【イ】黄金公演〜四天王殺人事件〜
黄金院・アスカ 2022年3月23日
MM学園、ミュージカルホール。
観客の見つめる先、舞台上にはまだ暗幕がかかったまま。
──開演の時は近い。
●概要
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●公演スケジュール
21:00-22:30(ごろ) 出題編パート
出題編終了-23:00 投票タイム
23:00-23:30(ごろ) エンディング
●メインキャスト
#鞠依・みぃ
#由良・凛子
#ニクス・カヴェンディッシュ
#ミアンダ・コギトエルゴスム
●企画・台本
#黄金院・アスカ
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
それを疑われてしまっては、否定する手段はないのです。
実際、だからこそ最後まで黙っておくつもりだったのですから。
鞠依・みぃ 2022年3月23日
ああん、も~~……!
(両手で頭を抱えて)
議論を引っ搔き回して楽しい!?
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
いや。ミアンダ嬢も本人の視点で最善を尽くしているはずだ。
……これを明かしたミアンダ嬢に聞きたいのだが、改めてその立場を明かした今、確認しておきたいことなどはないのか?
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
ふーむ……。
ミアとしては、今回の事件に関わりのありそうな、確認しておきたいことは一通り確認させてもらったのです。
由良・凛子 2022年3月23日
最後の最後で爆弾発言が出たけれど……それなら、時間も時間だ。
一旦議論はここまでということでいいのかな?
鞠依・みぃ 2022年3月23日
みぃ、絶対ミアちゃんが怪しいと思うんだけど!!
(びしっと指差し)
だって引っ張ってたもん、このタイミングまで!!
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
思うところがないわけではないが……ここまでだな。
黄金院・アスカ 2022年3月23日
(暗転)(一時幕が下り、真紅のカーテンの前に女が立つ)
黄金院・アスカ 2022年3月23日
かくして、議論は幕を閉じます。四天王が一人を殺したのは誰なのか?そして、その周辺で起きている奇妙な出来事は誰の仕業なのか?
黄金院・アスカ 2022年3月23日
皆様の灰色の頭脳を思う存分活かして、アナタだけの結論を導いてください――。
黄金院・アスカ 2022年3月23日
(女は、カーテンの前から立ち去って)
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『これより、23:00までは投票受付タイムとなります。【誰がアーシュラを殺したのか】。犯人だと思う人物への投票をお待ちしております』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『それでは、運命の匣を開きましょう。果たして、彼らの行く末は──』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
(再び、舞台の幕が上がる)
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
なるほど、ボクが犯人……か。
鞠依・みぃ 2022年3月23日
そ、そんなことないよ!
真実の精霊って言っても、何か間違える時だってあるかもしれないし……!
由良・凛子 2022年3月23日
その露骨な庇い方……
みぃ君、やはり君は……ニクス君を庇っているね?
鞠依・みぃ 2022年3月23日
うっ……(痛いところを突かれたような声をあげ)
な、何よ、そんな証拠どこにもないでしょ!
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
……いや、その通りだ。
だが、勘違いしないで欲しい。鞠依嬢が私を庇ってくれていたのは、あくまで仲間としての情故のもの。
彼女が共犯などということはない。
由良・凛子 2022年3月23日
ぼくにはそれだけとは思えないが……(ちらり)
だが、追及するのも野暮というものかな。
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
やはり、みぃ様はニクス様を庇っていた……。
(合点がいった様子で)
ニクス様がアーシュラ様を殺害したことに気づいたみぃ様は、ニクス様のアリバイを生み出し、いざというときの疑いを引き受けられるようにあのような発言をしていた……ということなのですね。
鞠依・みぃ 2022年3月23日
違うもん!
えっと……
(目を泳がせ)
……そう!カレを殺したのは実はみぃで――。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
もういい、鞠依嬢。君の献身にはとても感謝しているが、これ以上は君を危険に晒すだけだ。
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
ニクス様が犯人……そう考えた場合、動機はやはりあの魔石なのですか?
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
……お察しの通りだとも。短い会議の時間でそこまで感づかれるとは思っていなかったけれどね。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
(魔石を取り出して)
これが、その魔石だ。……美しいものだろう?
由良・凛子 2022年3月23日
ほう、これは……(感心したようにため息をして)
彼が持っていた時よりも、深く、透明感のある美しさを孕んでいる。
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
(目を丸くしながら、ほう……と見つめて)
あるべき持ち主の元に戻ったから、ということなのですか?
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
その通りだ。ボクはミアンダ嬢の言う所の、さる旧家の末裔でな。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
ただ……この魔石自体には、伝承のような力が眠っていたりはしない。ただ、あくまで美しいだけの……言うなれば、当主の証のような家宝だった。
由良・凛子 2022年3月23日
成程……では、そのような石がなぜ彼の元に?
その石を失ったから没落した、というわけでもないのだろう?
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
うむ。この石には繁栄をもたらす力などない。
むしろ、そのような力がないがゆえに、古き名家の例に漏れず、緩やかに我が家は衰退していき、衰えた我が家では、強引な取引によって家宝が持ち去られるのを防ぐ手立てもなかった……それだけの話だ。
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
では、アーシュラ様に会いに行ったのは……。
コレクションを、というよりその石についての話だったわけですね。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
そういうことだ。何も私も殺そうと思っていたわけではない。譲り受けられないか、無理なら無理で話だけでも……と、思ったのだが。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
ボクが思っていたよりずっと、彼は度し難い男だった。
後は、結果が全てだ。
ボクも、これでも四天王としての仲間意識などもあったのだがな。
由良・凛子 2022年3月23日
彼ならまあ……と納得できてしまうのが悲しい所だね。
(ふぅ、と悩まし気に肩をすくめ)
同情する気持ちもあるけれど……魔王軍の鉄の掟を破った罪は、重い。
鞠依・みぃ 2022年3月23日
ね、ねえ!
どうにかできないのかな!
こう……こっそり逃がしてあげる……とか!
ミアンダ・コギトエルゴスム 2022年3月23日
難しいのです。
(目を瞑りながらふるふると首を横に振って)
真実の匣による審判が下された以上、魔王様の沙汰が下るまで、この城を離れることはできない……。
そういうアーティファクト、ですから。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
皆、すまない。……魔王陛下には改めて全てを詳らかに話し、沙汰を受けるさ。
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
……これでも、ボクも彼も魔王軍四天王だったのだ。その決着は、陛下に任せるのが筋というものだろう。
鞠依・みぃ 2022年3月23日
……(両手を組み、彼をじぃ、と見つめ)
みぃ、信じてるから!魔王様なら、きっと……!
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
ああ。……では、ボクは魔王陛下の元へ行ってくる。……皆と戦えて、楽しかった。
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『そう言い残して、四天王が一人、ニクスは魔王の居室へと向かって行きました』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『四天王の内二人を欠いた魔王軍は、勇者軍との戦いに苦戦しつつも奮戦を続けます』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『そんな中、戦場を縦横無尽に奔走する、黒衣の青年の噂が魔王軍の間ではまことしやかに囁かれることになるのですが……』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
『その正体は、誰も知らないのだそうです』
黄金院・アスカ 2022年3月23日
(照明が落ち、静かに風の吹く荒野に立つ魔王城を段々と覆い隠す様に、緞帳は閉じていく)
黄金院・アスカ 2022年3月23日
(緞帳が完全に閉じた後、緞帳の前には、一人の少年だけが立っており)
ニクス・カヴェンディッシュ 2022年3月23日
やれやれ。どうにも、慣れない主役などするものではないな。
黄金院・アスカ 2022年3月23日
─終演─