2022年4月3日
(ここに来てからの、すべての人。……思い浮かぶ顔は、そろそろ、全部拾いきれている自信がないくらい。)
これからもっと増えますよ。春になりましたから、ね。
(楽し気に呟いて、ココアの缶を空にした。)
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竜城・陸 2022年4月3日
それは、まあ。
遠いものでいなくてはいけないと思っていたからね。
(畏怖されるべきものだから。)
(ヒトとは一線を画したものだから。)
(ヒトを容易く殺めてしまうものだから。)
――……でも、案外。
そんなの気にするなって言うんだよ、皆。
竜城・陸 2022年4月3日
(排斥するでもない)(拒絶するでもない)
(畏怖するでもない)(遠ざけも、しない)
(だからといって、)
(“こうあるべきだ”なんて枠におさめたりも)
(“そうしなさい”と枷を嵌めることも、なく)
(あるがままでいいのだと)
(思うままでいいのだと)
(そう、言ってくれて――)
竜城・陸 2022年4月3日
……ああ。だからかな。
(小さく、呟いて)
竜城・陸 2022年4月3日
ん、そうだね。
きっと、どんどん増えていくんだろうな。
……困ったな。まだまだ、生きていたくなるね。
(困った、なんて言いつつ、口元はそう困った風でもないけれど)
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十埼・竜 2022年4月3日
(声を聴くまでもなく、その表情を見れば、わかる。)
……そのまま、大人になったらいいじゃん。先輩もさ。
ぼくも、そこまではなんとかしたいなって思ったし。
十埼・竜 2022年4月3日
……先輩は飲み終わりました?(一緒に缶捨てましょうか。空の缶を振りながら、片手を差し出した。)
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竜城・陸 2022年4月3日
そうだね、できる限りはそのつもり。
……できればその先もね。
竜城・陸 2022年4月3日
ん、ありがとう――ちょっと待って……
(残りの中身を傾けて、)(飲み干して、)
(噎せた)
(ゴホゴホやりながら缶だけ、差し出された片手へ手渡して)
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十埼・竜 2022年4月3日
大丈夫!?そんな急かしたつもりじゃ……!!(缶は受け取りながら)(さする?さすろうか!?って手を伸ばす)
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竜城・陸 2022年4月3日
(片手で大丈夫、というジェスチャー)(なんかをしているうちに落ち着いたようで)
あー、……うんごめん、大丈夫。
噎せやすいだけだから……喉の反射とか弱くて……。
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十埼・竜 2022年4月3日
あー(身に覚えのある顔をした)ぼくも去年の今頃はそんな感じだったなあ……舌がうまく動かなくなるっていうかさ。飲み込む時とか。
十埼・竜 2022年4月3日
……まあでも、「その先」を思い描けるんなら、(ココアの缶を、すこし離れた籠に放って)そういうのもいつか、治るといいですね。(もうひとつ。)
(がこんがこん。二つの缶の音が夜の校舎に、鐘みたいに響く)ごちそうさまでした。(神社みたいに合掌した。)
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竜城・陸 2022年4月3日
まー全体に少しずつ改善はしてきてるんだけどね……
貧血の数値もよくなってきてるし……心臓とかも……。
竜城・陸 2022年4月3日
……まあ、うん、君の言う通りで。
たぶん少しずつ治っては、いくと思うけどね。
(“神”だったころとは違うから、“気の持ちよう”だけでどこまで治るかは未知数だし)
(もしかしたら、完治といえてなお後遺症はあるかもしれないが)
はい、どういたしまして。
……帰るんだよね。途中まで送ろうか。
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十埼・竜 2022年4月3日
おー(合掌をぱちぱち拍手に転じて。えらいえらいぞ)りく先輩、そういう体質改善はじめるってなったら結構マメにしそうですもんね。
十埼・竜 2022年4月3日
うん、そろそろ帰らないと。……なんですりく先輩、今日は随分ぼくを甘やかすじゃないですか?(調子よく嘯く)
(ふと)(時間が止まったみたいな、夜の桜を見上げて。)
十埼・竜 2022年4月3日
…………帰りましょっか!
(それに、勢いよく背を向けた。)
(■)
竜城・陸 2022年4月3日
まあ、規則正しく生活するの自体は苦ではないし……なにより、主治医が優秀だしね。
(なんて、くすりと笑って)
竜城・陸 2022年4月3日
ん? ……ああ、そこはそれ、打算もあるからね?
(冗談めいて言いながら、立ち上がって、)
(降る花びらを、一度だけ、見上げる)
……ああ。それじゃあ、帰ろうか。
(それから、倣って、踵を返した)
(■)