【個】ぼくは
三隅・彩乃 2022年3月24日
放課後。
プロムやトライデントに向けて静かに温まってゆく校舎。
その裏手のゴミ捨て場に、リターナーと人間の組み合わせ。
教室の掃除で彩乃はいつも最後のゴミ捨てを担当します。
掃き掃除はあまり得意じゃないのです。
だから今日もゴミ箱を持ってゴミ捨て場へと向かいました。
その途中でふとよぎるのは、この前の正門でのこと。
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奉利・聖
三隅・彩乃
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三隅・彩乃 2022年3月24日
新しい風、新しい出会いね。楽しみだわ。
（ぱちぱち。まばたきをひとつ、ふたつ。これ以上回り道をしたら迷子になってしまいそうな気がしました。なら、もう覚悟を決めて直進しかありません。だって彼はあまりにも普段通りで、きっと安心してどんな質問もできそうでしたから）
そういえば、なんだけど。
三隅・彩乃 2022年3月24日
この前、放課後に正門で会ったときのこと覚えてるかしら。
エンデさんやらんかさんがいたときのことよ。
あのときにした話がずっと気になってて。
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
……………。
奉利・聖 2022年3月24日
えぇ、覚えておりますよ。
あの時は降って湧いた急用とはいえ、失礼いたしました。
それで、気になるというのは。
あの時言えず終いだったこと、ですか。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
ええ。
聞かせてもらっていいかしら。
三隅・彩乃 2022年3月24日
その……もし私に言いにくい内容じゃなければなんだけど。
……大丈夫よね？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
……構いませんよ。
とはいえ、余人から見ればくだらぬ理由とも言えるのですが…。
奉利・聖 2022年3月24日
彩乃さんは
「思い出」ってお好きですか？
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
……。
三隅・彩乃 2022年3月24日
思い出……？
ええ、まあ。好きよ。
楽しい思い出は好きだけど、悲しい思い出はそうでもないわ。
おおむね好きってことになるかしら。
三隅・彩乃 2022年3月24日
聖さんは？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
好きですよ。
どんな思い出であっても。
奉利・聖 2022年3月24日
───彩乃さんは、もしも。
同じ思い出を共有した存在が。
奉利・聖 2022年3月24日
自分以外全て
ㅤ
、、、、、、、、
消えてしまったら、どう思います？
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
（消えてしまったら？ 寮のみんなや同じクラスのみんな、この学園にいる人々が消えてしまったら？ なんて考えたくもありません）
（でも。『自分がそれを経験したと仮定して』どう思うかを考えて、考えて、考えてみたら）
三隅・彩乃 2022年3月24日
……新しく思い出を作るのが怖い？
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
あなたはそれを経験したことがあるのかしら。
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
他者と触れ合ったことで生じる思い出は、美しいものです。
ですがそれが、もう自分の内にしか残ってないと理解してしまった時。
どれほど寂しいことか。
奉利・聖 2022年3月24日
僕は、それを。
何度も繰り返し、味わいました。
奉利・聖 2022年3月24日
己しか知らない友情を
己しか知らない愛情を
己しか知らない創造を
己しか知らない喜びを
己しか知らない悲哀を
抱えすぎて、大半は風化してしまいました。
どうせ死ぬなら、思い出ごと死にたかったものです。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
……。
（ディアボロスは。新宿島に元々いるディアボロス以外は各ディヴィジョンでクロノヴェーダに敗北した者たちです。本人にその認識があるかどうかはさておき、いずれのディヴィジョンでもディアボロスはクロノヴェーダに滅ぼされています）
（だから聖の言葉は、滅ぼされる間際に最後のひとりになってしまったものだと解釈していました）
三隅・彩乃 2022年3月24日
……繰り返し？
（その単語を聞くまでは）
三隅・彩乃 2022年3月24日
……どういうこと？
あなたは何歳なの？
（繰り返して繰り返して風化するには、16年は短すぎます）
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
…それは、分かりません。
ただ、そうですね。恐らくきっと。
奉利・聖 2022年3月24日
──数千年。
沢山の人生を全て集めたら、優に届くことでしょう。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
数……、
三隅・彩乃 2022年3月24日
せん……。
（それを大袈裟だ、荒唐無稽だと切り捨てるにはあまりにも。あまりにも彼の言葉に諦観と疲れが滲んでいました）
三隅・彩乃 2022年3月24日
（その言葉を信じましょう。でも信じてしまったら、彩乃はどんな言葉を掛ければいいのでしょうか）
三隅・彩乃 2022年3月24日
誰もが、ほんの短いあいだしかあなたに寄り添えなくて。
ずっと孤独だったのね。
そしてあなたは、この先また孤独になると確信してる。
だから新しい思い出を作って、かさぶたが剥がれるのを嫌がってる。
……そういうことなのね？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
おかしいですよね。
繋がりが沢山あったのに、どうして孤独感に支配されるのですから。
……確信、ではないのです。
この新宿島は、これまでと違うという期待も少しある。
奉利・聖 2022年3月24日
しかしまた、同じようになったとしたら。
そう思ったら、途端に恐ろしくなるのです。
期待はひっくり返れば、大きな失望に変わるもの。
これまでと同じように、また己だけに残るのなら…傷は小さい方がいい。
生きてるだけで思い出が積み重なるのは、避けられないとしても。
己から求めなければ無いのと同じ思い出なら、見ないようにすればいい。…そう思いました。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
……そんなの。
三隅・彩乃 2022年3月24日
そんなの！
（あまりにも悲しくて、寂しすぎます。同じことをして笑っても、この人はやがて風化する日を恐れてしまっているのです。きっと、何をしようとしても過去が、傷が、そして既視感が苛んできて感情を萎れさせてしまうのです）
三隅・彩乃 2022年3月24日
（ここではきっとどんな励ましも無責任な言葉になってしまうのでしょう。それならもう、一つしかありません）
『己から求めなければ』と言ったわね。
三隅・彩乃 2022年3月24日
……私から求めるのはいいのね？
その小さな期待を育てるのはいいのね？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
………そうですね。
えぇ、そうなります。
求められたら、応えると。
どれだけ繰り返しても、それだけは変わりなかったのですから。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
本当に？
どんな要求にも？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
……はい。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
それは楽しみね。
お願いごとをたくさん考えておかなくっちゃ。
三隅・彩乃 2022年3月24日
ねぇ、聖さん。
私はね。この新宿島のことを楽園だと思ってるわ。
ずっと遠くから眺めていた場所。争いのない場所。人間たちの場所。
三隅・彩乃 2022年3月24日
いつか幕が下りる日まで私はこの楽園を満喫したい。どこまでも楽しんでいきたい。
……数千年の重みを押しのけるくらいのたくさんの思い出を作りたい。
あなたにも付き合ってもらうわね。
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
………彩乃さん、貴方は。
（まるで自分は、人ではないと）
…………。
奉利・聖 2022年3月24日
御望みとあらば。
浅学非才の我が身、尽力させていただきます。
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
ありがとう。
（付き合ってもらうと言いつつも、直近のイベント ――すなわちプロムとトライデントですが―― はどちらも先約がありまして。なので彩乃が誘えるものといえば）
三隅・彩乃 2022年3月24日
それじゃ。
いつか変な遺産見つけたとき助けてね？
(無効票)
奉利・聖 2022年3月24日
……変な遺産って、その。
一応……身の危険とか無いですよね？？？？
(無効票)
三隅・彩乃 2022年3月24日
……。
三隅・彩乃 2022年3月24日
.
.
(演出終了)
奉利・聖 2022年3月24日
……ぜ、善処します。
(演出終了)
三隅・彩乃 2022年3月24日
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