【個】はじめてのバレンタイン
竜城・陸 2022年2月14日
――2月14日、放課後。
誰に声を掛けるより早く、向かったのは船着き場。
スマートフォンを取り出して、もうだいぶ慣れた手つきでメッセージを送って。
西の海をじっと眺めながら、一つ息を吐く。
場所:
私立MM学園・訓練区画・船着き場
書き込み可能:
#御掃除・すいすい
#竜城・陸
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竜城・陸 2022年2月14日
――(あっ、て顔をした)
ごめん、今日は難しい話をするつもりじゃなかったんだった。
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御掃除・すいすい 2022年2月14日
それこそ、ディヴィジョンなどではこちらでは想像もつかない花が咲いたりもするのでしょうね。
いろいろ見る機会があればよいと思います。
その辺りの並列処理は課題ですね。
先ほどのイメージの話もそうですが、たしかに私は元々ロボット掃除機でしたが……今はそうではありません。
であれば、ロボット掃除機時にはできなかったこともできるはずです。
遠隔での吸引しかり、吸引と吸収の並列処理しかり。
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……おや、そうでしたね。
今日はバレンタインデーなのですから。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月14日
そうだね、ディヴィジョンでも……取り戻した大地にも。
なにしろ世界というものは、とても広いらしいから。
うん、……そうだね、それを君がきちんと認識できているのなら。
そう成れると信じているのなら、いずれそれに実が伴うものだと思うよ。
竜城・陸 2022年2月14日
そう、バレンタインデーだからね。
そういうわけで、はい、どうぞ。
(と、先程魔法で生み出した花を、彼女へ差し出して)
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……おや。
ふふ、先に渡されてしまいました。
ありがとうございます、陸様。
(差し出された花を受け取って)
……こちらは、どのような種類の花なのですか?
(無効票)
竜城・陸 2022年2月14日
ん? ……ああ。
それはまだ、名前のない花で――
(ぱちん、ともう一つ、指を鳴らす)
竜城・陸 2022年2月14日
(それと同時に――)
(手の中の花が、三色の花々を束ねた花束に変わって)
竜城・陸 2022年2月14日
魔法の花の種、ってところかな。
ハッピーバレンタイン、というのだったね。
よかったら、受け取ってほしい。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……陸様は、サプライズがお好きですね。
はい、もちろん。受け取らせていただきます。
……返してと言われても、返しませんからね?
(花束を抱えて、微笑んで)
(無効票)
竜城・陸 2022年2月14日
少しくらいの驚きがあった方が楽しいだろ?
……なんて、これは俺の考え方だけど。
ああ、勿論。
君にあげたものなのだから、返すと言われたら寧ろ困ってしまう。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
ふふ、そうですね。
……では、私もサプライズとしましょう。
(そう言うと、受け取った花束を一度すいすいタンクの中にしまって。それから、タンクから取り出したのは、包装紙に包まれた小さな箱)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……花束様に指導してもらって作成しました。
陸様や花束様、鳳蓮荘でお世話になっている皆様など、お世話になっている方々に送るための、手作りのチョコレートです。
生トリュフレンガチョコ、と言うそうですよ。
(そんな箱を差し出して)
陸様、ハッピーバレンタインです。受け取っていただけますか?
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竜城・陸 2022年2月14日
(受け取った包みを、しげしげと眺めて)
……そっか、君の手作り。
すごいな、俺よりもずっとずっと、頑張っているんだね。
ああ、勿論。ありがとう、スイ。
……返せって言われたって返さないからね?
(なんて、先程の意趣返しみたいに、言って)
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御掃除・すいすい 2022年2月14日
花束様のご指導あってのものですけどね。
いろいろお世話になりました。
はい、もちろんです。しっかり食べてくださいね。
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竜城・陸 2022年2月14日
そっか。……うん。
そうやって、助けてくれる人がたくさん出来たんだな。
それは……嬉しいよ。
ちょっと寂しい気も、するけどね。
……うん。大事に食べるよ。ありがとう。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
また感想を聞かせてくださいね。
……陸様は少食ですから、小さく切って食べやすくしてあります。
寂しい、ですか?
(無効票)
竜城・陸 2022年2月14日
お、っと。
そこまで気を遣ってくれたんだ。
……なんだか本当に、どんどん成長していくな、って思うよ。
ん、…………ううん。
これからはそうやって、他の人と過ごす時間も増えていくんだろうなって思ったら。
嬉しい反面、ちょっとだけ寂しいような、気もする……かな、って。
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御掃除・すいすい 2022年2月14日
そう、ですか。
ふふ、では陸様が寂しくならないようにしないといけませんね。
(ふむ、と考えます。賑やかであればきっと陸様も寂しくないでしょう)
(それはきっと、すいすいの考える『寂しい』と陸様の考える『寂しい』は別のもので。そのことはまだ、すいすいは気づいていませんでした)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……そうですね、それではお泊り会などをするのはいかがでしょう。
(思い出すのはVR修学旅行の夜、宿で皆様とお話をしたときのこと。それはとても楽しい時間でした)
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竜城・陸 2022年2月14日
――……そうだね。
そういうのはきっと、楽しいだろうな。
俺もやったよ、こう、修学旅行の時に男子で集まってさ、とりとめもないような、くだらないような話をいっぱいして。
竜城・陸 2022年2月14日
……でもね、多分。
これは、そういうのじゃないと思うんだ。
(自分だって、そういう感情はいまいち、よくわからないのだ)
(だって――ずっと、ずっと、独りだったから)
(だから、その“寂しい”が言葉通りかも、わからない)
(ただ、初めての――家族みたいな、そういう誰かの、傍にいられなくなる日が来たら、と思うと)
(――なんだか喉が詰まって、苦しいような、そんな気持ちになる)
竜城・陸 2022年2月14日
……でも、きっと、仕方のないことだから。
これは俺がどうにか折り合いをつけないといけないんだと思う。
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御掃除・すいすい 2022年2月14日
そういうのじゃ、ない……。
(では、どういうものなのでしょう。それはまだすいすいには、わからないことで)
(でも、陸様が折り合いをつけると言うのであれば、すいすいにできることはただそれが上手く行くことを願うだけでした)
御掃除・すいすい 2022年2月14日
……では、私にもなにか力になれることがあればいつでも言ってくださいね。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月14日
そう。きっと、そういうものじゃないんだ。
……うまく、言葉にはできないけれどね。
きっとそれは、風が旅をすることを止められないように、水の流れを留められないように、当たり前みたいなことで――
でも、風の声も、水のせせらぎも知らなかった“僕”には、少しだけそれが眩しすぎて、苦しい。
きっと、ただそれだけのこと。
竜城・陸 2022年2月14日
……大丈夫だよ。心配しなくていい。
でも、ありがとう。
そう言ってくれるのなら、もう少しだけ君に甘えてしまうかな。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月15日
自然の摂理、ということでしょうか。
(自然、それはすいすいとは縁遠いもので──きっと、これから知っていくものなのでしょう)
……はい。そうしてください。
私も、たくさん甘えてしまいますから。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月15日
……そうとも言えるのかもしれないね。
子はいつか親の元を離れる……みたいな、そういう話。
(別に親子というわけではないけれどね、)(なんて、冗談めかせて、肩を竦め)
おや、あまり甘えてもらった記憶がないような気がするけれど?
(なんて、くすっと笑って、)……うん、じゃあ、早速一つ、お願いしちゃおうかな。
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御掃除・すいすい 2022年2月15日
子が親の元を離れる……。
(坊ちゃんもきっと、奥様や旦那様のもとから独り立ちするということでしょう。それと似た話……)
おや、早速ですか?
はい、どうぞ。
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竜城・陸 2022年2月15日
そう。
……いつまでもそばにはいられない、なんて、あんな言い方をするつもりはもうないけれど。
いつか君も、自然と俺の助けがいらなくなる日は来るんだろうな、って。
そう、早速。折角だから、ね。
……少しだけ、頭を撫でてもいいかな。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月15日
……たしかに、そうなのかもしれません。
それでも。助けがいらなくなったとしても、隣りにいることはできるのだと。
私は、そう思います。
御掃除・すいすい 2022年2月15日
頭を、ですか?
はい、構いません。
(そう言って、撫でやすいように近づきます)
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竜城・陸 2022年2月15日
そうだね、そうだけど……。
こう、やっぱり少しそれが寂しいというか、そういう感じなの。
(なんて、ちょっと膨れてみせて、)
でも、そう、君の言った通り。
それは悪いことなんかじゃなくて、とてもいいことで、前向きなことだから。
だから折り合いをつけるのは俺のほう、っていう話ね。
竜城・陸 2022年2月15日
(少しだけ近づいた距離。そっと、手を伸ばして)
(優しく、頭を撫でていく)
それに、まあ、寂しい……というのは、その通りでも。
この間話したみたいに、そういう日が来るのが楽しみな気持ちだって、ある。
不思議だね、人間の気持ちっていうのは。
たくさんの、全然違う気持ちが同時に生まれるんだ。
自分で経験して、やっとわかった。
……俺の家族も、きっとこういう気持ちだったんだろう。
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御掃除・すいすい 2022年2月15日
ふふ、陸様はわがままですね。いいことだと思います。
(超然とした存在ではなく、そして我欲を出してくるのは、とても)
……撫でられる、というのは新鮮ですね。
撫でる機会は以前あったのですが。
はい。人間の気持ちというのは複雑で……だからこそ、よいのだと思います。
私もいろいろな気持ちを、これからも抱いていきたいです。
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竜城・陸 2022年2月15日
君に甘えてるからね。我侭も言うさ。
(なんて言いながら、そうっと撫でていた手を、離す)
撫でる機会……があったんだ。
そうか、この学園だと君も上級生のほうになるものね。お掃除仲間にも、小さな子がいると言っていたっけ。
(やっぱり、そういう風に彼女の世界が広がっていくのは、)(嬉しくて、少し寂しいけど)
(――それが人間だというのなら、)
……うん。きっと、スイもできるよ。
君の世界は今だって、どんどん広がっているのだから。
竜城・陸 2022年2月15日
……ね、スイ。
ひとつだけ、これ。ここで食べてもいいかな?
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御掃除・すいすい 2022年2月15日
そうですね、高校一年生ですから。
私からお願いして撫でさせてもらったのですけどね。
はい。これまでも、これからも。
広がっていく世界を、皆様と過ごして行きたいと思います。
御掃除・すいすい 2022年2月15日
はい、もちろんです。ひとつと言わずもっと食べてしまってもよいですよ。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月15日
おや、じゃあお揃いだ。
(ちょっと笑って、)……そうだね、これからも。
どうか君の世界が彩に溢れて美しいものであるよう、願っているよ。
いいの、一つで。大事に食べないと勿体ないから。
(子供じみたことを言って、包みを開いて)(ひとつ摘まんで、口に入れる)
竜城・陸 2022年2月15日
――……うん。
美味しいよ。ありがとう。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月15日
ありがとうございます。
陸様の世界も綺麗なものであることを祈ります。
ふふ、でしたら大切に食べてくださいね。
食べる習慣にもなると思いますから。
(そう言いながら、食べる様子を眺めて)
御掃除・すいすい 2022年2月15日
……そうですか。
それは、嬉しいです。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月15日
ありがとう。
……俺にとっては今でも十分、眩しいくらいだけど。
ああ、そうさせてもらうね。
――そういえば確か、日本ではお返しの風習があるのだったっけ?
少し頑張ってみないとな。来月は期待していてね。
竜城・陸 2022年2月15日
――さ、折角の楽しい日だ。
俺だけで君を独り占めしてしまうのも、よくないね。
学園のほうに戻ろうか、スイ。
皆にもまだ、配り足りないだろ?
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御掃除・すいすい 2022年2月15日
でしたら、私も貰っていますから。
私のお返しも期待してくださいね。
はい、戻りましょう。
陸様にチョコレートなどを渡したい方もたくさんいると思いますから。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月15日
おや。それはまた俺ばかり得をしてしまうな。
君にお返しができて、君からもお返しが貰えるのだから。
俺に? ……は、いないと思うけどなあ、そんなに。
俺から渡したい人はたくさんいるけどね。
……うん、それじゃあ行こうか。
(無効票)
御掃除・すいすい 2022年2月15日
私も得をしていますから大丈夫ですよ。
お互い得をするのはよいことです。
(こくりと頷いて、校舎の方へ向けて歩いていった)
(▼)
竜城・陸 2022年2月15日
(その横に並んで、)
……そうかな? それなら、よかった。
君の得にもなるのなら、一層頑張らないとな――
(なんて、話しながら)(並んで、校舎の方へと歩いていく)
(▼)